根本 敬



  根本敬という特殊漫画家がいます。私は彼の漫画は正直好みません。学生時代「平凡パンチ」に
  連載されていたものを見てから、きったねぇ絵だなあ、という印象が今でもあります。彼の神髄は、
  その奇妙奇天烈な因果の流れに身を委ねて行くしかない人々に対する好奇心あふれる記述に現
  れます。根本さんは度々、因果ブラックホールに呑み込まれてしまう、というような事を言っていま
  すが、実はブラックホールは彼自身なことは明らかです。そうでなかったら、何で根本さんの周りに
  あんなにも特殊な人達が集まれるんでしょう。根本さん、私はあなたの因果系宇宙に「トリコ仕掛け
  に明け暮れて」おります。


                      アンチポデス所蔵の根本特殊本

            


            『因果鉄道の旅』  KKベストセラーズ (1993)

 怖ろしきは、因果の旅。一昔なら「親の因果が子に報い〜、生まれてきましたこの
かわいそうな子」ってな調子で悲劇にまつられてしまう哀しき因果を背負った濃い
達が、この本では明るく、なんとも脳天気な存在(全く正しい扱いです!)として登場し
てきます。
 有名人では、蛭子能収、勝新太郎、から根本氏を「因果ルポ」へと導いた無名の
内田君、さらには「超能力演歌歌手サバヒゲ」、なんとまぬけ顔の不動明王様まで・・。
根本氏は後書きで「少なくとも俺に与えられた役割は、この本に出てきた(または今後
出会う人達)から学んだり、吸いとったりしたエキスや抽出したエッセンスだとかを漫画
にして・・」と自分の存在意義を確認しています。
 私はあまりのおもしろさに、たぶん3時間くらいで読んじゃった、と記憶しています。でもどうして根本さんは、
こんなにコユ〜イ方々に好かれちゃうんでしょう?(好かれる、って表現はやっぱし違うな。)それこそ彼なら
ではの「因果」というしかないのでしょう。


          『人生解毒波止場』 洋泉社 (1995)

 こいつぁ、濃いです!前著を何倍もパワーアップしています。私たちのすぐ傍らにいる
ような、いやもとい、まちがっても決して傍らにいて欲しくないようなコアでディープ
な方々がてんこ盛りで登場されています。
おマヌケ憂国シンガーの川西杏さんをはじめ、電波系喫茶店女性店主(この店一面に
貼られた電波ビラが凄い)、世田谷のゴミ御殿の老婆、イイ顔探しでひらいた「オヤジフ
ァッションショー」に集まったチョーイイ顔の面々、通天閣のクリムト其風画伯、等々・・
息つく暇もありません。「運命土左衛門は河の流れに身をまかすのみ」の方々がこれ
でもかっ、とゲップが出そうになるくらい根本因果系宇宙に随伴していきます。
 私は読み終わったあと、なぜか身体が火照ってしまい心を落ち着けるのに時間がかかりました。巻頭のイイ
顔写真集、中でも「ドヤで出会ったブルースマン達」のその自然の(天然の)ブルージーな佇まいは心を癒
してくれます。必読書です。


                         因果色紙を手に入れました。

              

 2003年8月2日(土)、私は神戸に行きました。「ぐれむん」さん、「TRAMP」さんに合うためでした。
合流して昼食を食べた後、真っ先に連れて行ってもらったのが『ちんき堂』でした。
ここの店主は「戸川昌士」という自らも『猟盤日記』シリーズを数冊出している、変人なのでして、店内はそりゃ特殊な「イイモン」で
溢れ、客層も「イイ顔」したお方ばかりでした。

 まず目に入ったのが、壁に額装で飾られていたこの色紙。「買いなさい、買うんじゃ〜、おら〜っ!」との電波を急に受信し、どうやって
持ち帰るか、ということは考えず、その場で購入しました。
 『金○○円 額代は別』との張り紙が・・。ちょっとセンス無い額だったので、私は「中身だけ欲しい」と言うと、「なにほざいとんじゃ〜、
われ〜、額も買わずにどないするちゅうとんねん〜」と言われる事を心配していたのですが、さすが「ぐれむん」さんの顔。
「はいはい、わかりました」とあっさり商談成立。
 中央の「村田藤吉おじさん」、なかなか「イイ顔」してるでしょ?


 「どれ、待ってねと戸川氏が額から色紙をはずすと、「ありゃ?裏にもなんか描いてあるぞ」とぐれ兄い。
な、なんと本当にマジックだけの線描きですが、裏一面にも大きなイラストが!

 でも、残念ながら画像公開はチトためらってしまいました。それだけ「イイイラスト」過ぎますので・・。
どうしてもご覧になりたい方は、直接私の家まで来ていただくか、画像添付メールを1枚5000円位でおわけしますので(ウソ)。

 最初はリュックに入れて、と思っていたのですが、「ちんき堂」主人がダンボールに挟み、丁寧に梱包してくださったんで、ずっと小脇に
抱えて行動しておりました。「こ、こんなん買うの?・・」と同行した「TRAMP」さんの電波を受信いたしました。

 無論カミさんには見せるはずはございません。




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