いったいいつごろ審美歯科ということばは市民権を得たのでしょうか。
それを的確に説明できる、あるひとつの出来事をご紹介しましょう。
ところでみなさんは芸能人がどうやって歯や口元を美しくするかご存じですか?
北海道歯科審美研究会で教えているメソッドでは、歯を治す・・・というのはだいぶあとのことで、実はまず最初にスマイルを設定することから始めます。そしてそのスマイルにはさわしい歯のかたちづくり、色調の再現を順次進めてゆきます。ですから一般的な歯科医院での治療とは順序が逆かもしれません。
一般的な歯科医院(私もかつてそうでしたが)では、個々の歯を白くすることを治療計画の頭にもってきます。そうするとスマイルはそれらの治療の結果偶然できあがったものということになります。
歯は白くなったけれど、患者さんはなんだかあまり嬉しそうではない・・・そんな経験が私にもありました。その理由がわからなくて坂本氏にアドバイスを請うと、「えとう先生は治療の中でちゃんとスマイルを設定しましたか? 最初にスマイルについて患者さんとディスカッションをしましたか?」という指摘を受けました。
たしかに言われてみればそのあたりの話し合いや設定が曖昧だったということが反省点として浮かんできました。
中にはスマイルのはなしをしても興味を示さない患者さんもいます。けれども
それは本人が気づいていないだけであって、その潜在的な部分に光を当ててあげるのが私たちの大事な役目でもあるのです。そのあたりを自然に導いてあげれるようになることが私の目標です。
さて芸能人の歯科治療についてですが、あるとき私の医院に坂本氏から電話がありました。「えとう先生。もし午後から都合がよければ見学に来ませんか? 今MSさんが来てますから・・・。」「え??MSさんって、あのMSさんですか?」
私は一瞬冗談かと思いましたが、行ってみると本物のMSさんが治療椅子にちょこんと腰掛けていました(彼女はかつて審美歯科治療を受け、歯科医師と結婚したことで有名になった現役歌手です)。
プロダクションと坂本氏の間で細かく契約が交わされていますので、くわしく語ることはできませんが(話せる範囲でご紹介しますと)、もっとも坂本氏が力を注いでいたのは驚くことに「スマイルトレーニング」でした。前述しましたように、審美歯科治療最初にスマイルありきなのです。
坂本氏が一般の患者さんを相手にスマイルトレーニングを行っているのは何度も見たことがありましたが、まさかあのMSさんにも同じように「き~む~ちー」と発音させ、口角を広げさせるとは・・・。その光景はとても衝撃的でした。有名芸能人に対して一歩もひかない坂本氏。真剣にスマイルトレーニングを受ける MSさん。。私は両者の気迫に押されてただただ見守るだけでした(困ったことにそれからしばらく「き~む~ちー」が耳についてはなれませんでした・・ )。
この一件以来、審美歯科は全国的に広がりを見せることになりました。その後MSさんがハリウッドに進出したことも審美歯科を語る上でよく引用されます。なぜなら彼女の歯はハリウッドクラウンだからです。そしてその口元はハリウッドスマイルとしてファッション雑誌などでも取り上げられました。
こうして審美歯科ということばは徐々に定着し、今では歯科治療の必須アイテムとなっています・・・<続く>。
追記1
Smile has no borders.(笑顔に国境はない。)
これは私が米国審美歯科学会(ASDA:American Society For Dental Aesthetics)の国際ミーティングに初めて参加したときに、会長のDr.Irwin Smigelが宣言したことばです。
審美歯科先進国における歯科治療のスローガンはあくまで「スマイル」なのです。
きっとこれからは日本人もスマイルを基準に歯科治療を受けるようになるでしょう。なぜなら審美歯科治療は米国発であり、米国で起こったことは10~15年遅れで日本でも起るからです。
審美歯科において米国は日本の日時計的な存在なのです。
追記2
「き~む~ちー」は理想的なスマイルを作るときによく用いられることばです。ほかに「ちーず」や「くりーむ」「うぃすきー」などがあります。
ところで日本人は写真を撮るときによく「ちーず」の「ず」でシャッターを押すようですが、これはまちがいで、ほんとうは「ちー」で押さなければスマイルは撮れません。。。