松山町・鳴子温泉 宮城県
人が客車を押す、幻の人車鉄道


 「人が乗った客車を人が押す、幻の人車鉄道を体験できるイベントがあるんですがねぇ」と言う友人の誘いに、私の好奇心は永い眠りから目覚めた。更に「お泊りは、鳴子温泉あたりで・・・」と言う言葉が甘美な響きで、追い討ちをかける。

 東北新幹線で古川へ出て、陸羽東線・小牛田駅で下車。人の良さそうなドライバーさんが運転するタクシーで、目的地である御本丸公園へと向かう。
 人車鉄道が廃線となった現在、最寄駅の松山よりも小牛田の方が便利なのだ。
 

 コスモス祭の会場である御本丸公園は、想像以上に賑わっていた。会場整理の人達やお巡りさんも親切だった。

 早速”幻の人車鉄道”の視察を開始する。まずは自分の足で軌道を歩いてみる。赤く錆びたか細いレールは、恐ろしくアバウトな感じで連結されている。継目の間隔がバラバラだ。
 乗り心地を想像しながらひと廻りしたら、なんとなく小腹が空いてきたので、何軒か建ち並ぶ仮設店舗をのぞいてみる。どこも美味そうなにおいを漂わせている。
 店頭の漬物を見物していたら、背後から「ワラビ美味いから食べてってね」と声をかけられ、素直に試食してみた。背後で友人に、採取してから食べれるまでの下処理や調理法を親切に説明している。「美味いですね」と振返ったら、声の主はお巡りさんだった。
 ワラビの隣で”きのこ水団”の湯気が手招きをしているので頂く事にした。海の家の様な座敷に上がると、サービスの漬物の盛合わせを次々に追加盛りしてくれた。松山町のオバァは気前が良い。水団も具沢山で美味かった。茶をおかわりし漬物をつまみながら、しばしまったりとしてしまった。

 ようやく当初の目的を思い出し、人車鉄道の試乗をする。車内は意外に走行音がゴロゴロと騒々しい。カーブではフランジが鳴いている。在りし日の信越線、横川・軽井沢間を彷彿とさせるものがある。
 試乗後、車力役の青年の許しを得て、人車を押してみた。拍子抜けする程の軽さで動きだす。体重を預けていたので、思わずコケそうになった。今回三度目の訪問となる友人は、意外にも始めての推進行為だそうで、喜色満面である。人車ジャックなどしでかさねば良いが・・・と心配になる。

 イベントに使用されている人車はJR東日本製作によるレプリカで、当時の車輌は地元”ふるさと歴史館”と、東京の”交通博物館”に各1輌計2輌のみ現存するとの事でした。それらは、農家の物置代わりに使用されていたり、空地に放置され朽ち果てていた物を修復再現したそうです。
↑ちょっとアブナイ感じのレール
↑これが本物です




 小牛田から1時間ほど陸羽東線に揺られると鳴子温泉に到着する。駅舎入口脇に足湯が設置されている。建物と妙な一体感のある、小洒落た足湯だ。
 駅前やメインストリートは、湯田中温泉にも似た佇まいだ。(温泉街ってのは、どこもこんな感じなのだろう)
 宿へ向かう途中にも、足湯があった。どうしても”豆湯”と読めてしまう看板が印象的だった。

 今回お世話になった宿は、駅から多少歩くが、4種類の温泉を1ヶ所で楽しむ事が出来るのが魅力だ。”鄙びた温泉宿”と言う言葉が脳裏で響きまくる、落着いた宿である。

 ”亀若の湯”は、ちょっと鉄っぽい単純泉。”義経風呂”は、癖の無いクリアな芒硝泉。”こけし湯”は、トロリ乳白色が嬉しい硫黄泉。露天風呂”啼子の湯”は、多少ピリピリする含芒硝重曹泉。
 いづれも決して広い風呂では無いが、湯治情緒を満喫できるいい湯である。ケロリンの黄色い桶が庶民的な雰囲気を醸す。
 
 24時間入浴可能なので、夜中に敢えて入浴では無く、”足湯”を愉しんでみた。至極手軽ながら、ちょっと贅沢なひと時・・・。缶ビール片手に足湯で読書も良いだろうし、トイレに起きたついでにちょっと足湯なんて言うのも良かろう。愉しみ方は無限大だ。
 

↑石巻線 ↑駅周辺を警護するサイボーグ達

 周遊きっぷもある事だし、石巻線で石巻まで出てから、仙石線で仙台へ向かう事にした。

 石ノ森章太郎氏ゆかりの石巻は、電車を降りた瞬間から石ノ森ワールドが始まる。サイボーグ達の活躍は、予想を遙に上回る。電車の乗継時間もあるので石ノ森萬画館は次回の楽しみとしてパスしたが、充分に石ノ森キャラクターを体感できた。

 石巻から仙台に向かう仙石線は、途中海岸線を海面すれすれに走行する風光明媚な路線。是非ともスノーケリングをしてみたい風景だ。
 ここでは山手線のお古”205系”の改造車も運行している。お古とは言っても、占有スペースが並の特急列車以上の自動扉付トイレなどが設置され、プチデラックスな余生を送っている。

 帰途は仙台から651系”スーバーひたち”で、常磐線の全線踏破と洒落込む。仙台でも多少の時間があったので、好物である佐々直の”一丁”を買込む。豆腐ベースの蒲鉾と言う風変わりな逸品だ。

 車内は意外に混雑していた。途中駅でガッツ石松さんが乗車した。表情は柔和だが、何とも言えない威圧感がある。テレビでは伝わらない生の迫力だ。
強い男は違う・・・。
↑仙石線
↑佐々直の”一丁”



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