『俺と僕で何?』
第四拾壱話 引越し
「おはようございます」
「おはよう、シンジ君」
「綾波とフェルは?」
「まだ寝てるみたいですね。起こしてきましょうか?」
「お願いするわ」
「はい」
ホントに二人とも寝坊なんだからな。
(パタパタパタ)
(コンコン)
「綾波!」
・・・
(コンコンコン)
「綾波っ、朝だよっ!」
駄目か・・・しょうがないな。
「綾波、入るよっ!」
(ガチャ)
「ねえ起きてよ」
(バタン)
「んー・・・」
「綾波、朝だってば!」
「・・・くぅくぅ・・・」
・・・
こんなんじゃ起きないな。
仕方ないので肩を揺する。
「綾波、朝だから起きてくれよ!」
「あ・・・碇君がいる?」
「眼、覚めた?」
「う・・・ん。」
「二度寝しないで起きてね」
「・・・わかった」
大丈夫かな?ま、いいや。
(ガチャ・・・バタン)
次はフェルだな。
(パタパタパタ)
(コンコン)
「フェル〜、朝だよ〜、起きて〜」
返事がないな。
こっちも仕方がないな。
(ガチャ)
「ねえ起きてよ」
(バタン)
全然反応がないや。
「フェル!朝だから起きてよ!」
「う〜ん。まだ眠いから・・・むにゃむにゃ・・・」
「だめだよ!起きてくれなきゃ」
「・・・わかった・・・ニャン」
ニャン?何語だ?
まだ猫でいる気分なのかな?
「朝ご飯出来てるからちゃんと来てね!」
「お腹空いた〜」
「朝ご飯出来てるから起きるんだぞ!」
「あい〜」
こっちは大丈夫そうだな。
(ガチャ・・・バタン)
ホント、みんな寝坊なんだから困るよな。
「リツコさん、二人を起こしてきました」
「ご苦労様、シンジ君。じゃあ朝食の用意手伝ってくれるかしら?」
「はい」
今日は洋風だな。
パンと目玉焼きとサラダとスープだ。
・・・
朝食の用意が出来た頃、ようやく二人が起きてきた。
実際、綾波とフェルとはホントに低気圧で寝坊なんだ。
今日はクロワッサンに目玉焼きとベーコン、サラダにコーンスープだ。
「おはようございます」
「おはよう、レイ」
「おはようニャン」
「おはよう、フェル。じゃあいただきましょう」
「「「いただきまーす!」」」
あ!
「今日はイスラの引越しでしたね」
突然、気が付いた。
「あら、そうだったわね」
「手伝いに行った方がいいんでしょうか?」
俺は気になっていた事を言う。
「大丈夫かしら。バタバタしてるんじゃないの」
「でもミサトさんとアスカとイスラで女手しかないですよ。」
「大丈夫よ。引越し業者もいるんだから」
「そりゃそうですけど・・・」
「そんなに気になるんだったら手伝いに行ったら?」
「フェルも行く〜」
「じゃあ一緒に行こうか」
「あい!」
「わたしも行くわ」
「え、綾波も行くの?」
「人手は多い方がいい筈。駄目なの?」
綾波が悲しそうに聞く。
「あ、いや、そんな事ないよ」
「みんなで行ってらっしゃいな」
リツコさんが助け舟を出してくれた。
「はい、そうします」
「いきなりじゃなんだから電話していった方がいいわよ」
「わかりました」
・
・
・
(ピンポーン)
「はーい、どなた?」
「シンジです」
(ドタドタドタ)
(ガチャ)
「いらっさい、シンジ君」
あ、ミサトさん・・・。
「すいません、忙しいとこ押しかけちゃって」
「いや、いいのよん」
「イスラは?」
「今荷物と格闘しているわよ」
「家具とか移動させるなら言って下さい。手伝いますから」
「オッケー。ま、中入んなさいな」
「はい。お邪魔します」
「お邪魔します」
「いらっしゃい、レイ」
「お邪魔します〜」
「いらっしゃい、フェル」
「アスカとイスラは?」
「今荷物と格闘中よん」
・・・
「なんだ手伝いに来たの、シンジ」
「ああ、レイとフェルも来てるんだ」
「手伝いなんていらなかったのに。家具がある訳じゃないからね」
「でもイスラの部屋の模様替えとかするかと思ってさ。家具とか動かすの人手があった方がいいだろ?」
「まあそれはそうかもしんないわね」
イスラが右往左往している。
アスカは何もしてない。
