『俺と僕で何?』


第参拾弐話 リリスの記憶


・・・・・・・・・

・・・わたし・・・

・・・・・・・・・

・・・わたしは?

・・・・・・

・・・わたしは・・・

・・・

・・・綾波レイ。

・・・・・・

・・・綾波レイ?

・・・・・・

・・・誰の事だったかしら?

・・・・・・・・・

それは・・・わたしの事だわ。

そう!

わたしは綾波レイ!

・・・・・・・・・

・・・わたしは確かに『綾波レイ』だわ・・・自分ではそう認識している。。

しかし・・・今までの・・・『綾波レイ』では有り得ない。

・・・そう・・・この世界の今回の『綾波レイ』ではない・・・・・・かと言って・・・前回の『二人目の綾波レイ』でも・・・前回の『三人目の綾波レイ』でも・・・前回の『綾波レイと呼ばれていたリリス』・・・でさえもない。

・・・・・・

このわたしは・・・さっきわたしの望みを手に入れたけど・・・余計なモノまでこの身に入ってしまった・・・

・・・

渚君は後悔しても元には戻せないと言っていた。

・・・・・・

このままで良いのだろうか?

今のわたしであれば、碇君の最終的な望みを適える事は可能かも知れない。

・・・

でも・・・それでいいのだろうか?

・・・碇君は・・・

・・・わたしは・・・

(どうしたの、今更?)

誰?・・・あなたは誰?

(あなたが呼んだのに・・・

ああ・・・あなただったのね・・・そう・・・あなたはわたしが呼んだ。

でも・・・わたしは・・・わたしが望んだのはあなたが碇君の力となる事・・・ただそれだけだった筈・・・

(あなたがリリスに近付けばわたしもリリスに近づくだけの事)

わたしが望まなくとも?

(それはおかしいわ。あなたが望んだ事なのに・・・

それは違うわ!

(何が違うの?)

わたしがこの世界のリリスとして望んだのは、碇君の力となる事、よ。

・・・望んだ時はそれでも良かった・・・でも・・・いずれはこうなる定めにあった、と言う事だわ )

それは、どういう意味かしら?

・・・この世界のリリスに接してしまった以上、もはや碇シンジではなくリリスに還るのが自然な事。・・・だから・・・いずれはこうなる定めにあった、と言うしかないわ )

あなたの役目は終わったの?

(それを決めるのはあなたよ・・・わたしじゃないわ )

碇君は強くなったわ。

・・・

あなたがいなくとも大丈夫かしら?

(それはこれからの碇シンジ次第

・・・

(わたしにどうしろ、と言うの?)

・・・今しばらくは碇君の側に・・・

・・・

・・・お願いよ。

・・・仕方ないわ

お願い・・・・・・気が遠くなる・・・いけないわ・・・

・・・いけない・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

・・・ゃん 』

ん。

・・・ちゃん 』

ああ。

・・・レイちゃん 』

・・・誰かが・・・

・・・レイちゃん 』

・・・わたしを・・・

・・・レイちゃん 』

そう・・・呼んでいる?

