『俺と僕で何?』


第参拾話 使徒、そして…セカンドインパクト


・・・

日付けが変わった。

・・・

「それではー、っとぉ!難解なお話しの再開、っと行きますかぁ!」

ミサトさん、何だかテンションが高い・・・夜型だから?

「お夜食の追加、ここに置いておきますから、適当に食べて下さいね。

碇君って流石・・・・気配りが素敵。

「ありがとう、シンジ君。君って本当に好意に値するね」

何か意味不明な事を言ってる渚君・・・と、赤くなってるのは碇君・・・?何故?

「あ!そうだった・・・。葛城ぃ、夜は長いがビールとか酒とかは今は止めろよ」

「わあーってる、って!そんなに飲んだら・・・ただてさえ解り難い話しがぜーっんぜんっわっかんない話しんなっちゃうもんねぇ!」

ミサトさんのハイはアルコールが原因?

リツコさんが呆れ顔・・・

「あとは・・・っと、そうそう。レイちゃん」

「はい。なんでしよう、加持さん?」

「渚君がお味方だって判ったんだし、今日は無理したり我慢したりして体調を悪くする事の無い様にな。自分の身体なんだから、大事にする様に」

「はい、無理はしないつもりです。加持さん・・・ありがと」

加持さん・・・こんなに暖かい人だったなんて、今までは知らなかった・・・だから、感謝の言葉。

「じゃ、始めてくれ。今や腹芸はいらなくなったんから、聞役はリッちゃんがいいよな?」

「「「「「・・・」」」」」

みな、無言で了承の意思を表す。

「では、私が代表して質問します。何かあれば他のみんなも自由に発言してね」

「「「「「・・・」」」」」

再び、無言で了承の意思表示。

「さて、では・・・・・・

・・・どうしたのかしら、リツコさん?

なかなか話し始めないわ?

「どうぞ、遠慮はいりませんよ、赤木博士」

「ご、ごめんなさい・・・何をどこまで話してたんだったかしら?」

・・・わたしもわからない・・・

・・・みんな・・・・・・わからないみたいだわ。何故?

「仕方がないですね・・・・。いいですか、お教えしますよ。

『前の『碇シンジ』君ではない部分の『碇シンジ』君、私達流に言うと、『僕』ではない『俺』との差分、って何だったのかしら?そして、その差分は何故『僕』に付加されたのか?それは必要な事で誰かの意図でなされたのか、単なる事故だったのか?今はどこに行ってしまったのかしら?』

『困るなあ・・・そんなに沢山聞かれてしまうとね』

『あら、ごめんなさいね。つい・・・

『しかも今簡単に答えても『何故』の部分が理解出来ないでしょうね、まず間違い無く・・・

っていうところからですよ」

「「「「「!!」」」」」

・・・ちょっとビックリ・・・

あんなに長い台詞なのに全部・・・多分一字一句間違えずに言えるなんて・・・

流石に『使徒』、侮れないわ・・・

「それに対する答えは次の様になりますね。

『『僕』ではない『俺』との差分は『リリス』の魂の一部である。今その『リリス』の魂の一部は『綾波レイ』の中にある。これらの『リリス』の魂の一部の動きは前回の『リリス』が必要だと判断しその意図でなされた。従って、単なる事故ではない。ただし、その『リリス』の魂の一部が何故『僕』に付加されたのか、については、前回の『リリス』が必要だと判断したから、としか言えない。僕、渚カヲルは知らされていないから 』

とね」

わたしは・・・なんとか意味が解る程度・・・

・・・よ、良く覚えているわね・・・

「僕も『タブリス』ですから・・・『ザドキエル』まではいかなくとも・・・『記憶の操作』程度は何とかなるんですよ」

「何、その『ザドキエル』っていう名前は?」

「『天使』の名前のひとつですよ」

・・・わたしには意味不明で理解不能。

でも、いいの。

必要・・・ないもの。

(ホントに?)