「みんな、少し休憩しない?」
ミサトさんが麦茶を入れてる。
前だったら絶対にそんな事しなかったと思うけど・・・ミサトさんも変わったよな。
「じゃあ休憩よ、イスラ!」
アスカが仕切っている。
「はーい、アスカさん」
(バタバタバタ)
・・・
「どう、片付いた?」
「あ、シンジさん。わざわざ来て頂いて済みません」
「いや・・・かえって邪魔だったかも知れないね」
「いえ、そんな事ありません。嬉しいです」
「そうならいいけ。」
「部屋の模様替えをするんですけど、手伝ってもらえますか?」
「もちろん!そのために来たんだから」
「フェルも手伝うぅ〜」
「はい。フェルにもお願いします」
「わ〜い」
・・・
「じゃあこの本棚をこっちにもっていけばいいんだね」
「はい、お願いします」
「わかった。フェルはそっちを持って」
「了解〜」
・・・
「ありがとうございました」
「ベッドの配置はこれでいいのかな?」
「もう少し窓寄りにしたいんですけど・・・」
「了解。フェル、そっち持ってね」
「あ〜い」
「こんなもんかな?」
「はい。バッチリです」
「じゃあ終わりかな。俺達は外に出てようか」
「フェルはイスラと話しがした〜い」
「いいよ。久しぶりだろうからね。俺はリビングにいってるから」
「あい」
・・・
リビングにはミサトさんとアスカがいた。
「疲れたでしょう、シンジ君。コーラでもどうぞ」
「ありがとうございます。でも、ほとんど何もしなかったな」
「そんな事ないって。ところでフェルは?」
「イスラと何か話しをしてます」
「あ、久しぶりだもんね。本当は二人一緒に住まわせられればいいんだけど部屋がもうないから」
「リツコさんのところも無理ですし・・・」
「まあ仕方ないっしょ」
「そうですね」
「そのうち新しいマンションでも申請してみるわ」
「そんなの出来るんですか?」
「ある程度、落ち着けば、ね。最初からは無理よ」
「そんあんですか・・・」
「ところで、シンジ君はもう慣れた?」
「え、何がですか?」
「リツコとレイとフェルとの生活よ」
「ああ、慣れましたよ」
「相変わらず家事はシンちゃんがやってるの?」
「いえ、リツコさんが大体の事はやってくれていますよ」
「へえ、リツコが」
「そうです。ミサトさんとはかなり違いますね」
「それって嫌味?」
「あら、シンジ。ミサトはちゃんと家事してるわよ」
あ!アスカがいたんだ。まずかったな・・・。
つい前回のミサトさんと比較してしてたから・・・。
「そうならいいんだけど・・・」
「ミサトに失礼よ、シンジ」
「ごめん」
「あたしに謝ってどうすんのよ。ミサトに謝りなさいよ」
「ミサトさん、ごめんなさい」
「あ、いいのいいの。気にしないで」
と、手をヒラヒラさせかながら言う。
「はい」
「良かったわね。お許しがあって」
「うん。ところでさ、アスカは手伝ったの?」
「うっさいわねえ、手伝ったわよ、ちゃんと。段ボールを運ぶのをね」
「そっか」
「中身の収納は本人がやらなきゃ後で困るでしょ」
それはそうかも知れないな。
「それもそうだね」
「まあ家具の移動はシンジが来るって分かってたから任せようと思ってたのよ。何にもする事ないと来た甲斐がないでしょ?」
「それもそうだね」
「アスカはイスラをどう思う?」
「どうって?」
「その・・・仲良く出来そうかなって」
「イスラ、いい娘みたいじゃない。あたしは喜んでるわよ」
「そうか。良かった」
「まあね。これであんたのところに泊まる必要もなくなったって訳よ。嬉しい?」
「別にそういう問題じゃないだろう?」
「あーあ、本当は加持さんと一緒に住みたかったんだけどなぁ。」
「そんなの無理に決まってんじゃないか」
「何ムキになってんの。バッカみたい。」
からかってたのか?
「アスカが勝手に言ったんじゃないか!」
「碇君、片付けはもういいの?」
「あ、綾波・・・もういいみたいだよ」
「そう」
綾波がいたんだ。忘れてたよ。
「綾波は引越しの手伝いって初めてなのかな?」
何聞いてるんだ俺は?
