『俺と僕で何?』
第参拾伍話 『魂』、その機能
眠れないな。
綾波とユニゾンの練習をして疲れている筈なのに・・・。
昨日のリツコさんの言葉が自分の中でまだ消化出来ていない。
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〜〜〜〜〜〜〜
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「渚君の事についてはある程度心の整理出来たみたいね。じゃあ、今度は『記憶と魂との関係』について話し合いましょう」
「はい、お願いします。あの・・・綾波も一緒でいいんですか?」
「別に構わないわよ」
「わたしも聞きたい」
「それならいいけど」
「では、本題に入るわね。まず、『記憶』というのはあくまでも肉体、特に脳内の細胞に物理的に蓄積される情報です。一方、『魂』は物理的な肉体に捕われない普遍的な存 在だと思われるわ。そして、魂が物理的な肉体に捕われず存在する普遍的な存在ならば、肉体が失われればその肉体に帰属していた記憶は消滅し、魂には記憶は残らないわ。間接的に他人に記憶されるのはその個人の思い出であって元の個人の肉体や魂とはリンクしていないの 」
「・・・」
「逆に、魂が何らかの理由で記憶付きの肉体に入り込めば、その魂はその肉体の記憶に基づいた自己同一性の感覚を持つ事になるわ。これは前回のレイの事例からも判るでしょう 」
「はい」
思わず綾波を見る。
「ただレイの場合は『魂』と『肉体』とにリンクがあったわ。これが一般的だと思っていたんだけれど、今回の件をこの説明で片付けるとするとどういう事象が起こったと考えられるのかしら?」
「と、言うのは?」
「今回は、『魂』と『肉体』の他に『肉体』と『記憶』と言う要素も加わって物理的リンクに幾つかのパターンが出てきているの」
「おさらいですか?」
また難しい話しなんだろうな・・・はぁ。
「今のところ、大多数の人達は物理的に巻き戻される事で見掛け上は時間的に前回と同じ状態になっているみたいだわ」
「例えばマヤさん達の事ですか?」
「そうよ」
「で、私やミサトや加持君は肉体は巻き戻されているのに記憶だけは巻き戻されていない。他にも該当者はいるかも知れないけどね」
「はい」
父さんや副司令なんかは怪しいよな。
「でもマヤ達も私達も一応は自己同一性の感覚を保っているわ」
「え、そうでしたっけ?」
「ええ。マヤ達は前回と見掛け上の時間的にも自己同一性を保っているし、私達は前回の最期の自分と自己同一性を保っているわ。見掛け上の自己が時間的にはそれぞれ違うけどね。でも一応は自分を前回の自分と同じだと感じているのよ 」
「うーん・・・」
で、俺達の番かな?
「問題はシンジ君、レイ、渚君と言ったチルドレンね」
ほら来た。
「はい。何か問題なんですか?」
「まずはシンジ君のケースね」
「・・・」
また『俺』と『僕』との話しか。
「シンジ君の『俺』は前回の『僕』との自己同一性が保たれていないわ。それはもう解ったでしょう?」
「ええ」
「シンジ君が『僕』の記憶を取り戻したのはシャムシエル戦で、しかも記憶の仲介者は初号幾だったのよね」
「はい、おそらくそうだと思います」
「そしてレイの場合は、最初は二人目としてマヤ達と同じだったけど、その後渚君と出会い、前回の二人目の最期までの記憶を、その後は三人目のリリスに同化するまでの記憶を取り戻したのよね?」
「はい、そうです」
「そして渚君は前回と全く同じ状態で今回も存在している」
「・・・」
「今現在の三人はある意味共通していると言えるけど、シンジ君のケースを考えると『魂』と『肉体』、あるいは、『記憶』との相関関係に疑問が出てくるのよ」
綾波を見てしまう。
「リリスの意志、ですか?」
「この今回の世界を構築したのはリリスでしょう、間違いなく。」
「もしかしたらカヲル君なんじゃあないですか?」
「それはないわね」
「どうしてですか?」
