
(2) 死神-1
「もう学校ごっこは終わりだ。諸君」
メッターは、サンターナの大隊長室へ呼び出しを受けていた。メッターのほかに、メッター隊副隊長のマックス、それに、イアン隊からサイクス、ドノバン、ジョーンズ。
イアン隊は、イアンが去った後、一人新兵を入れて、サイクスが隊長代行という形で引き継いでいた。1年兵の隊長は例がなかったが、サイクスはよくやっていた。成績は上位のほうに何とか踏みとどまっている。
サンターナは明らかに近すぎるところに立っていた。校長の訓示のラインより、身内の打ち合わせの領域である。
「事態が急激に切迫している。豚の巣である、<ギニア>で我々の戦艦が一隻沈んだ。そして、南極ではクズどもが騒ぎを起こそうとしている。予定より早いが、我々も行動を起こさねばならなくなった」
<ギニア>の事件は天使隊では発表されていないが、メッターは耳に入れていた。また、南極でバレイユ=ヨンキエが怪しげな行動をとっている件もだ。
天使隊の情報統制は厳しい。それをここであっさり破るサンターナの意図は読めなかったが、覚悟は決めた。文字通り、学校ごっこは終わりなのだ。他の連中はわかっているのだろうか。ここに呼ばれたのは天使隊でも最優秀者である。そのことの重大さを。
「諸君らは、今日で、天使隊は卒業だ。私もここを去り、前線に立つ。諸君は私の指揮下に入る。隊名は<死神隊>だ。私が隊長、メッターが副隊長だ。精霊隊の中でも特殊な作戦に従事することになる。詳細は移動しながら説明する。まずは寝室に戻り、私物をまとめて20分後に再度ここへ集合しろ」
死神隊、とは不穏な命名だ。ガイアではその類のネーミングは見たことがない。文字通り、特殊任務が主となるのだろう。
「なあ、メッター副隊長さん、どう思うよ?」部屋に戻る道すがら、ドノバンが歩きながら話しかけてきた。不安なのはメッターとて同じであるが、それを口にするわけにもいかないし、何より、この隊員間のなれなれしい関係は気に入らなかった。それに、どうしても、イアンを思い出す。今日、この場にイアンがいてくれたら、いなかったのはこいつのはずだ。
「無駄口をたたくな。私はそういう会話は好まない。覚えておけ」ぴしゃり、といった。



メッター久々の登場です。一応副主人公なんだけな〜。
この項のタイトルの<死神>は死神隊ってこともあるんですが、次の次あたりで出てくる人のことも指してます。で、意味合いで項を切ったら短くなっちゃいました・・・。