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Hundertwasser Haus
フンデルトヴァッサー・ハウス Hundertwasser Haus

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DATA
建物名:Hundertwasser Haus(フンデルトヴァッサー・ハウス)
設計者:Friedensreich Hundertwasser(フリーデンシュライヒ・フンデルトヴァッサー)+Peter Pelikan(ペーター・ペリカン)
所在地:オーストリア ウィーン3区
用途:集合住宅
竣工:1986年
備考:
交通:Schwedenplatzから路面電車(N)でHetzgasse下車

ウィーンには建築史上、重要な集合住宅がいくつもあります。
ひとつはカール・マルクス・ホフ。名前から分かるように社会主義思想を背景に生まれた市民住宅の代表例です。ふたつめはアドルフ・ロースの設計によるロース・ハウス。装飾を抑えて物議を醸したシンプルな建築で、1〜2階がテナント、上階が集合住宅となっています。オットー・ヴァーグナーのマジョリカ・ハウス(ぴんごー版タケ版)も見落とせません。ウィーンを代表するアール・ヌーヴォー作品です。
そしてフンデルトヴァッサー・ハウス。ウィーンを拠点(後にニュージーランドに移る)に現代絵画の分野で活動していた画家フンデルトヴァッサー(1928〜2000)の建築デビュー作です。建築デザイン史的には表現主義に位置づけられるかと思います。
用途はウィーンの市営住宅で入居対象は低所得層です。日本では住宅供給公社の集合住宅(県・市町村営住宅など)に相当します。とはいえ温室や子供のためのプレイルーム、レストラン、診療所、屋上庭園など、日本と比べるとかなり充実した機能を有しています。
大胆なデザインでたちまちウィーンの観光名所となり、この成功によって、フンデルトヴァッサーはオーストリア各地やドイツ、そして日本( 大阪のゴミ処理場 )で建築の仕事を手がけるようになります。
なお、ウィーンのフンデルトヴァッサー建築はこの他にクンストハウス・ウィーンとゴミ焼却場(taniyan版タケ版)があります。これら2件は既存建物の改築ですが、フンデルトヴァッサー・ハウスは新築です。

Hundertwasserhaus01 Hundertwasserhaus02
01 02
01、02 この建物は角地に建っています。メインストリート側の階数が高くコーナー部分が最も低層で、コーナー部分から路地方向に階段状に1階分ずつ高くなっていく(セットバック)構成です。道路に面したコーナー部にはバルコニーが張り出していてレストランになっています。
フンデルトヴァッサーは壁面装飾と緑化に特にこだわりを持っていたそうで、確かにそのポリシーが一目で分かる外観です。特に屋上緑化はハンパではなく、芝生どころかけっこう背の高い木を植えていてまるで小山のよう。
このテの派手なデザインって普通はポストモダン的なポップやキッチュ、または商業デザイン的な押しつけがましさ、下手するとラブホや風俗店のような品のない雰囲気に陥ります。しかし私が実際に見た印象は、一見にぎやかだけど意外と落ち着いてるな、というものでした。
下品な印象にならなかったのは芸術家のセンスでしょうけど、落ち着いた印象を受けたのは1月でしたので日差しが強くないことと木々の葉が落ちていたからでしょう。緑豊かな季節ならもっと生命感にあふれた感じを受けるはず。

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03 04
03 フンデルトヴァッサーはモダニズム建築の単調さを嫌い、特に装飾を否定した(と言われる)アドルフ・ロースを強く批判しました。芸術家らしく生命の豊かさや精神の自由を重んじ、その考えをストレートに表現するのがフンデルトヴァッサー建築の特徴です。その点が理屈っぽいポストモダン建築とは一線を画するところです。
04 2層吹き抜け部分の奥にガラス面が見えます。ここが温室です。セットバックや温室部分の吹き抜けは、構造上は難しくなく、空間構成上の目新しさはありません。私が「意外と落ち着いている」印象を抱いたもう一つの理由が、屋上庭園以外に建築計画上の斬新さがさほどないことです。

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05 06
05 ・・・何て言えばいいものやら。正直、「ただ壁を適当に塗りたくっただけじゃん」と思う気持ちもないわけではない。でも一般にはウケているようだし、見ていて楽しい気分になることは否定できないし、機能的には充実しているし、まあ面白ければいいかな(笑)。
一応、フンデルトヴァッサーの名前が前面に出ていますが、彼は正規の建築教育を受けていないし独学でもあまり勉強しておらず、実際にはかなりの部分を共同設計者のペーター・ペリカンが手掛けています。また、タイル貼りは職人のアドリブに任せたりしているので、隅々までフンデルトヴァッサーのデザインであるとは必ずしも言えません。
06 フンデルトヴァッサー建築が壁面装飾を重視している点は、オットー・ヴァーグナーのデザインに通じるものがあります。ちょっと強引かも知れませんが、フンデルトヴァッサー・ハウスはマジョリカ・ハウスの現代版という見方もできると思います。
ではマジョリカ・ハウスの壁面装飾を入れ墨 ※1 と批判したロースがフンデルトヴァッサー・ハウスを見たらどう思うでしょう? シャツのシミとかパンのカビとか薬物中毒患者が見る悪夢とか痛烈な批判を言いそうですね。

※1:アドルフ・ロースは論文「装飾と罪悪」の中で近代以降の建築物には装飾は不要と論じ、装飾を入れ墨にたとえて批判した。

参考文献: 関連サイト: 最終更新日:2004年5月21日
作成日:2002年10月5日
撮影時期:2002年1月
作成者:タケ(旧名 tks )(blogmail

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