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審美歯科_カウンセリング

たとえば上の前歯6本を白くしたいという希望をもった方が来院したとします。
その場合、まずカウンセリングを行います。
カウンセリングというのは、患者さんが持っているストレスを一旦吐き出してもらうための機会であると私は考えています。

ところで、最近私は運動不足解消を目的にときどき走るようにしていますが、みなさんは走るときに呼吸を意識したことがありますか?
私が走ることにおいて師匠と仰いでいるのは谷川真理さんなのですが、あるとき彼女が走るときの呼吸についてこんなふうにアドバイスしていました。

『吸うことばかり考えないで強く吐いてみてください。強く吐かないといい空気が入ってきませんから!』

治療を希望する患者さんも同じようなものだと思います。つまりあれこれ考えてばかりいないで持っている願望やもろもろの思いを専門家の前で一旦吐き出してしまうべきなのです。そうしないといい発想は浮かんでこないというわけです。

ですから特別な場合を除いてカウンセリングの際には、できるだけ聞くことを中心に進めてゆくようにしています。ちなみに特別な場合というのは患者さんの側で迷いがなく、すぐに治療を受ける準備が整っている状態のことです。

カウンセリングで話が盛り上がっていくと、患者さんの心の内側で「すぐに治療を受けたい」という気持ちが高まってくることがあります。それはいろんな意味でテンションが高くなっているからだと思います。
治療用のチェアーに腰掛けるとどうしても緊張してしまうという方がほとんですから、きっと緊張の延長線上にいろいろな心境の変化が起こっているのでしょう。

私の医院では、できるだけカウンセリングの際にはお話だけにしておいて、一旦普段の環境に身を置いてからもう一度検討してもらうようにしています。なぜならその方が適確に気持ちの整理ができるからです(参考コラム)。

カウンセリングが適切に行われたならば、もうその時点で治療の半分が完了したようなものです。審美歯科治療が精神的な治療であるという考え方のベースがここにあるのです。
一方で、カウンセリングが適切に行われたとしても、途中で患者さんの考え方がコロコロと変わったり、急激に要求が高くなってしまったりすると、治療技術の問題というよりは信頼関係の問題で治療が頓挫してしまうことがあります。
審美歯科治療のいちばんの難しさがこのあたりにあるような気がします。

これは審美歯科が精神的な治療であるがゆえに起こり得る現象なのです。そのような場合は時間をかけてじっくりと関係を再構築してゆくことで多くの場合軌道修正がなされますが、ほんの一部の方は残念ながら転医してゆきます。
そのあたりも含めて患者さんを気持ちよく送り出してあげることがとても大切だと思っています。なぜならその患者さんにとってふさわしい歯科医院が見つかることが私たちの願いでもあるからです。

少し話がそれてしまいましたが、審美歯科の中心は患者さんであり、カウンセリングがとても重要な位置を占めているということです。
多くの歯科医院で無料相談が実施されていますが、無料ではあっても実はそこにとても大きな価値があるということを知っていただきたいと心から願っています。