・・・気がついたかい?」

・・・渚君・・・?」

「そうだよ・・・大丈夫かい、レイちゃん?」

「ええ・・・多分大丈夫だと思う 」

「で、どうだった?」

「何が?」

「前の三人目のレイちゃんの記憶さ」

「あ・・・そうだった・・・

・・・

「あまり変わりがないみたいだわ」

「そうなのかい?」

「ええ」

「どこまで取り戻したんだい?」

「ドグマで碇司令に呼ばれて・・・リリスに吸収される直前までだわ 」

「じゃあ、リリスの記憶としては完全ではないんだね」

「そうみたい」

「失敗だったのか・・・

「さあ?でも・・・何か大切な事を忘れているような気がするの 」

「それはリリスの意志かもしれないね」

・・・リリスの意志?」

「ああ、前のリリスのね」

・・・?」

「僕は前のリリス、つまり、前の三人目のレイちゃんが僕に託した記憶はきちんと渡したんだよ」

「そう」

「あとは君の問題だね、無責任な言い方みたいだけど」

・・・

「そろそろ僕は失礼しなくちゃいけない」

「そう」

「何かあったら相談にはのるから気軽に呼んで欲しい」

「ええ、わかったわ」

・・・

「今日はありがとう」

「いいんだよ、僕は僕でレイちゃんに感謝してるんだ」

「?」

「僕ら使徒は一つの世界に留まり続ける事の出来ない存在なんだけど、今回はレイちゃんの希望でここにいる事が出来るんだよ」

「わたしの希望で?」

「そうだよ」

「そうなの?」

「そんなんだよ!」

・・・それはあなたにとって良い事なの?」

「ああ、とっても素晴らしい事さ」

「それは・・・よかった・・・

「僕はこの世界に存在する限りにおいて、レイちゃんとシンジ君の味方でありたいと思っている」

・・・

「その事だけは忘れないでいて欲しい」

・・・判ったわ。・・・ありがとう、渚君 」

「いいんだ、お礼を言うのは僕の方だからね」

・・・

「じゃあ、良い一日を」

「あなたにも」

渚君が消えて行く。

わたしの記憶は・・・何も、変わらない。

いったい・・・わたし・・・自分の意識が弾け飛んでから、一体どれ位の時間が経ったのだろう・・・

時計を見たいのだが、頭がボオーーッとして・・・身体全体がだるい・・・

・・・ただ外はまだ暗い。

わたしはわたし、「綾波レイ」。

・・・

・・・でも・・・本当にそうだと自信を持って言えるのかしら?

事はそれ程に単純であって良いのだろうか?

ただ「そうだ」と思い込んでいるだけではないのか?

わたしは・・・自分を「綾波レイ」だと思い込むように仕組まれていて、本当は「前回の綾波レイ」や・・・「前回の二人目の綾波レイの記憶を受け取る前の今回の綾波レイ」とも・・・いえ・・・「前回の三人目の綾波レイの記憶を受け取る前の二人目の綾波レイ」とすら全く違う人格なのかも知れないわ。

「ついさっきまでの綾波レイ」はこの部屋に現れた渚カヲルによって消滅され、その替わりに「この今の綾波レイ」が創られたのかも知れないと、どうして断言出来ないのだろうか?

今の「綾波レイの記憶」は渚カヲルによって捏造されたもの・・・いえ・・・渚カヲルの関与そのものが・・・いいえ・・・この世界の過去そのものが・・・何物かによって捏造されていないと、誰が断言出来よう?

・・・

・・・いけない。

・・・

・・・これは赤木博士が以前陥ったジレンマと同じだわ。

・・・

碇君はどうなのかしら?

前の碇君、今回の碇君・・・

・・・もう止めた方が良いわね。

自己否定は何も産まないもの。

・・・

・・・もう眠りましょう。

・・・

・・・ピピピピピッ。

・・・ん。

・・・ピピピピピッ。

・・・んん。

・・・ピピピピピッ。

・・・あ。

・・・ピピピピピッ。

・・・ん。

・・・ピピピピピッ。

・・・あ、朝?

起きなきゃいけないんだけど・・・俺はなんでまだこんなに眠いんだろう?

ゆうべは夜更かしなんかしてないのにな。

「お早う、綾波」

「お早う、碇君」

「ごめん、ちょっと二度寝しちゃったみたいで」

「どうしたの?」

「ん、何が?」

「珍しいもの、碇君が寝過ごすなんて」

「あ、うん」

「ゆうべ夜更かしだったの?」

「いや、そんな事はなかったんだけど…なんでかな?」

「いいわ、そこ座って」

「あ、うん」

「食事にしましょう」

「ごめん」

「何謝ってるの?」

「いや、綾波一人に作らせちゃって」

「いいの。さ、食べましょ」

「うん。いただきます」

「いただきます」

「今日の予定はなんだったっけ?」

「学校、そして早退して1400リツコさんの研究室に集合、だわ」

「アスカはどうするの?」

「今回はアスカも一緒よ・・・だから余計な事は話さないでね 」

「わかってるさ、そんな事は・・・

「ならいいけど」

「綾波?」

「何?」

「何かあったの?」

「何が?」

「綾波にさ」

「どうして?」

「だってさ・・・その・・・何て言うかな。ん〜、話し方なんかが前の綾波みたいだからさ 」

「それは前の記憶が戻ったからでしょ?」

「そうなの?」

「そう・・・だと思う・・・わ。」

・・・いや・・・前の記憶が戻ってからとも違う・・・昔の素っ気ない綾波の雰囲気が戻ってる様な気がする。

・・・なんでかな?