・・・ところで・・・さっきの渚君の答えに出てきた、『リリス』の魂の一部の『リリス』って、前回の『リリス』と同じなのかしら?」

「流石に赤木博士、ポイントは鋭いですね」

「で?」

「答えは『ノー』です」

「時間的な問題かしら?」

「惜しい。・・・時空・・・ともに、ですよ」

「確かに・・・良くわからないわね?」

「それは仕方のない事なんですよ。皆さんには『使徒』についての知識が絶対的に少ないんですから」

「じゃ、渚君!ズバリ聞くわ。『使徒』ってなんなの?」

・・・やはりミサトさんが質問するのね。・・・『使徒』・・・ミサトさんのこだわりだから・・・

「葛城さんも直球派ですねぇ。一言では無理で長くならざるを得ないんですが・・・いいですか?」

「いいから続けて!」

ミサトさん、何だか変?

まるで怒っている様に見えるわ?

「はいはい・・・。皆さんが『使徒』と呼ぶ物は、実は色々な種類があるというか・・・全部が全部同じではなくて・・・そうですね、『神』の設計ではその機能や目的が違うみたいなんです。だから一言では言えないので、順を追って説明した方がいいんですがね?」

「わかったわ・・・任せるわよ」

「まず、貴方達の言うところの第壱使徒『アダム』と呼ばれている物は、最初の単体生命で、それぞれの宇宙が誕生する度に只一つ発生していきます。だから、それぞれの宇宙に一つずつ存在する『アダム』はそれぞれ別の魂を持っている事になりますね ・・・・・・ここまではいいですか?」

・・・解るわよ、大丈夫」

わたしも大丈夫。

「はい。これに対して、第弐使徒になるのかな?『リリス』と呼ばれている物は、最初の単体生命でありながら、最初の宇宙に発生し、元の宇宙から分裂した別の宇宙が発生する際にそれに対応して分裂し、その結果としてそれぞれの宇宙に一つずつ存在する事となります。だから、各宇宙に存在する『リリス』は元の宇宙に存在する『リリス』の魂を源とする訳で、ある意味共通の魂を持っていると言える訳です 」

・・・それが『時空を異にするリリス』の意味なのね」

「その通りです。その『リリス』は雌雄同体であり女性でもあり、さっき説明した様に元来分裂形質があり自己増殖が可能だし雌雄異体となる事も可能なんです。今の『ヒト』、貴方達『人類』の始祖はこの『リリス』です。だから厳密に言えば君達『リリン』つまり『人類』は『使徒』じゃあないんですよ 」

「それが・・・本来のわたしの姿なの?」

・・・思わず声に出てしまったわ。

「『それ』がどっちを指してるのかがわからないが・・・不安なのかい?レイちゃんは『リリス』じゃない、『リリン』つまり『ヒト』だ。確かに厳密には『人類』ではないが、これ以上は無いと言える程に、限り無く『人類』に近い『ヒト』なんだよ。だから安心して良いんだ 」

「そう・・・わかった。」

「一方、『アダム』は単体生物で、元来単体での存続が可能というか単体での存続を目的とした存在です。従って自らの増殖の必要はなく性別的には雄と言っていい。だから自己増殖や分裂は不可能なんです。ただし…『アダム』から創られた雌である『エヴァ』が『アダム』と接触する事で自己増殖が可能となります。先史文明の『ヒト』の始祖となったのはこの『アダム』と『エヴァ』だ。因みに、過去の『ヒト』、先史文明の『ヒト』も『ヒト』である事では『人類』に極めて近い存在ですよ 」

・・・過去の『ヒト』、先史文明の『ヒト』なんて・・・ホントにいたの?」

あ、碇君・・・

「ああ、シンジ君。この宇宙には・・・先史文明の『ヒト』つまりこの地球に君達『人類』よりも随分と早く極めて高度な文明を築き上げた『ヒト』がいたんだよ。それにこの宇宙の別の惑星で同様に高度な文明を築き上げた『ヒト』達、過去の『ヒト』達がいたんだよ・・・

