『俺と僕で何?』
第伍拾参話 修学旅行初日
「おはようございます」
「おはよう、シンジ君」
「おっはよう〜、シンジ」
「おはよう、碇君」
なんだ・・・みんな起きていたのか。
今日は修学旅行だもんね。
「今日はいよいよ沖縄ね」
「そうですね。修学旅行に行けるのもリツコさんのお陰です」
「私の力じゃないわ。本当に頑張ったのはミサトよ。司令に掛け合ってまでね」
「そうだったんですか」
「そうよ。お礼を言うんだったらミサトに言うのね」
「はい、わかりました」
・・・
「じゃあ行って来ます」
「気を付けて。思う存分楽しんでらっしゃい!」
「はい!」
・
・
・
空港に着いたらケンスケとトウジがいた。。
綾波とフェルはアスカ達の方に走って行った。
「よう、碇」
「おはよう、ケンスケ」
「本当に行けるんだな。良かったな、碇」
「ああ、ありがとう」
「おはようさん、シンジ」
「おはよう、トウジ」
「惣流や渚三兄妹も来とるで。チルドレン全員集合やな」
そうか。アスカ達も来れたんだ。良かった。
「碇、もう荷物を預けてチェックインしていいんだってさ。さっさと済ませちゃおうぜ」
「そうだね」
・・・
チェックインを済ませて出発ロビーに入る。
綾波はアスカやフェル、イスラや洞木さんと一緒に何か楽しそうに話してる。
俺はケンスケとトウジと一緒に飛行機への搭乗を待っているんだけど、搭乗時間まではまだ30分近くある。
ケンスケは何かのゲームをしているし、トウジは漫画週刊誌を読んでいる。
俺はPDAでインターネットでもしてようかな。
・・・
「第三東京市第一中学校の皆さん、注目して下さい!大変お待たせしましたが、間もなく搭乗時間となりますのでゲート前に三列に並んでお待ち下さい。すぐに搭乗となります」
スチュワーデスのお姉さんがそう言った。
皆言われた通りに三列に並ぶ。行儀がいい。
いよいよ搭乗だ。
・・・
お姉さんにチケットを見せて搭乗だ。
この機は今回の修学旅行のための貸し切りなんだよな。
だから席は特に決まっていなくて自由に座っていいらしい。
ただし、先生達はファーストクラスで、生徒はエコノミーだ。
「おい、碇。ここにしないか?」
ケンスケはスクリーンが良く見える真ん中の座席にしたいみたいだ。
「俺はこっちにするよ」
と、窓際の席を選んだ。
俺は飛行機が初めてだから、外の景色が見たいと思ったんだ。
「そうか、じゃあな」
「碇君、ここいい?」
あ、綾波・・・どうして?
「ああ・・・いいけどさ。何で?」
「碇君と話したいから」
綾波は俺の隣の席に座ってしまった。
何かな・・・話しって?
「話しって何?」
「後で話すわ」
「うん。わかった」
・・・
初めての経験だから緊張したけど、離陸は何事もなく無事に終わった。
綾波の隣には誰も来なかったが、前後には人がいる。
こんな状況で綾波は何の話しをするんだろうか?
