『俺と僕で何?』


第参拾六話 瞬間、心、合わせて


今日は早く目が覚めちゃった・・・。

・・・。

・・・。

・・・。

・・・俺。

俺の・・・魂、か・・・。

そして・・・リリスの魂、と・・・その持ち主・・・か。

・・・。

・・・。

それもまたヒト・・・人間なんだよな。

リツコさんはハッキリ言わなかったけど。

その『能力』って・・・・・・テニスとか射撃とかであったりして・・・やっぱりどう考えても人間の持つ能力だもんな。

射撃は、そう・・・本物でも構わないしアーケードゲームでも構わないかも知れない。

でも・・・そう考えると、なんかその『持ち主』のいた世界ってこの世界に近いんじゃないか?

・・・。

勉強の出来る頭のいい人だといいな。

・・・。

パラレルワールド、か・・・本当にあるのかな、そう言うの?

どんな人なんだろう?

その人はリリスの魂を失ってどうなっちゃったんだろう?

気にはなるけど・・・いずれ分かる時が来るんだろうか?

でも・・・分かったからと言って何かなるのかな?

どうしたいんだろう、俺は?

どうなるんだろう?

どうにかなるのかな?

・・・。

・・・。

意味ないよな、そんなの。

俺はこの世界にいるんだから。

・・・。

何考えてるんだろ、俺は?

何の意味もないかも知れないのにな。

あ!もう起きなきゃ。

「じゃあ行ってきます」

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

「あ、シンジ君!折角学校に行くところなんだけど、一応言っておくわ」

ん?

「何ですか?」

「前回と同じなら今日来るわ」

「使徒・・・イスラフェル、でしたね」

「ええ」

「はい。分かりました、その積もりでいます」

「やあ、おはよう。シンジ君。レイちゃん」

「あ、おはよう・・・カヲル君」

「おはよう、渚君」

「今日も良い日になるといいね、シンジ君」

「あ、うん。・・・そうだね」

「行きましょ、碇君」

『『『『ピピピピピッ!ピピ・・・』』』』

来たっ!

本部からの呼び出しだ!

「シンジ!」

「碇君!」

「シンジ君。」

アスカ、綾波、カヲル君!

「来たんだね」

「使徒が来たの?」

「多分そうよ」

「さあ、早く行こう」

「みんな揃ったわね」

「どんなヤツが来たんですか、ミサトさん?」

「『やじろべー』みたいなヤツが来たわよ。で、日向君。使徒の様子はどう?」

「今のところ変化はありません。時速46キロで本所に向けて進行中!」

「青葉君。今からエヴァを出撃して予定される遭遇地点は?」

「双子山付近になると思われます」

「解ったわ。じゃあ四人ともすぐに着替えてケージに集合、いいわね」

「「「「了解ッ!」」」」

『みんな、作戦内容は頭に入ってるわね?』

『「はい!」』』

『誰に言ってんの!』

アスカは一言多い。

『では全員配置に就いて』

『『『「了解ッ!」』』』

まずはカヲル君とアスカがATフィールドを中和。で、綾波と俺がポジトロンライフルで使徒のコアを同時に撃ち抜く!

それでも効果がなければアスカがソニックレイブで使徒を両断。

万が一に備えて国連軍はN2爆撃で足止めすべく待機。

表向きはそういう作戦になっている。

でも・・・カヲル君は何故アスカよりもあんなに最前線に配備されてるんだ?

何かするのかな

ATフィールドの中和だけならあんなに最前線にいる必要はない・・・。今回はカヲル君には特別な任務があるんじゃないかな?

結局金曜日に打合せが出来なかったから、ミサトさんともカヲル君とも何も話しをしていない・・・。

「あの、ミサトさん?」

『なあに、シンちゃん?』

「カヲル君は何故あんなに最前線に配備されているんですか?」

『あ、いや、まあ・・・彼は実績があるからね。状況に応じて臨機応変に対応してもらおうと思ってね』

・・・?

「わかりました」

全然わかんないよ、ミサトさん。

ミサトさんはカヲル君と何か話したのかな?

『もしかすると僕は期待されているのかな?』

『ま、そう言う事よん。頑張ってね〜』

『まあ、それなりに』

なんだかカヲル君って流石に余裕って感じだよね。

『使徒、来ますッ!』

『みんな警戒して!』

双子山の背後に注意を向ける。

・・・。

『使徒を目視で確認!』

カヲル君!

・・・あれか?

ここからじゃ遠くて良く見えないな。

『アスカ!』

『何、ミサト?』

『合図するまで絶対に手ぇ出ししちゃダメよっ!』

『了解ッ、判ったわよっ!』

カヲル君、大丈夫かな?

