ゴールドメダルの秘密 ……「不思議の海のナディア」???
物語は遂にクライマックスを迎えた!
(画面はモノクロ)
……突然、ヒロインの少女の胸に輝くメダルが光を放ち始める。
松田:「柔さん、柔さん、どうしたんだア!」
柔:「嫌よ!嫌! 私、世界を制する力なんていらな〜い!」
花園:「世界を制する!?」
柔:「そうよ!(メダル、輝きを増す)……ゴールドメダルを手にするということは、世界を制する力を手に入れたということ。このあり様を見ればわかるわ!」
(累々と畳の上に横たわる柔と対戦した選手たち)
柔:「……ここにあるのは破壊と死! そして、私よ!(両手で顔を覆って涙を流す)」
ジョディ:「流サレチャイケナイヨ、ヤワ〜ラ! 自分ヲ信ジルノコトネェ!」
柔:「(向き直り、涙を散らしながら)何を、私の中の何を信じればいいというの? わがままで意地悪で、いつも松田さんを困らせていた私。松田さんに「泊まっていこうかな?」と言った裏では風祭さんにキスされて頬を赤らめていた私! いつも何かにおびえていて、おじいちゃんの機嫌ばかり取っていた私。お父さんだとわかっていながら、投げ飛ばしてしまって、さよならも言えなかった私。
嫌い嫌い! 全部大っ嫌い! 私の中に本当のことは何一つないの! あるとすれば、おじいちゃんの力を受け継いだ、恐ろしい女の子だっていうことだ け!」
松田:「君は自分のことを嫌い嫌いって言うけど、……だって、俺は、君のこと、好きだからさあ。君は普通だよ。そう思う」
(ここで画面はカラーになる)
さやか:(柔に倒されてずっと畳の上に横たわっていたが、差し歯が外れたまま、よろめきながらも起き上がり、)「オ〜ッホッホッホッホッ! 茶番劇はそのくらいにしたらどうですの、柔さん! あなた、柔道ばかりか、声優の世界でも、私から王座を奪うつもりですの? ナディアの声だけは、私(鷹森淑乃:ナディア役でもある)、絶〜ッ対、あなたに負けないだけの自信はありますのよ。」
(どこからともなくマイクを取り出す)
さやか:「♪ね〜え、時々すこーし、弱い心になる……」
……運命の石・ゴールドメダルに導かれるまま、国民栄誉賞を取る少女の、「自分を見つける」内面への旅は、こうして終わりを告げたのだった。
解説
この投稿の持ち味を味わうためには、「不思議の海のナディア」第35話「ブルーウォーターの秘密」と、「ビッグコミックスピリッツ」に連載され、アニメ化も人気があった「YAWARA!」という二つの作品に精通している必要がある。
「自分探しの旅」と併読していただけると一層深い味わいを賞味いただけるものと存じます。このような2つのタイプの投稿を描き分けられるあたりが、投稿者阿世賀浩一郎の類稀れな資質(?)であった。
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