アートの豆知識

1,アートの値段は誰が決めるのか?

常識的には「原価プラス利益」です。

原価とは、作家さんにはらう画料、オークションや交換会、業者間での仕入れ料などです。

それに画商さんや業者さんのマージンを加えたものが販売価格となります。

同じ作品でも、仕入れルートや時期が違えば、仕入れの価格が変動するため、マージンを一定とすると販売価格に違いがでてくることになります。

また、購入者の「これが欲しい度と懐具合」によって1〜2割の差がでてくることもあります。

某画商さんから提示された2点の作品の価格が、私の友人と1割違ったことがあります。

2,タブローとは?

中世までの絵画は、宗教画として発展してきたことはご存じのとうりです。

中世以後、教会などの巨大な建築物は、壁構造から柱構造へと変化しました。

この建築様式の変化は、壁画を描くスペースとしての壁面を失う結果を招きました。

巨大な壁画から、より小さな宗教画へと変わってゆき、持ち運びの出来る板絵が主流となってきたのです。

額縁は、この板絵を保護し、調度品としての意味を持って誕生しました。

3、キャンバスの号とは何か?

欧米とは違い、我が国では、アートの売買い時に「号」いくらと値付けする習慣があります。

明治20年頃、フランスから輸入されたキャンバスのサイズを尺貫法に直して決められたと言われています。

4,「前作、または、前描き」と「新作」

ある作家さんの代表的な作風が確立する以前に描かれた作品を「前作、または、前描き」と呼びます。

スタイルが確立した後の作品が「新作」です。

新作に比べ、前作は大幅に安く、半額などということもあります。

しかし、物故作家などで作品の評価が決まってくると、前作とされていた作品が再評価され、高くなることもありますから、相場の安い前作をバカにせず、気に入れば買ってゆきましょうね?

5,「来歴」とは?

制作された作品は、画家、画商、コレクターと何人もの人手を渡ってゆきます。

この所有者の歴史的データーを「来歴」と呼ぶのです。

所有者に信頼性があれば、真贋の心配が少なくなり、作品を安心して購入できることになります。

6,エスタンプ」とは?

オリジナルとエスタンプはどこが違うのでしょう?

オリジナルは、最初から版画作品として作られたものを言います。

それに対し、本来は油彩、水彩、デッサンなど一点ものであった作品を版画化したものをエスタンプと呼びます。

作家の落款やサインが入ったもの、遺族サインのあるものなど、バリエーションは色々あります。

やっかいなのは、エスタンプをオリジナルとして販売する業者が絶えないことです。

私も、何点かこのパターンでやられました。

資産価値は、期待できませんが、身近な鑑賞用としてなら十分なクオリティーがありますから、このことを理解した上でなら、お求めになられても良いかと思います。

7,共シール。

時々、絵画作品に「共シール」と呼ばれるものが付いています。

作家名、作品名、印などが書いた紙片ですが、目的は、作家自ら真性を保証するものです。

弟子とか遺族のものは、単に「シール」と呼ばれるようです。

8,「為描き」

特定の人のために、作家自ら作品のどこかに相手の名前を書き込むことがあります。

書かれた人が有名人であれば、作品の価格は高騰しますが、だ〜れもしらない人であれば、値段は下がります。

色紙にサインをもらうときにも言えることで、こちらの名前を入れないようにお願いしましょうね。

9,「再制作」

すでに失われてしまった作品を作家自ら新たに作り直すことを言います。

現代美術の分野で求められることが多いいそうです。

無名時代に保管場所が確保できず、買ってくれる人もいない時代に破棄された作品を、再評価の過程で制作依頼されるそうですが、オリジナルに忠実に再現することは不可能ですし、過去を現在のコンセプトで再現してるぐらいに見るのが良いでしょう。

10,「マルチブル」

1950年頃、欧米で盛んになりました。

デュシャンなどを思い出してね!

量産される現代美術の立体作品で、エディションが入っています。

手ごろな価格とサイズが幸いして、売れ筋となっています。

11,年鑑の作家価格

美術愛好家の中には、年鑑という言葉に弱い方が見受けられます。

年鑑に載っている内容は、いかなるシステムで決まっていくのでしょうか?

掲載料を払うと、誰でも年鑑に、住所、略歴、電話番号、1号いくらと記載されます。

それが妥当な金額でなくてもです。

更に、協賛金を支払えば、更に優遇されるとも言われていますが、これはどうでしょうか?

このような基準は、市場価格と大きな隔たりを生むことが多く、安易に信じる危険に気づかれたことでしょう。

12,作品の価格について。

まず第一に、作家から画廊に支払われる画料、第二に画廊が画料にマージンを乗せて販売する販売価格、第三に画廊が直接取引とか交換会などの再販市場から仕入れる仕入れ価格があります。

気が付いたでしょうが、これらの金額の基本は画料なのです。

では、画料とはどの様に決まっていくのか?

老舗の画廊が、仕入れ値段を一定に保つために相談して相場を決めており、販売価格はこの3倍、交換会価格はこの2倍が一般的な目安とされています。

13,美術団体

美術年鑑によると、110近くの団体があるようです。

広く知られ、日本画壇の中核とも言えるのが、日展、日本美術院(院展)、創画会などですが、私の大好きな高橋潮さんは春陽会に所属されています。

これらの団体が、年に1〜2回開催するのが団体展と呼ばれ、日頃の売り絵と違った気合いの入った真剣勝負的な作品に出会える場でもあります。

ただ、与えられる賞の配給制度とか、賞ほしさに師匠の真似をするなどと言う噂を耳にすることもあり、オープンにして欲しい気がしています。

14,画壇の影響力。

画壇の中核をなすのは、美術団体、特に日展と院展の二団体が、歴史的にも規模的にも圧倒的です。

と言うことは、これらの有力団体内のヒエラルキーが、そのまま画壇の体質ともなっていきますよね?