「初めてだわ。でも自分が引越した事はある」
ああ、あの寂しい団地からだな。
「その時は独りで引越したの?」
「いえ、リツコさんが手伝ってくれたわ」
「そうなんだ」
「荷物が少なかったからすぐに済んだけど」
「ふーん」
アスカが素気なく言う。
「アスカはどうだったの?」
「何、引越し?」
「うん」
「荷物が入んなくて大変だったわよ」
「入んなかったの?」
「そう」
怒ってるみたいだ。
「で、どうしたの?」
「仕方ないから今でも半分は本部の倉庫ん中よ!全く・・・」
「そうだったんだ」
「あんたはどうだったのよ?」
「俺は簡単だったよ。荷物少なかったし」
「ふーん」
「ところで、イスラは自分の部屋の荷物全部片付いたのかな?」
「じゃない?今はフェルと話してるんでしょう?」
「多分」
「なら一応は片付いたんでしょうよ」
「じゃあそろそろ帰りましょ」
「そうだね、綾波。悪いけどフェルを呼んで来てくれるかな?」
「わかったわ」
・・・
「フェルはイスラと久しぶりに話しが出来たかな?」
「あい、バッチリ!」
「それは良かったね」
「ニャン」
いまだに猫の気分なのかな、フェルは?
「ではお邪魔しました」
「こっちこそ何のおかまいも出来なくて・・・」
「いいですよ。手伝いに来ただけですから」
「ありがとうございました」
「いいんだよ、イスラ。お互い様だからね」
「はい」
「今度はイスラが家に遊びに来てよ」
「はい。喜んで」
「約束だよ〜」
「わかったわ、フェル」
「で、早速で悪いんだけど明日家でイスラとフェルの歓迎会をやろうと思うんだけどどうかな?」
「え!いいんですか?」
「急で申し訳ないんだけど次だと来週になっちゃうからね」
「ありがとうございます!」
「フェルも嬉しい〜!」
「メンバーは任せてくれるかな?」
「「は〜い!」」
「当然このアスカ様も入ってるんでしょうね!」
「う、うん」
「誰にするつもりなの?」
「ミサトさん、リツコさん、アスカ、綾波、洞木さん、トウジ、ケンスケ、加持さん、日向さん、青葉さん、マヤさん、コダマさん、チサトさん、そして、俺・・・ちょっと多いかな?」
「総勢16人ね・・・なんとかなるでしょ」
「あ!まだリツコさんの了解を取ってないんだけど・・・」
「大丈夫よ。ミサトから電話してもらうわ。ミサト!」
「へいへい」
・・・
「・・・という事でイスラとフェルの歓迎会。そう総勢16名なの・・・いいかしら?・・・うん・・・ありがと。じゃね!」
「どうでした?」
「リツコはオッケーよん。ただし・・・シンジ君と洞木さん、レイが料理を作るって条件付きでね」
「わ〜い!」
「ありがとうございます」
「本部のみんなはあたしから誘っておくわ」
「お願いします」
「フェル楽しみだな〜」
「わたしも楽しみですわ」
「明日で時間がないですけど」何かプレゼント用意してくださいね」
「「「「「「了解ッ!」」」」」」
「時間は4時にしましょう。料理の準備もあるし・・・」
「いつも悪いわね、シンジ君」
「いいんですよ、好きですから。洞木さんと綾波には手伝ってもらうからね」
「わかったわ」
「じゃあ」
「じゃあね〜」
「失礼します」
「今日は本当にありがとうございました」
「じゃあね、シンジ君、レイ、フェル」
「シンジ君、今日は助かったわ。ありがとう」
最後にミサトさんからお礼を言われた。
・
・
・
帰り道。
リツコさんは本部に行ってしまったから、俺とレイとフェルとで帰宅の途上だ。
「イスラって喋り方がすごく丁寧だね」
素直な感想を言う。
「フェルは丁寧じゃないって言いたいの?」
「そうじゃないよ。イスラが丁寧過ぎる気がしたんだ。どうしてかな。フェルと双子なのに・・・」
「イスラはフェルと基礎が違うからだよ」
「え、そうなの?」
「うん。」
「どう違うの?」
綾波も興味を持ったみたいだ。
「うーん・・・フェルは見掛けはレイがベースだけど中身はアスカかな。イスラは逆で見掛けはアスカがベースだけど中身はレイなんだよ〜」
「でもレイよりも言葉遣いが丁寧な気がするんだけどな」
「わたしの喋り方が変なの?」
「そんな事はないよ。レイは普通だと思うよ」
「イスラは不安なんだよ〜」
不安?
