『俺と僕で何?』


第弐話 新しい生活


「レイ。シンジ君。二人とも、お疲れ様でした 」

「本当に助かったわ。レイには悪いことしちゃったわね。ごめんね、作戦らしい作戦、立てられなくって」

「私も謝罪するわ。プログナイフとニードルガンしか装備できなくて」

「いえ。特に問題はありませんでした」

「シンジ君、大丈夫だったぁ?いっきなりでビックリしたでしょ」

「そりゃ、まあ、ビックリはしましたけど。・・・結局何もしてませんからね、俺は・・・。綾波さんに何もするなって言われてましたし・・・

「ま、拗ねない、拗ねない。次はバシッと決めて、レイを見返してやるのよっ!」

・・・。まだ俺はパイロットの件を了承したつもり、無いんですけど・・・」

「あっちゃーー。折角気分良さそうなところ狙ったのに・・・。シンちゃんの、い・じ・わ・る!」

「無様ね」

「はあ・・・シンちゃん、ですか」

何なんだよ・・・この人は。全く・・・。これで作戦部長かよ。

「まあまあ、勝てたからいじゃない。気にしない、気にしない」

「で、これから俺はどうすればいいんですか?」

「そうね。まず住む所を確保しなくっちゃいけないわよね。ねえ、リツコ、何か聞いてる?」

「シンジ君の住む所はもう決定済みよ」

・・・そうですか・・・・・・父さんと一緒、ですか・・・?」

「あら、違うわよ」

「違うんですか?」

「あら、お父さんと住みたかったのかしら?」

「いいえ、そういう訳じゃあないんですけど…。ちょっと意外だったって言うか」

「で、どこに住むのよ、シンちゃんは!」

「後で教えるわ。正式に書類上の手続きを終えたらね。手続きは私がしておくわ」

「どうしてリツコがやんなきゃいけないのよ?」

「シンジ君は作戦部所属となるけど、当面は技術部付きなのよ。今日が初日なんだから色々と身体的検査やエヴァとの技術的なテストデータを取るのに相当日数かかるもの。碇司令の命令でもあるのよ 」

「碇司令の?」

「そう。それにあなたは今日の戦闘の後始末、いっぱい溜まってるわよ。庶務事項どころじゃあないでしょ」

「げっ!せっかく忘れてたのにぃ・・・

「じゃあ、シンジ君、一緒に来てちょうだい」

「はい、わかりました」

「レイも今日はこれであがっていいわよ」

「はい。わかりました」

赤木さんの後に付いてまた結構歩いたな。

「あの、赤木さん。なんでここはこんなに移動に時間がかかる構造になってるんですか?」

「シンジ君。リツコでいいって言ったでしょう。まあ、いいわ。次からはよろしくお願いね」

「はい。・・・リツコさん」

あ、ちょっと笑ってくれたぞ。・・・美人だよね。葛城さんとはまた違う大人の魅力だな。

「この施設には沢山の機密事項が多すぎるの。エヴァはその最たるものね。当然それに関わる機械やらも重要機密。だから外部から簡単にはアクセス出来ない構造にしてあるという訳。おわかり

「はい、何となく」

「まあ、シンジ君にとっては知らないことばかりだもの。仕方がないわ。おいおい教えるから心配しないで」

「わかりました」

「さあ、着いたわ」

『技術開発部技術局1課 E計画責任者 赤木リツコ博士』

ドアにプレートが貼ってある。

「どうぞ」

「はい」

中は思ったほど広くない。沢山の本や書類、それといくつものパソコンやら周辺機器類が広いデスクに置いてある。

「凄いですね・・・。これみんなリツコさんが使うんですか」

「そうよ。そう言われると我ながらうんざりだわね。普段は気にしていないけど」

「やっぱり博士って感じですね」

「そんなことないのよ。大したことじゃないわ。それよりあなたの書類、とっとと片付けちゃいましょ。これに必要事項を書いて、ハンコなんて持ってないでしょうから拇印押しといてね 」

