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ジュールの町をあとにした3匹(グレ、カノジョ、マスターの3匹ののらねこ)はギャラネコポリスへ船でわたることにしました。 といっても、3匹は汗と土にまみれたぼろぼろの衣服を身にまとい、持ち物といったら、マスターのハーモニカと、グレのギター、所持金はゼロでした。
従業員として雇ってくれる船を捜しましたが、みすぼらしい身なりをみただけで、ことわられました。 やっとみつけた仕事は、ネズミ捕りでした。サンタドララという貨物船で、ねずみを捕る仕事があるというので、その船に乗る事にしました。
船長はスターバッハというどら猫で、メルキドの町で会ったグロスに似た、ガラの悪い乱暴物でした。 それでも、ギャラネコの町へたどり着くためには、サンタドララに乗るしかありません。3匹は覚悟をきめて、ネズミ捕りの仕事につきました。
3匹とも、ねずみをあまり、見た事もないし、まして捕まえた経験など、1度もないのです。 甲板の上を、無我夢中でおいかけまわしては、鼻を引っかかれたり、耳をかじられたりして、なかなかつかまえられませんでした。 どら猫船長は 「おまえら、ただ飯を食わせるために、雇ったんじゃねえ、3日いないに捕まえなかったら、海の中に放り込むぞ。」 というのです。
3匹も必死になって、やっと捕まえた最初のねずみは、中年のよわよわしい感じの雄ねずみでした。 その雄ねずみは 「私が死んだら、妻や子供たちは、どうやって、生活すれば、いいのでしょう。3匹の幼い子供たちがいるのです。どうか、見逃してください。」 と懇願するのです。カノジョはたまらなくなって、 「逃がしてあげましょう。」 と言い出しました。 次に捕まえたのは、まだ幼い子ねずみで、カノジョの顔を見ると、にこっとして、 「おねえちゃん、だっこ。」 といって、抱きついてきたのです。 そんな子ねずみをどら船長に引き渡すことはできません。そんなわけで、1匹もつかまえられずに、約束の日がやってきました。
途方にくれているグレたちのところへ、ねずみ組合の委員長がやってきました。 「お見かけしたところ、あなたたちは、ねずみを殺せるようなねこではありません。私にいい考えがあります。協力してもらえませんか。」 と委員長は切り出しました。 委員長の話によると、この船の料理はひどいもので、釣った魚を、甲板のうえにぽんぽん放り投げて、1番大きくてよいさかなを船長が食べて、残りのさかなは、早いもの順に、乗組員が食べるのだそうです。 「だから、私たちはいつも食べ残しの頭や、骨ばかりなのね。」 カノジョがいいました。 「俺たちに残り物ばかり、食わせやがって!」 と、マスターは怒りをあらわにしました。 「それでも、食べられるだけ、ましだよ」 グレがいうと、カノジョもマスターもうなづきました。 委員長の話によると、ネズミたちは、毎晩その食い散らかしたさかなの残骸を全部調理して、冷凍庫に保存したり、干して乾物にしたり、調味料をつくったりして、役立てているそうなのです。 だから、毎晩ちらかった甲板もつぎの朝にはきれいに片付いているのです。 「君たちは何も迷惑をかけていないじゃないか。かえって、きれいにしてくれているのに、何で、殺されなければならないのかなあ」 と、グレは聞きました。委員長は 「あの船長は、自分より弱い者を見つけると、徹底的に打ちのめさないと、気がすまないのです。神様はすべての生き物を平等におつくりになったのに。」 といいました。3匹は 「本当に委員長の言うとおりだ。ジュールの町も戦争の被害で、みんな不幸になっていた。殺しあったあとには何も残らないのに」 と思いました。 「私にいい考えがあります。船長に私たちの料理を食べてもらいましょう。そして、気にいってもらえたら、料理係として、働かせてもらうのです。もし、気に入ってもらえなければ、殺されても仕方ありません。あなたたちが、うまく話をつけてください。」 と、委員長が提案しました。 グレたちはこの提案にすべてを託すことにしました。
どら猫船長に話をもちかけると、 「もし、まずかったら、おまえらの命もないからな」 とおどされました。
いよいよ料理の準備が整って、船長も、乗組員も全員食卓につきました。 いつも食べているさかながさまざまな料理に生まれ変わって、運ばれてきます。 鯛のお頭つきのさしみや、ふかひれスープや、白身魚のムニエルなどなど、みんな、夢中になって、食べました。 どれも心のこもったおいしい料理でした。 もちろん、ねずみたちは、料理人として、生き残れるようになりました。
3匹も料理人のメンバーにいれてもらって、航海を続ける事ができました。
ジュールの町を出てから2ヶ月たちました。 春はもうそこまで来ています。ギャラネコの町につく日も近づいてきました。
つづく