俺は離陸後から暫く外の景色を窓から眺めていたが、途中から海ばかりになって流石に飽きてきた。
「で、話しって何、綾波?」
「イスラの事」
「イスラがどうかしたの?」
「今度はイスラが前線になるわ」
「そうみたいだね。それがどうかしたの?」
「イスラに使徒が殲滅出来るかしら?」
「どうして綾波がそんな事を言うのさ?出来るに決まってるだろ」
「わたしにはリリスの記憶が戻っていないの。だからわからなくて不安なの」
そっか・・・綾波は二人目と三人目の記憶までしか戻ってなかったんだったな。忘れてたよ。
「使徒と使徒はお互いに合い入れない存在なんだよ。だからイスラは使徒を殲滅するんだ。大丈夫だよ」
「そう」
「そうさ」
「渚君やわたしは?」
そう来たか・・・。
「同じ使徒と呼ばれてはいてもね、アダムとリリスは他の使徒とは違うんだ。アダムとリリスは使徒の故郷だからね。だから使徒の殲滅対象じゃないんだ。いや、むしろ融合対象と言っていいんじゃないのかな?」
「だから渚君もわたしも安全なの?」
「取り敢えずは安全だよ」
ゼーレと父さんとだけには気を付けなきゃいけないけどね・・・。
今は言う訳にはいかないや。
「それが聞きたかったの?」
「うん。でも他にもあるの」
「何?前後に人がいるから、あまり機密事項は話せないよ」
一応釘を刺しておく。
「わかっているわ」
「じゃあ聞こうか」
「碇君はリリスなの?」
「どうやらそうみたいだね。自覚はないんだけどな」
「わたしのリリスが碇君に行ってしまったの?だからわたしはリリスの記憶が取り戻せないの?」
「いや違うんだ。俺のリリスはこの世界のリリスじゃないみたいなんだ」
「この世界のリリスじゃない?」
綾波が驚いてる。綾波にははっきりとは話してなかったからな。
「そうなんだ。どこかの平行世界のリリスみたいなんだ。もっともこの世界のリリスが呼んだらしいんだけどね」
「わたしが呼んだ・・・何故?」
「さあそれはわからない。多分本当の理由は綾波のリリスにしかわからないんだろうな」
「わたしは何故リリスの記憶が戻らないのかしら?前回の二人目と三人目の記憶と一緒に渚君に還してもらった筈なのに」
それは俺も不思議に思ってる事だ。
何かのアクシデントか・・・でもそれにしてはカヲル君が焦っていないから多分違うんだろうな。
未だその時期に来ていないと言う事なんだろうな。
「そのうち思い出すと思うよ。多分時期の問題なんだと思う」
「そうなの?」
「だってカヲル君が焦っていないからね。きっと彼のタイムスケジュールの範囲内なんだよ」
「そう・・・そう言われてみればそうかも知れない」
「どう少しは安心したかな、綾波?」
「ええ。ありがとう、碇君」
良かった、綾波が落ち着いてくれて。
「後はイスラとフェルの事ね」
え?イスラとフェルって・・・。
「どんな事?」
「イスラとフェルは今はわたしの素体に入って人間の身体をしているわ」。記憶だってわたしの記憶と使徒としての記憶を両方持ってるわ」
「そうみたいだね」
「今は双方が融合してイスラはイスラの、フェルはフェルの記憶になっているみたいだけど、そろって人間の記憶?それとも使徒の記憶?どっちなんだろ?」
「・・・」
「使徒ならアダムを目指してサード・インパクトを起こすわ。それは絶対に避けなければいけない事だわ」
「そうだね」
「でも人間ならわたし達と同じに暮らして行けるのよね?」
「多分そうだと思うよ。それは綾波やカヲル君とおんなじなんだよ」
「だから今度のミッションは色々な意味で重要だと思うの」
「わかった、綾波」
「俺も気を付けて見ているよ。幸い俺も綾波も今回はバックアップだからね。側で見る事が出来るから」
「そうね」
「心配ないと思うよ。アスカも潜るみたいだし・・・」
「そうね。わたしの杞憂かしら?」
「まあ備えは多い程いいんだから、気にする事はないと思うけどね」
「わかった。碇君に話して良かったわ」
「体して役に立ってないけど」
「そんな事ないわ。ありがとう」
「どういたしまして」
リツコさんに話した方が良いのかな?
余計な心配を掛ける事にもなりそうだけど・・・一応メールで送っておこうかな。
「ところで碇君」
「何、綾波?」
「水泳教室はどうするの?」
「一応申し込んであるけど・・・」
「わたしが教えてあげるわ」
は?なんだって?