「そ・・・そんな事って・・・

「あったんだ、間違い無く、ね」

わたし達・・・ちょっと茫然・・・

「でも、貴方は何故そんな事を知っているの?」

あ、リツコさんが再起動した。

「それは僕が今回この宇宙のこの地球でこの『渚カヲル』の体を得て、この世界の『アダム』と『リリス』の記憶に触れたからですよ」

「そんな事が・・・

「『リリン』には可能ですよ、『リリス』に還りさえすれば。サードインパクト直後は一部の人間を除いて皆が『リリス』の『記憶』を共有したんですよ。もっとも・・・元の個体としては認識不可能ですがね 」

「でも・・・貴方は『リリン』でもなければ『アダム』から発生した『ヒト』でもない、『使徒』、なんでしょう?『使徒』は『アダム』と『リリス』の両方の記憶に触れられるの?」

「僕のケースは少々特殊でした。これを説明するにはまず・・・第参から拾七までの『使徒』について知っていただく必要があります。『第拾七使徒』は・・・まあ僕の事なんですが・・・これはさっきも言った様に特殊事例なんで後で説明する事にしましょう」

渚君、ちょっと苦笑いしてるわ。

「ごめんなさいね。ちょっとびっくりして・・・話しを逸らしてしまったわね」

「いいですよ・・・まだ時間はあります。で、レイちゃんはまだ眠くないかい?」

え、わたし?

「ええ、わたしは大丈夫」

思わず顔をフルフルと横に振るわたし。

「じゃあ・・・今度は第参以降から第拾七までの『使徒』について説明しましょう。これらの『使徒』の本来の存在様式はと言うと、その姿は・・・そうですねぇ・・・全ての多元的宇宙の狭間を飛び交う『魂』の様な存在だ、って感じですかね。ちょっと皆さんにはイメージが伝わり難いかも知れませんが ・・・いい例えが思い付きませんねぇ」

「うーん・・・肉体の無い精神体、って感じ?」

ミサトさんが首を捻ってる。

「まあそうですね。ただ人間の精神体と決定的に違う点があります。それは『言葉』が無い点なのですよ」

「あうっ・・・

あ、首の捻りが一段と深くなってる。

「まあ、葛城は気にしなくて先に進んでくれ」

「あーによぅ、それぇ・・・

「ミサト!あなたは黙って聞いてなさい」

「ふん。どうせあたしはサルですよぉ」

今度はすねた。

でも・・・それを言うなら『ウシ』だわ。

『サル』は前の弐号機パイロットの事だもの。

「じゃあ続けますよ。・・・『使徒』は、『神』の意志に従いどこかの宇宙に接触すると、その接触した宇宙の中で物質化し、『アダム』に対応する一種の『エヴァ』の様な存在になるのです 」

「だから『アダム』を目指す・・・というのね」

「そうです」

「その目的は何?」

「統べからく種としての存在自体は目的なんか自覚していません。単にそう創られているか、そう出来ている、と言うしかないですね。強いて言えば・・・貴方達が言うところの『本能』ですよ 」

「つまり物質化した『使徒』は『アダム』に接触する本能がある」

「そうですよ。人間に例えれば・・・それは呼吸という本能とまでは言いませんが、食事位には近いレベルかな」

「押さえ付けるのは大変、って事かぁ・・・。渚君は大丈夫なのかい、メシ我慢してて?」

「僕は幸か不幸かヒトの肉体を得ましたから、我慢出来ますよ」

「何が幸いで何が不幸なんだい?」

「言葉と理性と知恵を得た事は幸いにして、かつ、不幸でもあります。まあ、最大の不幸は・・・このヒトの肉体が男性だった事、かな」

「それは何と無く判るな。『アダム』を口説くにはチト問題か・・・

碇君以外みんな、苦笑い・・・・・・碇君が真っ赤なのは・・・何故?