まさか・・・いや・・・いや、まさかね。

隠す事もない筈だし・・・考え過ぎだな。

「ヒカリ、お早う」

「お早う、レイ。あ、碇君も、お早う」

「お早う、洞木さん」

「レイ、もう大丈夫なの?」

「ええ、もう大丈夫よ」

「良かった」

「ありがと」

「碇君があんまり良く説明してくれないから余計に心配だったの」

え?俺のせいなの?

・・・

「碇君、ヒカリさんに何て説明したの?」

「レイ、それが碇君ったらね・・・

・・・とばっちりが来そうだ・・・早々に退散しよう・・・

「お早う、トウジ、ケンスケ!」

「お早う、碇」

「お早うさん、シンジ。相変わらずのラヴラヴでんなあ」

む!

「なんだよ、そのラヴラヴっての?」

「そんなん来まっとるやろ」

「だから・・・何が決まってるんだよ 」

「シンジもトウジも止めようぜ、詰まらない冗談なんだからさ」

「せやかて血いの繋がっとらん兄妹やで」

え?・・・どっからその情報を?

「怪訝そうにしてるけど・・・惣流だよ、情報源は 」

相変わらずの鋭さだよな・・・ケンスケは

「せや。惣流が、たまに泊まると当てられてかなわん、言うとったで」

・・・なんでそんなガセネタを・・・アスカが。

「おい、アスカ!」

「だって、ホントの事じゃない」

「俺と綾波が血の繋がってない兄妹だとか、俺が綾波とラヴラヴだったとか・・・あんまりいい加減な事言わないでくれないかな?」

「血の繋がってない兄妹ってえのはあたしの勘なんだけどさ、あんたがレイとラヴラヴなのはいっつもじゃないの。いつも二人でくっついてて、あたしはお邪魔虫みたいじゃないのよ 」

あ!・・・その事かあ。

・・・

「ほら、グゥの値も出ない・・・

・・・

まいったな・・・アスカ・・・やっぱり気付いて気にしてたんだ。

「グゥ」

あ、綾波さん?

「何よ、あんたは・・・あたしに喧嘩売ろうってえの?」

「や、やめてよ、二人とも」

「あ、ヒカリぃ」

「ヒカリ」

「みんな、詰まらない事にエネルギー使ってないの!もう、授業始まっちゃうよ」

「そうね」

「はいはい」

「うん、そうだね」

「あ、ヒカリ。わたし達三人とも今日はお昼で早退するから」

「わかったわ。先生にはわたしから言って置くわ」

「ありがと、ヒカリ」

「三人ともその辺に適当に座ってくれる」

「「「は(〜)い」」」

「順番に血液と口内細胞を摂取させてね」

「いったい何よ。今更何よ調べるって言うの?」

「貴方達三人ともエヴァに搭乗するという特殊な環境下にあるので、エヴァからの侵食の有無を定期的にチェックしているのよ」

・・・ふう〜〜ん 」

・・・なんか納得してないって雰囲気だな、アスカは・・・

でも半分は本当なのにな。

「しっかし使徒の奴なかなか来ないわねえ?」

「そうだね」

「まさか、もうお仕舞い、とか」

・・・さあ 」

思わずリツコさんを見る。

「アスカは使徒に来て欲しいのかしら?」

「とおっぜんっ!」

こういうところは、やっぱり前と変ってないのかな?

「何故?何故来て欲しいの?」

「そりゃあ・・・あたしのエヴァ弐号機で華麗に葬ってあげる為よ。

やっぱり変ってない。

「でも・・・来なければ来ないに越した事はないのよ?」

でも使徒はまだ来る。

「でも来るんでしょ」

「何故貴方にそんな事が判るの?」

「だってたった2〜3体の使徒迎撃の為にしては備えが過剰過ぎるわ」

「そうかしら?備え有れば憂い無し、って言うわ」

「それにしても・・・物には限度、ってもんもあるわよ。知ってるんでしょ、使徒が何体来るのか?」

・・・この前の渚君の話を聞いていたのか?

「アスカ、この前の渚君の話しを聞いていたの?」

「そう言えばまだ聞かせて貰ってなかったわね」

え、じゃあなんで?

