『俺と僕で何?』


第四拾伍話 使徒、その進化


「おはようございます、リツコさん」

「今日は早いわね」

「ちょっとお話しがあって」

「何かしら?」

「綾波とフェルは?」

「まだ寝てるわ」

「そうですか。夕べフェルと次の使徒と、サンダルフォンの話しをしたんです。で、リツコさんのご意見を聞きたいと思って・・・」

「どうしたの?」

「サンダルフォンは弐号機との心中が目的みたいなんです」

「フェルが言ったの?」

「ええ」

「そう・・・」

「もしかしたら使徒も還って来たのかも知れません」

「有り得るわね」

「サンダルフォンの捕獲は危険です」

「A-17は元々ミサトが言い出した事だからミサトに話せばいいんじゃないかしら?」

「でも司令が発令する可能性もありますよ」

「そうね・・・サンダルフォンを早いうちに孵化させる方法を考えましょう。それでいいわね」

「はい。お願いします」

「それと使徒はお互いに意思疎通しているってフェルが言っていました」

「そうなの・・・ちょっと厄介だわね。詳しい事はフェルも呼んで本部で聞くことにするわ」

「はい」

「そろそろレイとフェルを起こしてくれるかしら?」

「あ!そうですね。わかりました」

女の子を起こすって苦手なんだよな。

「今日はリツコさんのお当番ですね」

「そうよ。お弁当も出来てるわよ」

「ありがとうございます」

「今日はハーモニクスの実験があるから忘れないでね」

「はい、わかりました」

・・・

(コンコン)

「綾波!朝だよ!起きて!」

「ふーん。わかった・・・」

(コンコン)

「フェル!朝だよ!起きて!」

「ふぁ〜い。起きる〜」

二人とも二度寝しないだろうな・・・。

・・・

「「「いただきまーす」」」

「今日はハーモニクスの実験があるから三人とも忘れないでね」

「「「は(〜)い」」」

「シンジ、今日もネルフに行くんかいな?」

「うん」

「綾波や惣流なんかもか?」

「みんなそうだよ」

「さよか」

「どうしたの?」

「いや、いつも大変やな思うてな」

「そんな事ないけどね」

「わしらが遊んどる時に訓練したり使徒と闘っとる訳やろ。なんか申し訳あらへんで」

「そんなの気にする事ないって」

「悪いのう」

「別に悪くないってば。どうしたのトウジ?なんか変だよ、突然さ」

「さよか?」

「そうだよ」

「まあ、わしらに出来る事があったら遠慮なく言うてくれ」

「うん。ありがとう」

・・・

どうしたんだろう、トウジ・・・。

今日はなんか変だったけど、何かあったのかな?

「今日はハーモニクスの試験を行います。各自準備してケイジに集合、いいこと?」

「「「「「「は(〜)い」」」」」」

・・・

「みんな順調ですね。ハーモニクス値が安定してます」

「そう・・・それはいい事だけど、あの子達にとってはどうかしらね」

「先輩らしくないですね。どうしたんですか?」

「いえ、私達にとってはいい事なんだけど、あの子達にとってはどうかと思ってね」

「確かに・・・戦闘のためのテストですからね・・・」

「じゃあ今日はもういいわ。あがってもらって」

「はい。じゃあ今日のテストは終了します。ご苦労様」

「しっかし毎日テスト、テストでうんざりするわね」

「仕方ないよ、アスカ。備えは必要なんだから」

「あーあ、使徒は来ないし、なんか退屈だわ」

「でも使徒が来たら闘わなきゃならないんだよ」

「そりゃそうよ。そのためのチルドレンなんだから」

「アスカは怖くないの?」

「は!なんて事ないわよ。ちゃちゃっとやっつけてあげるわよ」

アスカ・・・前と同じになってるな。あのおしとやかなアスカはどこに行ったんだろう?これじゃあ前回と変わりないよ。

「闘わなくて済めばそれに越した事はないんだけどね」

「そりゃそうだけど。攻めて来たらしょうがないじゃない」

「まあね」

少しは考え方が違うのかな?