「だって渚君には初号機を制御する事は出来ないもの。彼はアダムから産まれし肉体に使徒の魂を宿し者だから」
「アダムとリリスって親戚みたいなものなんじゃないんですか?」
「仮にそうだとしてもアダムにリリスは制御出来ないし、使徒もまた然りだわ」
「何故ですか?」
「シンジ君は渚君の説明を忘れたの?」
「いえ、覚えてます」
「何を覚えているのかしら?」
「生い立ち、って言うか、存在する世界が違う、だったかな?」
「判ってるじゃない。じゃあそんな事は言わないでね」
「はい」
そうだった。共存と言うよりもむしろ敵対しているのかも知れない。
「『魂』に機能はないと言う前提はあるにしても、『魂』と『肉体』とには相関関係があると考えていたの。だから前のレイの魂は次のレイの肉体に帰って来る、とね」
「それが間違っていた、と?」
「間違っていたかどうかは分からないけど、今回のシンジ君の例から『魂』は『肉体』と必ずしもリンクしていないのかも知れない、とか、『肉体』に存在する『魂』は唯一無ニではないのかも知れない、とか、『魂』には『記憶』に関連する何らかの機能があるのかも知れない、とかと言う疑問が生じて来たのよ 」
「俺についての『俺』と『僕』の存在からそう考えたんですか」
「そうよ」
「もう少し具体的に話してもらえますか?」
「ええ、いいわよ」
「お願いします」
「まず、『魂』が必ずしも『肉体』とリンクしていないかも知れない、と言う点だけど、今回の世界で初めてシンジ君に会った時、前回と随分性格や話振り、仕草とかが違うな、って感じたわ 」
「はい。今なら分かります、それ」
「で、その原因が何かを調べたり考えたりしたの」
「どんな事をですか?」
「シンジ君の肉体とか記憶を微に入り細に入りね」
「で、何が解ったんですか?」
「解ったのは、シンジ君の肉体も記憶も前回の『碇シンジ』そのものだと言う事」
「はあ」
「ただし、脳波の波形と記憶に対する考え方には違いが見られたわ」
「それは何を意味したんですか?」
「脳波の波形は個人個人で特異なもので、それに違いがあるという事はシンジ君が前回の『碇シンジ』と何らかの点で異なる可能性を示唆していたのよ」
「うーん・・・もっと解りやすく言って下さい」
「この世界のシンジ君は前回の『碇シンジ』とは別人だと言う事。その理由は、極端に例えれば、私が別のパラレルワールドに跳ばされたか、シンジ君が跳ばされて来たか、とかね。でもね、私が跳ばされたにしてはシンジ君以外の状況はあまりにも前回と同じだったわ 」
「じゃあ俺が跳ばされて来た、と?」
「その時点ではそういう可能性もあると思ったの。でも、シンジ君が初めて初号機に乗った時、シンジ君の脳波が前回のシンジ君の脳波波形を示す時があるのを発見したのよ」
「その意味するところは?」
「今回のシンジ君には脳波の波形にパターンが二つ存在する状態があったと言う事。だから、まず考えたのはシンジ君は二重人格者かな、と。あるいは、『肉体』に存在する『魂』は唯一無ニではなく、何らかの理由でシンジ君には二つの『魂』が存在するのかも知れない、と 」
「どうしていきなり『魂』の問題に行っちゃうんですか?」
「二重人格、人格が二重にあるいは多重に存在するのは潜在的な意味であって、それらの人格が時間的に同時に存在する事はないの。ところがシンジ君の場合には二つの『人格』、いえ、『自我』と言った方がいいかしら、それらが二つ同時に存在していたのね 」
「はあ・・・」
良く分からんぞ。
「つまり、シンジ君の『肉体』は一つで、勿論脳も一つだから、普通は『自我』は一つしか存在しないの。それが多重人格であっても、ある特定の瞬間には一つの『自我』しか存在しないわ。では何故今回のシンジ君には『自我』が二つ存在する瞬間があるのか、しかも初号機に搭乗した碇シンジに?これは『魂』が二つあるに違いない、この世界の普段のシンジ君の魂は前回のシンジ君の物じゃなく、前回の碇シンジの魂は初号機の中にあるに違いない、って思ったのよ 」
「初号機に、ですか・・・」
あの感覚がそうだったのかな?
