本/著者別−青井夏海

★は1個から5個の間でテキトーにつけてあります。
出版社等は私の読んだ時点のものです。
最新更新日:2004年02月20日
の作家
青井夏海 あおい・なつみ
千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
一見してAV女優のようなセンスのペンネーム(本名だったらゴメン)だが、それにしても爽やか。
タイトル コメント
出版社・叢書
備考
『赤ちゃんをさがせ』 ★★★★
ハードカバーが出た時に目をつけていたものが、NHKでドラマ化されることになり、これが創元かよ、と驚くような柔らかいイラストと派手ハデな帯で文庫化。私がどうしてハードカバーに目をつけたかというと、帯で倉知淳が激賞していたからである。今回も帯裏に書いてます(同じコメントだと思う)。そしてさらにいうと、私は名前に「海」がついている人が気になるタチらしいのでした。
出張専門の助産婦と助手が遭遇するちょっとした事件(謎)を、隠居したカリスマ助産婦が話を聞いただけでズバズバ解決。といっても、この本には3作しかないが、雑誌で書き続けてるらしいですよ(長編も出るって)。なお、現在は「助産婦」は正式には「助産師」になっているらしいです。
助産婦なり立ての亀山陽奈(ひな)ちゃん(二十代)は、助産院で働きながら、勉強とバイトを兼ねて出張専門助産婦の児玉聡子さん(三十代)の助手としてついて回っていた。彼女たちは問題が発生すると、もはや七十で旅行を生き甲斐にしているカリスマ助産婦の明楽(あきら)友代先生に相談するのだった。明楽先生は、道を行けば出産しそうな妊婦に当たるという物凄い人で、早くから水中出産にチャレンジする等、自宅出産のパイオニア的存在である。語り手は好奇心旺盛な陽奈ちゃんで、聡子さんはクール(子持ちのバツイチ)、明楽先生はすべてをお見通しというトリオ。

「お母さんをさがせ」
戸籍から実子である跡取りの男の子が欲しいという健康食品会社社長の家に行くと、妊婦が3人現れた。この中で男の子を産んだのが自分の妻であるので、そのように出生届を出せという話だ。聡子さんはそんな嘘つくような仕事はできんというが、貧すりゃ貪す陽奈ちゃんは、順列組み合わせ的に本当の奥さんが男を産むか全員女の子である確立も高いと仕事を受けようとする。何よりも本当の奥さんがわかればいいのだが、話を聞いた明楽先生にはもうわかっていた。

「お父さんをさがせ」
高校生カップルの依頼を受けたが、そこへ妊婦の家庭教師とメル友のおじさんがやってきて、それぞれ俺に責任を取らせろというのだった。

「赤ちゃんをさがせ」
新興宗教のアヤシイ水中出産がマスコミで取り上げられる中、次々と自宅出産のキャンセルがあり、陽奈ちゃんはそこに聡子さんとの復縁をねらう元旦那(女は仕事しないで家にいろタイプ)の暗躍を見出す。

よそでも書いたが、私は映画の出産シーンが好きなもので。これは別に崇高などうのこうのでなくて、単に頑張っている女の人が好きというか、フーフーヒーヒーいってるのって面白いじゃん。今回はそういう呼吸法とかはなかったですけどね。最初のは、陣痛の合間合間に口喧嘩するシーンがあって大変ようございました。最後のは歌いながら出産するエピソードが秀逸。私には無駄な知識なわけだけど、そういう女性として生きていくコツみたいなのが出てくると嬉しいです。大島弓子の漫画で生理中にマラソンすると楽(もちろん人それぞれだと思いますが)というのを読んだ時も得した気分になった(たぶん「赤すいか黄すいか」)。
これを書いている日からドラマ始まるんだな(月〜木の15分帯ドラマ)。出演は高野志穂に麻生祐未に岸田今日子。というのは読む前から帯で知ってはいましたが、読んでる時は彼女らの顔は浮かばず、少女漫画の絵柄で読んでましたね(大島弓子に思い当たったのは最終話なので、その関係ではない)。
創元推理文庫
 