「綾波はどうなの?」

「命令に従うまでだわ」

前と同じか・・・記憶が戻ったのに・・・。

「イスラは?」

「わたしも闘う。」

「フェルは?」

「闘うよ〜」

「カヲル君は?」

「仕方ないだろ、闘うよ」

この三人は目的がはっきりしているな。

「そういうシンジ君はどうなんだい?」

「・・・闘うよ。みんなを守るために」

「じゃあ同じじゃあないか」

「そういう事かな」

そうか・・・動機は違っても結果は同じか。

「これから食堂にでも行かないかい?」

カヲル君がみんなを誘う。

「なんでよ」

アスカが聞く。

「チルドレンの親睦を深めるためにさ」

「フェルはいいよ〜」

「はいはい、あたしも付き合うわよ」

「わたしもいいわ」

綾波にしては珍しいな。

「じゃあわたしも」

と、イスラ。

「じゃあ行こうか」

と、俺。

・・・

「一度このジャンボミックスパフェが食べたかったのよねー。当然カヲルの奢りよね!」

「え?それは・・・」

「誘ったのはあんたなんだからあんたの奢りよね!」

「・・・はい」

「だって。みんなじゃんじゃん頼みましょ」

カヲル君、可哀想。

「じゃあフェルもジャンボミックスパフェ!」

「わたしはチョコレートホットケーキ」

イスラは良心的だ。

「綾波は?」

「わたしもジャンボミックスパフェ」

「じゃあ俺はアイスクリーム」

「シンジ、せっかく奢ってくれるんだから、もっと高い物にしなさい!あんたもジャンボミックスパフェ!」

「はい、そうします」

あ!つい返事しちゃったよ。

・・・

「じゃあ俺とレイとフェルはリツコさんと一緒に帰るからまたね」

「じゃあまた」

「また明日」

「それじゃまた」

・・・

「リツコさんお待たせしました」

「待ってたわよ。まずはフェルの話しを聞かせてくれるかしら?」

リツコさんの部屋にはリツコさんとレイとフェルと俺がいる。

まずはフェルが昨夜俺に話した内容をリツコさんに説明した。

「なるほどね」

「何がなるほどなんですか?」

俺には解らなかった。

「前回の使徒の行動の理由が判った気がするのよ」

「俺には良く意味が分かりませんけど」

「つまりね、前回の使徒は単体でありながらある意味で進化していた可能性があるのよ」

「と言うのは?」

「正確な順番はともかく・・・最初のサキエルは単体近接戦闘型、シャムシエルは中距離戦闘型、ラミエルは遠距離攻撃型と攻撃方法が進化していた。ガギエルは水中戦闘型 、イスラフェルは2体分離型、サンダルフォンは地中進行型でエヴァの攻撃様式に対応したものね。で、マトリエルは本部直接進行型、サハクイエルは本部への破壊力重視型だわ。次のイロウルは本部中枢MAGI侵略型になった。その後はエヴァを直接狙って来て、レリエルはエヴァ吸収型、バルディエルはエヴァ侵略型、アラエルはエヴァ感応型、アルミサエルはエヴァ融合型、タブリスはエヴァ支配型・・・そんな感じね。単なる本部侵攻にも手段を進化させ、エヴァがあると分かるとエヴァを標的にし、それも敵わない とエヴァを取り込もうとした。実際タブリスの段階ではエヴァの支配に成功してたわ。今から思えば私達の闘い方に対応していたとも言えるのよ」

「そう言われてみれば・・・そうですね」

「だから私達の対応が変化した以上、今後の使徒の対応にも変化がある可能性は否定出来ない・・・そう言う事でしょ、フェル?」

「そうだよ〜」

そうは言っても・・・。

「とりあえずはサンダルフォンですね。やはり捕獲は危険なんじゃないですか?」

「ミサトには言ってあるけど碇司令が何て言うか分からないわ」

「孵化するまで放置すると言うのは?」

「本部侵攻方法が解らなくなるので危険ね。発見次第即時殲滅・・・それがベストじゃないかしら」

「わかりました。・・・また仲間にすると言う選択肢は?」

「赤ん坊には無理でしょうね。これは渚君も同意見だったわ」

「了解しました。父さんや副司令と話す必要はあませんか?」

「今のところ特に私達には干渉や妨害はないから必要ないでしょう」

「そうですか・・・」

「ただ司令達が何を考えているのかは知りたいところではあるんだけど・・・やぶへびになったら意味がないから・・・」

「綾波は何か気がついた事ある?」

「特にないけど碇君が司令に会うのは危険なような気がするわ」

そうか・・・。

「わかった。避けるようにするよ。加持さんあたりに動いてもらえるといいんだけどな」

「それはやってるから心配しないでいいわよ、シンジ君」

「そうなんですか?」

「ええ」

「でも危険がないようにお願いしますよ。前回の事もありますし・・・すいません、リツコさん」

「いいのよ・・・大丈夫。心配しないで」

「はい」

「今回はシンジ君が潜行、アスカと渚君がバックアップ。イスラとフェルが現場待機。レイが本部待機でいくわ」

「でも本部侵攻が同時に行われたらレイだけで対処するんですか?」

「マトリエルなら零号機一機で問題ないわ。参号機の即時輸送の手筈も考えているしね。大丈夫よ」

「わかりました」

「レイもそれで良いわね?」

「了解です」

リツコさん思案顔だ。

「後は使徒の順番が変わらない事を祈りましょう。一番厄介なのはレリエルだから・・・」

「・・・。」

「あの虚数空間に対抗する術は今のところ思いつかないわ。全くの未知の世界だもの」

「初号機の暴走に期待するしかないでしょう」

「ただシンジ君は初号機のコアにはシンクロしていないのよ。ユイさんが目覚めるかどうかは疑問だわ」

「訓練しましょうか?」

「はっきり言って無理ね」

「使徒の力に期待しましょう。シンジ君、レイ、渚君、イスラとフェル。みんな程度の差はあれ使徒の力を持っているから・・・。ATフィールドで何とかする方法を考えるわ」

「わかりました。お任せします」

「じゃあ修学旅行を楽しんで来てね」

「ホントにいいんですか?」

「いいわよ。UNの戦闘機で30分もあれば帰って来れるんだから」

「ありがとうございます。・・・アスカはどうしましょう?」

「どうするって?」

「カヲル君頼めば記憶を戻せるかも知れませんよ」

「今は必要ないでしょう。それともシンジ君はそれを望むの?」

「いや・・・わかりません。レイは?」

「今のままでいいわ」

「そうか」

アスカをどうしたらいいんだろ?正直言って・・・辛いな。


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