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バーバラさん親子に別れをつげ、クロスケの家を出た4匹は、アロハという南の島へ寄っていく事にしました。 マスターが昔行ったことがある島で、そこで初恋をしたそうです。なつかしいので是非というので、他の3匹も行ってみようということになったのです。
アロハ島へは、トミーがソリで送ってくれましたので、あっという間に着いてしまいました。 冬だというのに、太陽がさんさんと照りつけて、海ではサーフィンや海水浴を楽しんでいました。ビーチではヤシの木陰で、みんな寝そべって、ここちよさそうでした。
グレたちは南国の花の咲き乱れる公園を散歩しました。 ブーゲンビリアやハイビスカス、アナナスの花がきそいあって咲いています。蝶やトンボ、ハチも思う存分蜜を吸いに来ていました。 グレたちがブーゲンビリアのトンネルを歩いていくと、高い木の陰で、小さなレースのハンカチのような織物をたくさん作っているクモに出会いました。黒と黄色の美しい縞模様の母グモで、彼女は大きなおなかをしていました。
「何を作っているんだい?」マスターが尋ねました。 「クモの巣よ。もうすぐ50個の卵が生まれるの。それまでに50枚のクモの巣を作り上げなくてはならないの。」母グモが答えました。 「もうすぐあかちゃんが生まれるのね。それなのにあなたは、どうしてそんなに悲しそううなの?」カノジョが聞きました。 「あかちゃんが生まれたら、私はすぐにその子たちと別れなければならないの。そうしないと私はその子たちを食べてしまうのです。」母グモが答えました。 「何で!!」みんなは絶句しました。 「それはクモの本能だからよ。神様が私たちクモを、そうお作りになったの。私にはどうすることもできないのです。だからせめて、このクモの巣を1匹づつに作って持たせることにしたのです。子供たちは、生まれたらすぐに自立しなければならないので、私のせめてものプレゼントです。」母グモが答えました。 母グモは、50枚のクモの巣を作り終わると、出産の準備に取り掛かりました。母グモが苦痛に顔をゆがめながら、出産をはじめて、どのくらい時間がたったでしょうか。 やがて母グモは、50個の真珠のような卵を産み落としました。
「みなさん、それではごきげんよう。子供たちが卵からかえったら、このクモの巣を渡してください。」母グモが言いました。 「もう行ってしまうのですか?もう少しいられないの。」カノジョが聞きました。 みんな、産後間もない母グモの体が心配でした。 「ええ、これ以上いると、この卵を食べてしまうかもしれないの。」 母グモの目から、朝露のような美しい涙が一粒こぼれました。そして足早に去っていきました。
しばらくすると、卵がかえって、50匹の小さなクモが現れました。 「ぼくのクモの巣はどれかな。」 「私のにはピンクの花もようを入れてくれてるはずよ。」 子グモたちは、口々におしゃべりしながら、それぞれの自分のクモの巣を見つけると、兄弟に別れをつげて、去っていきました。
「ぼくのはくちゃくちゃになっちゃった。」 最後に残った一番小さな子グモは、一番下になって、くちゃくちゃになってしまったクモの巣を持ってきて、グレたちに言いました。みんなで引っ張って、広げてあげると、何とかきれいな形に戻りました。 「君、体が小さいけどこれを背負っていけるかい?」グレが言うと、 「だいじょうぶさ、かあさんのおなかの中にいる時に、何度も言われたんだ。」「自分の力で、しっかり生きて行きなさい。かあさんの子なんだから、自身を持って。」 そう言うと、その子グモは、母グモの作ってくれたクモの巣を背負い、去って行きました。
グレたちもノラ猫で、もの心ついたときには、母親は居りませんでしたので、 「おかあさんの愛ってすごいね。」 「僕たちのおかあさんもきっと、僕たちを愛してくれていたんだ。」 チャピーも家を出てから一度も会っていない両親を思い出して、涙を浮かべていました。
その日グレたちは、海に夕日が沈むまで、ヤシの木の下で、それぞれの思い出にひたりました。