『俺と僕で何?』


第四拾七話 平常な日々


朝か・・・。

何回か目覚まし鳴ってたんだけど寝坊しちゃったな。

なんだか使徒が現れるのが判っているのに、ただ待ってるのって辛いな。

本当は俺が出たいのに・・・イスラが出るのか。

場所が場所だけに不安だ。

起きよう。

・・・

「おはようございます」

「おはよう、シンジ君」

あ!綾波もフェルも今日はもう起きてたんだ。

「おはよう。綾波、フェル。今日は早いんだね」

「たまには早起きするよ〜」

「わたしもそう」

みんなで朝食の用意をしている。

俺が寝坊したんだからな・・・。

「今日は何か予定ありましたっけ、リツコさん?」

「今日はシンクロテストとテニスよ」

「はい、わかりました」

・・・

「ご馳走様」

「お粗末様。じゃあこれがお弁当よ」

「ありがとうございます」

「学校の方は特に問題はない?」

「ええ。楽しくやってますよ」

「そう。良かったわ」

「じゃあ行って来ます」

「行ってっらっしゃい」

綾波とフェルと一緒に登校だ。

「綾波は学校楽しい?」

「・・・わからない」

「でも前よりは友達が出来たんじゃない?」

「そう・・・そうだと思う」

「修学旅行の準備は大丈夫?」

「・・・わからない」

「何がわからないの?」

「何を準備すればいいのかがわからないの」

「修学旅行のしおりをもらったよね?」

「ええ」

「読んだ?」

「いいえ」

「ダメだよ、ちゃんと読まなきゃ」

「わかったわ」

「多分リツコさんが手伝ってくれると思うから相談するといいよ」

「わかった」

「フェルもね」

「あいよ〜」

昼休み、屋上で例によっての昼飯。

「さあ昼飯やぁ!」

いつもながら同じ台詞だね。

「トウジはいつもながら気合い入ってるね」

「そりゃそうや。学校最大のイベントやからな。しかも今日は委員長の手作り弁当やしな!」

「良かったね、トウジ」

「じゃあケンスケにはこれ。今日はリツコさんの手作りだよ」

「ありがとう。相田ケンスケ、感激です!」

「良かったわね、相田君」

「委員長の弁当も素晴らしいが・・・おおっ!この弁当も凄い!凄過ぎるっ!感激だなぁ・・・」

ケンスケ目に涙を浮かべているよ。よっぽど嬉しかったんだな。

・・・

「修学旅行の準備ってみんなしてる?」

みんなに聞いてみる。

「まだしとらんわ。早すぎるで」

「俺はカメラとビデオのチェックをして万全に備えてるね」

「あたしは水着を新調したわよ」

アスカ・・・またあの赤と白のストライプの水着なのかな?

「洞木さんは?」

「わたしはまだよ。大体考えてはいるけど。碇君は?」

「俺も綾波もフェルもまだなんだ」

「沖縄か・・・スクーバもあるのよねぇ」

「アスカはスクーバ出来るの?」

「もちよ、ヒカリ!免許も持ってるわよ」

「凄いわね、アスカ」

「楽しみだなぁ」

アスカ、嬉しそうだな。

そういえば前回は修学旅行に行けなくてネルフのプールでスクーバしてたんだよな、アスカは。

そんなに楽しいのかな?

俺は泳げないから良く判らないや。

それともテニスと同じで泳げるようになっているのかな?

「ところでシンジ達は修学旅行に行けるのか?」

「どうしてそんな事聞くんだ、ケンスケ?」

「だって普通は戦闘待機じゃないのか?パイロットなんだからさ」

「ああ、その事か」

「修学旅行中に敵が攻めてきたら大変だろ?」

「その時はUNの戦闘機で本部に戻るんだって。大丈夫みたいだよ」

「そっか。大変だな。でも戦闘機に乗れるのかも知れないなんて羨ましいな 」

「そうかなぁ?」

「いいよなぁ・・・ほんとに」

「ケンスケは別や。ところでシンジ、今日なんぞ予定あるんかいな?」

「ああ、今日は本部なんだ。ごめん」

「じゃあシンクロテスト始めるわよ。シンジ君、エントリー準備よろしく」

「はい」

・・・

「気分はどうかしら?」

「悪くないです。シンクロ何パーセントなんですか?」

「67パーセントよ」

本当の数字なのかな?

