『彼らに賛美歌を』


 ここはとある公園の片隅。

「おぉい、聞いてよぉ。俺昨日アリを127匹も倒したんだぜぇ」
「なんだ、そんなことかよ。俺なんてアリを263匹倒したんだ。俺の勝ちだ」
「あなたたち小さいわねぇ。そんなちっぽけなの倒したって意味ないじゃない」
「そうだそうだ、俺はテントウムシを86匹倒したぜ」
「大して変わんないじゃ〜ん」
「そうよぉ、ダメダメ」
「全くだよ。僕はバッタを57匹倒したよ」
「虫から離れなさいよ、あんたたち」
「それなら僕だ。昨日、魚を31匹倒した」
「どうやったんだよ」
「自分で釣ったに決まってるじゃないか。大変だったぜぇ、ピチピチ跳ねてさぁ」
「じゃ、私はスズメね。22羽倒したわ。自分で罠張ったのよぉ」
「おぉ、凄いじゃん。罠なんて作れる人、初めてみたぜ」
「へへぇ」
「じゃあ、僕ね。僕は鼠17匹かな」
「へぇ、ていうか、それただのガイチュウクジョじゃないか?」
「ママに手伝ってもらったんじゃないかぁ?」
「ありゃりゃ、ばれちゃったか」
「やっぱ一人でやれないとねぇ」
「まだまだぁ、俺は鴉を9羽倒したぜ!」
「ほぉ、お前も罠?」
「んなこと出来るわけないよ。素手に決まってるじゃないか」
「いろんな意味で凄いなぁ、お前」
「よく捕まえられたなぁ」
「もうヤケクソで飛び掛ってさ」
「他にいないかぁ、ブユウデン言う人ぉ」
「お前はどうだ? なんか倒したか?」
「ぼ、僕は…」
「だめだって、そいつ弱いからなんも倒せないって」
「そ、そんなこと…ないけど…」
「じゃあ、何倒したんだよぉ」
「…ね…」
「ね?」
「…ね、猫1匹…」
「おぉ、やるじゃねぇかぁ。どうやったんだ?」
「…目の前歩いてた猫を捕まえて・・・」
「ふむ」
「…思いっきり首の所掴んだの」
「ほぉ、それで?」
「そしたら、だんだん暴れなくなっていって・・・動かなくなって・・・」
「いいねぇ、お前最高だよ」
「…もう…ヤダ…」
「そんなこというなって。なかなか出来ることじゃないぜ」
「そうそう、お前がナンバー1じゃね?」
「私もそう思うわぁ」
「…ちょっと待って。お前何笑ってるの?」
「いやさ、皆大したことないって思ってさぁ」
「何? 猫が大したことないの」
「じゃあ、あんたは何倒したのよぉ」
「僕はこんだけ」
「三本指? 三匹ってことか?」
「う〜ん、ちょっと違うかなぁ」
「それ以外で何を言いたいのさぁ」
「答えは“三人”」
「三人?」
「そうそう人を倒してきたんだぁ」
「えっ、本当?」
「本当さぁ、隣の家のおばあさんでしょ。近所のシンコンさんの赤ちゃんでしょ」
「…あと一人は?」
「えっ、わかんないの?」
「わかるわけないじゃない」
「今日いない基子(モトコ)ちゃんだよ、なかなか倒すの大変だったなぁ」
「…えっ…」
「…あっ…」
「ね、もういいだろぉ。僕がナンバー1だ」

 ここはとある公園の片隅。

 

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