わからないのはわたしだけ?

「碇君?」

「な、なんだい、綾波」

「碇君が真っ赤なのは何故?」

・・・

「レイちゃん。」

加持さん・・・

「はい。」

「後で俺から説明するから、な」

「はい、わかりました」

「『使徒』について・・・ようやく僕からは最後ですから。・・・僕達は皆さんから『使徒』と呼ばれていますが、『旧約聖書』的には『天使』に近くて・・・その使命を果たした結果は・・・『ヒト』にとっては『最後の審判』とも言えます。蛇足ですが『大天使』は『神』の意志に反したイレギュラーな事態に対処するための存在で、場合によっては意志に反したイレギュラーな宇宙そのものを消滅させる事もあるらしいですが ・・・『ヒト』レベルでは認識不可能でしょうか」

・・・じゃあ、『神』は?」

「『神』は・・・この全ての宇宙にも宇宙の隙間にも存在していない・・・だから認知不可能な存在」

「じゃあ存在しないかも知れないじゃない」

「僕達は『神』を認知する事は出来ないが、『神』と言う概念で捉えるべき事象は実在しますよ、確実に。ただ・・・僕達にそれから逃れる術はありません」

「「「「「・・・」」」」」

「後はセカンドインパクトとサードインパクト、か。今後の対策は後日にしましょうか。いずれにしても一旦休憩にしましょ」

「「「「「了解」」」」」

みんな適当に休憩タイムなの。

リツコさんだけは、調書の作成だと言って、コーヒーを持って自室にお篭り。

わたしは碇君の作ってくれたサンドイッチを持って行った。

リツコさんにお礼を言われた・・・体壊さないでね、リツコさん。

ミサトさんは加持さんとお話ししてる・・・何だか楽しそう。

碇君・・・碇君は渚君とお喋り・・・どうしようか、わたしは?

・・・

あ!

碇君がわたしを手招きして呼んでくれてる!

・・・トコトコトコ・・・

「綾波、結構遅くなっちゃったけど・・・ホントに大丈夫?無理するなよ。」

「ありがと。でも大丈夫」

「レイちゃん」

「なに、渚君」

「レイちゃんとシンジ君とはいずれまた折りを見て話もあるし、無理しないで良いんだ」

「二日連続はキツイ。けど一日なら大丈夫。心配しないで」

「そうかい、わかった」

少し素っ気無さ過ぎたかしら?

「むしろ・・・渚君こそ喋り通しで大変だわ」

「そうだね・・・確かにヒトの形である限り不眠不休は辛いよねぇ。S2機関を持つこの身でも、徹夜が一週間超えると流石に堪えるかな」

「ええっ?!カヲル君そんな物持ってんのぉ?」

完全にわたしの理解の範疇を超えているわ。

「それは前のわたしとの約束のせい?」

「いや徹夜に関しては全くもって関係ないよ。最近昔のアニメに興味があってね。熱中して気が付いたら朝なんてしょっちゅうなんだよ。アニメはリリンの文化の極身だね、そうは思わないかい、レイちゃん 」

「わたし、アニメ読まないから」

「それは残念・・・人生を無駄に遣わないように、同じヒトとしての忠告さ」

・・・・・・

「あ、あのさ、綾波。そんなに気にする事ないよ。僕だってそんなにアニメは観ないんだからさ」

「渚君・・・

「なんだい?」

「今度貸して!」

・・・ああ・・・アニメのコミック本とかDVDかい?」

「ええ、そうよ」

「もちろん良いさ。嬉しいくらいだよ」

「碇君」

「な、なにかな?」

「渚君、貸してくれるって」

「うん、聞いてたよ。良かったじゃないか」

「碇君も一緒に観て・・・

「あ・・・やっぱりそうなるんだよなぁ・・・ハァ・・・

碇君・・・アニメ嫌いなのかしら?