「まあまあですかね?」

「そうね。じゃあ右腕を動かしてみてくれるかしら?」

「はい」

右腕を動かすイメージをする。

・・・動いてる。

「シンジ君、テストは順調よ。今度は左腕を動かして」

「はい」

左腕を動かすイメージをする。

・・・ちゃんと動いてる。

「良好よ。じゃあ両腕を一緒に動かしてみて」

「はい」

イメージ、イメージ。

・・・問題ないみたいだな。

「オーケー、シンジ君。テスト終了よ。着替え終わったら私の部屋まで来てちょうだい」

「わかりました」

(コンコン)

「リツコさん、シンジです」

「どうぞ、入っていいわよ」

「はい」

(ガチャ・・・バタン)

「お疲れ様、シンジ君」

「いえ。で、本当のところ、シンクロ結果はどうだったんですか?」

「そのまんまよ」

「そうだったんですか?」

「ええ、そうよ」

「シンクロは直接シンクロですか?」

「ええ。でもいい数字だったわ」

やはり直接シンクロか。

「・・・わかりました」

「ところでシンジ君はコアへのシンクロは出来ないの?」

「わかりません。意識してやってる訳じゃないですから・・・」

「そうなの」

「コアとのシンクロデータも採れるといいんだけどね。・・・ま、今はいいわ。じゃあ次はテニスだから準備をしてね」

「はい」

・・・

「久々のテニスだな、シンジ君」

「はい。他には誰が来るんですか、加持さん?」

「あとはレイちゃんとアスカだ。イスラとフェルと渚君は見学の予定だよ」

「はあ、わかりました」

しばらく待つとフェルとイスラがやって来た。

「シンジ〜、今日フェルは見学だよ〜」

「そうみたいだね」

「フェルもテニスやりたいな〜。次からはいいかな、加持さん?」

「あ、私もやりたいです」

「ああ、じゃあ今度からはイスラとフェルにも参加してもらおうかな。人数が多い方が練習の幅が拡がるからな」

「わ〜い」

「ありがとうございます」

フェルとイスラってテニスは初めての筈だよな?

「二人ともテニス出来ないんじゃないの?」

「だから教わるんだよ〜」

「そうですわ」

なるほど。

あ、綾波とアスカが来た。

「ごめん、加持さん。遅くなっちゃって」

「ごめんなさい」

「いいんだよ、アスカ、レイちゃん。時間はまだまだあるからな。じゃあ全員で準備運動からだ。ラジオ体操第一から!」

え、それってださくない?しかもテープ付きだよ。

「フェルもやるの〜?」

「当然だろ」

「あ〜い」

・・・

「次はストレッチだ!シンジ君と渚君、アスカとレイちゃん、イスラとフェルでぺアを組んでやってくれ」

・・・

なんだか体操とストレッチでもう疲れチャたよ。

「次はさっきのペアでミニラリーとボレーボレーだ」

・・・

「今度はベースライン後ろに下がってストローク!」

・・・

「じゃあ次は俺が球出しするからボレーしてくれ。目標はこの3ヶ所だからな。一人20球で交替、5セットやるぞ!」

・・・

はあはあ・・・キツイ。

「なんだシンジ君はもうギブアップかい?」

「少し・・・はあはあ・・・休憩が欲しいです」

「仕方ないな。じゃあ5分休憩にしよう!」

助かったぁ・・・。

「大丈夫かい、シンジ君?」

「カヲル君、テニス上手なんだね」

「それ程でもないさ」

「アスカも大丈夫みたいだし、息が上がってるのは俺と綾波だけか」

「運動不足なのかい?」

「そうだね。なにしろテニスしかしてないからね」

「カヲル君は何かしてるの?」

「朝ジオフロントをジョギングしているよ」

「偉いな」

「暇なだけだよ」

「シンジは運動不足ね」

「アスカまでおんなじ事を言うんだね」

「何、もう誰かに言われたってぇの?」

「うん。カヲル君にね。アスカは何かしてるの?」

「あたしは自宅でエアロビしてるわよ」

「そうなんだ。俺もエアロビでもするかな・・・」

「いいんじゃない、エアロビなら自宅で出来て手軽だし」

真面目に考えようかな?