結構枚数あるじゃないか。

「これ全部ですか・・・

「今日じゃなきゃいけないってことではないけど、後にするとまたそれはそれで大変よ。私はちょっと後片付けしてるけど、わからない事があったら気にしないで聞いてね」

「わかりました」

と、何でこんなにいっぱい書類があるんだろ。

『職員調書』

『通勤交通費申請書』

『IDカード受領書』

『就業規則受領書』

『緊急時マニュアル受領書』

『「ねるふ江ようこそ」受領書』

この受領書って一枚にすればいいのに・・・

「そういえば『ねるふ江ようこそ』は葛城さんの車ん中に置きっぱなしでした」

「いいわよ。私からミサトに言っておくから。それと葛城さんじゃなくて、ミサト、でいいわよ。私の調子が狂うから。いいって言ってたでしょ?」

「はい。そうでしたね。なんかまだ慣れてないんですよ、そういう呼び方って。ところで『就業規則』があるんですけど、俺ってここに勤めるんですか?」

「そうよ。あなたが拒否しなければね。『雇用契約書』もあるんだけど、こっちは後で私からきちんと説明するので、納得してからサインしてね」

「わかりました。リツコさん、こっちは全部終わりましたよ」

「了解。私も終わったわ。書類はここに置いて行って構わないから。どうせ家にもあるんだし」

・・・

「『職員調書』に住所が記入済みだったんですけど、あの住所って、もしかしたら・・・

「あら、良く気が付いたわね。察しの良い子は嫌いじゃないわ。そう、私の家よ」

「えっ、ええーーーーっっ?」

とにかく今日は疲れた・・・。もう2時だもんな。今日じゃなくて昨日、か・・・

でも、直には眠れそうもないや。

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「さ、ここよ。あまり片付いていないんだけど」

「お、お邪魔します・・・

「シンジ君。ここはあなたの家なのよ。もっと堂々と入んなさい」

「はい。ただいまー」

「おかえりなさい 」

「ニャー・・・

リツコさんって、最初の印象が強かったせいか、もっときつい性格かと思ったけど、そうじゃなかったんだ。猫飼ってるし・・・。悪い人じゃないよな。猫飼ってるんだから・・・

回りくどい言い方が嫌いなだけで、人の心を思い遣ってくれてる、良くわかんないけど・・・そんな気がするな。

・・・このマンションと家の中は大体わかったわね。じゃ、今後の生活当番を決めましょう。いいかしら」

「ええ。どうやって決めますか?」

「ジャンケンでもいいけど、もう遅いし、あなたさえ異存がなければMAGIに決めさせるのもいいわね。公平でしょ」

「いいですよ 」

「じゃ、決定ね。明日結果を持ってくるわ」

そんなことにMAGI、世界随一の人格移植スーパーコンピューターって言ってたけど、使っていいのかな?

「それから明日はこの第三新東京市内を観光してきなさい。これからここで生活するんだからある程度覚えておかなくちゃね」

「地図とかあるんですか?」

「それ位自分でなんとかしなさい、と言いたいところだけど、心配しなくていいわよ。案内人を付けるから。明日迎えに来るわ。ただし、その案内人の氏素性は根掘り葉掘り聞かないこと。まあ、シンジ君がそんなことするとも思わないけど、 念のためね」

「誰なんですか?」

「それは明日のお楽しみ 」

誰なんだろう?お楽しみってことは俺の知ってる人か・・・。ミサトさん、かな・・・

 

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リツコさんって、性格にそぐって機能的な生活感覚みたいだな。

家の中も余計な物は全然なくてすっきりしてるよな。いつも家に帰るのが遅いから、なんて言ってたけど・・・

リツコさん・・・今度 は良い家族関係みたいになれるといいな、先生の家よりも・・・

・・・もう、寝よう。眠れ・・・そうだ・・・

・・・


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