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メルキドの町をあとにした3びきは、又、ヒッチハイクの旅を続けました。 クロスケの住む町が近づいてくると、3びきは見覚えのある景色に、なつかしさがこみあげてきました。 グレにとっては、苦い思い出の地でしたが、マスターたちの話をきいているうちに、自分にとってもふるさとのような気持ちになっていました。
橋をわたった所で運転手さんにお礼を言ってトラックをおりました。 クロスケの家のまわりは以前とはだいぶ様子が違っていました。 3びきはクロスケのにおいをたよりにやっとたどりつきました。 「こんにちは」 と声をかけると、なかから出てきたクロスケは3びきを見てびっくり、 「おどろいたなあ、君たちが知り合いだったとは、よくきてくれたね。」 クロスケの驚いた様子にマスターもカノジョも大笑い。クロスケはグレにも 「グレ君、なんてりっぱになったんだ。見違えてしまったよ。」 とやさしく声をかけました。 グレは気まずそうに、はにかみながら 「あの時は本当に申し訳ないことをしてしまった。あれからずーっと心がとがめていたんです。許してくれてありがとう。」 と言ってクロスケの手をとりました。
3びきは庭のすみにあるメイのお墓に手をあわせ、報告をしました。 西の空が茜色に染まってとてもきれいな夕焼けでした。 カノジョはメイといっしょにながめた夕焼けを思い出して胸がきゅーんとしました。
その夜の晩餐の楽しかった事といったら。 メイと遊んだりけんかした話や、クロスケも、カノジョにあこがれていた話など、 昔の話があとからあとからでて、グレも昔から、ここに住んでいたような気分でした。 クロスケは感激で顔をグショグショにしながら、新鮮なさかなをさばいて、ごちそうしてくれました。
みんなが、思い出話に花を咲かせているところに、うぐいすのバーバラさん、親子が遊びにきました。 バーバラさんの娘がひなの時に巣から落ちて、ケガをしているところにクロスケが通りかかり、介抱して、元気にしてくれたそうなのです。 それから、親子で時々遊びにきては、美しい声で歌ってくれるようになったそうです。 母鳥のバーバラさんはすばらしい声でした。連続してトリルを聞かせたり、低音から高音まで即興で自由自在に歌い上げます。 トウルルルルル ケキョケケキョ ケーキョキョキョキョキョルルルリルラララ・・・・・ という感じですが、とても言葉ではいいあらわせません。 娘のルリーはまだまだうまくありませんが、愛くるしい声で一生懸命歌いますので、結構人気がありました。 バーバラさん親子が来てからは、次から次と歌のオンパレードになりました。 カノジョもメイのことを思いながら、心を込めて歌いました。 グレもギターを弾きながら、あいのてをいれます。 マスターはかなり、お酒の量が増えていて、時々低い声で、ボボンボンボンとか入れるだけでした。 それも的外れなところで入れるので、みんなから、ひんしゅくをかっていました。 そんなふうにして、夜も更けて、バーバラさん親子が帰っていきました。
あくる朝、目が覚めると、マスターは、 「ちょっと散歩に行ってくる。」 といって、出かけていきました。マスターは、町を1周りして見ました。 たくさんの木々が生い茂っていた森は、半分になっていました。 木々は伐採され、木の実も減ったので、小鳥たちも少なくなっていました。
お世話になった病院へいってみると、かわいがってくれた院長先生は、今も健在でした。 「オトウサン(メイの)じゃないか。会いに来てくれたのかい。へー?今は酒場のマスターになったのか。」 と、マスターを抱き寄せてくれました。 いつも巻き寿司をごちそうしてくれたおすし屋さんへいってみると、親父さんは今も現役で寿司をにぎっていて、あのなつかしいまき寿司をごちそうしてくれました。 みんな、マスターを覚えていてくれて、再会できた事をとても喜んでくれました。 マスターは、いつまでも、ここにいたい気分になりました。
季節はもう晩秋を通り越して、明日から12月という頃でした。 3びきは、クロスケのしばらくいっしょにいてほしいという願いに答えて、クリスマスが終わるまで居ることにしました。 クリスマスの準備は毎年大変なのです。 3びきが手伝ってくれることになり、クロスケの喜びようはたいへんなものでした。 3びきにとっても、ほっと、くつろげるひとときにちがいありません。
つづく