「イヤ?」

「そ、そんな事ないよ!」

「良かった。じゃあ約束よ」

「あ、うん。わかった!」

(パン!パン!)

あ!リツコさん?

「そこっ!」

え、どこ?

「一番和んでるあなた達中学生三人組の事よっ!」

・・・あ、ここだ!

「あなた達で最後よ!早くしなさい・・・再開するわよ!」

みんなの休憩が終り集まってた。

「では今日最後の講義ね。渚君、お願いするわよ。」

「了解。・・・最後は、いわゆるセカンドインパクトとサードインパクトについてですね。前のセカンドインパクトはここでは貴方達第2東京大学卒業生の仲良し三人組が経験者。で、前のサードインパクトはここでは僕達第3新東京市立第壱中学校2年A組三人組が経験者、という事になります。まあ今のレイちゃんにはその記憶がありませんけどね 」

「やはり、そういう事なのね」

「え、どういう事よ、リツコ?」

「もう忘れたのか、葛城・・・だから俺達三人がサードインパクトの時に存在しなかったらしい、って言うシンジ君の話の裏が取れたんだろうが」

「あ、そういう事ね」

「全くもう・・・しっかりしてちょうだいな。ミサトは当分発言禁止!」

「へーい」

「セカンドインパクトの原因はご存じ、でしたよね」

「確信はないわ、子供だったもの。ネルフいえゲヒルンに入ってから極秘資料で読んで知っているだけにしか過ぎないわ」

「じゃあ・・・今度は復習みたいに、リツコさんからの質問形式でやりましょうか。どちらにしてもレイちゃんとシンジ君にはいつか知って置いてもらう必要がありますからね。・・・惣流アスカさんにはまた日を改めて、と言う事に・・・

・・・いいわ。では・・・まず・・・セカンドインパクトの原因は?」

「セカンドインパクトの直接の原因は、アダムの卵への還元に伴って発生した莫大なエネルギーの放出とそれに伴うエヴァのS2機関全出力の解放」

「え?・・・エヴァ?」

「貴方達の言う『光の巨人』です」

「「「「!」」」」

「『光の巨人』はアダムじゃあなかったの?」

ミサトさんが思わず呟いている。

・・・

「申し訳ありませんが『エヴァ』については最後にして下さい」

「わ、わかったわ・・・じゃあ・・・アダムの卵への還元の理由は?」

「エヴァが暴走し、制御不能となったため、予測されるアダムへの接触を不可能にするため」

「アダムの卵への還元の方法は?」

「ロンギヌスの槍によるエネルギー放出」

「アダムを卵へ還元するとエヴァがアダムへ接触出来なくなる理由は?」

「卵化したアダムをを硬化ベークライトに封入し耐核梱包すればエヴァがアダムを感知不能になる。理由は不明。この事を識った先のヒトの知恵を利用しただけの話です」

「エヴァのS2機関の全出力解放の理由は?」

「アダムの卵化エネルギー放出に対する自己防衛本能」

「エヴァ暴走の原因は?」

「無人制御技術の稚拙さと未成熟さ」

「何故有人制御ではなかったの?」

「現場の予備テストで予定していたパイロットの適格性に問題が発見されたため無人制御に移行せざるを得なかった」

「パイロットの適格性の問題とは?」

「詳細は不明。エヴァが拒絶したんだろうね、きっと」

「予定していたパイロットとは?」

「葛城ミサト」

あ、みんなもミサトさんを見てる・・・

「んー?あによー、今更・・・。レイとシンジ君はともかく、あんた達はとっくに気が付いてたんじゃなかったの?」

なんだか呆気に捕られた様な顔をしてるミサトさん。

「いやはや・・・俺は逆に葛城だけが気が付いてないと思って反射的に見たんたけどな」

「私も・・・

「あっそう・・・期待裏切って悪かったかしら?」

「綾波は気が付いてたの?」

「いいえ。碇君は?」

「いや・・・知らなかった」

「どうして・・・記憶・・・戻ったのでしょ?」

「知ってたかも知れない・・・でもセカンドインパクトの原因の事なんて考えた事もなかったからさ・・・

「質問・・・続けていいかしら?」

「あ、すいません。ど、どうぞ」

別に碇君が謝る事じゃないのに・・・やっぱり前の碇君なのね。

何だか安心しているわたし・・・何故?

