| ひ の作家 | |
| 東野圭吾 | ひがしの・けいご 1958年、大阪生まれ。大阪府立大学電気工学科卒。エンジニアとして勤務しながら、1985年、「放課後」(リアルタイムで読みました)で第31回江戸川乱歩賞受賞。1999年、「秘密」で第52回日本推理作家協会賞受賞。 「g@me.」 「秘密」 |
| タイトル | コメント |
| 出版社・叢書 | |
| 備考 | |
| 『パラレルワールド・ラブストーリー』 | ★★★ |
| 中央公論社 | |
| 『どちらかが彼女を殺した』 | ★★★★ |
| 講談社ノベルス | |
| 『名探偵の掟』 | ★★★★ いわゆる名探偵物のパロディ。面白い。 |
| 講談社 | |
| 『探偵ガリレオ』 | ★★★ オカルトっぽい事件を物理学者が科学的に解明する短編集。誰もが知ってる現象の応用で、とかいうのなら感心するが、なんか知らんハイテク使われても、それ嘘かもしれないし。 |
| 文藝春秋 | |
| 『秘密』 | ★★★★★ ボロ泣き。 映画版あり。 |
| 文藝春秋 | |
| 『私が彼を殺した』 | ★★★★ 答えがわからない。 |
| 講談社 | |
| 『白夜行』 | ★★★★★ 傑作。わりと評価が割れているみたいなんだけど、これをほめずして何をほめるのか。はいはい、『永遠の仔』ね。小説のデキとしては、ちょっと格が違うと思うけどね。 私としてはNHK朝のテレビ小説でやってもらいたいのだが。 |
| 集英社 | |
| 『予知夢』 | ★★★ 今「週刊文春」で性同一性障害の小説を書いてるんで、それだと思って買いました。私はとにかく本屋ではほとんど手に取らずに買っちゃうんです。これは、帯見ても性同一性障害物の可能性がある惹句が書いてありました、が、帯の背中にはちゃんとガリレオシリーズって書いてあった……。性同一性障害物はいまだ連載中です。そうだよなー、『白夜行』だって連載終わってから1年くらいは寝かせてた(改稿?)みたいだし。 ガリレオシリーズはねー、いいの、興味ないの。 |
| 文藝春秋 | |
| 『片想い』 | ★★★★★ これが「週刊文春」で連載していた性同一性障害の小説。男と思い込んでいる女性。逆だとホモとかオカマとか女装癖との違いを一所懸命書かないといけないから、こっちで正解、というか、楽なほうを選んだな、とちょっと思った。まあ男から女へだともうちょっとウェットな感じになったかもしれないし、やっぱりホモ臭さは消せないだろうし、もちろん殺人の動機から何から全部変わってしまう。 登場人物の大半が元アメフト部なので、ポジションによる性格づけとか、展開にアメフトのルールとかセオリーとかちょっと絡めてあるようだ。日本人はそんなの知らないんだって。「インターセプトされちまった」。「ファンブルしたのは俺だ」。「QB、いつまで指令塔を続ける気だ」「第4クォーターが終わるまでさ」。「タイトエンドは攻撃だけじゃなくクォーターバックを守る役目もある」。知らん(本を見直さずに書きました)。 ストーリーよりも、伏線をまとめきった手腕に感心。 「片想い」というのは、個人的な話の他に、性同一性障害とかの世間からちょっと変な目で見られてしまう人々からの世間に対する理解を求める心のことをも指しているのである。アメフトを使ったのも、日本社会に今ひとつ受け入れてもらえないスポーツという位置づけかもしれない(主人公のアメフト部出身のスポーツライターが、正月、ラグビーやサッカーの仕事はあるのにアメフトは試合があっても記事の需要がないと嘆くシーンがある)。 登場人物の一人がいう「本とか映像に出てくる人たち(つまり取材をOKした人たち)ってのは、かなり壁を乗り越えた人たちで、実際は壁を乗り越えられなかったり、壁の存在から目をそらしたりしている人の方が多いのだ」という言葉が胸を打つ。 |
| 文藝春秋 | |