「多分そうよ。いえ、今ではそう確信しているわ」
「だから私は初号機に封印されているのかも知れない前回の『碇シンジ』君の魂と是非ともコンタクトしたいと思った。今の自分の状況を識るためにもね」
「そうだったんですか」
「ええ。でもその後、問題が発生したわ」
「何が発生したんですか?」
「シンジ君が初号肝心の機とシンクロ出来ない事が解ったの」
「それで『情動補正装置』だったんですね」
「そうよ。時間がなかったからマヤにも協力してもらう事になってしまったのは計算外だったけどね。とにかくシンジ君が初号機とシンクロして前回のシンジ君の魂と思われる物ともシンクロしてくれる事を期待したのよ 」
「どうして?」
「私は前回のシンジ君が何らかの理由で初号機に取り込まれたんじゃないかと考えたの」
「なるほど」
「今回のシンジ君は前回のシンジ君の『肉体』と巻き戻された時点までのシンジ君の『記憶』とシンジ君ではない何者かの『魂』で構成されているのかも知れない、とね」
「そしてそれは正解だった訳ですね」
「さあ、それはどうかしら?」
「違うんですか?」
「確かにその三つは今回のシンジ君の構成要素だったんだけど、それだけではシンジ君の性格や能力の変化に説明が付かなかったの」
「まだ何かあったんですか?」
「渚君の説明で今回のシンジ君の何者かの魂が『リリス』、それもこの世界ではないリリスの『魂』だという事が解った」
「・・・」
「ただ残念なのは、この世界ではないリリスの『魂』の元の世界の持ち主の事が解らないという事だわ。
「どういう事ですか?」
「『魂』には『記憶』に関連する何らかの機能があるのかも知れない、と言う疑問が生じて来たのよ。いえ、『性格』や『能力』と言った方が正しいかも知れないわね」
「それが『俺』の正体、と言う訳ですか?」
「おそらくは『俺』と言う碇シンジ君の『性格』や『能力』は、その『魂』の元の世界の持ち主の『性格』と『能力』を受け継いでいるんじゃあないかしらね?」
「だから『魂』に『機能』はないのではない、と言ったんですね」
「ええ、そうよ」
「なるほど・・・」
「シンジ君に何か思い当たる事ないかしら?」
「さあ?これと言ってありませんね。俺自分を『碇シンジ』だと思っている訳ですから」
「そう・・・そうよね・・・」
リツコさん、何だか残念そうだな。ま、科学者としては興味のあるところなんだろうけど、まさか嘘を言う訳にもいかないからな。
「まあ、何か思い当たる事かあったら話しますよ」
「是非お願いするわ」
「はい」
「じゃあ今日はこの位にしましょう。レイは眠っちゃったしね」
え?
綾波を見ると目を閉じて微かに寝息を立てている。
「きっとリツコさんの話しが難しくて退屈だったんでしょうね」
変な綾波・・・と言うか良く眠れるよな、こんな状況下で・・・。
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〜〜〜〜〜〜〜
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「ホント、綾波って変だよね・・・天然、かな?」
思わず声になった。
しかし今日のリツコさんの話しは俺にも難しかっな。
・・・ん・・・眠くなって・・・きた・・・かな?
・・・
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・
・
・・・
『・・・ン・・・』
ん?
『・・・クン・・・ってば』
んん〜ん・・・
何だ?