「カヲル君、大丈夫?」

『心配ないよ、シンジ君』

『では渚君、打合せ通りに』

『了解』

カヲル君は何か話したんだ、ミサトさんと。

「ミサトさん」

『何、シンジ君?』

「カヲル君は何をするんですか?」

『まあ見てなさい』

「・・・はい」

今は説明出来ないって事か。

『マヤは参号機と初号機、コダマは零号機、チサトは弐号機をモニターして!』

『『『了解ッ!』』』

『参号機と使徒との距離、3キロを切りましたっ!』

『了解。・・・渚君、使徒のATフィールドを中和。で、参号機のフィールドで使徒を包み込んでみて』

『もうやってますよ、葛城一尉』

何をする積もりなんだ、カヲル君とミサトさんは?

『参号機のフィールド、使徒を確保しました!』

『じゃ、後は計画通りに。いいわね、渚君?』

『了解です、葛城一尉』

『まかせたわよ!』

『はい』

何だ?一体何をするんだ?

「何をするんですか、ミサトさん?」

『使徒とのコンタクトを試みるのよ』

え?

「俺は何も聞いてませんけど」

『あたしも聞いてないわよ!』

『わたしも聞いていません』

『時間が無かったから説明出来なかったけど、ATフィールドを巧く使えば使徒とコンタクト出来る可能性がある事が解ったのよ』

『葛城一尉』

副司令・・・。

『何でしょうか、冬月副司令?』

『そのような可能性については私は何も聞いていないぞ』

まずいですよ、ミサトさん。

『は!』

『誰の発案かね?』

『赤木博士です』

『・・・赤木君』

父さん・・・。

『何でしょうか、司令?』

『何故使徒とコンタクトを取る必要を認めたのかね?』

リツコさんの発案なのか?

知らされていなかったのは俺達だけじゃなかったんだ・・・。

でも・・・父さん達にも話してなかったのはまずいんじゃないか?

『使徒に人間の心が理解出来るかどうか?もし可能ならばこれからの戦況に大きな影響をもたらします』

『そんな事は君に言われるまでもない。問題は何故今なのだ、と言う事だ?』

『今回のこの状況ならば試すに足る時間的余裕があります』

『場合によってはサードインパクトを引き起こすのだぞ』

『十分承知しております』

『そうか』

『・・・』

『葛城一尉』

『はい!』

『我々の最優先事項は使徒の殲滅だ。それを常に忘れぬように』

『了解しました』

『以上だ』

作戦が認められたと言う事か。

『渚君、状況は?』

『こちらからは呼び掛けてるんですが、使徒からの反応はありません。』

『青葉君、状況は?』

『使徒、進行を停止していますっ!』

『渚君、反応はしているみたいよ』

『もっと分かりやすい反応だといいんですがね。どうしますか、赤木博士?』

『とにかく我々には敵対の意思がないと言うイメージを送り続けて』

『了解』

いったいどうなるんだ?

『先輩っ!』

『マヤ、どうしたのっ?』

『使徒のATフィールドが弱体化していきますっ!』

『弱体化?いえ、参号機のATフィールドに同調しようとしているんだわ』

『で、どうすんのよ、リツコ!』

『渚君?』

『使徒に意志みたいなものは感じられるかしら?』

『いえ。ただ、何か探しているようです』

アダムを探しているんだ。

『渚君』

『はい』

『使徒のATフィールドが参号機のATフィールドと同化したら例の作戦、いくわよっ!』

『了解です』

「何ですか『例の作戦』って?」

『あたしも聞いてないわよっ、それ!』

『わたしも聞いてない』

『ごめんなさい。渚君以外には説明している時間がなかったのよ』

嘘だな・・・俺達にはわざと知らせなかったんだ。

『葛城一尉!』

『何、日向君?』

『参号機のATフィールドが縮小していきます』

『で、使徒は?』

『使徒の質量は不変。体積のみ縮小していきます』

『リツコっ!』

『駄目、か・・・』

いったい何をしようとしているんだ?

『あたしの出番はまだなのっ?!』

『今暫くは渚君に委せて、アスカ』

『はいはい、カヲル様々ね〜』

ん?

やっぱりアスカは変わった・・・。

『使徒の質量、このままでは臨界点を突破しますがっ?!』
 『マヤ、参号機のATフィールドは?』

『健在です』

『・・・試せる、か・・・。渚君』

『何ですか?』

『参号機のATフィールドを縮小しつつ、使徒に『例のイメージ』を送り込んで!』

『了解!』

なんだ、『例のイメージ』って?

