ラブリーなLOVELY
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イギリス英語に接してまず最初に気づいたのが、イギリス人が‘LOVELY’という形容詞をやたら好んで多用すること
だった。
‘素敵’‘すばらしい’‘美味しい’‘ありがとう’の表現までカバーしてしまう便利な‘LOVELY’。 
アメリカ映画で登場人物がこれを連発しているところはほとんど見受けないので、やはりイギリス独特なのだろう。 お天気のよい日に‘LOVELY DAY!’と言い合ったり、かっこいい男の子が美味しいお料理を食べて ‘ウーン、LOVELY’ と言うのを耳にすると、なぜか微笑ましく嬉しく思えてくる。
ママのお手伝いをしてあげてもお礼の言葉は‘LOVELY!’、物をとってあげても‘LOVELY!’、お店で支払いをしても‘LOVELY!’・・・。

すこし逸れるが、ありがとうのTHANK YOUのかわりに‘TA!’とだけ言う人たちもいるらしい。
私は耳にしたことがなく、ちょっと残念なのだけど。 
CDや文房具のお店で買い物をしてハンサムな店員の男の子たちがおつりと商品を手渡してくれるときは、‘CHEERS!’と言ってニッコリしてくれるパターンが多かったな・・・。





ホームステイ先間違え事件

最初にエクセターで語学留学するために、ロンドンのヒースロー空港を降り、乗り込んだエクセター行きのコーチ(バス)が発車した時にはすでに夜7時を回っていた。
私以外にもう一人日本人の女の子が乗ったのも、バスを待っている時点で気が付いていた。エクセターなんてマイナーな地へ向かう日本人、これはきっと同じ学校に通うことになる子だろうな、程度には注目していたから。

さて、ヒースローからエクセターへはコーチで3時間半ほどかかる。長旅の疲れもあり、バス内で紅茶を頼んだのちしっかり眠り込んでしまった。
目を覚ましたときには夜10時過ぎ。 
とっぷりと夜になっており、あとわずかでエクセターに着くとのアナウンスに荷物をまとめ、真っ暗でしんとした、まさに右も左もわからないエクセターのコーチステーションに降り立った。 
ふと気づくと、一緒に乗り込んだはずの日本人の女の子は降りていない様子。 
きっとこの先のトーキーまで行く人だったんだ、と私は思い、コーチに乗る前にホームステイ先に電話をかけたとき言われたとおり、バス停にあるタクシー呼出電話でタクシーを頼んだ。


そのとき優しそうな初老のおばさまが目の前に立ち、「ようこそ、いらっしゃい!」と声をかけてきたのだ。
あれ、タクシーで来てね、と言っていたのに・・・? 
名前を訊かれてフルネームを答えると、おばさまも自分の名前を名乗ったのだがイマイチ聞き取れず。
「タクシー呼んじゃった」というと、「あぁ、ほっといても大丈夫よ!さあ、行きましょう。疲れたでしょう?日本から何時間かかったの?」 と、スーツケースを二人で引きずりながら歩きだした。 
数分歩くと前方に、にこにこと車から降り立った、これまた優しそうなおじさま登場。 

そこで疑問に思ったのは、留学先の学校から受け取っていたホームステイ先の情報では‘ステイ先の家族はミセス(ママさん)と、その娘28歳、オスの犬1匹’だったこと。
あれ?パパさんもいたのか・・・?3人でいそいそと車に乗り込み、旅の道中の話や通うことになる学校の話などでまた盛り上がって家に到着すると、なんか学校から聞いていた住所とすこーし違うような?・・・でもまさかね、と家に入ると、むかえに出てきたのがネコ2匹・・・。


その時にはさすがに、あれーもしかしてマズイかも、と思ったが、もともと私の中にある 『予期せぬことが起きたらそれがコマッタことでも楽しんで、いいみやげ話ができる!と思ってしまう』性分が、わくわくし始めたのだった。
期待にたがわず、案の定そこでおばさまが「ほーら、これがあなたね!」と私にヒラッと見せてくれた、学校からの生徒情報に書かれていたのは、私とは別人、同じ‘A’ではじまる名前・・・
「ひゃぁ、私、違います!」と言った瞬間、おばさまは「んまぁー・・・」と口を押さえ、おじさまは「タイヘンだ!じゃあもう一回バス停に迎えに行ってくるよ!とりあえず、きみもまた会おうね」とあわてて家を飛び出して行った。
おばさんは、私も動揺していると思ったのだろう(多少はしてたけど)、「心配しないで、あなたの本当のおうちに電話してあげるから、こういうこともたまには起きるのよ、心配しないで落ち着いてね」としきりに言ってくれていた。うん、私は大丈夫よ。
そしてまもなく本当のホームステイ先のママが迎えにきてくれ、私も無事におうちに辿り着けたのだった。よかったよかった。

さて、くだんのAちゃんはどうしていたかというと、エクセターのバス停に着いてもバスの中で眠り込んでいたそうな!ラッキーなことに、たまたま早めに到着したバスはそのまま20分ほど停車してくれていて、そのうち目覚めてあわてて飛び降りた頃には、迎えに来てくれるはずのご夫婦は私を乗せて走り去ってしまった後だった。 
困って電話をしてきたときには私もまだその家で‘ほんとのママのお迎え待機中’で、Aちゃんにすでに親近感を持ったのだった。実際、その後今でもとてもいい友人になっている。

おもしろかったけれど、教訓: むやみに知らない人の車には乗らない!(当たり前)