「何が?」
「みんなに受け入れてもらえるかどうかが不安なんだってさ〜。」
「そうか・・・」
「フェルは不安じゃないの」
レイが聞く。
「フェルは・・・不安はあるけど、シンジやレイやリツコさんに良くしてもらってるし、毎日が楽しいから普段はそんな不安は忘れてる〜」
「そうなんだ」
やっぱり不安ではあるんだな。
まあ人間界に突然放り込まれたんだから当然だよな。
「人間の世界にはもう慣れたのかしら?」
「うーん・・・今の家はいいけど、本部とか知らない人がいると緊張するよ〜」
そうだったんだ。
「でもフェルは外見も中身も完全に人間じゃないか」
「でもATフィールド使えるよ〜」
「それはわたしも渚君も同じ事。碇君だって少しだけ使えるし」
ホントに少しだけだけど・・・。
「そうなの?」
「ええ。みんなには内緒だけど」
「じゃあフェルと一緒だね」
「そうよ。だから気にしなくていいの」
綾波がこんなに喋るのは珍しいな。
・
・
・
「ただいま」
「おかえりなさい」
あ、リツコさん、いたんだ。
「リツコさん、今日は本部に行ったんじゃあなかったんですか?」
「いえ、本部には行ったわよ。まあすぐに帰ったけど」
「お疲れ様」
「引越しは無事に済んだの?」
「ええ。荷物が少なかったですから」
「そう。アスカも話し相手が出来て良かったわね」
そうか。イスラとアスカの相性ってどうなんだろうな?
まあイスラの性格が穏やかそうだから問題ないと思うけど・・・。
「リツコさん」
「なあに?」
「アスカってこのままの状態が続くんでしょうか?」
「それは住居のこと?それとも記憶の事かしら?」
「記憶の事です」
「わからないわよ、そんな事は」
「何だかアスカだけ蚊帳の外みたいで・・・」
「そんな事言っても今はどうしようもないわ」
「そうなんですよね。わかってるんですけど・・・」
「だったらあまり考えない事ね。疲れるだけ損よ」
リツコさんらしいや。
「はい」
「ところでイスラは元気だった?」
「ええ。元気そうでしたよ」
「あの子とフェルは私達がこの世界に引き留めたのだから私達が責任を持って面倒見なくてはいけないわ」
「はい。本人達は結構楽しそうですからうまく行くんじゃないですか?」
「そうだといいけどね」
「何かあるんですか?」
「何と言ってもあの子達は人間じゃあないから・・・ヒトではあるけど」
「綾波と一緒ですか」
「そう。渚君ともね」
「俺達は気にしませんよ。綾波もカヲル君もフェルもイスラもみんな俺達の大切な友達なんですから」
「そうね。よろしくお願い。私達の都合でもて遊んではいけないのよ」
「わかってます」
「それはシンジ君も同じよ」
は?
「何がですか?」
「シンジ君も自分を大事にしなさいって事・・・」
「言ってる意味が良く判りませんが・・・」
「あなたは『俺』でいいの。無理して『僕』になる必要はないのよ」
そういう事か・・・。
「わかりました。すいません」
「ATフィールドなんか使えなくてもいいのよ。シンジ君はシンジ君であればいいの。忘れないでね」
「はい」
俺は僕になる必要があるのか、って事でもあるよね。
リツコさんは前に俺には魂が二つあるような事を言ってた。
なら今の『僕の魂』はどうなってるんだ?
『俺』が『僕』になったら『俺の魂』はどうなってしまうんだろう。
まあリツコさんの仮説が正しいかどうか分からないけどね。
でも・・・アスカ・・・前回のアスカはどこに行ってしまったんだろう。
あのアスカにも会いたいんだけど、そうすると今のアスカはどうなってしまうんだ?
これは俺じゃない僕の傲慢なんだろうか?
どうして俺はそう思うんだろうか?
「アスカの前回の記憶ってカヲル君が持ってるんでしょうか?」
「またアスカの事?前回のアスカの記憶を復活させたいの、シンジ君は?」
「わかりません」
「なら、どうしたいの?」
「カヲル君に聞いてみたいんです」
「何を聞くの?」
「アスカにエヴァの事、アスカのお母さんの事を教えたのはカヲル君なのかどうかを・・・」
「前アスカが言っていたという『夢のお告げ』の事ね?」
「そうです。あの『夢のお告げ』が今のアスカを前回のアスカとは違わせている大きな要因のような気がするんです。もし『夢のお告げ』がカヲル君によるものだったら、何故そんな事をしたのかその真意が知りたい 」
「成程ね」
「今のアスカがあるのはその『夢のお告げ』の影響が大きい気がしますから。」
「『夢のお告げ』ねぇ・・・」
「明日カヲル君に聞いてみます」
「そうね。案ずるより産むが易し、って言う事ね。でも、アスカの事はあまり焦らない方がいいと思うわよ」
「はい、わかってますよ」
また人格崩壊なんて事になったら大変だからな。
「でも・・・今のアスカは前回の記憶を取り戻さない方が良いかも知れないわ」
「わかってます。だから俺も悩んでるんですよ。俺も『俺』と『僕』との狭間で悩んでるんですからね」
「そう」
「でも前回のアスカの経験は貴重です。俺と一緒で最後の人間だったんですから。あの何もない赤いLCLの海で・・・」
「サード・インパクトの状況は私達にはわからないわ。でもシンジ君が必要だと思うのなら躊躇う事はないわ。信じる道を進みなさい」
「はい。ありがとうございます」
「よし!」
「カヲル君に聞きます」
「そうね」
あ!