「主要メンバーの中で碇ゲンドウだけがセカンドインパクトの前日に帰国した訳は?」

「セカンドインパクトを避けるために」

「セカンドインパクトは予想されていた、と言う事?」

「エヴァの無人制御技術は未だ未完成で失敗とその後のアダムの卵化までもが計画の一部だったのですよ」

「それも葛城博士の計画だったのかしら?」

「計画の発案はゼーレ。博士も概要は知っていたが全てを知らされていた訳ではない」

「だからミサトは当日まで現地にいたのね」

「そうでしょう。葛城博士は成功を確信していたんだと思います」

・・・お父さん」

ミサトさん・・・哀しそう。

「碇司令は知らされていたのかしら?」

「碇ゲンドウは失敗を確信していた訳ではなくゼーレの指示に従ったまで」

「そのゼーレの指示の意図は?」

「実験成果の資料独占と関係者の抹殺」

・・・何て事をっ!」

(ギリッ・・・ギリィッ!)

ミサトさん・・・

・・・ミサト、今は耐えてね、お願いよ」

「わかってるわよっ!・・・ごめん、大丈夫・・・よ。」

ミサトさん、辛そう。

「ミサトが回収され、かつ、保護されたのは何故?」

「洋上待避していた碇ゲンドウの乗る船により偶然に。保護は情報収集が主目的、かな。本当の理由は碇ゲンドウしか知らないでしょう。多分彼の判断です」

「アダムはいつ、誰によって回収されたの?」

「セカンドインパクトから約1ヶ月後に碇ゲンドウによって」

「そんなに時間的余裕があった訳は?」

「これも先のヒトの知恵を信頼しただけの話です」

「エヴァの回収は?」

「セカンドインパクトから約半年後にこれまた碇ゲンドウによって」

「アダムとエヴァはどこに保管されたの?」

「アダムはドイツのゼーレ本部に、エヴァは箱根のジオフロントに」

・・・そのエヴァって・・・・・・今どこにあるの?」

そうだわ。

何故、エヴァがあったの?

一体誰が・・・創ったと言うの?

思わず唾を飲み込んだ・・・

みなが固唾を飲む中・・・

「『エヴァンゲリオン初号機』・・・

・・・

「「「「!」」」」

暫しの沈黙。

「リツコさんは知ってると思っていましたが」

「いいえ、初耳だわ・・・

「リツコ。マジ?」

「本当よ。今更誤魔化したって意味無いでしょう?」

「まあ・・・そうね。一応信用してあげるわ」

「『一応』でもありがとう、信用してくれて。ミサト」

「いいのよ。信用し切れないあたしの方が我儘なんだから・・・

「しかし・・・だとすると、エヴァ初号機は誰が創ったんだ?」

加持さんがみんなの疑問を代表した。

「この点については僕にも判らない・・・

「何故、貴方はリリスとアダムの記憶を受け継いだんじゃなかったの?」

「この世界に関して受け継いだのは全てではなく、約束を果たすための限定的なものかも知れません」

「どうしてなのかしら?」

リツコさんの独り言?

