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巽堂だより |
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| ★ 07 11月10日(土) 第23回日本ストレス学会学術総会 市民講座「ストレスマネジメントと東洋医学」レポート 11月10日土曜日、東京医科大学病院で行われた市民公開講座「ストレスマネジメントと東洋医学」に巽堂を代表して行って参りました。これは第23回日本ストレス学会学術総会の一環として行われたものです。 講演者は明治鍼灸大学で内臓機能系鍼灸学をご専門になさっている福田文彦先生です。 まず病因論、すなわち病気の原因を東洋(鍼灸)医学では西洋医学とは異なる分類をしているという説明から始まりました。 鍼灸医学の病因 1)外因(気温や湿度の変化):外からの、つまり環境のストレッサー 2)内因(情動、感情の変化:一般に言う心理的ストレス。鍼灸は特にこれを重視 3)不内外因 (飲食不節・疲労):生活習慣 これらの病因(ストレス)により病気が引き起こされるわけですが、東洋医学では「〜病」という病名よりも、ストレスにより気・血・津液、五臓六腑のバランスが崩れ、体調が変化すると考えています。なお五臓六腑とは五臓が肝、心、脾、肺、腎、六腑が胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦を指しますが、これらは西洋医学で言う肝臓、心臓、腎臓、脾臓、肺などと、は全く同じではありません。 簡潔に説明するのが非常に難しいのですが、強いて言うなら東洋医学の五臓六腑はあくまでも臓器そのものを指すのではなく、その五臓六腑の機能まで含みます。ですから、もし治療中に新井先生が肝が悪いと言われたとしても、それは必ずしも肝臓が悪いということではありません。肝の持つ働きが悪くなっているという意味です。また津液とは身体のさまざまな体液を指す東洋医学の言葉です。 そして診断の違いにも触れられました。西洋医学ではある検査値がある一定の正常値を越えたり、画像で通常ならないはずのものが映っているなど、正常なものが逸脱したときにやっと診断が付けられます。しかし、東洋医学は病気とは言わないまでも、少し身体のバランスを崩しただけで即「肝気鬱滞」とか「肺気虚」といったような診断ができるので、このままバランスが崩れたままだと、どのような病気に発展する、といったことまで予測が出来、注意・予防することが可能です。気・血・津液、五臓六腑のバランスをきちんと保っている人など、そうそういませんのでほとんどの人に診断をつける、すなわち注意を促すことが出来るのです。これは病気の予防にはやはり大きなメリットになります。ちなみにそのバランスの崩れを察知する診察方法の一つが巽堂で行っている脈診です。 また、心の面、身体の面、日常的な面、体質的な面、これらが合わさったものが東洋医学的診断であることを「心身一如(しんしんいちにょ)」、心と体は一つ、という言葉から東洋医学の特徴を説明されました。実は西洋では心と体は別々のものである、という考えが最近まで常識でした。心の状態が身体に影響を与える、という事実は数千年前から指摘していた東洋医学の方が遙かに進んでいたと言えます。ストレスに関して鍼灸を始めとする東洋医学が注目されているひとつの理由です。 ストレスに負けている、バランスが崩れていると診断され、いよいよ鍼灸治療に移るわけですが、面白いのは鍼灸治療は刺激ですので、西洋医学ではストレスとみなされます。すなわち鍼灸治療はストレスをストレスで治しているのです。しかし、鍼灸治療はごく微少なストレスですから、ストレスが大きくなるのではなく、むしろリラックスでき身体は正常な方向へと変化していきます。具体的には、脳波の一つ、α波が出てリラックス出来ます。βエンドルフィン(痛みを止める脳内物質)が分泌されます。腸の運動は亢進します。NK活性が良くなります。免疫機能の最前線で働くNK(ナチュラルキラー)細胞というものがあるのですが、NK活性とはこの働きの強さのことです。すなわち免疫力の強さということなのですが、ご存じの通り生活習慣やストレス、加齢によりNK活性は低下します。NK活性がよくなるということは、自然治癒力が上がると言うことなのです。さらに先生は、病気になってからよりは予防の方が鍼灸治療の効果が大きいこと、また物理的疾患より、機能的症状が悪いものの方が効果は良いこと。個人差があり、体調によっても効果が変動する、といった鍼灸の特徴を挙げられました。 福田先生はよくストレスに効くツボ、を尋ねられるそうですが、実はあまりないと言われました。なぜなら鍼灸では、一人一人の身体のバランスの崩れを見つけて治療し、あくまでもその結果としてストレスが無くなるからです。言い換えれば鍼灸師はそのバランスの崩れを感じ取ることが何よりも大切なのです。 最近医学界で鍼灸が注目されているのですが、これは鍼灸が非薬物療法であるためだそうです。つまり、副作用がなく、他の薬物・治療と併用できるということです。ですから最近では鍼灸は西洋医学の代わりとしての選択肢、ではなく、西洋医学の足りないところを補完する「補完医療」という言葉で呼ばれることが多くなりました。 またストレスが完全に無いことがいいのではいことも指摘されました。ご存じの方も多いと思いますが、ある程度の適正なストレスがないと仕事の効率は落ちるものです。しかし、その適切なレベルを超えると身体のバランスを崩し、さらには病気になってしまいます。その時はツボ押しをしたり、お灸をする、あるいは鍼灸院で治療を受けることで自分でストレスをコントロールすること(セルフコントロール)が求められると結ばれました。 講演を聴いて、そして鍼灸の世界に入ったものとして、何より患者様のバランスを感じ取ること、これが最優先課題なのだということを改めて教わりました。また鍼灸は私の思っている以上に、ストレスを始めとする様々な疾患に効果があることもわかり、勉強・修行の意欲が湧きました。これを読まれた皆様も、鍼灸に対する理解を深めていただき、ご自分の健康管理などにお役に立てていただければ幸いです。またこのような機会があれば参加し、報告させていただきます。 (K) |
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