こどものむし歯
むし歯になるこどもの歯の表面には多くのむし歯菌が住み着いていて、これが砂糖を食べることによって乳酸を作り、歯の表面を溶かしてむし歯になります。
じゃあどこからむし歯菌はやってくるのか?たいていの場合お母さんの口の中に住んでいるむし歯菌が新天地としてこどもの口の中に移住してきます。昔ヨーロッパから移民団がメイフラワー号に乗って新天地アメリカに未来を求めたように・・・・・。
むし歯は生活習慣病の一つとされてきました。甘いものを食べる習慣があるこどもと、ないこどもではむし歯の発生や進行に大きな違いがあります。むし歯はこどものお菓子を食べる習慣やおやつ時間の習慣があるかないかなど生活習慣と密接に関わってると考えられてきました。
そのため歯医者さんはいままで、歯を溶かす原料となるお菓子やジュース、スポーツドリンクの摂取量を制限することでむし歯指導してきました。
でも、やっぱりむし歯になりやすいこどもはむし歯になる・・・・・なるのです・・・・・
はっきり言います。ジュースやお菓子を食べる習慣はお母さんが原因なのです。お母さんと一緒の生活習慣がこどものむし歯に大きく影響しています。虫歯予防にはお母さんの生活のなかからジュースやお菓子をなくしてしまわない限りはいくら指導しても意味がありません。
なぜなら、冷蔵庫の中にジュースがあるのをこどもは知っています。戸棚の中にお菓子が入っていることをこどもは知っているからです。


これは幼稚園児にハブラシをしてきてもらった後でバイオフィルムを染め出しをした結果です。
前歯のところだけバイオフィルム(汚れ)が落ちています。
(これは、『よく磨けている!』 といって褒めます。褒められると嬉しくなってもっとよく磨こうと子供ががんばることを期待して私は褒めます。・・・でも日本中の歯科医師は私と同じく心では泣いているとおもいます・・・もう黒いところはむし歯菌でやられているから・・・・・・。)
6歳までだけでなく、だいたい9歳ぐらいまではどの子供も歯みがきはこのような感じです。(むし歯菌が歯の表面にいるかどうかなんて染め出してみないとわからないんです・・・・。染めてみたってバイ菌はみがき残し、食べかすと思われています。) だからお願いです! できればお母さんが上手な仕上げ磨きをしてあげてください。
私の場合は小学生の時に染め出し液を使って親からしつこく歯磨きをさせられました。あの染め出し液というものは子供ながら嫌なものだと思っていました。思い起こせばあれが嫌で歯ブラシがうまくなったような気がします・・・・。
みんな子供はおなじように歯みがきはうまくない・・・・書道と同じで上手になるのには練習と年齢が高くなることが必要なのです。
でも同じようにおやつを食べる習慣のあるこどもがいても、AさんのこどもとBさんのこどもとではむし歯になる、ならないで大きな違いがありました。なぜ?
原因の一つは口の中に住んでいるむし歯菌の数の違い。
口の中に住んでいるむし歯菌が多いか少ないかによってむし歯になるかならないかが大きく違うのです。口の中にむし歯菌が多い場合、砂糖が口の中に入ってくると歯に酸性雨が降るような状態になるのです。
こどもの口の中のむし歯菌はほとんどがお母さんの口の中に住んでいたむし歯菌が移り住んだものです。(詳しくはむし歯菌はどこからくるのかを見てください・・・)
二つ目の原因がこどもの食生活。お菓子やジュースの飲食。
歯にとって一番ダメージを受けるのは夕食を食べてから寝るまでの間にお菓子やジュース、飴、アイスクリームなどを食べ、眠くなってそのまま寝てしまうことです。寝ている間の口の中はむし歯菌にとっては培養器のような状態になってしまうのです。
夏になるとジュースやアイスクリーム、ゼリー、ヨーグルトなど・・・・子供が甘い食べ物を毎日のように食べればむし歯菌(ミュータンス菌)は口の中で大繁殖! 酸を作りまくって口の中はいつもバイ菌の作る酸性雨が乳歯をむし歯にします。
三つ目が歯科医院でのむし歯に対しての指導。
昔は研究室でしかできなかった唾液検査。いまでは歯医者さんで行うことができます。唾液検査によってむし歯になりやすかどうかが判ります。(でもこれは残念ながら健康保険では給付外です)これによって口の中に住んでいるむし歯菌の数が人それぞれ違っていることがわかります。むし歯になりやすい人となりにくい人ではあきらかにむし歯菌の数が大きく(100倍以上)違うことが数値で理解できます。口の中のむし歯菌の数がぐんと減ればむし歯が再発することはずーっと減ります。
四つ目はむし歯の予防対策。フッ素塗布やフッ素洗口など予防歯科のメンテナンスが実践されているかどうかの違い。唾液検査やフッ素塗布、メンテナンスなどの定期管理型の予防歯科を実践することによって現在ではむし歯を(ほとんどと言ってもいいと思います)予防することができるようになりました。
歯医者さんに行って定期検診を受けむし歯を治すのが20世紀の歯科医院ですが、21世紀の歯科医院では定期的予防処置によりむし歯を防ぐことが主流となることでしょう。
胃潰瘍ではピロリ菌の検査がありますが、歯科ではむし歯菌検査のための唾液検査さえいまだ認められてはいないのです。
唾液検査(むし歯菌の数の検査)がない以上、現在の医療保険制度の中にはまだ 『むし歯菌の数を減らす治療』 という概念がありません。
口の中のむし歯菌を減らすためいまの医療保険制度において歯科医師に認めていることといえば、ドリルで歯を削ることと患者さんの歯ブラシ指導をすることだけなのです。
そのような?理由で、今の保険制度では穴の開いたむし歯を治療することはできてもむし歯菌を減らすための治療をすることはとても難しいのです。(たぶん40年前にできた保険制度をいくらいじくっても現在の予防をベースにした歯科医療に追いつけないのです。)
いまの保険制度では、削ってものを詰めたり金属冠を被せたりということがむし歯治療の基本ということになっています。そういう医療制度なので、いつまでもむし歯菌とのイタチごっこで日本国民はむし歯が再発するわけです。
浅野歯科医院では現在 『むし歯を治療』 するだけでなく、将来の 『細菌感染症であるむし歯菌の除菌治療』 ということを見据えて、除菌療法への対応をできるように自己研鑽をしています。でも残念ながら日本の国家予算から拠出される国民医療費に上限が決められています。医療費が削減されているのが現状では新しい治療方法ができても予算が獲得できないということで、未来でもほとんど保険導入が不可能かも知れないと思います。
現実的な対処としては、むし歯の治療をしてむし歯菌のえさになる砂糖を減らすことも大切ですが、治療のイタチごっこを回避するためには定期的に歯科医院に受診し、乳歯の表面についたむし歯菌を除菌したり、フッ素塗布をおこなったり 『メンテナンス』 を継続して行うことで、口の中のむし歯菌の勢力を拡大させないことが重要になります。『定期管理型予防歯科の実践』これがキーワードです。
浅野歯科医院ではみなさまにわかりやすくフッ素のむし歯予防効果を説明し、大人にも積極的に虫歯予防のフッ素塗布をオススメしています。