冬季オリンピックと風邪マスク 

オリンピックが好きで閉会後も数日は余韻に浸っているような私だが、よりによって自国で開催された長野オリンピックはチラッともこれっぽっちも見なかった。 それどころか、何の種目で日本がメダルを獲ったとか、何ひとつ情報を耳や目にすることができなかったのだ。
なぜなら私はその頃イギリスの、とある小都市にいたから・・・。

イギリスではウィンタースポーツがほぼ無いに等しく、オリンピックに出場するのもたしかカーリングとあと少々程度とか。したがって国民もウィンタースポーツに興味が無い、らしい。

さすがに開会セレモニーの模様はどこかで写真を見かけたが、日々の競技はニュースでもほとんど報道されないし(少なくとも私は見なかった)、新聞にも数行程度の情報しか載らない。これほどの世界的一大イベントに、イギリスという大国(?)がこんなに無関心なのが私には意外だった。
仕方なく日本の新聞を売っているところを探したが、なんせそこは‘小都市’、日本の新聞はどこにも売られていない。業を煮やしてイタリアの新聞を買ってみた。・・・たくさん載っている!なんせトンバの国だもの。

が、競技結果よりも、日本で取材をするイタリア人記者によるある新聞の記述が私の目を引いてとても印象に残ったのだ。内容は長野オリンピックに対する地元の熱意と奮闘ぶりについて書かれたものだったが、一部に次のようなくだりがあった。
『それにしても結構な数の日本人が、白い布でできた‘マスク’とやらで顔を覆っている。あれは何だ?最初は驚いたが、なんでも風邪が広まるのを防ぐのと予防のためらしい。かの人々はごくまじめに着けているのだが、どう見ても非科学的で、かなり笑わせる。』
私も個人的にはマスクってただの気休めだよな、と(今はほんとに菌や花粉を遮断するハイテクマスクもあるけど)密かに思っていたクチだったので、あー見つかっちゃったか、みたいな心境だったんだけれど、それにしても笑わせるか・・・。

寒い寒い冬にドイツ人の親友くんが日本に来たことがあり(このイベントでのエピソードの数々もいつか書きたいが)、空港で久しぶりに再会し、なつかしいねぇとしゃべって移動しているときに彼が興味津々の面持ちで質問してきた。「飛行機の中でたくさんの日本人が白いホラ、なんかこーんなマスクをしてたんだけど、あれはいったい何だ? おまじないなの? それとも何か宗教的なこと? おしえて! けっこうたくさんの日本人がしてたんだよ。」
科学&論理&合理性の権化(なんだそれは)のような彼にこの習慣を説明するのは結構きつかったが、説明しながら、彼の疑問といいイタリアの記事といい、そういえばヨーロッパで風邪マスクしてる人はマッタクいないよなと頭の隅っこで考えていた。

オリンピックの舞台に晴れて立てるどの選手たちも、風邪をはじめ体調にはくれぐれも気をつけて、最高の実力が出せたらいいのだけれど!