シドニー最終予選・タイ遠征記

1999年11月12日〜15日・タイ・バンコク

12日

最終予選もラストの試合、対タイ戦に、友人のH子と出発。
前回一次予選の香港戦ツアーでは、成田での待ち時間の孤独さに涙したので、今回は関発のツアーを組んで頂けてとても嬉しかった。

日頃の行動がいいのか、家を出る時はザーザー降りの大雨。嬉し涙にむせび泣きつつ、雨の中をトランク(注・中身はがさがさ)をひきずって空港に。

JALで向うので安心(^^)と飛行機に向うと・・あれ?あのマークは・・「タイ航空」。そう、共同運航便ってやつで、JALとは名ばかりのタイの飛行機。

でもまあ、無事つけばいいと思っていたら・・「あと15分でバンコクに到着」のアナウンスの直後、「空港の都合であと25分飛びます」。なんやねんそれはで、そのあとが恐ろしかった。再び高度を上げて旋回していた飛行機が、いきなり下がり、「ボコン、ボコン」と変な音!「大丈夫なのか」という声が聞こえるし、H子は隣で引きつっているし・・当然私も胸ばこばこ。

なんとか無事にタイの「ドン・ムアン国際空港」に降り立った時は「生きていてよかった」(オーバー)と実感。
しかし・・しかし・・
暑い!!湿気が高い!!期待を裏切らないナイス(死語)な環境だ!!

その後、東京からのツアーの皆さんと合流してホテルに。日本を出る時「そんなホテル聞いたことないで」と皆さんにほめて頂いた某ホテルは予想外に部屋が広くてとても嬉しかった。なあに、ちょっと風呂がちょろちょろ漏るくらい気にならへん、気にならへん!

この日は、タイ舞踊を見ながらタイ料理。

そこでやっと私は思い出した。私はタイ米と香草が苦手だったのだ
仕方なく帰りにお菓子さんで
「かっぱえびせん」と「アーモンドチョコ(注・年季の入った味だった)を買込んで夕食とする。

・・きちんと色々な国で体調をキープできる選手は本当にすごい、と心から思いつつ、タイでの一晩目を私はかっぱえぴせんで過した。


13日

さあ今日は試合だ!!
応援グッズを鞄に入れていざ球技場へ!!・・の前に「観光ツアー」がついていた。

タイは初めて。
このさい知っておくのもいいだろう、とバスへ。

空は青天、お日様ぎらぎら。
なんと船に乗って川を下って「水上マーケット」を回ると言う。あわてて「酔い止め」を飲む。自慢やないけど、私は船だけには1分で酔う自信がある。

さて。
船はすごい音をたてて川を下った。途中の川縁では水上生活者の姿が。
小船に寄って土産物を売りにくるタイのおばちゃんの逞しさ。

川には信号があって、渋滞を避けるためかよく止まる。
止まると陽光がぎらぎらと照り付ける。
あ・・暑い!!たまらん!!

なんとか船を下りて次はエメラルド寺院と王宮へ。
キンキンキラキラの豪華な建物が目にまぶしい。しかし暑い。
「これでは市中引き回しやな」とH子。
ほんまにそうや・・。


が。バスに乗り込んでいたらいきなり暗くなって雨が・・
これが噂のスコール!!

雷ばりばり、雨は滝のよう、吹き荒れる風。

見る見る道路が水溜まり、さらにそれは川になって流れ出す。
しかし地元の平然としていた。「タイは地下鉄が絶対作れないのは、これのせい」とニコニコしている地元のガイドさん。ついでに「
このままだとサッカーの試合できないね」。おい・・待て笑いごとやないで。

雨はますますひどくなり、ついにバスの前の席が雨漏り。

「大丈夫?」と後ろから心配していたら、今度は私めがけて天井からざっぱーん

私が何をしたって言うのだ??どうして水をかぶらにゃならんのだ。

その前にどうしてパスの天井から水がざぶーんなのだ。
選手のバスはクーラーが効かなくて大変だったそうだが、私はクーラーぎんぎんに効いた寒い車内で水をかぶったしまった。これが、これが「アウェイの洗礼」というやつなのか!?

