ガンダムイフニ

(11) キト上空軌道-1

 エウーゴの<ラーグランローン>のスノード艦長は思った。ここまでは明らかに楽すぎた。間違いなく連邦にキャッチされるように動きをとったつもりなのに、ろくな戦力に出会わなかった。わざわざ地球軌道上に引っ張り込んで逃げられないようにするつもりだろうか? どちらにしても、ラーグランローンに敵の目をひきつけられなかったとすれば、今回の任務は失敗なのだ。
 そういう意味で、地球軌道上に敵艦三隻が待っているのを見て、むしろほっとしたのだった。
 例の建設物については観察不足だった。ぴかぴか光っているのは見えたが、何の目的かは不明のままだった。だが、こちらは副次的な目的である。撃墜されるのがわかっているが、建造物へ向けて長距離ミサイルを数発降下させた。
 前方の敵艦から射撃が来たが、まったくお粗末だった。回避行動をとるのがばかばかしいくらいだ。おまけにこの距離でモビルスーツ隊を出しているようだった。重力勾配であっちが『下』なのだから、ここまでくるのも一苦労だろう。
 だが、重力を振り切って、艦の火線をかいくぐり、よれよれになりながら、だんだん近づいてくるモビルスーツも何機かあった。頃合だろう。こちらのモビルスーツ隊もたまには実戦をさせないと、なまる一方だ。
 軽く戦わせるつもりで、発進のコールをした。小気味良くモビルスーツが下に向かって射出される。このまま地球に降りてテヘランへ攻め込んでしまってもいいかと思った。

「何とか追いつけたようです。エンジン不調にしては良くやりました」すでに前方の景色は地球――海は青くみえるが、大地には緑などろくすっぽのこっていない――でいっぱいになっている。地球を背景に火線を発見してノートンはウィルガムに言った。
「このまま戦闘に入りますが、よろしいでしょうな。あの部隊は囮の可能性が高い」
「あれが囮のはずがないのは前にいったとおりです。それより、エンジン不調のまま戦闘ができるのですか?」ウィルガムは不安そうだった。これが本当にエンジン不調だったら、指揮官のこういう態度は兵に伝染してしまう。今回は真実を艦の中心メンバーが了解しているからいいようなものの。この愚か者にこの2日というもの付き合わされて、いいかげんうんざりだ。
「よーし、敵をコロニーには帰さんぞ!」結局ウィルガムの発言は無視し、勢いのいい言葉を吐いて、続けた。「モビルスーツ隊、発進!」ノートンが怒鳴った。やる気は本物である。
「オメガ1、ハーヴェイ=クロンドル、ガンダム、出るぞ!」
「オメガ2、フローリア、ヴィガン、行きます!」
 各機が勢いよく飛び出していく。敵艦隊には、もはや直援のモビルスーツが一小隊残っているだけである。ノートンは、きっちりと最良の――敵にとっては最悪の――タイミングを計っていた。
「よ、よし、敵を沈めるんだ!」ウィルガムが不抜けた顔を珍しくしゃんとさせていた。緊張気味なのだろう。戦闘ブリッジは狭いのだ。こんなところで吐かれでもしたら大変だ。そのものずばりのいやみをいってやることにした。
「気分が悪くなったらいつでも下に行っていただいて結構ですよ」
「い、いや、私もここで指揮を補佐する義務があるのだ」見るからに強がりだ。オペレータがこっちを見て小ばかにしたように鼻で笑っていた。ノートンも笑ってやりたがったが、今は戦闘中だ。
「そこ! 目をひん剥いて前を見ていろ!」一喝した。

「後方からモビルスーツ隊です!」
「な、なに!」スノードはオペレータの言葉を聞いて完全に虚を衝かれてしまった。
「総数は!」「6機と思われます!」
 スノード艦長はほっとした。同じ機数の直援が残っている。艦の動きをうまく取ればしのげるだろう。

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 い、いよいよ、実戦ですね。結構書いてきたんですが、実戦って、初めてなんですよ。シミュレーションバトルならいっぱいあったんですけどね。スノードなみな気分?
 次回は、本番ですよ〜。