| 『超・殺人事件 推理作家の苦悩』 | ★★★ ミステリ業界の裏を暴く(?)短編集。 「超税金対策殺人事件」 税金対策のため、小説に旅行や小道具を盛り込み取材費として必要経費を捻出することになったが……。 「超理系殺人事件」 理系を自認する男が買った『超理系殺人事件』という本には小難しいことばかり書かれていた……。 「超犯人当て小説殺人事件」 巨匠作家宅に編集者たちが集められ、小説の犯人を当てたら次の出版権を渡すといわれるが……。 「超高齢化社会殺人事件」 ボケはじめている作家の推理小説を担当した編集者は……。 「超予告小説殺人事件」 売れない作家の書いた通りに連続殺人事件が発生し……。 「超長編小説殺人事件」 とにかく分厚くないと売れないといわれ、原稿を水増しすることになったが……。 「魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)」 トリックや犯人を思いつかないまま連載の最終回ラスト五枚になってしまった……。 「超読書機械殺人事件」 本を入力するとあらすじや書評を出力してくれる機械のモニターになった書評家は……。 |
| 新潮社 | |
| 『浪花少年探偵団』 | ★★★★ チャキチャキの浪花っ子(このいい方は違うと思うな)、小学校6年生を担任するしのぶセンセ(たしか25歳)が難事件を解決する、一応ユーモア・ミステリ。作者はそれほど笑かそちゅう気ぃはないみたいやけどな。とまあこのように関西弁。しのぶセンセとちょびーっとだけ恋愛風味ありの刑事が殺人課(そんな課あれへんで。捜査一課とかそんなんや)なので完全にユーモア物になれへんかってん。その分ペーソス寄りやな。 基本的にしのぶセンセが一人で推理、ときどき生徒に手伝ってもらうくらいで、あまり探偵団の趣きはない。 NHK教育「ドラマ愛の詩」で山田まりやがやったが相当違う。ホンマはテレビの方が好っきゃねん(でも半分くらいしか見てへん)。 |
| 講談社文庫 | |
| 『しのぶセンセにサヨナラ 浪花少年探偵団・独立編』 | ★★★★ 前作ラストのネタバレになってしまうかもしれないのだけれども、本作のしのぶセンセは教師休業中で本当はセンセではありません。でも元生徒も出てくるし、とにかく周りの人は皆センセと呼びはるんやけどな。ああ、やめようと思っていた似非関西弁が……。 「サヨナラ」というのは内容ではなく、作者によるシリーズ終了宣言。 |
| 講談社文庫 | |
| 『トキオ』 | ★★★★ 後で読み返すとなんだかわからないかもしれないが、私はこの時期に懸案となっていたSF大作を読むべく、頭をSFに切り替える読書というのを実践しつつある。帯に「未来から訪れた息子」とあり、おおっ、未知の作家に頼らずとも、ここに強い味方が! と喜んだのだが、やっぱりこれはSFじゃないんだろうな。 『秘密』と同程度の感銘を受けたが(泣いたが)、これはちょっと構成が不格好なので減点。 妻の家系に遺伝病のあることを知りつつ子供をつくってしまった拓実(通信会社の重役)。息子の時生は発病し、次第に筋力が弛緩して、後年は入院のしっぱなし(これ妙に物知りだというののエクスキューズです。本をたくさん読んでいたという設定なわけだ)。17歳の彼についにその時が訪れた。というのがプロローグで、一気に20数年前、1979年の浅草は花やしきに飛ぶ。何をやっても長続きしない拓実青年は今日も上司を殴ってクビになりふてていたところ、トキオと名乗る見知らぬ青年と出会う。トキオは拓実の遠い親戚みたいなものだというが、拓実は母に捨てられ(こちらからも捨ててやり)、そもそも父は誰だかわからないという境遇にあった。ヒモ同然につき合っている彼女に逃げられた拓実だが、消え方に不審な点もあり、なにより謎の男たちが彼女の行方を探していた。拓実はトキオを連れて、彼女の友人がいる大阪へ行く(途中の名古屋では生みの母が死の床についていた)。そこには巨大企業の陰謀と自身の出生の秘密が待っていた。 というわけで、「異人たちとの夏」(の裏バージョン)と「走らなあかん、夜明けまで」を足したような展開なのである。この彼女と拓実たちの巻き込まれる事件が、ちょっと全体を覆う家族愛なテーマと関係なさ過ぎるのである。時間テーマのSFとして見れば、タイムパラドックス的な側面や「首相の犯罪」を思わせるエピソードもあって、それはそれで面白くはあるのだが、どうしても2つの別個の話が無理にくっつけられているという印象は拭えない。惜しいなあ。 79年の大阪というのも微妙な設定である。クライマックスに関係はあるのだが、別の事件でいくらでも代用できそうだし、私としてはなんとなくしっくり来ないのだが、大阪出身の著者の個人的な思い入れがあるのかもしれない。 |
| 講談社 | |