「ところで綾波とフェルは?」
「お風呂よ。最近は二人で一緒に入ってるのよね。しかも長風呂よ」
「仲良いんですからいい事じゃないですか」
「二人してのぼせなきゃいいけど・・・」
(バタン)
「あ、出たみたいね。シンジ君先に入っていいわよ。わたしは最後にするから」
「はい。ありがとうございます」
じゃあ着替えを取ってこよう。
「あ!碇君、お待たせ。お風呂空いたわ」
「ありがとう」
「お湯少なくなったから追い炊きしてるところなの」
「わかった。少し待ってるよ」
「フェルはのぼせたかも〜」
「長く入ってるからだよ」
「だって気持ちいいんだも〜ん」
「フェルはもう猫には戻らないのかい?」
「あ、もう無理矢理。この姿で安定しちゃったからね〜。第一人間の方が楽しいし」
「そうなのかな?」
「シンジのご飯も美味しいし」
「あ、ありがとう」
「今晩は何かな〜?」
「まだ考えてないや」
「ハンバーグ!」
「え?」
「フェルはハンバーグがいい!」
「でもそれじゃあ綾波が食べれないよ」
「わたし食べてみる」
「え?」
「ハンバーグ食べてみるわ。」
「そんな・・・無理する事ないと思うけど」
「みんなと同じ物が食べたいわ」
「それじゃあ綾波のだけ少しアレンジするよ」
「わかった」
(ピピピッ・・・ピピピッ)
「お風呂が入ったみたいだから私先に入るわね」
「はい」
「行ってらっしゃ〜い!」
・・・
綾波がハンバーグを食べるなんて、いくら最近は肉を食べるようになったと言っても、ハンバーグは肉の塊だからな・・・大丈夫かな?
どうしちゃったんだろ、綾波?
・
・
・
「美味しかったわ、碇君」
「ごめん。実は肉と豆腐を半々に混ぜたんだ」
「わかってた。気に掛けてくれてありがと。嬉しかった」
「勝手な事をしてごめん」
「いいの。碇君の気持ちが嬉しいから」
「シンジ君、レイ。なんだか二人の世界って感じよ」
「何言ってるんですか、リツコさん。そんなんじゃないですよ!」
「まあ、照れない、照れない」
「だから違いますってば!」
リツコさん、なんだかミサトさん化してないか?
「わたしは嬉しいわ」
「綾波ぃ」
「フェルはシンジとレイが仲良くて楽しいな〜」
「フェルまで・・・って、勘違いだよ!」
「いいじゃないの、シンちゃん。減るもんじゃないんだし」
・
・
・
(コンコン)
「綾波?」
「何?」
「碇だけど・・・今いいかな?」
「どうぞ」
(ガチャ)
「入るよ」
「どうぞ」
(バタン)
「何か話し?」
「うん・・・アスカの事で」
「どうしたの?」
「うん・・・アスカの・・・アスカの前の記憶の事でさ」
「アスカはアスカだわ」
「いや、アスカの前回の記憶がどうなっているのかと思ってさ」
「失われているわ。それは碇君も知っている筈よ」
「それはそうなんだけど」
「何、アスカにもわたし達みたいになって欲しいの?でも、それがアスカにとって幸せがどうか分からない事だわ」
「そう・・・だよね」
「なら何故そう望むの?」
「分からないんだ。どうすればいいのか」
「アスカに説明したら?」
「説明してどうするんだよ」
「決めてもらえばいい。今このままいくのか前回から再び始めるのかを」
「説明出来れば、それが出来れば苦労しないんだけどな」
そんなにうまくいくのかな?
案ずるより産むが易しか・・・。
でも俺には出来ないんだろうな。
* 感想をお願いします。