「聞きたい?」

「約束でしょうが。ホントはシンジとの約束なんだどリツコでもいいわ、今の件もあるし」

「いいわ、じゃ今からでもいい?」

「OK!」

「シンジ君とレイは今更必要ないでしょうからミサトのところへ行ってちょうだい」

「何かあるんですか?」

「ええ、なんでも過去の戦闘報告書の作成で聞きたい事があるらしいわ」

「「はい、わかりました」」

「あたしはいいの?」

「貴方の戦闘の件じゃないわ。それは、後でシンジ君達に聞くか、記録を読めばいいでしょ?」

「ん、まあそれもそうね。じゃ行ってらしゃい」

なんでアスカの許可を貰らわなきゃならないんだよ?

「じゃ、行って来ます」

「行きます」

(ガチャ)

(キーー)

(バタン!)

「あらあら、それであたしのところに?」

「そうなんです」

「違うんですか、葛城一尉?」

「あたしは元よりあんた達に用事はないわ。きっとリツコがアスカとの同席を嫌って追い出したのよ」

「わたしもそう思います」

「じゃ帰っていいのかな?」

「いえ、折角来たんだから・・・今後の対策でも話し合いましょ 」

・・・今後の対策・・・ですか 」

「次の使徒はイスラフェルだわ」

「それは前の順番と同じだったら、だろ」

「シンジ君の言う通り。今回は用心してちょ〜っち前びろに準備しておいた方が良さそうねえ」

「渚君も呼べば?」

「グッドアイデアよ、レイ!」

「そう言えば・・・今日は学校に来てなかったな」

「渚君には身体的基礎データを取らせて貰ってたのよ、朝から」

「意味あるんですかそれ?カヲル君は使徒なんですよ」

「ATフィールドが展開出来る点を除けばレイと同じくヒトよ、彼も」

・・・

そっか、綾波がいたんだ・・・悪かったかな?

「あ!渚カヲル君?・・・。悪いんだけどさ、またあたしんとこ来てくれる?・・・。そうシンちゃんとレイもいるから。うん、そう・・・じゃね」

・・・と言う訳でえ、今後の使徒の対策をね、素案だけでも、と思って 」

「そうですね、いずれは必要ですから」

「ねえ、カヲル君?」

「なんだい、シンジ君?」

「使徒って殲滅するしか方法がないのかな?」

「どういう意味だい?」

「だって・・・カヲル君も使徒だけど・・・今こうして僕らと一緒に生活してるじゃない 」

「それはちょっと違うな」

「どう違うの?」

「優先順位の問題だよ」

「優先順位?」

「そう。僕は今のアダムが使徒には接触不能な状態にあることを知っている。そして、前のリリスから履行すべき約束を託されている」

「で?」

「明らかに約束の履行を優先順位のせざるを得ない状況だ」

「それはウソね」

ミサトさん?

「何故僕が嘘を?」

「理由はともかく、今のあなたは人間としての知恵と技術でアダムを接触可能な状態に戻す事が出来るもの」

「なるほど、ね」

「何故わたしとの約束を優先してくれるの?」

「それは・・・

・・・それは?