「わたしが碇君に泳ぎ方を教えたいの」
ええっ、何でそうなるの?
「碇君はわたしに色々な事を教えてくれた。挨拶なんかからの日常生活の作法からお料理、人との触れ合い、その他諸々・・・。だから今度はわたしが少しでもそのお礼がしたいの。ダメかしら?」
挨拶がこんなに長い台詞を言うのを聞いたのはホントに久しぶりだなぁ。
それだけ必死なんだろうから、ムゲに断わるのも気が引けるなぁ。
かと言って綾波に先生が出来るとも考え難いし・・・。
どうしよう。
「ありがとう、綾波。じゃあ一緒に教室を受けようか。で、綾波に俺の補助をお願いしていいかな?」
「いいわ。わかったわ。碇君の役に立てるのならわたし嬉しいわ。頑張るわね、碇君」
「よろしくお願いします」
「任せてね」
「うん。任せた」
一応一件落着かな。
・・・
「2年A組のみんな〜!」
あ、担任の先生だ。
「ホテルの部屋割りの紙を配るから各自間違いのないように十分確認してチェックインするように。いいな!」
おお!部屋割りねぇ〜。
まあ、男女は別だよね。
紙が回って来た。
俺は、と言えば・・・。
「なんだ三馬鹿トリオで一室かよ・・・」
洋風なんだな。
「よう、シンジ、ケンスケ。わしと同じ部屋やな」
「そだね」
何て安易な部屋割りなんだよ。
まあケンスケとトウジだから、取り立てて不満がある訳でもないんだけどね。
「綾波は誰と一緒だったの?」
「フェルとマヤ・・・」
「フェルはいいとして、マヤって何組の娘?」
「非常勤講師だって。伊吹マヤ・・・」
えええっ?伊吹マヤって・・・もしかしてあの伊吹マヤさん?
「マヤさん、修学旅行に同伴して来たんだぁ。ネルフ権限をフルに活用したな」
って事は他にもいるんだろうな?
部屋割りをもう一度良く見てみる。
・・・加持さん。
・・・日向さん。
・・・青葉さん。
・・・チサトさん。
ネルフ関係者がいるよー。しかも偽名も使わずに。・・・
他にも黒服の皆さんが一杯いるんだろうな。
ま、仕方ないけど。
このクラス全員がチルドレンとチルドレン候補生なんだからな。
俺の部屋の隣には加持さんか・・・。
アスカは?
イスラと洞木さんとか。
で隣はチサトさんか・・・。
何か監視バッチリの旅行だな。
「綾波はこの部屋割り見て何か感じない?」
「・・・別に・・・」
綾波やアスカなんかは小さい頃から監視されてるから、そんなのなんかは完全に無視してるんだろうな。
何だか少し眠くなって来た。
「綾波」
「何?」
「俺、少し寝るわ」
「ええ、わかったわ。おやすみなさい」
「・・・ごめんね・・・」
・・・
「・・・くん」
「・・・かりくん」
んん。・・・綾波かぁ・・・。
「碇君。着いたわ」
「第三東京市第一中学校の皆さん、なもなく新那覇空港に到着いたします。お忘れ物のないようにお手荷物のご確認をお願いいたします。まもなく新那覇空港です」
ああ、もう着いたのか。早かったな。
1時間半だもんな。
「ありがと、綾波。ごめんね、寝ちゃって」
「それはいいの。荷物忘れないでね」
「うん」
まだ夢現だ。
・・・
到着ロビーに出た。
これから荷物を受け取らなきゃいけない。
「なかなか出て来ないなぁ」
「焦ってもしょうないで、シンジ」
「そうだね」
「あ、俺のが出て来たぜ」
「ケンスケが一番かいな。じゃあもうそろそろやな」
続いてトウジと俺の荷物も出て来た。
空港ロビーの指定場所に向かう。もう結構な人数が集まっていた。
・・・
「じゃあ皆さん、こちらのバスに乗って下さいね」
二階建てバスだ。
俺は二階に行った。
綾波はまた俺の隣に来た。
「どうして綾波は俺の隣に来るの?」
「迷惑?」
「そんな事ないけど」
どうして?
