「雨だれ」

今日は初めての演奏会。わたしはトロンボーン担当。
自分からトロンボーンやりたいなんて言っておきながら、失敗の連続。
自信が持てないまま、本番の日になってしまった。
そんな浮かない気分なのに外は雨。ため息つきながら家を出た。
すると…突然目の前に現われたのは、いつもと様子が違う景色。
いつかの夢の中みたいな街並み。
地面と空の境目が曖昧になっている。
雲の上には遠い昔に見た記憶の幻。
くじらの親子が街の音に色をつけ、雨に混ぜて降らせている。
そして声じゃない声でわたしに話し掛けてきた。
「君ノ、トロンボーン、聴キタイナ…」
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いつの間にか立っていたのはホールの正面。
彼らが色をつけてくれた雨だれが、ケースの上にいつまでも残っていた。
透明水彩 (B4)
(BGM転載元:「猫のいる喫茶店」 作者:ふなすきんさん GS音源:SC−55)