「僕は『使徒』としての過去の記憶を持っています。今は『ヒト』の形だから言葉に出来ます。宇宙や使徒なんかに関する知識がそれに当たります。たが・・・この世界に関する限り自分自身が経験した事しか判らない。エヴァ初号機は僕がこの世界に来る前から存在していたと言う事なんでしょうね 」

「あーーあ・・・繰り返す過去、か・・・。一体今回で何回目なのかしらね?」

「あーに言ってんのよ、今更・・・そんなの判る訳ないじゃない」

「それはそうなんだけれどね」

「ま、流石の俺もその事についてはお手上げだな」

「あんたにしちゃあ、随分と諦めがいいじゃない・・・

「だってどう仕様もないさ、今更そんな大昔の事を詮索してもさ。誰も覚ちゃいないし、何の役にも立たないんじゃないかな」

「さあ、もう直ぐ夜も明けるわ・・・本当は『サードインパクト』についても聞きたかったんだけれど、今からじゃあ中途半端になってしまうから、また次の機会にしましょうか?」

「「「「「・・・」」」」」

無言による承諾。

そうね・・・わたし、もう思考能力がかなり減退しているわ。

「じゃ、最後に一人一問だけ質問して今日は終わりにしましょ」

「リツコ」

「何、ミサト?」

「次回はいつにするのかしら?前回と同じになるのかどうかは判らないけどさ、確かそろそろ次の奴が来るんじゃなあい?」

・・・そうね、一週間後位かしらね?次回の打合せは明日の24日金曜日にするわ」

「じゃあ金曜日までに、各自対使徒戦のプラン考えて置く事。じゃあ一人一問、あたしから行くわよ」

「あら、ミサトは今のでおしまいよ」

「え゛ー、っ!なんでよぉ」

ミサトさん、ほっぺた膨らんでる。

「一人一問、って言ったでしょ。はい、次ぃ!」

「じゃ、俺から渚君に。俺はゼーレにバイトを申し込んだ方がいいかな?」

「申し込まない方が良いですよ、確実に」

・・・そうか。分かった。ありがとう」

「シンジ君は?」

「うーーん・・・父さんは前の記憶を覚えてたり後で思い出したりするのかな?あ!これはカヲル君への質問だよ」

「碇司令は今は覚えていないと断言出来る。ただし、今後どうなるのかは正直言って判らないな」

「レイ、貴女は?」

・・・渚君。前の三人目のわたしの記憶や・・・その後のリリスの記憶をわたしが受け継ぐ時、わたしは今のわたしの気持ちを持ち続ける事は出来るのかしら?」

「受け継ぐ時のレイちゃんの気持ち次第なんだ。君の希望が叶う筈だよ」

・・・ありがとう」

「では、私から渚君へ」

「どうぞ」

「貴方は前の記憶を持っているけれど、他の『使徒』達はどうなの?」

「勿論彼等の中には覚えている奴もいます。リリスからの約束と言う特殊要因のある僕の場合とは少し違いはありますけれど」

「「「「えっええーーっ!」」」」

「やっぱり、ね」

『使徒』・・・わたし達と同じなの?

・・・

確かに第四使徒『シャムシエル』は前回より強い感じだったわ。

「っとなると・・・作戦立案にはその点を考慮しなくっちゃあいけない、と。・・・しかし他のみんなには説明出来ないわねぇ・・・。あっちゃあ・・・頭痛くなって来た、あたし 」

「ま、成る様にしか成らないさ。葛城、そんなに今から気に病んでも疲れるだけでいい事ないぞ。どうせやる事やんなきゃなんないんだからな・・・

「ま、まあね。あんまし考えない様にするわ。あんがと、加持・・・

「いやいや」

「さて、と。これで最後かしら」

「酷いなあ、赤木博士。僕を忘れるなんて」

あ、確かに。

「あら、ごめんなさい。悪気はなかったのよ」

「良いです。判ってますよ」

「じゃあ、ホントに本当の最後の質問ね。何かしら、渚君のご質問って?」

「僕からシンジ君への質問・・・

何かしら?

「シンジ君は僕の事、好きかい?」


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