「碇君の側にいたいの」
「ふーん。まあ俺はいいけど」
綾波が俺にもたれかかってくる。
どうしたんだろう?・・・恥ずかしい。
「修学旅行来れて良かったわ」
「そうだね」
「碇君と一緒だし」
綾波、本当にどうしちゃったんだろう?
・・・
ホテルに着いた。
取り敢えずホテルにチェックインして荷物を整理する事になった。
「じゃあみんな各自の部屋に荷物を置いて11時にロビーに集合して下さい」
今日の予定は何だっけ?
・・・
荷物を整理してロビーに降りた。
「では新那覇の街を観光します」
担任が言った。
・・・
那覇郷土資料館。
「ここはセカンド・インパクトと第二次世界大戦時の資料が展示してあります。今回の学習課題でもありますから、良く閲覧してメモを取る事」
「「「「「はーい!」」」」」
沖縄か・・・第二次世界大戦でもセカンド・インパクトでも大変な被害を受けたんだよな。
メモ、メモ。
・・・
「次は首里城です。今は半分以上水没していますが、今でも世界遺産として貴重な遺跡になっています」
上しか見えないよ。
でも流石に綺麗だな。
セカンド・インパクトか・・・。
自然災害じゃない。
ゼーレや父さんのやった事だ。
セカンド・インパクトは防げないけど、サード・インパクトは絶対な防いでみせる!
その為に還ってきたんだから・・・多分。
「沖縄のセカンド・インパクトの被害はどうだったんですか?」
洞木さんが質問した。
「沖縄は水没と地核変動による隆起とを両方が重なって今の様な複雑な地形になりました。元々あった町はほとんど壊滅し、今の町はセカンド・インパクト後に造られたと言 っても過言ではありません。しかし以前からの町並みを復元したんですよ」
・・・
首里城を見学した。
半分は水没している。
地核変動による隆起がなければ完全に水没していたそうだ。
近くにあった珊瑚礁は完全に破壊されてしまったらしい。
「今ある海水浴場は人工的に造られたものなのです。セカンド・インパクト以前に売り物だった星砂も失われてしまいました。今ある星砂は人工的に造られた物です」
そうだったんだ。
「でも旧市街でも高台にあった部分は奇跡的に残っているんですよ」
・・・
一旦ホテルに戻って昼食になった。
メニューは典型的な沖縄料理だ。
「おう!やっと飯やがなー」
トウジは相変わらずそれかい。
「おお!ゴーヤチャンプルー!ミミガー!ええのう。やっぱり郷土料理が一番やで!」
トウジが一人で盛り上がっている。
ゴーヤって結構苦いんだ・・・って苦瓜だもんな、当然か。
でも美味しいや。
ミミガーもコリコリしてて食感がいいな。
・・・
「午後は海水浴に行きます」
先生が予定を言う。
「「「「「わーい!」」」」」
「皆さん準備をして15分後にロビーに集合ですから遅れないように!」
「「「「「はーい!」」」」」
・・・
海水浴か・・・俺、泳げないんだけど・・・ま、何とかなるか。
なる訳ないか・・・はあ・・・気が重いな。
・
・
・
「今日は泳ぐだけですが、明日はスクーバ教室がありますよ。皆さん楽しみにしていて下さい」
はあ・・・俺には関係ないよ。
「シンジ〜!泳がないの〜?」
フェルか。
イスラとフェルは何で泳げるんだろう?
綾波の記憶があるせいかな?
