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あくる朝目覚めた4匹は、昨日の余韻にひたるまもなく、旅の支度をはじめました。そこへ1羽の白いフクロウが、1通の手紙を届けてくれたのです。 『こんにちは、ノラーズの皆さん。僕は以前からノラーズのファンで、1度でいいからコンサートに行きたいと思っていました。でも僕の住んでいるところは、ご存知でしょうか?トカゲケイコク!そう、皆さんの世界とは遠く隔たった秘境なのです。 僕たちは先祖代々から、この険しい山岳地帯から出たことがありません。むろん、コンサートにも行けるすべがないのです。今度ノラーズがギャラネコの町を出て行くという話を風の便りに聞きました。ラストコンサートにはどうしても行きたかったのですが、叶うことはありませんでした。お願いです。一度だけでいいですから、僕たちのトカゲケイコクに来てください。 トカゲのコタロウより』 この手紙は旅支度をしていた4匹の心をゆさぶりました。 ギャラネコの奥地にある、トカゲケイコクという秘境は、あまりにも険しい岩がそそり立っている場所で、過去に数匹の健脚が訪れたことがあるのですが、いずれもたどり着くことができず、この世を去っているのです。 それ以来だれも訪れるネコはいなくなり、トカゲケイコクの住民のトカゲたちとヤモリたちは、自分たちだけの世界で暮らしてきたのです。月に一度その村から町にやってくる数匹のトカゲたちが、唯一の橋渡しでした。ノラーズのラストコンサートのことも、コタロウはそのトカゲから聞いたようでした。 カノジョ「何とか行ってコンサートをしてあげたいわ。」 マスター「でもどうやって行くんだい。かって生きて帰ったネコはいないんだぜ。それにヘリコプターも近づけないような岩がそそり立っているんだ。」 思案している4匹のところへ今度は天国からトナカイのトミーが荷物を運んできました。 グレ「トミーしばらくだね。メイとクロスケは元気にしている?」 トミー「はい、元気で毎日働いていますよ。そのメイとクロスケから皆さんにプレゼントです。今度ギャラネコの町を出ることになったそうなので、これを持っていって渡してほしいと頼まれたのです。」 トミーはそう言うと、1枚のじゅうたんを下ろしました。 ジャガード織の美しいじゅうたんで、前のほうには、メイとクロスケの顔が織り込まれ、後ろにはふさふさしたしっぽのような飾りがついています。 じゅうたんには1通の手紙が添えてありました。 『みんな、しばらくです、ギャラネコを出ることになったそうですね。これからどんな旅に出るのかわからないけど、僕がメイに教わりながら、はじめて織ったじゅうたんです。使ってみてください。これに乗って行きたいところを念じると、そこへ連れて行ってくれます。それではみんなの健闘を祈っています。 クロスケ』 カノジョ「メイとクロスケからだわ、これはまほうのじゅうたんだわ!!」 カノジョの言葉に皆顔を見合わせました。 おとぎ話では読んだことがあるけど、実際に見たのは、はじめてです。 チャピー「これさえあれば、トカゲケイコクにも行けるわね。」 グレ「クロスケのやつ、すごいじゅうたんを作れるようになったんだなあ。」 4匹はさっそくコタロウに返事を書きました。 『コタロウ君、ご希望通りトカゲケイコクに行って、コンサートをやります。楽しみに待っていてください。 ノラーズより』 グレ「トミー、天国に帰る前にこの手紙をトカゲケイコクに寄って、届けてください。それからメイとクロスケに本当に感謝していると伝えてください。」 トミーはトカゲケイコクに向けて、飛び立ちました。 チャピー「だれが最初に乗ってみる?」 マスター「オレはあとでいいぜ、レディーからお先にどうぞ!」 カノジョ「そんなこと言わないで、一番旅に出たかったマスターからどうぞ!」 みんな空飛ぶじゅうたんなんて、はじめて見たので、乗るのがこわいのです。結局、すったもんだの末、マスターが最初に乗るはめになりました。マスターは恐る恐る乗ると、覚悟を決めて、開き直ったのか、 「この町一番の美人がいる酒場へ飛んでいけ!!」と念じました。 マスターを乗せたじゅうたんは、ギャラネコで最も評判のマダムがいるキャネットという酒場へ連れて行ったのです。しばらくしてほろ酔いで帰ってきたマスターは、大満足。 次はグレの番です。 「5つ星のレストランへ飛んでいけ!」 グレの願いも叶って、町一番の高級レストランで食事をしたグレが、ごきげんで帰ってきました。 最後はチャピーとカノジョがいっしょに乗って、 「私たちのお気に入りのブティックに連れて行って!」 と念じると、ギャラネコ一番のセンスのいいブティックに連れて行ってくれました。 4匹は夢のような贈り物に興奮して、その夜遅くまで眠ることができませんでした。いよいよ明日はトカゲケイコクに向けて出発です。