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(この物語はのらねこたちが、旅をしながらさまざまな体験をする物語です。)
いよいよグレとマスター(メイのおとうさん)の旅がはじまりました。 いっしょに旅をしてみると、マスターがとても旅なれていることに、グレは驚きました。 長い道のりを徒歩で旅するのは大変な事です。マスターはヒッチハイクの達人でした。 長距離を走っていそうなトラックを見つけると、サングラスをはずし、かぶっていた帽子を右手に持って振りながら「ヘーイ、カモン」と呼ぶのです。 十中八、九は成功して、乗せてもらう事ができました。 ただで乗せてもらったお礼に、グレたちはギターを弾きながらじまんの歌を歌いました。(ぼくを車でつれてって)という即興の歌もできました。 そんなわけで、運転手さんも十分楽しめる旅になり、みんなハッピーでした。
このようにしてトラックを乗り継いでいくうちに、マスターが 「クロスケのところへいく前に、カノジョの住む町へ言ってみたいなあ」 と言いました。 グレはカノジョの事を思い出し、胸がキュンとしましたが、 「ぼくもカノジョにあって、メイさんの言葉を伝えなくてはなりません。行ってみましょう。」 と言いました。
メルキドの町が近づいてくると、トラックの運転手にお礼を言って、2ひきはトラックをおりました。 メルキドの町はグレが出た時とは全く違って、活気のある、明るい町になっていました。 グレがグロスと決闘した荒れた砂地は、美しい公園になって、緑の木々が生い茂り、色とりどりの花が咲き乱れ、散歩する老夫婦や、ボールあそびをする子猫たち、みんなじつに楽しそうに過ごしていました。 おとなの猫たちは、朝から夕方までくるくると、よく働きました。 そして、夜になると、酒場へいって、飲んだり歌ったりして過ごすのです。
カノジョのいる酒場へいってみると、ピアノのよこで、カノジョが歌っているところでした。 店にはお客がたくさんはいっていて、みんな歌を口ずさんでいました。 カノジョが歌い終わると、お客の1人が代わって歌いました。 今度は伴奏もギターの弾けるお客がひきうけました。 グロスたちがいなくなってから、市民(猫)たちは、毎日酒場で歌うようになり、どんどんうまくなってきたそうなのです。
「みんな歌ってばかりいて、あまり飲んでくれないので、いつも満席なのに、売り上げはさっぱりさ。」 それでもうれしそうに、その店の主人は言いました。 カノジョは以前にもまして、美しくなっていました。カノジョは 「グレさん、たくましくなられて。お会いできてうれしいわ。」 と言ってグレの手を取りました。 グレは胸がどきどきして、とてもせつない気持ちになりましたが、天国でメイに会った事、メイがカノジョに伝えてほしかった言葉など伝えました。
マスター(メイのおとうさん)は、はじめて会う亡き息子の恋猫に感むりょうになり、言葉がでませんでした。 「遠い所よくいらっしゃいました」 カノジョもそれだけ言うと、胸がいっぱいになり、あとは言葉になりませんでした。 2ひきはしばらく無言で見つめあいました。 お互いの気持ちが痛いほどわかりました。
グレはカノジョに言いました。 「ぼくたちといっしょにクロスケに会いにいかないかい」 今度はカノジョはいやとは言いませんでした。 「私もメイの言うように残された猫生をもっと積極的に生きなくては、と思いました。いっしょに連れて行ってください。」 カノジョはお店のお客達に言いました。 「皆さん、お聞きの通り、私はこの町を出ます。あとは皆さんでなかよくもりあげていってください。」
市民(猫)たちは寂しくなる事はわかっていましたが、みんなカノジョの幸せを第1に思いました。 「ぼくたちもカノジョのおかげで、みな、歌が歌えるようになった。ギターやピアノを弾けるねこもいるし、大丈夫、ぼくたちの事は心配しないで、カノジョはやりたいことに挑戦してください。」 みな、カノジョに大きな拍手を贈りました。 こうしてグレとマスターとカノジョの3びきは、メルキドの町をあとにしました。
つづく