「さあ、そろそろ休憩終了だぞ!」

えー、早くないか?

「じゃあ今度はさっきのペアでストロークラリーだ」

・・・

「じゃあ今日はここまで。お疲れ様」

「「「「ありがとうこざいましたぁ」」」」

・・・

はあ・・・疲れたよ。

面白いけど疲れた。

疲れたけど気持ちいい疲れだ。

「碇君、大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ、綾波。綾波はまだ元気みたいだね」

綾波って結構持久力あるんだな。

「碇君ほど動いてないから」

「シャワー浴びるから食堂で待ち合わせにしようか」

「わかったわ」

「みんなもそれでいいかな?」

「はいはい」

「いいよ〜」

「もちろんだよ」

「わかりました」

あれ?俺が一番か。

テニスって結構運動量あるよな。

アスカとカヲル君が同じ位上手だな。

綾波もそこそこ出来ているし。

俺のレベルはどんなもんなんだろう?

「お待たせ!」

「やあ、アスカ。早いね」

「軽くシャワーを浴びただけだからそんなに時間は掛らないわよ。どうせお風呂にはまた入るんだしね」

「今日ミサトさんは?」

「定時みたいな事言ってたわね」

「アスカの家ってさあ食事はどうしてるの?」

前から疑問に思っていたんだよね。

前聞いた通りまだアスカが作っているのかな?

「ああ、食事ね。あたしが作ったり出前を取ったり色々よ。ミサトには作らせないけど、イスラは手伝ってくれるわ」

「何でミサトさんには作らせないの?」

「あんたも知ってるんじゃないの、ミサトの料理は?普通の人間には食べられない代物だからよ」

やっぱりそうか。

アスカ・・・食べたんだね、ミサトカレー・・・ご愁傷様。

「そっか」

「そうだ!たまにはあたし達もあんたの家に招待しなさ。」

「何に?」

「決まってるでしょう!夕食よ、夕食!」

「ああ、いいよ。そのうちにね」

あ、フェルとイスラだ。

「お待たせ〜」

「お待たせしましたわ」

綾波、遅いな?

「綾波は?」

「碇司令と何か話していらっしゃったみたいでしたわ」

「そうなんだ・・・」

なんだろう?実験の事かな?ダミープラグ・・・最近参加してないみたいだからな。

あ、カヲル君。

「やあ、みんなを待たせてしまったようだね」

「綾波がまだなんだ」

「そうなのかい」

「カヲルは今日は何号機に乗ったの?」

「参号機だよ。僕専用の機体はないからね。イスラとフェルと共有なんだよ」

「そっか」

あ、やっと綾波が来た。

「碇君、お待たせ」

「いや、そんなに待ってないよ」

「レイ、司令と話ししてたんだって?」

「たいした事じゃないわ、アスカ」

「あたしなんて司令と話しした事なんて一度もないわよ」

「そうなの?」

「一介のパイロットと総司令が話しするなんて普通ないわよ。何話してたの?」

「・・・秘密」

「なんか怪しいわね、秘密なんて」

「企業秘密」

「まあいいわよ。じゃあ帰りましょうか?」

「あ、綾波、リツコさんは?」

「今日は残業だって。夕食もいらないそうよ」

「わかった」

ちょっとハラハラしたな、今の会話は。

綾波とは改めて話しをした方がいいかも知れない。

「じゃあまた明日」

「またね〜」

「じゃ明日学校で、シンジ君」

「うん」

「じゃね、シンジ」

「では皆さんまた明日学校でお会いしましょう」

「ただいま」

「ただいま」

「トト、チャチャ、ミミ〜。ただいま〜」

「ニャーン」

「ニャ」

「グルニャン」

お腹空いてるのかな?

