Fluoride フッ素の効果

 左上の写真は萌出直後の永久歯の写真。右上はその歯の表面のエナメル質を電子顕微鏡で撮影したもの。出てきたばかりの歯は表面がでこぼこして所々小さな穴が開いている。(『カラー写真で見る歯の構造と病気』p.30より)

 そのために出てきたばかりの永久歯は虫歯になりやすいので注意が必要である。乳歯はお母さんが子供が虫歯にならないように気を付けている時期なのですが、永久歯が出てくる頃は油断することが多く、気づいたときには虫歯ということが・・・・。

 フッ素は歯の表面にしか作用しないので時間が経つと効果が少なくなる。浜辺で使う日焼け止めと同じように歯の表面に塗られたフッ素は、すこしずつ酸によって表面がとけて消耗していくからだ。

 歯の表面のエナメル質の結晶構造は階層状になっているがフッ素塗布で歯質の強化をされる場所はフッ素を塗布されたごく表層だけにしか作用しない。



 左のグラフは食事後の口の中のpHをはかったものである。フッ素未使用の場合に比べ、フッ素を使用したときのpHの低下が少ないのは、虫歯菌の酸の産生がフッ素によって抑制されたためである。
 歯医者さんでフッ素を歯に塗ってもらうだけでなく、フッ素入り歯磨き粉を使用することによって虫歯菌の酸の産生を下げることができる。(歯が溶けている時間が短くなる)

 再石灰化とは、酸によって溶かされた歯の表面が唾液中のカルシウム成分により修復される現象のことである。フッ素はその再石灰化を促進することが知られている。
 子供の歯はこの再石灰化を食事のたびに繰り返すことによって成熟していき、強い歯になると考えられている。

 虫歯になるということはこの再石灰化という現象が追いつかず歯が溶ける時間が多い(長い)結果起こるということなのだ。たとえていうと雪が溶けて氷になるのが再石灰化なら水になってしまうのが虫歯である。


 フッ素塗布の虫歯予防効果にはおおきく3種類あるが、継続的な使用によってのみしか効果を発揮しない。
 フッ素自体にはむし歯菌に対する殺菌効果はないため、口の中に住み着いたむし歯菌は生存し続ける。
 フッ素塗布を中断してしまうと多くの人はむし歯を再発させてしまうことになるのはそのためだ。

 効果 1 エナメル質の再石灰化作用 (唾液中のカルシウムを付着しやすくする)

 効果 2 エナメル質の耐酸性の向上 (歯が溶けにくくする)

 効果 3 むし歯菌に対しての発育抑制作用 (むし歯菌の生活を阻害する)

この3種類の作用によりむし歯菌の産生する酸に対して抵抗力がつき、歯が壊れるのを抑制してくれる。


 予防歯科の実践で、フッ素使用によりむし歯発生を抑制した国のデータを右に示す。(フッ素で虫歯予防のパンフレットより)
 日本では、予防歯科は国民皆保険制度という日本にしかない保険制度に組み入れられなかったので折れ線グラフの挙動が他国と異なる結果となった。
 40年前に保険制度にフッ素塗布が組み込まれていればむし歯にならずに済んだ歯が何億本あっただろうかと考えると非常に残念である。

 日本の医療費削減予算を組んだ財務省・厚労省・中医協が、今の状態であらたに国家予算の医療費(歯科)のなかにフッ素塗布の予算枠を設けることは財源の確保が困難なため無理だと思う。
 
 したがってこれからもフッ素塗布は歯科医院であまり患者さんに周知されはしないだろう。残念ながらこれからも多くの日本人が虫歯予防ではなく虫歯の治療に歯医者さんに通うこととなるであろう。