『碇君・・・』
「あ・・・」
「起きて、碇君。朝よ」
「あ、ああ、綾波」
「おはよう、碇君」
「おはよう、綾波」
「今日は学校よ。早く起きてね」
「あ、うん。分かったよ」
「じゃあ、待ってるから」
「うん」
『バタン』
何だか眠り足りないや。
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『バァーーン!』
痛ぇ・・・。
「グーテンモルゲン、シンジ!」
なんだアスカかぁ。
「なんだアスカかぁ」
「また『なんだ』とは大層なご挨拶ね、シンジ。このあたしがわざわざ挨拶してやってんのよ!ちったぁ嬉しそうな顔ぉしなさいよ」
「あ、いや、ちょっと考え事してたもんだからさ」
どうもアスカは苦手なんだよな・・・。
何でなんだろ?
「でも何も鞄で叩く事はないと思うわ」
「あーら、レイは大好きなお兄様の味方だったもんねぇ。仲のおヨロシイ事で」
「そんなんじゃあないわ」
「じゃあ何なのよ?」
「只の兄妹の関係だわ」
「『血の繋がらない』でしょ?」
思わず校庭を見回す。
良かった、周りのみんなは注目していない。
「ちょっとアスカ!それは学校では禁句だよ!」
何だか今日のアスカはやけに絡むな・・・何かあったのかな?
「はいはい、分かったわよ」
ホントに分かってんのかな?
「頼むよ、ホントに」
「はいはい。で、今日の予定は?」
「今日は1400より機体連動試験およびシンクロテストよ」
綾波が手帳を棒読みする。
手帳には符諜で書かれているから関係者以外は見ても判らないが。
「あーあ、またテストかぁ。一体何時になったら使徒様はお見えになるのかしら?」
「そんなの分かってたら苦労しないよ」
ホントは多分もう直に来る筈なんだけど・・・アスカには言えない。
「そんな事位分かってるわよ、あんたに言われなくってもね」
じゃあ聞くなよ!とはこれも口には出せない。
「・・・」
加持さん・・・このアスカのどこか変わったって言うんですかぁ?
まんま前回のアスカに戻ってませんかぁ?
「何よ、黙り込んじゃって?」
「あ、いや、別に・・・ホント何時になったら来るなかなぁって・・・」
「あをたバカぁ?そんなん分かってたら苦労しないわよ」
はぁ・・・。
「何してるの、碇君、アスカ?授業が始まるわよ」
「そうだね、早く行こうよ」
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「さあーって。本部に行くわよ」
「ああ」
「行きましょ」
綾波が先にスタスタと行ってしまう。
アスカが慌てて後を追い綾波に並ぶ。
俺はその後を少し離れて付いて行く。
あの二人はファッションやショッピングやグルメなんかの話題でお喋りしている。
前の綾波とアスカだったら想像すら出来ない光景だ。
何が違うんだろう。
どうして今回はこういう和気あいあいとした展開になっているんだろう?
「なーに辛気臭い顔してんのよ、シンジはぁ!また考え事な訳ぇ?」
「あ・・・別にそういう訳じゃあないよ」
「じゃあ何なのよっ!」
「惣流と綾波って意外と仲がいいんだなぁ、と思ってさ」
「意外と・・・って、何言ってんの?当然でしょ!ねーー、レイ?」
「うん、当然の事」
あ、綾波まで・・・。
それが前回は当然の事じゃあなかったんだよな。
って言っても、いや、今は言う訳にもいかないけどさ。
一体全体どうなっちゃってるのさ?
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「さ〜てっと、テストは終わったし、ブリーフィングが終われば帰れるわね〜。レイ、ショッピングセンターに寄って帰るわよ!」
「うん、分かった」
はあ・・・じゃあ俺はどうすんの?