「ごめん、今餌あげるからね。フェルはトイレ替えてくれるかな?」

「了解〜」

今晩のご飯はどうしようか?

「今日は何食べたい?」

「何でもいいよ〜。」

「わたしも」

「じゃあ冷やし中華でいいかな?」

「うん」

「オッケ〜」

・・・

「ご馳走様」

「ご馳走様」

「美味しかった〜。ご馳走様〜」

「お粗末様。デザートいる?」

何があったかな?

「アイスクリームがいい」

確かアイスはあったな。

「綾波もアイスクリームでいいかな?」

「いいわ」

「じゃあちょっと待っててね」

・・・

「はい、アイスクリーム」

「ありがとう〜」

「ありがと」

そう言えばフェルとイスラはカヲル君の兄弟という事になってたけど、父さんやゼーレには何て誤魔化したんだろう?

カヲル君はゼーレから送り込まれたんだからゼーレにとっては不自然な事だよね。

何か裏工作があったのかな?

「ただいま」

「おかえりなさい、リツコさん。今日は遅かったんですね」

「データの整理で残業だったのよ」

「お疲れ様。食事は?」

「済ませてきたからいいわ」

「はい」

「レイとフェルは?」

「もう寝ました」

「そう。シンジ君も私を待ってなくて先に寝てていいのよ」

「ええ。ちょっと考え事をしてたんで」

「どうかしたの?」

「フェルとイスラの事でちょっと」

「なあに?」

「ええ。フェルとイスラってカヲル君の兄弟という事になっていますけど、父さんやゼーレはどうして納得してるのかなって思ったんで。」

「ああ、その事・・・」

「フェルもイスラも突然現れた訳ですし、カヲル君はゼーレから送り込まれたんですから、彼等にとっては不自然じゃないですか。なのにどうして受け入れられてるのかな、って思ったんです 」

「イスラとフェルはコアの準備が出来ていた孤児という事になっているの」

「孤児・・・ですか?」

「そうよ。で、戸籍もはっきりしないと言う理由で、渚君の兄弟として新たに戸籍も作ったと言う訳」

「でもエヴァの機体もないのによくチルドレンとして登録出来ましたね」

「エヴァの四号機と伍号機が建造中でもう直ぐ完成するから、いずれ近いうちにチルドレンの選抜は必要だったのよ」

「なるほど。わかりました。マルドゥック機関はリツコさんだったんですね」

「そうよ。私と総司令がマルドゥック機関の実体なのよ」

「四号機と伍号機っていつここに来るんですか?」

「まだ未定よ。完成していないから。アメリカで建造しているの」

「またS2機関の実験が失敗したりしないんですか?」

「エヴァでのS2機関の実験はさせないわ」

「どうしてですか?」

「失敗するのが判ってるんだから、みすみすエヴァや支部を失う事もないでしょう?」

「リツコさんって結構実力者なんですね」

「まあね」

「前回とは随分変わってきちゃいましたけど、父さん達からは何か動きはないんですか?」

「まあ・・・ない訳じゃないの。でも今のところは大して問題にはならないわ」

「そうですか」

「だからシンジ君は心配しなくていいのよ」

「はい、わかりました。ありがとうございます」

そう言えば父さんとはまだ会ってもいなければ話しもしていないな・・・。

また面会を申し込んでみようかな。

父さんが何を考えて、何をしようとしているのか・・・確かめなきゃいけない。

綾波にもダミープラグの実験に参加させたくないし。

でも・・・どう言えばいいのかは解らない。

何とかしなきゃいけないのは判ってるんだけど・・・どうすればいいのかが解らない。

駄目だな俺って。

明日ちゃんと考えようかな。


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