「こんな経験なかなかできないね」とガイドさん。「したないわい!」


そしてやっと球技場へ。

広い。でかい。座席がわかりにくい。なんだこれは。

まずお土産にとパンフレットを捜すと・・ない。

作ってないのだ、タイは。

すでに日本がシドニー行きを決めているせいなのか・・きちんと作ってもらえなくて残念である。
さらにこの球技場は元々の予定の国立から「ラジャマンガラスタジアム」に変更になったのだが、とにかくピッチまでがはてしなく遠く、広くて見にくい

そして・・客席はパックスタンドはがらがら(あとで徐々に増えてくるのだが)

どう見ても日本からの応援客の方が多い

選手達がアップを開始。
降り続く雨。
(メイン客席側には幸いにも屋根がついていた)

ピッチの状態がどうも悪そうだ。芝の状態はもちろん、ゴール前が特に荒れてひどい。

「とにかく怪我人が出ませんように」と願う。

見れば、先発にに宮本、小島、稲本。
ああガンバサポでよかった。幸せをひしひしと感じる。

「嬉しいやんか」と隣を見ると、お腹をすかせたH子が「ちょっと日本のとは味がちがうな」と言いながら「かっぱえびせん」をむさぼり食っていた。

選手入場。

歩きながら、中村が何や小島に指示を出している。小島には大いに期待をしている。
先発でずっと見たかった選手である。

17時・キックオフ・天候・雨・観客7000人

GK・南

DF・戸田、宮本、中澤

MF・稲本、明神、中田()(後1分・市川)、中村、本山(後25・藤本)

FW・平瀬、小島(後1分・北嶋)

得点

前半21分・平瀬
24分・平瀬
(A・中田)
44分・小島
(A・平瀬)

後半12分・明神(CK中村)
22分・市川
(A・中村)
44分・藤本
(A・中村)

3バックは戸田・宮本・中澤の新メンバーで、中田がボランチの位置に上がって稲本と組んでいる。

気温が雨によって下がっているようだ。

応援席は盛り上がっている。「ニッポン」コールが響いている。
在日の子供達も自家製の日の丸を振って応援をしている。

君が代斉唱・・も、立って下さいという放送が聞こえなくて、いきなり始まるもんだから、あわてて立ち上がる。

キックオフ。

あ。球技場の時計が動かない。なんでやねん。

1分・いきなり稲本→小島にボールが出るが惜しくも合わず。

2分・中澤→小島に。右サイドから突破を試みるが芝の状態が悪くすべってしまう。

この時間帯はこぼれ球をタイが拾う確率が高い。

7分・小島がDFの間をスルリと抜けてシュート!はサイドネットに!ここで観客席、大盛り上がり!!

8分・小島→平瀬のシュートはゴールならず。右CK本山はクリアされる。

9分・宮本→小島はオフサイド。

13分・抜けてきたボールを宮本が的確にクリア。その直後、タイが左サイドよりシュート、それが雨に濡れたピッチの上ですべって危うい場面になる。

17分・CK本山→上がっていた中澤のヘッドはゴールならず。

しかしタイがよく繋いでいる。
「なんかよく研究してきてるなあ」と回りで呟く声。

が、シュートまで持ち込まれるもDFはきちんとシュートコースを限定させているように見える。タイは遠い位置からのシュートを狙ってくるしかない。

21分・平瀬のシュートが決まり1−0!
本当に膠着状態の時に雰囲気を打破してくれる選手だと思う。
宮本が最終ラインから祝福に。

稲本の動きがいい。DFの一歩前でかなりの確率でボールを止めている。

24分・中田のヘッド→キーパーが飛び出して来て、平瀬のシュートがきまる。2−0。

「次は小島、小島、小島にとらせてくれっ」とわめく私とH子のガンバサポ丸出しの声。

それにしても客席に、しつこくホットドッグを売りにくる兄ちゃんがチラチラ目に入ってしまう。

そして目立っていたのが明神の動き。
日本が「前へ」の意識が強い分、明神は相当の広さをカバーしている。

31分・宮本→中澤がドリブル突破→稲本とワンツー→中澤シュートはゴールならず。
こういう攻撃態勢は初めて見た。

40分・タイが右サイドから突破、宮本・中澤がコースを防ぐ。

44分・平瀬→小島のシュートが決まる、やった!3−0!!

よかった、よかった!宮本が祝福に走り寄る。

ハーフタイム。

下手に動くと迷子になってしまいそうな、座席のわかりにくいスタジアム。
そのまま座って待つことにするが、
やけに陽気で愉快なタイの曲がかかる。
踊れと言うのか?踊らへんけど。

タイの放送局が近くまで客席を映しに来ていたが、必死で避ける。

あれ?さっきまで二階にいたサポーターの一部が一階全部に移動して応援を開始している・・
タイは何でもありなのか?けど盛り上げてくれると嬉しい。

後半

選手交代は、小島→北嶋、中田→市川

1分・平瀬が倒され、中村の直接FKは惜しくもゴールならず。

心配なのはタイの「ファール」。
荒さが目立ち出す。

稲本の動きの良さがタイの攻撃に移る場面に生かされ、ピンチというものを作らない状態。

3分・タイの右サイド突破は宮本が冷静に詰めて見事にクリア

回りから「巧い」の声。

9分・右サイド市川、ファールで倒され相手にイエロー。
中村のFKはDFとキーパーの間に見事に落ちるボール!が、稲本のゴールはならず。

11分・中村CK→稲本はクリア。

再び中村CK→遠い位置の明神のダイレクトボレーが見事に決まる!4−0!