で、団体内での出世が、マーケットでの人気を約束させることとなり、純粋な芸術性だけではすまない世界が出来上がってゆくわけです。

そこらに良くある話と同じように、政治力と金が絡んだ、暗部が存在します。

私たちコレクターも権威や肩書き、賞の受賞経験で作家を判断することをやめ、自分の目で作品の善し悪しを判断してゆく事が大事ですね。

15,出品画

団体展などに出品された作品を「出品画」と言います。

「売り絵」と違い、大衆の嗜好に媚びを売る必要がないため、作家の渾身の力作を見ることが出来ます。

巨大で、実験的な意味合いの強い意欲的な作品に出会えるチャンスがありますから、機会があれば見に行って下さい。

16,売り絵

作家さんにも生活があります。

皆さんに作品を買って頂くことによって創作活動などの生活資金が出来るわけですから、どうしても、需要を満たす小品で、あたりの柔らかい作品を描くことになってしまいます。

ある程度は、仕方がないと思いますが、こればかりの作家さんが多いのには・・・・ウンザリですね。

17,交換会

皆さんも、交換会と言う言葉を聞かれたことがあるでしょう?

明治時代以前に誕生したといわれています。

画商が、不要なものを競りにかけ、必要な作品を競り落とす、つまり業者間の在庫の交換を目的とした卸売市場です。

ここでの落札結果は、秘密にされ、絵画の相場形成の指標の一つとされています。

最近では、一般人でも参加できる公開オークションが盛んになってきましたが、まだまだ、相場を形成するには力不足です。

オークションの隆盛が、相場を変えてゆけるようになって欲しいと期待しているのですが、どうでしょうか?

18,古物営業法  

昭和24年に制定されました。

目的は、古物(美術品、自動車、古着など12品目が定められている)の公正な取引、盗品などの発見と犯人の摘発などを目的にしているようです。

警察国家の我が国らしいというか・・・・・・

公安委員会に申請すれば、誰でも比較的簡単にとれるようです。

1996年10月に、オークションの許可制の廃止とか台帳の記載の簡略化などが行われました。

19,オリジナル版画

自画、自刻、自摺が基本です。

しかし、それぞれが職人技を求める世界ですから、これが出来る人は本当に少ないですね。

日本現代版画商協同組合の定義を上げておきます。ただし、1930年以後の作品に対して有効とのことです。

  1. 作家自ら下絵を木版、銅版、石版、孔版、合羽版に彫ったもの。
  2. 作家自ら刷り上げるか、監督の上、職人さんに摺らせたもの。
  3. 自摺りか職人さんに摺らせたものを、確認の上オリジナルとして認めたもの。
  4. 限定番号(エディション)とサインを入れたもの。

これを読んで、なんだ当たり前じゃないかと思った貴方は、甘い!

高名な流行作家、特に販社系のエディションが1000とかの作家さんは、代筆させているとの噂も聞きます。

あきれるでしょう?

でも、オリジナルだと言ってるそうです。

20,画商とコレクター

コレクターさんは、その作品で飯を食っているわけではありません、ひたすら自分の為だけに作品を買うのです。(わがままなやっちゃ?)

これが、家庭で孤立する原因にもなってゆくわけですね。

画商さんは、作家名、製作年代、作品の出来、保存状態などを見極め、シビアーに値決めしてゆきます。

個人的な好き嫌いとか、先入観などは捨てねばなりません。

で、この両者が、作品の売買い時にお互いの価値観を摺り合わせ、時に激しく、また和やかに取り引きしてゆくのです。

画商さんは、本当に大事な作品は表に出さず、顧客のためにとっています。

貴方が、画商さんから優良な作品だけを買い占めてしまうと、二級品ばかりしか残らないのでその後の商売が苦しくなりますから、そこそこな作品も含め、グロスで買って上げるぐらいの気持ちも必要でしょうね。

21オークションについて。 NEW

この数年、新規参入のオークションが増えてきました。

例えばヤフーオークションなどがそうですね。

いつの間にか、シンワアートオークション、毎日アート・オークション、JAA(日本美術品競売)などは老舗になってしまいました。

最近は、プロの画商さん達がメインであったこれらの老舗でさえ例外でなく、コレクターや美術愛好家の参加が増え、主導権を消費者サイドで握るという喜ばしい傾向が出ています。

自分が値段を決める、または、落札できるかどうか身銭を切ってのゲーム性がたまらないのです。

懇意にしている画商さんからの情報だけでは物足りない、毎月出品される膨大な作品の中から、自分のハートを揺さぶる作品を選ぶ、この選択肢の広さも魅力的です。

ただし、悪質なオークションもかなり出てきていますから、よくよく注意して下さい。

出来れば、オークション経験者の方に相談するぐらいの用心は、必要ですよ!

22、作品の確認方法。 NEW

高額な作品や、特にコンディションが気になる作品は、額をはずしてもらって中身を見ましょう。

シミや破れ、しわなどのコンデションは一発で解りますよ。

大手のオークション会場では、嫌がらずにやってくれます。

ただし、買う気もないのに遊び半分で依頼するのはやめましょうね。