本/著者別−京極夏彦

★は1個から5個の間でテキトーにつけてあります。
出版社等は私の読んだ時点のものです。
最新更新日:2004年11月07日
の作家
京極夏彦 きょうごく・なつひこ
1963年北海道生まれ。いつも手袋をしている元デザイナー。暇にあかせて小説を書いたら長すぎてコンテスト類の規定に合わず、出版社に持ち込んだ。ページの切れ目や段の切れ目で文章に区切りをつけるのに腐心している(そのせいで雑誌に発表したあと、まとめるときに必ず手を入れることになる)。
「嗤う伊右衛門 Eternal Love
タイトル コメント
出版社・叢書
備考
『鉄鼠の檻』 ★★★★
「てっそのおり」
講談社ノベルス
 
『絡新婦の理』 ★★★★★
「じょろうぐものことわり」
講談社ノベルス
 
『嗤う伊右衛門』 ★★★★
京極版「東海道四谷怪談」。会話のうまさに舌を巻く。
実は『巷説百物語』シリーズの番外編。
中央公論社
 
『水木しげる&京極夏彦
 ゲゲゲの鬼太郎』2冊セット
(水木しげるVS.京極夏彦
 「ゲゲゲの鬼太郎解体新書」
 別冊/オリジナルシナリオ付
 京極夏彦「言霊使いの罠!」)
★★★★
定価2000円中、本当はこれだけが欲しかった別冊のシナリオは200円分くらい。でも本編というか「解体新書」の方も、実際に読んでみると非常に愛情のこもった丁寧な造りで悪くなかったです。もちろんそれでも函なしのソフトカバー1冊で充分だったとは思いますが。とりあえず書店で別冊のみの万引きという情けない事態が発生しないことを望みます。
講談社
アニメ鬼太郎
生誕30周年記念出版
『塗仏の宴 宴の支度』 ★★★★
「ぬりぼとけのうたげ」。
「始末」へ向けての短編集。
講談社ノベルス
 