「シンジさんも泳ぎましょうよ」
イスラまで・・・。
正直に言うかな。
「実は俺、泳げないんだよね」
「そうなんだ〜。」
「イスラとフェルは何で泳げるの」
「レイさんの素体の記憶かな〜?」
「多分そうだと思いますわ。シンジさん、せっかくですから練習しましょうよ」
「そだよ〜」
そんな事言われても・・・。
「碇君。わたしが教えてあげるわ」
「ありがとう、綾波」
仕方ない。頑張るか。
・・・
「碇君、まずは浮いてみて」
こうかな?
でも息が出来ないよ。
「ブハァー!」
「どうしたの?」
「息が出来ないよ」
「そう。じゃあ上を向いて浮かんでみて。」
こうかな?
「これでいいの?」
「いいわ。じゃあそのまま手を動かして」
こうかな?
あ!進んでる。
「これは楽だね」
「じゃあ今度はうつ伏せになって頭を上げてみて」
こうかな?
って足が付いちゃうよ。
「立っちゃダメ」
「うん」
これでどうだろう?
「どう?」
「うん。何とか出来たみたいだ」
「これなら息が出来るでしょう?」
「そ、そうだね」
苦しいけどね。
「そのまま手を動かして。平泳ぎのように」
こうかな?
あ!前に進んでる!
「前に進んだね。」
「じゃあ一端休憩にしましょう」
はあ・・・疲れたぁ。
緊張するんだよな。
「ありがとう、綾波」
「いいの。碇君の為だから」
「ありがとう」
「後は足を蹴れるようになれば平泳ぎの完成だわ」
「わかった。やってみるよ」
「じゃあまた後で」
綾波が洞木さん達の方に行った。
足を蹴るのか・・・。
よし!やってみよう!
こうかな?
頭は上げて、手を掻いて、足を蹴る、と。
「ゲホ・・・」
巧くいかないや。
頭は上げて、手を掻いて、足を蹴る。
これならどうだ?
「ゲホ!ゴホッ!」
上手くいかないや・・・。
また明日綾波に教えてもらおう。
・・・
結局今日は泳げるようにはならなかったな。
まあ一日じゃあ無理だよね。
そろそろ夕飯の時間だな。
食堂に行かなきゃ。
・・・
どこに座ろうかな?
「碇君、ここが空いてるわ」
綾波の隣か。
「ありがとう」
反対側はアスカ、向かいはイスラ、カヲル君、フェルか。
両手に華になったな
それにしても豪勢な料理だ。
「こんなに食べられるかな?」
「ちょっと多いかも知れないわね。余ったらシンジに食べてもらいましょう」
「俺にだって多いよ。トウジに食べてもらおうよ」
「そうね。あの大食いなら食べられるでしょうからね」
先生が演壇に上がった。
「では第三新東京市第一中学校の皆さん。ここに出された料理は沖縄の名物料理です。存分に楽しんで下さい。では、いただきます!」
「「「「・・・いただきまーす・・・」」」」
付き出し、刺身に煮物、焼き物、鍋物、吸い物・・・ホントに食べきれないよ。
「シンジ〜。このお刺身美味しいよ〜。何て魚かなぁ?」
食べてみようかな。
(パク)
美味しいじゃないか!
「これ美味しいね」
「どれどれ?」
アスカがトライしている。
「ホント、美味しいわ。レイも食べてみなさいよ」
「うん」
(パク)
「・・・美味しいわ」
「でしょ?」
イスラもカヲル君も食べ始めた。
「確かに美味しいねぇ。リリンの食の極みだね」
「本当に美味しいですわね。何てお魚かしら?」
「聞いてみようか?」
「そうですわね。また食べたい味ですわ。私達の街でも手に入るのかしら?」
それは多分無理なんじゃないかな?
