「呼んだ?」

ぼくは月の森の隅っこ、樹の中に住んでいる。
ここは夜になると、お月さんがやってきてあたりを照らしてくれる。毎日形が変わるのに、いつも同じように照らしてくれるんだ。
今日、昼間たくさんかけっこしたから、疲れてうとうとしていた。そしたら夢の中でマンドリンの音が聞こえてきた。ころころと笑ってるような音。これはぼくの一番好きな曲だ。
目が覚めたら、それは夢じゃなかった。ぼくの友だちがやって来ていてほんとうにマンドリンを弾いてくれてたんだ。
弾き終わってからぼくは窓から顔を出して言った。「ねぇ、呼んだ?」
なんでかわからないけど、そう言いたかったんだ。
すると友だちはこう答えた。
「うん、今日はこのマンドリンの機嫌がすっごくいいんだ。それを君に教えてあげたくってさ。」
そう言ってもう一曲弾いてくれた。森の空気がその音に応えるようにどんどん柔らかくなっていった。
油彩 (F8)