全然判らないよ。

『アスカ』

『何よ、ミサト?』

『アスカは万一に備えて参号機の直援に回って!』

『へいへい。よっこらしょ、っと。これでいいかしら?』

アスカがスマッシュホークを持ちながら華麗に移動してる。

『流石アスカ!完璧よん!』

『チェッ!このあたしが援護たぁねぇ』

やっぱりアスカは変わったな・・・。

『わたしと碇君は?』
『現状で待機。ただしお互いポジトロンライフルはいつでもユニゾンで撃てる様にしておいてね〜』

『了解。』

「・・・了解。」

『使徒の質量、臨界点を突破しますっ!』

青葉さん!

『あの質量をそこまで圧縮すると爆縮するわよっ!』

チサトさん!

『あ!質量無くなりました!?』

・・・チサトさん?

『現状報告、青葉君』

『使徒、消失しました。葛城一尉』

『パターンブルーも同時に消滅しました、葛城一尉』

了解。使徒を殲滅したものと認めます。司令、よろしいですね?』

『ああ。現時刻をもって作戦終了だ。各自撤収準備に入れ!』

『『『『『了解!』』』』』

『エヴァも各機帰投の事!』

『『『「了解!」』』』『使徒とのコンタクトの件はどうだったのかね、葛城君?』

『・・・失敗したようです』

『そうか。まあい。』

ポジトロンライフルを片付けながらカヲル君を探したが、どこにもいない。先に撤収したみたいだ。

アスカに聞いても知らないって言うし・・・。

『ま、あのバカ見付けたら後でキッチリ説明させてあげるわよ。』

結局、使徒はどうなったんだろう。

それすら判らない。

使徒とのコンタクトは失敗だったんだろうか?

「綾波。」

『何、碇君?』

「使徒ってどうなったの?」

『渚君が殲滅したんでしょ。聞いていた筈じゃない』

「あ、うん。・・・でも、どうやってさ?」

『わからない』

「使徒ってまるで消えたみたいな感じだったよね」

『そうね』

「アスカは見てたんだろ、使徒の消えるとこ?」

『はっきりとは見てないわよっ!』

「そうなんだ・・・」

『とにかくさっさと片付けてブリーフィングに行けば分かるわよ』

「あ!それもそうだよね!」

『あんたってホントにバカねぇ』

「で、葛城一尉。使徒はいったいどうなったのかね?」

「参号機のATフィールドにより圧縮、消滅した模様です」

「赤木君の見解は?」

・・・父さん。

「私も同意見です」

「圧壊した、と?」

「はい」

「使徒の残骸は残されていないのか?」

「まだ調査中ですが、今のところ発見されていません」

「そうか。で・・・渚君」

「何でしょうか、副司令?」

「参号機のATフィールドで使徒に接触した感じはどうだったかね?」

「戸惑い・・・のような感覚を感じました」

「それだけかね?」

 「はい」

「まあいい、冬月。使徒は殲滅されたんだ」

「だが、碇・・・」

「今は使徒殲滅が最優先だ」

「わかったよ。まあ良しとしよう。ご苦労だった。散会としよう」

「それでは散会!」

「「「「「「はっ!」」」」」」

「「「「「はい!」」」」」

『ガチャッ!』

「ただいま〜!」

「ニャー」

「ニャン」

「ミィ」

「ニャウ」

「ただいま、トト、チャチャ、ミミ」

「綾波、ご飯あげてくれるかな?」

「わかった。みんな・・・おいで」

今日の使徒戦はカヲル君一人で済んだのに何だか疲れたな。

結局・・・使徒との接触は失敗だったのか・・・。

「碇君」

ん?

「何、綾波?」

「多いの」

「え・・・何が」

「猫が多いの」

「はぁ?」

「猫、三匹だったわよね?」

「ああ。トトにチャチャにミミだろ?」

「でも・・・四匹いるわ」

「四匹?」

そんな・・・リツコさんまた飼うのかな?

『ガチャ!』

「おかえりなさい、シンジ君、レイ」

「あ、ただいま。リツコさんの方が早かったなんて」

「今回は使徒の残骸がなかったからね」

「そうでしたか」

「そうなのよ」

何だかリツコさん楽しそうだな?

「何かあったんですか?」

「あら、気が付かなかったの?」

ん?

「猫の事ですか?今、綾波がご飯あげてますけど一匹多いって・・・」

「ふふふ・・・そうなのよ」

「どうしたんですか?」

「フェル、って名前にしようかと思うのよ。どうかしら?」

「フェル、って・・・」

「この子、渚君が見つけてくれたの」


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