「あの、俺は?」
「あんたも何かあんの、ショッピングセンターに?」
「あ、いや特にないけど」
「なんだ用事ないんじゃない」
アスカ達だって似た様なもんだろ、口には出せないけど。
「荷物持ちしてくれるの、碇君?」
あ、綾波まで。
「いいや、ブリーフィングが終わったら俺は帰る」
「ふーん、そうなんだ」
「なんだよ?」
「べっつにぃ・・・」
ブリーフィングルームに着いた。
何か疲れたよ、もう。
『ガチャッ』
「失礼します」
「ああ、どうぞ入ってちょうだい。席は適当でいいから」
適当と言われてもチルドレン三人は並んで座った。俺、綾波、そしてアスカの順だ。
向かいの席には、リツコさん、マヤさん、ノゾミさん、ミサトさん、そして冬月副司令がいた。
副司令と顔を会わせるのは久し振りだな。
「じゃあ始めましょう。マヤ」
「はい。まず機体連動試験ですが、零号幾、弐号機ともに問題ありませんでした」
「では初号機には何か問題があったのかね?」
げっ・・・。
「いえ、副司令。問題と言う程ではないのですが、連動後の相互変換効率に若干の低下が見られました。パイロットの側には何の問題点も見受けられませんでした」
「初号機の方は?問題とはならんのだな?」
「はい。修正誤差の範囲内です。が、今後のフォローは必要ですので私が担当致します」
「うむ。頼んだぞ」
「はい!で、詳細なデータはお手元にお配りした・・・」
だめだ、もう頭に入らないや。
俺って文系だな、多分・・・。
「・・・と言うことです」
「わかったわ。じゃあ次にシンクロテストの結果を、マヤ」
「はい」
マヤさんが手元の資料を見つめて何か考えているみたいだ?
「マヤ!どうしたの?」
「あ!すみません。どこからお話ししようか、と」
そうかな?
「取り敢えず数字を、伊吹二尉」
副司令が先を促す。
「はい。細かいグラフはお手元に・・・各人の平均シンクロ率は、レイが63.47%、シンジ君が57.86%、アスカが76.48%でした」
「で、最低でも起動数値を上回っているんだな?」
「はい、その点は大丈夫でした」
「そうならいい。他に気になる点はあるのかね?」
「他には、重大ではありませんが、シンジ君の初号機に対するハーモニクス値に若干の低下傾向が見られました。それ意外は全て期待値の範囲内です」
「ハーモニクスに、低下かね」
む、何かヤバイのかな?
「何かございますか、副司令?」
リツコさんがフォローする。
「いや、今聞いた限りでは特に問題はなかろう。ご苦労だった」
「ありがとうございます。では皆さん、これにて散会とします。お疲れ様」
「「「お疲れ様ぁ」」」
お、終わったぁ・・・。
副司令いるだけで緊張したよ。
・
「リツコさん、緊張しましたよ」
リツコさんの部屋でコーヒーを飲んでやっと落ち着いた。
「何が?」
「副司令がいらっしゃったので」
「なんだ、そんな事」
リツコさんは笑ってる。
「ハーモニクス値に低下傾向があるってどう言う事ですか?」
「文字通りエヴァとの協調性が低下しているって事よ」
「それって不味いんじゃないんですか?」
「マヤの言った通り『若干の低下傾向』である限り大した問題じゃあないわ。むしろその方が自然ね」
「どうして?」
「だって考えてもご覧なさい。今のシンジ君は『俺』であって『僕』じゃないのよ。シンクロしている方が不自然な位よ」
あ、そうか。
「副司令に対するポーズですか?」
「まあね。もっともマヤは本当にそうだと思ってるけどね」
「実験結果の数字を操作したんですか?」
「仕方ないでしょ。元々本当の数字なんて出せる訳ないんだから今更、よ」
「もうほとんど『毒を食らわば皿まで』の世界ですね」
「あら、随分古臭い諺知ってるのね、シンジ君?」
「それ位知ってます。」
「そう・・・」
何やら思案気だな?
「どうかしたんですか?」
「いえ・・・何でもないわ」
何か変な感じだ。
「・・・」
「本当に気にしないで」
仕方がないな。
「はい。わかりました」
「じゃあ今日はもう帰りましょう」
「いいんですか、もう?」
「後はマヤ達の仕事で私のする事はないわ」
「はあ」
「帰りましょう。レイが待ってるわ」
「はい!」
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