「それは・・・前の僕が・・・碇シンジ君の、そして、綾波レイちゃんの震える魂に触れてしまったから、では納得頂けませんか?」

・・・カヲル君・・・君って。

「それはあなたがヒトの形態であったが為に可能だったの?タブリスの形態の使徒達には当てはまらないのかしら?」

「何を考えてるの、葛城一尉?」

「レイ、あたしも前とは変っているの」

「?」

「使徒への復讐は前にやっちゃったから・・・今度は違う事をしてみたいのよ」

「お言葉ですが、葛城さん」

「なあに渚君?」

「使徒は殲滅されても元の空間に帰還するだけの事でヒトで言う死の状態になる訳ではないんですよ」

「でも・・・この宇宙での存在は消滅してしまうわ 」

「ミサトさんは共存の道を探りたいんですか?」

「そうね、少しでも可能性があるのなら」

「葛城一尉」

「なあにレイ?」

「共存の道が使徒にとって有益かどうかわかりません」

「その点も探んなきゃね!」

マジですか・・・ミサトさん。

「じゃあ殲滅時の作戦素案は今んとここんなところかな。どうシンちゃん?」

今一度ホワイトボードを確認してみる。

  第参使徒 サキエル  レイがプログナイフとニードルガンで殲滅 第四使徒 シャムシエル  シンジが初号機と一体化して殲滅 第伍使徒 ラミエル  レイが陽電子砲で殲滅(シンジとアスカは中和に専念) 第六使徒 ガギエル  カヲルが瞬殺 第七使徒 イスラフェル  N2爆雷で足止めし二基の陽電子砲で殲滅 第八使徒 サンダルフォン  火口出口で待ち伏せして殲滅 第九使徒 マトリエル  四機共同で殲滅(中和、殲滅) (停電時の移動方法の確保が必要) 第拾使徒 サハクイエル  四機共同で殲滅(受止、中和、殲滅) 第拾壱使徒 イロウル  MAGIにより殲滅  (①自殺誘導プログラム、②共生誘導プログラム、③進化促進プログラム) 第拾弐使徒 レリエル  ATフィールドによる圧縮にて殲滅 第拾参使徒 バルディエル(伍号機?)  四機共同で殲滅(中和、殲滅) (ダミーシステムの活用) 第拾四使徒 ゼルエル  四機共同で殲滅(中和、殲滅) 第拾伍使徒 アラエル  ロンギヌスの槍で殲滅 第拾六使徒 アルミサエル  四機共同で殲滅(中和、殲滅) (ダミーシステムの活用) 量産機  四機共同で殲滅(中和、殲滅) (ダミーシステムの活用)
 
「いいんじゃないですか、ね、綾波?」

「わたしも異論ありません」

「俺もありません」

「そう。じゃ次は使徒との共存の可能性がについて模索してみましょ!」

「ふーーん、使徒との共存の可能性ねえ」

「そうなんですよ、リツコさん」

「で、その共存共栄の道に引きずり込む積極的な動機と手段は思いついたの?」

「いえ、駄目でした」

「どうして、渚カヲルも同席してたんでしょ?」

「ええ、ですが、結局のところ、使徒とどうやって意志疎通を図るか、という点でいちゃったんです」

「なるほどねえ、流石の渚君にも妙案はなかったのね」

「はい。そもそも前回の形態から考えると、意志疎通の可能性があるのは第拾壱使徒イロウルと第拾伍使徒アラエル、第拾六使徒アルミサエルだけだろう、と言う結論になったんですけど、具体的方法までは時間切れで」

「そう、ね・・・前回の例で言えば、イロウルはマギ経由の私、アラエルはアスカ、アルミサエルはレイ、という事になるわね」

「それは接触したものが、という事ですか?」

「そうよ」

「リツコさんはどう思いますか?」

「それは殲滅方法の件?それとも意志疎通の件?」

「両方です」

「そうね・・・殲滅方法については使徒が前回と同じであるという前提なら概ねオッケーね」

「そうですか。」

「意志疎通の方は・・・わたしも何とも言えないわね。それに・・・

「それに?」

「そもそも共存する動機と言うか・・・その必要なんてあるのかしら?」

「それはカヲル君の例があるからじゃあないですか」

「なるほどね」

「何がですか?」

「いえね、この件の言い出しっぺはシンジ君なんだな、って」

・・・わかりました?」

「わかるわよ。・・・ただ・・・

「ただ?」

「ただ・・・ミサトがよく反対しなかったな、と思ってね」

「そうですね。ミサトさんは、自分も前とは変ってるんだ、って言ってました」

・・・

「どうかしましたか?」

「レイは何て言ってた?」

早寝の綾波は夜11時の今はもう寝ている。

「綾波は、前回のアルミサエルとは対話した記憶があると言ってました。けど、とても自分とは相いれない存在だったような気がする、って」

・・・レイ、あの子・・・三人目の記憶は取り戻したのかしら?」

「さあ?」

「そして・・・その先のリリスの記憶を・・・

「リリスの記憶?」

「そう・・・レイがリリスの記憶を取り戻せば、使徒との共存の可能性なんかの問題は簡単に片付くと思うんだけどね」

「さあ、今日話した限りでは特に変わった様子も発言もありませんでしたけど・・・

「そう・・・ならいいわ」

・・・

「さあ、もう遅いから寝ましょうか」

・・・はい。お休みなさい」


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