基本作法(道院での心得)


■脚下照顧(きゃっかしょうこ)−まず自分の足元から

 この言葉は禅寺の入口には必ず掲げられているものです。
 少林寺拳法の修行は自分自身を見つめることから始まります。日常生活の中でおざなりになりがちな「脱いだ履物はきちんと揃える」ところから,少しずつ心構えを正していきましょう。もちろん,靴も足も清潔に,靴のカカトを潰して履くなどは靴を作った人の思いを無にしているのと同じです。他の人の靴が乱れていれば,それもきちんと揃えるくらいの心の余裕もほしいものです。

  

まずは自分の足元から

■合掌礼(がっしょうれい)−拝み合いの心で

 少林寺拳法では,どんな時でも合掌礼で挨拶を交わすことになっています。最初のうちは,恥ずかしさや照れもあって,なかなか正しい合掌礼はできないものですが,正しい礼は姿勢も心をも正してくれますので,拳士としての誇りを持って正しい合掌礼を身につけましょう。荷物を持っている時は片手でも,両手がふさがっている時は心の中で合掌礼をしてください。合掌礼は拳法の構え(合掌構え)にもなっています。

合掌礼(合掌構え)

■挨拶(あいさつ)

 拳士同士で挨拶をする時は合掌礼とともに,その他の場合でも挨拶は欠かせないものです。「おはようございます」,「こんにちは」,「こんばんは」,「ありがとうございます」,「さようなら」,当り前の挨拶ですが,気持ち良く,正しい態度と言葉で,自分から進んで挨拶をするようにしましょう。
 特に大きな声を張り上げたり,直立不動の姿勢を取る必要はありません。声の大きさは,相手にはっきりと届く程度の大きさで良いでしょう。耳の不自由な人は声を出して挨拶するのが難しいので,手話で挨拶する場合もあるでしょうし,体の不自由な人は背筋を伸ばせない場合もあるでしょう。鎮魂行にもあるように,先生,両親,先輩,年長者を敬い,後輩を軽んじることなく,心のこもった正しい言葉,態度で挨拶をすれば,自ずとその気持ちは相手に通じるものです。


■作務(さむ)−自分の心を磨く気持ちで

 禅家では,掃除をしたり食事の支度をすることを“作務”といいます。少林寺拳法でも,修練を始める前と終わった後に,全員で道院の掃除をします。自分の心を掃除するつもりで,進んで作務をして,気持ちよく修練のできる場をつくるとともに,皆んなにも喜んでもらえる場を作り上げていきましょう。


■服装(ふくそう)−きちんとした身なりを

 少林寺拳法を修行しようとする者は,それにふさわしい,きちんとした清潔な服装をしなければなりません。これは,おしゃれをするとか,高価なものを身につけるということではなく,清潔で品格のあるものを身につけるということです。頭髪も修練の邪魔にならず,皆んなに不快感を与えない,きれいでさっぱりとしたものにしましょう。女性の場合にはヘア・バンドなどを利用するのが望ましいでしょう。手足の爪は,長いと怪我の原因になりますので,いつも手入れするように心がけてください。道着の洗濯も欠かさないようにし,また,これ見よがしに道着をむき出しにして肩にかけ,街を歩くような真似は慎まなくてはなりません。

■結手(けっしゅ)−心を整え,形を整える

 修行には礼儀正しく,節度ある態度で臨まなければなりません。少林寺拳法では相手と相対する場合はもとより,先生や先輩の指導を聞く時などにも“結手構え”をするとになっています。結手構えは,両足のカカトを付けて閉じ,足先はV字に開きます。手は開き,左手の甲を上にして丹田(おヘソから指3本分下あたりです)の前で重ねます。腕組みをしたり,手をだらっと下げたり,腰に当てたりしないように気をつけてください。まずは正しい形を身につけ,態度,心をも整えていきましょう。

結手構え


■正座(せいざ)

 先生の法話やお説教を聴く時,胴やフェイスガードなどの防具を身につける時などには正座をします。最近では長時間正座をする機会も減っていますが,体を傾けたり,足をむずむずさせたりせず,字の通り「正」しい「座」わり方を身につけましょう。

■安座(あんざ)

 先生や先輩が,「足を崩していいです」とか「楽にしてください」と言われた時には,正座から安座に組み替えることができます。安座は片蓮華座(かたれんげざ:右足の太ももに左足の甲を乗せる)です。禅寺の座禅では蓮華座(片蓮華座に加えて右足甲も左足太ももに乗せる)を組みますが,それでは瞬時に防御姿勢に移れないので,少林寺拳法では安座で座禅を組みます。

■立ち方

 正座から立つ時,安座から立つ時にも床に手をつかないように,それでいてよどみなく立てるようにしてください。立位では結手構えが基本となりますが,直立不動は望ましい姿勢ではありません。軽くヒザにゆとりをもたせ,あごを引き,背筋に一本糸が通り,その糸が軽く頭の上から引っ張られているような気持ちで,呼吸を整えて,揺れたりしないように気をつけます。