中澤、宮本、中村・・と全員が祝福に。

12分・稲本、タイのパンピーに足をひっかけられ転倒、一発レッドカード。

選手達が抗議に向かう。怖れていたタイの荒さが出てきた。

「うちのチームの選手に何すんねん」と、関西弁丸出しで怒る私とH子。

起き上がれない稲本の元に宮本が向って様子を伺い、何やらベンチに手で訴えている。

ほどなく担架・・ではなく救護車?がピッチへと向う。

すでに稲本が立ちあがり、大丈夫な様子でも、「とにかく乗れ」と言われたのか、「いい」と言うのに車に乗せられてしまって一旦ピッチに出されてしまう。

すぐにスックと立ちあがって、水を補給し、ピッチに戻る稲本に客席は拍手喝采。
たいした事がなくて本当に良かった・・

13分・左サイドを2人のDFに囲まれながらも突破を試みた本山、倒され、起き上がろうとした時に、タイの選手がなんと足で顔を蹴りつける。

倒れて顔を覆う本山。

あまりに酷いタイのラフプレー。

15分・抜かれたボールを稲本が左サイドでインターセプト。見事である。

22分・左CK中村→左後方に流す→市川のシュートが決まって5−0!

24分・右サイドでタイのインターセプト、クリアに入った戸田が交わされるも、カバーに入った宮本が冷静にクリア

本山→藤本に交代。

出入り口がバックサイド側にあるため、本山は外周をゆっくりと回って去っていく。観客席から拍手・・。

藤本はそのまま本山の位置へ。

31分・中村→北嶋のシュートはならず。

32分・走り込んだ平瀬のシュートは惜しくも左に逸れる。

33分・藤本にタイのプッタン、後方から足を入れてファール。

倒れる藤本、さすがに日本の選手達も切れ、稲本、明神、平瀬らが抗議に向う。

宮本は、見ているとタイの監督の方に向い、度重なるファールについて抗議をしていた。
言葉のできる強さ、そしてキャプテンという立ち場を踏まえた行動。
「さすが」と思わせてくれた。

相手は当然のレッドで退場。
いい加減にしてほしい。選ばれた選手ということにタイも誇りを持ってほしい。

40分・藤本のシュートをクリアしたタイの選手が倒れた。日本チームは「給水タイム」に入る。

44分・中村→藤本のシュートが決まって6−0!!

出た、藤本の「阿波踊り」!観客席は「おおっ、踊っている、踊っている」と大ウケ。

しかし中村のセンタリング、パスはどれをとっても正確かつDF、キーパーの一番いやな所をついてくる。
見ていて感嘆の溜息がもれる。

平瀬は足がつってしまった様子。

試合終了。

笑顔で喜び合う選手達。

真っ先に祝福し合うのは宮本と稲本。

ところで今日はトルシエ監督は全く目立つこともなく、冷静に指揮をとっていた。

監督のインタビューのあと、宮本が次に受けるべく、首から緑のタオルを垂らして待っていたが、インタビューの声が全く聞こえない。

帰りのバスの時間があり、球技場を出る。

残念ながら雨という悪条件、しかもDFをがちがちに固めてくるタイに対しても、きっちりと結果を出した日本チーム。

1次予選と最終予選、全て勝利でおさめた。

香港まで行って、東京に遠征を何度もして、そしてタイまで行って・・と見た試合は14試合中11試合。
よく見たものだ…けれど見れて本当に良かった!

ありがとう、五輪チーム!!

おつかれさま、宮本主将、稲本選手、小島選手!!

試合後は、食事をしながら「かんぱい」。

 

14日

帰国の日。

自由行動の時間はタイ式エステに(安い!)。太陽光線を浴びた肌を少しでも何とか・・と願って・・いや、別にたいして変わらないと言われたらそれまでやが・・。

そのあと「学生時代に習ったのみ」の和製英語?で回りを困惑させながらH子と平然といろいろな店に突入。

そして帰りの飛行機はまたもやJALという名のタイ航空。

今回は4時間半という早さで無事、関西空港に・・

楽しいタイでの日々だった。