| 『手紙』 | ★ とりあえず兄が起こした強盗殺人を描く序章。書き込み具合が宮部みゆき的にバランスを欠いているのが不安。突発事態にパニクッたさまを表してるつもりかもしれないし、ミステリ的にあとあと意味が出てくるのかもしれないが、連載だったら俺もう読んでないかも(発表は毎日新聞日曜版)。兄(高校中退)の書いて寄越す手紙の漢字の種類ってのもちゃんと考えてやってんのかはなはだ疑問。ひらがな多くすればいいってもんじゃないぞ。と、出だしから激しくつまずいておるが。 身寄りは兄弟二人きりの弟が主人公。ぐれていた兄は母が半ば自分のせいで亡くなったことから弟のために懸命に仕事に励むが腰を痛めてしまい稼ぎが減る。弟の大学進学費用のために空き巣に入りまんまと大金をせしめるが、弟が好きだった天津甘栗を見つけたので貰っていこうとしたら、実は寝ていたお婆さんが起きてきて思わず殺してしまう。腰の痛みで逃げられない。以後、弟は凶悪犯罪者の弟として苦難の道を行く。懲役15年の兄は刑務所から毎月手紙を送ってくるが、それは弟を苦しめるばかりだった。手紙は、最初の方針が変わったか、3つ目くらいで辞書を引くようになったし文章もうまくなったとかいっていきなり普通の書き方になってしまう(後でちょっとネタあるけど)。弟の人生は兄の事件を隠したり隠さなかったりして迷走する。高校時代からその件で苦労しているのにバンドでメジャーデビューを目指す辺りの気持ちはよくわからない。かなり人生の何もかも諦めているかと思えば変に希望を持ったりしている。俺よりも兄よりも被害者とその遺族が一番苦しいのだと思った直後に、公判で事件の細かいことを知ると、甘栗さえなければ逃げられたのにと思ったりするが、話の流れ的に甘栗さえなければ婆さんも死なずに済んだのにと思うべきである。そういうあっち行ったりこっち行ったりの人物像はもちろんありだと思うが、小説として描写が下手くそなのである。序章で思ったことが最後までつづいている。前に書いた(主人公が考えた)こととか忘れて話に都合のいいように(話に合うようにではない)テキトーに書いているようにしか思えない。この作品は新人なら許せても東野ブランドとして世に出すレベルに達していません。東野が書いたんじゃないか、今までのが東野の作品じゃないんだろう。時事ネタじゃないんだし、あと1年くらい寝かせていじり倒さんかい。 しかし、いくら推敲しても、後半、主人公が就職した会社の社長がサゼスチョンする主義主張は(実は納得するしないの前に何をいってるのか私にはわからないのだが、わかっても)私にはとうてい肯定し得ないものである(宗教家は自分たちに都合のいいように納得しそうだ)。社長という「偉い人」にいわせりゃ何とかなると思ってるみたいだけどなあ、社長ってのは経営のプロ以外の何者でもないのだよ。思想とか語らせんな。ハンサムな主人公に釣られてしゃしゃり出てくる女も思い上がったバカ(娘は私が守るとか、カッコつけて言うだけ言って方法とか考えてないし)。 |
| 毎日新聞社 | |
| 『おれは非常勤』 | ★★★ 前作で「寝かせていじれ」と書いたところ、ちゃんと寝かせていじった作品が出ました。東野の脳に私の電波が届いたとすると、何かタイムパラドックスのようなものを感じるぞ(オイオイ)。 学研「5年の学習」〜「6年の学習」に連載された連作と、「学習・読み物特集号」に掲載された短編2本を寝かせてからいじって収録。 小学校の非常勤教師があちこちの学校へ行っちゃあ事件に遭遇する探偵物。謎は小学生の推理クイズみたいだったりするのだが、事件自体は子供向けとか意識していないようで殺人事件とか扱っている(しかも先生が殺されてる)。非常勤という設定は、どうせすぐにいなくなっちゃうから子供たちとはクールにつき合うのだ、とか本人が装う「非情」さをちょっと演出するくらいで、あまり意味がある設定ではない。キャラクターでなくてお話で読ませたいとかいう著者の決意の表れとでも取っておこうか。その割に同じトリック(というか暗号)を2回使ってるのはどうかと思うが。 読み物特集号のは小学生が主人公で、2本とも同じ子供なんだけど、1本目は探偵で2本目は語り手という、なんか統一感のないシリーズ。 |
| 集英社文庫 | |
| 『幻夜』 | ★★★★ 『白夜行』のシリーズというか続編というか……(よくわかってないので言葉を濁す)。 ところどころ”理系の推理作家”であるせいで損をしているところがある。世の中には解明しなくていいものもあるのだ。 |
| 集英社 | |
| ひ の作家 | |