『赤ちゃんがいっぱい』 ★★★★
結局ドラマは一瞬も見なかった助産婦ミステリシリーズの長編。
前作で働いていた助産院をリストラされた陽奈ちゃんは、聡子さんの紹介で「ハローベイビー研究所」という、胎児教育学校の保健室の先生みたいな仕事についた。ここは昔マスコミを賑わせた天才兄妹の父親とその指導者が建てたということで、まあ妊婦さんたちも本気で自分たちの子供も天才になると思っているわけではないが、胎教関係の他にエアロビとかでストレスを発散したり、なにより小家族型社会になった現在、出産の情報源としてもこういう場所は必要なのだ。陽奈ちゃんとしては、そこに協力しているゴージャスな産科医院の先生のレクチャーで自宅出産を悪くいわれているのは気になったりする。
研究所には何をするでもなくブラブラふらついている30歳くらいのお兄ちゃんがいるのだが、スーパーバイザーという肩書きの彼こそ、なんと例の天才兄妹の兄の方・時夫くんなのだ。時夫くんは高校途中でアメリカに留学し、そのまま大学で天文学の博士号をとって、ハワイで研究員になっていたのだが、先般帰国しスーパーバイザーに就任したのだった。その頃、研究所ではくだらない物を盗まれる事件がつづき、影で彼が疑われていた。
ある日、陽奈ちゃんの元へ「いわれた通りにしたのに子供は普通で、私は研究所の実験台にされたのだ」と抗議する子連れのお母さんがやってくる。彼女はすぐに帰ったのだが、後日、研究所に赤ん坊が置き去りにされていた。が、所長らはお母さんに関する手がかりも無視し、警察にはいっとくから赤ちゃんをしばらく預かってくれというのだ。時夫くんによると、18年前にも同じような捨て子事件があったという。あのお母さんは何を訴えようとしているのか。とりあえず赤ちゃんを聡子さんに預けたのだが、聡子さんちに誘拐犯の魔の手が伸びる。陽奈ちゃんは明楽先生に相談に行くことにした。
いつもだと、脇役なんかは名前を書かないのですが、今回書いたのには意味がある。トキオくん、と来れば、どうしたって大島弓子「綿の国星」が導き出されてくるでしょうが! いやホント、こういうシンクロニシティ(前作コメント最後のところ参照)に関しては俺の右に出る者はないね(あと後半出てくる赤ちゃんの名前が、私がポケモンを交換している竹を割った性格の子と同じだ)。
これは結構伏線が緻密で(それをひけらかすようなくどさもなく)うまいです。今回出産シーンが出てこないのがちょっと残念(仕事が助産婦じゃないからね)。これが番外編といえるよう、シリーズを出産シーン込みでバンバン続けてほしいものです。
創元推理文庫
 
『スタジアム 虹の事件簿』 ★★★★
自費出版で500部刷ったという、プロ野球の女性オーナーが探偵役の連作短編。評判が評判を呼びメジャーデビュー(野球なのでちょっと掛けてみました)。
野球チームを持ちたいからと頑張って大会社を起こした先代の社長が亡くなり、後を継いで若奥さん(後家さん)がチームのオーナーになる(本社は嫌な性格の専務とかが昇格)。この東海レインボーズというチーム(選手が色のついた名前なのよ)はパ・リーグ(パラダイス・リーグ)の落ちこぼれで毎年最下位なのであった。チームには身売りの噂が出ており(新社長が嫌なヤツなので)、優勝でもしないことには行く末が危ない。というありがちな縦糸はまあどうでもよくて、野球のルールさえもまったく知らない若奥さんは、球場で試合を見て野球の勉強をしながら、小耳に挟んだ謎を試合の展開になぞらえつつ解決してしまう。
縦糸はどうでもいいとは書いたが、当然ラストは優勝争いをするわけで、結構グッと来るし、謎解きもなかなかのもの。
創元推理文庫
 
の作家