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いよいよメルリンケルのコンサート当日の日がやってきました。
夕方のコンサートでしたが、カノジョとチャピーは朝から美しく着飾って、そわそわと落ち着きません。 このところ、メルリンケルのコンサートの日は、カノジョたちが出かけてしまうので、ノラーズの仕事のほうは必然的に休みになってしまうのです。この件に関しても、グレとマスターはおもしろくないところでした。 昼過ぎになると、カノジョが 「早く行かないといい席がとれないから、もう出かけましょう。」 と言い出しました。 「え、まだ昼過ぎじゃないか。コンサートがはじまるのは夕方だぜ。」 と、グレたちは反論しましたが、無論聞き入れられず、出かけることになりました。 コンサート会場はギャラネコポリスの郊外で、眼下に青い海を見渡せる、小高い丘の上にありました。緑の芝生の中央には、夜間の照明設備の整った、立派な野外ステージができていて、広い芝生の上には、もう気の早いギャルねこたちが、思い思いの場所に寝そべっていました。 「ほら、もう先をこされたわ。」 「早く前の方に行きましょう。」 カノジョとチャピーは入り口で入場料を払うと、少しでもいい場所を取ろうと、駆け込みました。 グレとマスターはしぶしぶついていきましたが、4匹の姿を見て、 「あら、ノラーズよ。」 と気がついて、サインを求めてくるねこもいました。ノラーズはもうギャラネコでは、結構有名になっていたのです。 グレやマスターのファンのねこたちもいましたので、2匹は今までむかついていた事も忘れて、すっかりいい気分になっていました。
やがて日も暮れて、空に星が瞬き始めると、ステージは色とりどりの照明で照らされました。緑の芝生は、もうほとんどねこたちで埋め尽くされ、まわりの木々に登っているねこもいます。少し太めのマダムたちのグループもいました。やがてファンファーレが鳴り響き、司会のねこが、ステージに現れますと、今まで寝そべっていたねこたちも、一斉に総立ちになりました。ピアノやドラムの演奏がはじまり、いよいよメルリンケルがマイク片手に歌いながら、姿を現しました。 「キャー、メル様!!」 という黄色い歓声で、会場は埋め尽くされました。カノジョとチャピーもメル様にあげる花束を握り締めながら、目は星になっています。グレーのタキシードに身を包んだメルリンケルの姿を見た、マスターは、 「メイじゃないか!お前、生きていたのか!」 と叫びました。グレも 「天国で逢ったメイさんと同じですよ。メイさんの生まれ変わりでしょうか。」 と驚きの表情です。
第一部の終りが近づき、カノジョとチャピーが花束を持って、ステージに駆け寄ると、メルリンケルはグレとマスターも来ていることに気がついていて、花束を受け取りながら、 「よかったら、ノラーズも参加してください。僕は以前から、ノラーズのファンなのです。」 と言ったのです。 「本当ですか。信じられないわ。メル様と共演できるなんて。」 カノジョとチャピーは天にも昇る気持ちでグレたちのところへ帰ってきました。 グレとマスターは憎きメルリンケルに対する気持ちは吹き飛んでしまって、メイに逢えたうれしさで、いっぱいになっていました。 カノジョたちがメルリンケルの話を伝えると、 「もちろん、OKだよ。メイと共演できるなんて。」 と言うのです。 「メイじゃなくて、メル様よ。」 チャピーが念を押しました。
第二部が始まり、ステージに出てきたメルリンケルは 「皆さん、今日は僕の大好きなグループ、ノラーズがこの会場に来てくれています。ノラーズの皆さんにも、歌っていただきましょう。」 ワー、キャーという歓声と拍手の中、4匹はステージにあがりました。 それから先のことは、4匹は夢のようで、よく覚えていません。メルリンケルのバンドの楽器を借りて、「明日を信じて」と「クロネコブルース」を歌い、最後に、メルリンケルもいっしょに「愛すればこそ」を歌いました。 夢のようだったのは、ノラーズばかりではありません。その日の観客はみんな夢見心地でした。何回もアンコールの拍手が鳴り響き、最後にステージを降りるときも、メル様!!という歓声とともに、カノジョ!!チャピー!!グレ!!マスター!!と4匹を呼ぶ声が鳴り響いていたのです。