この作品は、インドネシアの元「慰安婦」だったマルディエムさんを描いたドキュ
メンタリーだ。始めの方で静かにタバコをくゆらす姿が印象的で、カメラの寄り添う
ような眼差しが強い印象を残す。そして、寄り添ったカメラを前に語られる彼女の人
生が深く染み込んでくる。監督と彼女の強い信頼関係を感じる。
一昨年12月、東京で行われた「女性国際戦犯法廷」で証言するため、彼女は日本に
やってくる。この法廷は日本軍が行った性奴隷制を裁こうとするものだ。カメラは法
廷でマルディエムさんを追うだけでなく、どことなく慣れないような浴衣姿のホテル
でのマルディエムさんを映し出す。仲間の元慰安婦達とどのように証言するか打ち合
わせたり、ベッドでタバコを吹かす姿から、彼女の緊張した面持ちが感じられる。彼
女の人生を引き裂いたこの日本で証言することは、格別の思いがあることだろう。
途中、会場外での右翼の姿が映し出される。「明日は用事があってこれないから」
などと言っている様子はどこか滑稽だ。