| は の作家 | |
| 馳星周 | はせ・せいしゅう 北海道出身。横浜国大在学中、内藤陳の店でバーテンをつとめていた。「本の雑誌」で本名の板東齢人で書評を連載したり、別名で朝日ソノラマ文庫からジュブナイルを出したりしていたが、生活の糧であるゲーム雑誌(何を書いていたのかは知らない)がつぶれたので一念発起して(大人向けの)小説を書き始める。香港映画ファン(私はよく映画館で一緒になっていたらしい)で、ペンネームは喜劇王・周星馳(チャウ・シンチー)をひっくり返したもの。だが本人は袁詠儀(アニタ・ユン)好き。有名人の特権を利用して対談したこともある。同居人(女性)は劉コ華(アンディ・ラウ)のファン。代々木上原に住む愛犬家(「本の雑誌」の読者から譲ってもらった)にしてサッカー・競輪ファン。のはずだったが、どうやら引っ越したらしい。VZエディタを使っているのかもしれない。 「漂流街 THE HAZARD CITY」 「不夜城」 |
| タイトル | コメント |
| 出版社・叢書 | |
| 備考 | |
| 『不夜城』 | ★★★ 新宿歌舞伎町。台湾黒社会VS中国大陸系&香港黒社会。その中で右往左往する男女。 正直言って気に入ってないのです。 作者が香港ファンだというのを知っていた上に、名前が周星馳をひっくり返したものであることから、香港映画系のダイナミズムのあるものを期待していたのが完全に裏切られました。シリアスなノアール物じゃねえか。がーん。 それだけでなくてですね、回想シーンとか何の役にも立たないのに暗いタッチでやるじゃないですか。あの辺でストーリーが失速するんですよね。そこらとか気に入らないなあ。 映画版あり。 |
| 角川書店 | |
| 『鎮魂歌<レクイエム> 不夜城U』 | ★★★★ それが一転、これは好きです。ストーリーがガンガン進みますからね。 一応サクセスストーリーってことになるんじゃないですかねえ。次はおそらく破滅の完結編、頼んますよ。 |
| 角川書店 | |
| 『夜光虫』 | ★★★ 元々板東は野球はルールすら知らない、というよりどうも野球は嫌いらしいのですが、なぜか台湾プロ野球の話を書きました。 ここまで来れば馳の作風も大体わかります。とにかく主人公が追いつめられる。そういう意味で彼の小説は手順が大切です。将棋みたいなものですね。じわじわ王将を包囲して身動きできなくさせる。私は将棋できませんので適当にいってますが。 で、本作ですが、これは追いつめる手順がずさんなように思えます。相当注意深くリアリティーを持って処理しなければならないのですが、ところどころご都合主義が見受けられます。ウッカリしただけのようにも思いますが、こういう小説ではウッカリしちゃいかんです。具体的に思い浮かぶのは電話ですね。ある時は電話が通じなくて、理由もなく急に通じたりする。あと、タクシーで極秘の話をベラベラ話すのはやめて。運転手は聞いているぞ。年輩の台湾人は日本語わかってる可能性も高いぞ。 |
| 角川書店 | |
| 『M(エム)』 | ★★★ ちょっとSM入った官能(まではいかない)小説集。 馳とはこういう性的嗜好が真反対なんですよね。彼はS気味でホモに憧れている。私はM気味でレズに憧れている。男がレズに憧れるってのはちょっとアブノーマルですかなあ。 |
| 文藝春秋 | |
| 『虚(うつろ)の王』 | ★★★★ 昔渋谷でブイブイいわせていた伝説のチーム金狼の(実質的にはリーダーだったのかもしれない)新田隆弘。当時ヤクザを刺し殺してネンショウへ。刑期を終えて帰ってきた今はチンピラの下でSの売人をやっている。そのチンピラの命令で新手の女子高生売春のシステムを探っていた。どうやら高校生が元締めらしい。渋谷のガキどもすべてが恐れる彼、栄司とはいったい……。 面白くはあるんだけど、主人公が妙に軟弱で頭もよくないし、例によってホモだし、で魅力ないのよね。 そして、今回は連載のせいもあるんだろうけど描写がずさんで前後で矛盾点あり、終盤は事前に決めていたラストに向けて無理矢理持っていこうとしたり、穴は多い。 |
| カッパ・ノベルス | |
| 『古惑仔(チンピラ)』 | ★★★ 中国人がらみの短編集。 ズバリそういうタイトルの香港映画の大ヒットシリーズがあるです。日本では「欲望の街」シリーズになっちゃってますが。ヒット映画に便乗しようたあ、まったく汚ねえ男だ馳! と思ったらさすがにパクったわけではなくて、表題作はその映画(の陳小春)に憧れる香港のチンピラの話でした。 全体として、とにかく半端な人たちばかりが出てくる。人間もっと覚悟決めて生きなきゃね。 最後の2編は惜しい。もうひと押し。 |
| 徳間書店 | |
| 『漂流街』 | ★★★ ホテトル嬢のデリバリー(送り迎え)をしている日系ブラジル人のマーリオは、ヤクザと中国マフィアのシャブの取引情報を知り、金もブツも横取りしようとたくらむ。が、周りは頭がいいというものの、その実マーリオ君は別に頭はよくないので、意味なく騒動に周りの人を巻き込み、あれやこれや人質に取られたり、とにかく全ての人を敵に回してしまうのだった。 見た目は違いますが、全体の筋立ては『不夜城』の焼き直しです。ちょっと笑っちゃいました。 本人が頭いいつもりでドツボにはまっていくのを延々読まされる(いや今回は分厚いから)のはいい加減イラつくので、馳さんはもう一人称はやめた方がいいんじゃないでしょうか。まず行動ですよ。 主人公が相変わらず思い切りが悪いのもなんとかしてもらいたいです。殺すべき人は殺すべきときに殺しましょう。そうすれば、いつもみたいに助けたい人を自分で殺さなくても済みます。 あと気がきいたセリフをいわせるために、不自然な問答をするのも避けたいものです。 今回セックスにこだわっているのは、掲載誌が「アサヒ芸能」なのでよしとしましょう。 映画版あり。 |
| 徳間文庫 | |
| は の作家 | |