『塗仏の宴 宴の始末』 ★★★★
おまけの得点。
講談社ノベルス
 
妖怪小説 百鬼夜行−陰』 ★★
長編を補完する短編集。純文学かよ、これ。
講談社ノベルス
 
『巷説百物語』 ★★★
時代劇版スパイ大作戦。映像化したら必殺シリーズになった。
角川書店
 
『百器徒然袋−雨』 ★★★★
榎木津主役の楽しい中篇集。ただしやり過ぎの感あり。
講談社ノベルス
 
『ルー=ガルー 忌避すべき狼 ★★★★
loup-garou ルー・ガルー … 夜間、狼に化けてさまよい、悪事を働く伝説上の怪物。
FFN(フューチャー・フロム・ナウ)というプロジェクトを組んで、インターネットや「アニメージュ」等で、一般から西暦2030−2053年あたりの設定を募集、3年かがりで書き上げた。最初はそういう長期間に渡る物語を構想していたのかもしれないが、できたのは数日間の物語(過去の思い出話も出るけど)。近未来物を読むといつも思うように、これもやっぱりちょっと未来過ぎる設定になってると思う。人間はもうちょっと過去を引きずると思うよ(高齢化社会だし)。
帯に「近未来少女武侠小説」とあるが、実のところまったく「武侠」になっていない。思うにこれは徳間書店向け京極のサービスであろう。元々考えていた連続殺人事件のストーリーに、「徳間といえば、まず『アニメ』だろ。それから中国映画、うーん、最近の徳間的には『武侠』か。それと当然『ガメラ』な」と三題噺よろしくキーワードをまぶしたのだが、「武侠」にはなりきれず、どういうわけか「ブギーポップ」になってしまったのだった。ホント、これああいうヤング向け(!)の文庫で出した方が似合う小説です。また私が自分の知っている物、好きな物にムリヤリ結びつけようとしていると思うかもしれませんが、本当に「ブギーポップ」に似ているのです。あちこちでそういう感想が出てくると思います。一応武侠っぽいのは、ラストで敵を倒しながら塔を上っていくというあたり。でも、これも「ブギーポップ」でやってたし。とりあえずパンチとかキックに漢字の名前でもついてればよかったのにな。
特に前半、設定の説明がたくさん入るので、ストーリーの紹介はしにくいです。
21世紀半ば、学校は廃止され、子供たちはネットで勉強していた。そういったわけでほとんど外には出ないが、対面コミュニケーションの授業の時だけセンターに集まり、担当カウンセラーの元、一応クラス分けがされているので、稀薄ながらも仲間意識がないこともない。そういう社会で14歳の子供たちが連続して切り刻まれて殺される事件が発生。同じクラスの、おとなしい牧野葉月、クールな神埜歩未(コウノ・アユミ)、天才少女・都築美緒は、元歓楽街に無断で住む未登録住民でケンポーをやってる麗猫(レイ・ミャオ)やオカルト少女・作倉雛子と共に、犯人たちに立ち向かう(はめになる)。と、同時進行で(章がかわるがわる出てくる)カウンセラーと落ちこぼれ刑事も活躍する。750ページ。
また読者層を広げたんじゃないかなあ(若い男方面に)。
徳間書店
イラスト Masayuki Ogisu
『今昔続百鬼−雲
 【多々良先生行状記】
★★★★
例によって昭和25〜6年頃、『稀譚月報』に小論文を連載している妖怪研究家の多々良勝五郎大センセイと伝説探訪家の沼上蓮司くん(語り手)は、あちこちの妖怪や伝説を巡る旅をするが、その先々で死体と出くわしてしまう。多々良先生はその度に妖怪について新たな解釈を思いつくが、周りから見るとあたかも事件を解決したかのように見られてしまうのだった。という連作。
「岸涯小僧(がんぎこぞう)山梨県、「泥田坊(どろたぼう)長野県、「手の目」群馬県、「古庫裏婆(こくりばば)山形県
全体に寂れていく田舎と開発事業のせめぎ合いというテーマが仕込んであるのだが、単行本化にあたって書き下ろされた1本は京極堂シリーズの番外編で(昭和26年なのであっちの最新作より舞台は古い)、そういうテーマが出てこないのが作家の姿勢としてちょっとどうかと思ったりもする。面白いけど。
太った多々良先生のモデルは京極の妖怪仲間の多田克己と思われる。彼は「妖怪根付」の妖怪解説もしている1961年生まれの妖怪研究家だ。坊主頭の沼上くんは伝説探訪家の村上健司(1968年生まれ)であろう。二人を支援するお金持ちの村木老人は、普通に両手はあるものの、水木しげるに違いない。
新潮OH!文庫に『妖怪馬鹿』という鼎談本があるのだが、その出席者が京極・多田・村上である。京極が諸星大二郎のパロディ漫画を描いているという情報をつかんで買ったのだが、漫画は1ページだけで、その他随所に挿入されている諸々の怪奇漫画家のパロディー漫画を読んだだけで、あとはまだ読んでいない。
講談社ノベルス
本文イラスト ふくやまけいこ
『覘き小平次』 ★★★★★
ひょっとすると『嗤う伊右衛門』の続編なのかもしれない。小平次は「四谷怪談」に出てくる薬屋・小仏小平の父親だ。舞台は「四谷怪談」事件の翌年くらい。
と思ったら、結局『巷説百物語』の番外編みたいだなあ。あっちの人の出番はちょっとだけだけど。『続〜』を読んでいないので関係あると嫌だな。読むしかないか。
別のとこで書こうと思っていたのだが、歌舞伎には「何の誰兵衛実ハ誰それ」というのがかなりあって、筋書きの配役とかで最初からバレバレにしてるのはどうなんだろうと思っていた。本作はズバリ歌舞伎なので、そういう「実ハ」の趣向がボロボロある。あり過ぎなほどある。やっぱりこういうのは事前に明かされてないから面白いんだと思うんだよね。
小平次といえば「怪異談 生きてゐる小平次」(中川信夫監督)という有名な映画があってそれかと思うが、しかし私は見ていないのでよくわからない。読み終わって調べると、題材は同じということで正解だったのだが、木幡小平次という役者についての怪談は種々様々なものがあり(この本の参考文献もたくさん書いてあり)、具体的にどれをリライトしたとかではなく(奥さんの名前とかもそれぞれ違うし)、好きに書いているようだ。いちおう鶴屋南北も書いている(「彩入御伽草」)が、これは「東海道四谷怪談」よりずっと前に書かれているので、南北的には両者につながりはないらしい。全体をまとめると、男二人と女一人、不倫の怨みで(だいたい)安積沼で殺される男が役者の木幡小平次、彼が幽霊となって(あるいは死んでなくて)復讐するというような話らしい。そもそも女一人ってのが、小平次の妻だったり、もう片方の妻だったりと諸作(諸伝説)でまったく違うのであった。
今回は、小平次はとにかく下手な役者。というより生きることさえ下手で、とにかくボーッといるだけの男。普段は押入れに入って体を丸め、襖の隙間から妻・お塚を覗いている。お塚は小平次を毛嫌いしている。小平次と知己の囃子方の多九郎はお塚の体をねらっている。小平次はとにかくド下手で、歌舞伎の名門にいたのだが当然のようにクビになる。とにかく舞台に上がっても立っているだけしかできない男である。だが、幽霊役だけは素晴らしい。亡霊は立っているだけで何もしないのが怖ろしいのだ。ってえ伝聞を「リング」補完コメントで書いたことがあるのを君は覚えているか(そんなの覚えてるのは俺だけ)。多九郎が持ってきた東北の巡業に参加することになった小平次は、そこで自分の知らない間に小股くぐりの又市(『巷説百物語』の主人公)のミッションに参加させられていたりする。それでちょっと説明するには人間関係が密に絡んでいて(ここで「実ハ」が活躍)、いや、この絡み具合が大変素晴らしい。もう書かない。とにかく小平次は安積沼で殺されてしまい、しかしそれを知らせに座員が江戸のお塚の元へ急行したところ、小平次は昨晩帰ってきたのだという。果たして小平次は本当に死んでいるのか。
『巷説百物語』は映像化されているので、これもそういう話は出るだろう。その場合、小平次は温水洋一とかMr.オクレになりそうで、それは似合っているけど嫌なのだが(マジに考えるなら柄本明あたりかなあ)、とりあえず私が注文したいのは、血の色は黒にするのがいいんじゃないかということだ。赤は毒々しいのはいいが生命力に溢れてる感じなので、それは違うだろうと(白黒映画ってのも違う気がする)。説明はしないが、脚本は山田太一がオススメ。
中央公論社
 
『陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) ★★★
長野県に白樺湖ができた。そこに鳥の城と呼ばれる洋館があった。主は由良伯爵(現在は華族制度は廃止されたので平民です)。母の実家が大金持ちだったので特に仕事はせず高等遊民のような暮らしだった。儒学系思索家である彼は文章も書いていて、それは関口巽と同じ雑誌に載ったりしていた。すでに父も母もなく、50歳になろうかという彼は独身で、広大な屋敷に一人暮らしだった。とはいえ、執事や女中ら使用人はたくさんいるし、屋敷には博物学者であった父の残した鳥の剥製が所狭しと並べられていて、それらは伯爵の家族だった。伯爵は心臓に疾患があったことから成人するまで屋敷から一歩も外へ出たことがなかった。当然学校にも行っていないわけで、すべての知識は二階まで吹き抜けの書斎にある膨大な量の書物から得た。彼が独身なのはそういう引きこもりチックな暮らしのせいではない。戦前は華族様だったわけで周りが放っておくはずもない。実は彼は過去に4回結婚していた。ところが、そのいずれも婚姻の翌朝、花嫁が殺害されていた。屋敷にいたのは伯爵と、平民である大叔父とその妾腹の息子、そして使用人たちだけであり、すべての証言を合わせると犯行可能な時間が非常に短く、物証もなく、すべて未解決である。そしてこのたび5回目の結婚をすることになった。伯爵家では万一の事態に備え、探偵を呼んだ。
探偵とは云わずと知れた榎木津礼二郎に他ならない。が、彼は熱に浮かされ一時的に失明していた。世話係として関口が呼ばれる。
一方東京では、過去に花嫁殺害事件を担当していたが今は引退している伊庭刑事に照会が来た。はずが、間違って木場刑事の元へ連絡が来る。木場は伊庭の元を訪れ、事件の話がてら酒を飲み、共通の知人である京極堂こと中禅寺秋彦の話で盛り上がったらしい。らしいというのは伊庭は飲み過ぎたらしく何を話したか覚えていなかった。しかし木場の書いた京極堂の住所のメモがあったので、伊庭は京極堂に会いに行く。あっという間に何かを見抜いたらしい京極堂は伊庭とともに白樺湖へ行くことになった。
今回は、まあ短編のネタでしょ、という内容を丁寧に書いてみた。同じシーンを複数の視点で書いたりしたので分厚くなった。一所懸命長々と書いてはみたが、ネタがしょぼいので、半分くらいのところで細部にわたるまで読者にはすべてわかってしまう。現実には驚くかもしれない細部のネタもオドロオドロしい屋敷が舞台のミステリではありきたりだ(これも予想できちゃうの。というか、これもっと重要に関わるかと思った)。誤魔化すためにブラフとして最初の方で関口に横溝正史と立ち話をさせたりしているがあまり有効ではない。
講談社ノベルス
 
『百器徒然袋−風』 ★★★★
最後は「カリオストロの城」だった。榎木津がルパンで木場が銭形、中禅寺が不〜二子ちゃん。
講談社ノベルス
 
『豆腐小僧双六道中 ふりだし』 ★★★★
もうずっと前に手に入れていて、しかし形が変なので電車で読みにくいし、全員サービスの豆本に応募したのでそれが来てからにしようと放っておいた、というか、実は豆本到着とともに「読了」になるようにジワジワと読み進めていた。元々が連載物なので飛び飛びに読んでも問題ないだろうと。まあ、かなり時間を置いて再開してもすぐに入り込めるし、なによりクライマックスに大お化け屋敷大会を持ってくる、その持って来かたがウマイですね〜。
豆本がやっと届いたのでダッと最後まで読んだわけだが、引っ越しのドサクサで肝心の豆本が……、いや捨ててません。と思う……。
講談社
 
の作家