歯ぎしりについて

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歯ぎしりには横にずらしながら歯をこすり合わせるパターンのもの、上下的に押しつけるパターンのもの、カチカチ小刻みに鳴らすパターンのものがあります。
その区別はおろか、自分が歯ぎしりをしていることすらわかりにくいものです。

歯ぎしりは無意識に(特に睡眠中に)行っていることがほとんどで、とても強い力が歯や周囲の組織に加わります。
普段意識して奥歯をかみ合わせたときの力が、ほぼ体重と同じくらいであるのに対し、歯ぎしりしているときのかむ力は、なんと体重の約2倍なのです。これほどの力が加わるのですから、からだに対していいわけがありませんよね。

歯ぎしりを放っておくと、1)歯がすりへる、2)あごの関節症状(顎関節症)が起きる、3)歯がぐらつく(歯周病)などの症状がみられるようになります。

朝起きたときに、あごの関節がいたかったり、肩こり、こめかみあたりの頭痛などがある場合には歯ぎしりをしている可能性があります。

歯ぎしりの原因ははっきりしないことが多いのですが、精神的な疲れ、肉体的な疲れのある人に起こりやすいようです。

歯ぎしりを完全に治す方法はありませんが、緩和予防することは可能です。
その方法としまして、『ナイトガード』(健保適用)という装置をおすすめしています。
このような歯ならびに合わせたプラスチックシートをお口にはめることで、とてもリラックスした睡眠がもたらされるようです。

歯ぎしりの力は、想像以上に大きいものです。
中には、さほど強い歯ぎしりではないけれど、予防としてナイトガードを愛用している方もいらっしゃいます。
口臭と同様に、症状に気づきにくいという特徴がありますので、もしや・・と感じましたら早めにご連絡ください。

case1 全体的に歯ぎしりが進行した症例

 

左の写真は歯をかみ合わせた状態ですが、なんとなく歯が短いですね。右は拡大したところです。上の歯は元の歯の2分の1くらいにまでけずれているようです。
下の歯は3分の1程度けずれ、元の歯の3分の2くらいの長さになっています。歯ぐき中ほどが丸くふくらんでいるのも、歯ぎしりしたことで起きた変化です。

長い時間を経て少しずつ歯がけずれてきた場合、あるとき急に柑橘類(みかん、レモン等)にしみはじめるという特徴があります。あまり冷たいもの熱いものにはしみないようです。
また、あるとき突然激痛が起きることもあります。
この方の下の歯の1ヶ所には白いクスリでふたをしてありますが、これはけずれすぎたために、とうとう神経が露出してしまい、激痛が生じたのです(根っこの治療中)。



上の歯のけずれ方には特徴があります。この方は寝ている間に強烈な歯ぎしりをするだけでなく、梅干しの種、ひまわりの種などのかみごたえのある食べ物を前歯ですりつぶすクセがあるらしいのです。
よく見ると奥歯はあまりけずれていないことがわかります。典型的な前がみタイプ(前歯でかむクセがあることを意味します)です。前がみタイプになる原因はさまざまですが、もともと上下の前歯の先と先がかみ合っている方(切端咬合)や、前述のように梅干しの種やひまわりの種などをかみ砕くために、下の前歯を上の前歯にこすりつける方に多く見られるようです。

このまま放置すると、そのほかの歯も神経が露出し、痛みが出ます。さらに顔(鼻から下)が短くなることもあります。

case2 まだ一部にしか症状が現れていない症例



一見なんともなさそうに見える口元ですが、実はこの方も歯ぎしりをしているようです。特に上の前から2番目の歯が、下の犬歯によってけずれはじめていることが下の写真からわかります。





上左の写真は、上下の歯を軽く合わせたところです。上右写真は、下の犬歯を横にずらしていったところです。けずれた部分がぴったりパズルのように一致しますね。毎日この部分をこすり合わせているようです。



上の写真がナイトガードです。これは検査をかねたソフトタイプのナイトガードです。



ナイトガードは、食いしばりやかみ込み、横ずらしなどのいわゆる歯ぎしりを緩和予防することを目的とした医療用具です。おもに睡眠中や、思わずぐっと食いしばる作業を行なう際に装着します。
使いはじめて間もないころは、違和感があるためにやや寝苦しいこともありますが、数日で慣れるようです。

ナイトガードには、素材の硬さによってハードタイプとソフトタイプとがあります(厚さは1ミリ〜2ミリ程度)。そのほか上の歯に装着するもの、下の歯に装着するものなどさまざまです。

単純にクッション的な役割を果たすナイトガードを作製する場合は、ソフトタイプが用いられます。

第一選択としてソフトタイプがよく用いられるその理由は、もっとも装着感がよい(なじみがよい)ということと、睡眠中の歯ぎしり音をおさえることにより、周囲に安眠をもたらすこと、などです。
ただしやわかいだけに、やぶれることもあります。
このやぶれのはげしい部分は、もっとも力の入っている部分ですから、その部分に注目して今後の処置を検討することになります。
このようにソフトタイプのナイトガードを第一選択としてよく用いるもう一つの理由は、歯ぎしりの状態を確認できるということです。
やぶれた場所、やぶれ方、こすれている幅や方向など、診療室内では検査できない情報が得られるのです。

ハードタイプのナイトガードは、ソフトタイプで得られた情報を活かし、スムーズな顎の動きを促すことを目的としています。顎関節症の治療に大きくかかわってきますので、慎重に作製しなければなりません。

case2の患者さんはご家族に歯ぎしりしていることを指摘され、来院されました。
このように、歯がたくさんけずれる前に予防を開始できたことは幸いであると思います。しかもこの方は歯ぎしりからくる知覚過敏症状がすでに始まっていました。
この処置も早期に開始できると、症状をおさえることが容易となります。

いびきとならんで歯ぎしりは夜の大敵ですので早めに予防しましょう!


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