じゃなければ郷土料理の意味がないもの。
中居さんがいた。
「あのぉ・・・このお刺身のお魚って何て言うんですか?」
「ああ、これは琉球スギですよ。クロカンパチとも呼びますけどね。脂がのってるのにコリコリした食感が人気あるんですよ」
「この混ぜご飯みたいなのは?」
「タコライスですわ。メキシコのタコスを沖縄風にアレンジしたものです」
「こっちは?」
「ヒラヤチーと言う沖縄風お好み焼きです」
「これは?」
「サーターアンダギーと言うデザートのお菓子です」
「色々とありがとうございました」
何から食べようかな?食べ切れないかも知れないな。
・・・
「ああ、お腹一杯!」
アスカがお腹を擦っている。
俺もお腹一杯だ。
何とか食べ切った。
「そうだね。レイは?」
「お腹一杯だわ」
「わしはまだ食えるでぇ」
トウジは相変わらずだな。
さて、そろそろ温泉にでも行こうか。
「トウジ、温泉に行かないか」
「わしはまだまだ食いたいんやが・・・」
「じゃあケンスケとカヲル君は?」
「俺は行こうかな」
「僕もシンジ君と温泉に行くよ」
「じゃあ15分後に」
「ああ」
「わかったよ」
・・・
部屋に戻って用意をする。
大浴場は1階だったな。
土産物屋がある。後でリツコさんに何か買っていこう。
浴場に着いた。
当然男女別々だ。
混浴はないんだ・・・。
ちょっと残念かな?
まだトウジもカヲル君も来ていないみたいだ。
服を脱ぐ。
(ガラ・・・ピシャン)
誰もいないみたいだ。
(ジャージャー)
(ザバザバ)
掛け湯よし。
(チャポン)
暖かい。
気持ちいいな。
「ふー・・・風呂は命の洗濯、か」
前にミサトさんが言った言葉。
(ガラ・・・ピシャン)
トウジか。
「やあセンセ、早いのう」
(ジャージャー)
(ザバザバ)
「渚はまだかいな?」
(チャポン)
「そうだね」
思わずトウジの右足を見てしまう。トウジの右足がある。
まだ間に合うんだ。
今度こそ・・・。
(ガラ・・・ピシャン)
カヲル君・・・ケンスケ。
「やあ碇、トウジ。早いな」
「お邪魔するよ」
「うん」
・・・
「しかし気持ちええのう。温泉なんて久しぶりや」
「そうなの?」
「ああ、多分小学校の時の家族旅行以来やないかいな。あの時はおかんもおったさかいな」
トウジのお母さんは今はいないのを俺は知ってる。
亡くなった事情は知らないけど、多分コアにインストールされているんだ。トウジの知らない事だけど。
俺は・・・。
「俺は家族旅行なんて経験た事がないな。ずっと親戚に預けられていたから」
「さよか」
「シンジ君は今楽しいかい?」
どうなんだろう?
「うん・・・楽しいと思う」
「それは良い事だよ」
『結構広いのねぇ』
あ!アスカの声だ。
『そうね』
綾波の声だ・・・。
「女子も入って来たみたいだね。隣合わせだから声が良く聞こえるね」
『ここって隣は男風呂じゃあないの?』
あ、洞木さんの声だ。
「おーい!」
トウジ!
「お前らも風呂かぁ!」
『やだ、男子も入ってるわよ』
洞木さんもいるんだ。
仕切りは竹垣だからほんのちょっぴり隙間がある。
「おい、ちょっと覗いてみないか?」
「それは不味いよ、ケンスケ」
「どうせ見えないとは思うけどさ」
「やめた方がいいと思うよ」
「じゃあ碇はやめとけよ。トウジはどうだ?」
「わしもええわ」
「覗かない、って事?」
「ああ、そないな卑怯な真似はしとうないわい」
「じゃあ俺もやめとくよ」
その方がいいよ、ケンスケ。
「しっかし気持ちええのう。貸し切りみたいやで」
ホントにそうだね。
今日は使徒は見つからなかったんだ・・・そうすると明日なのかな?
『シンジ〜、気持ちいいね〜!』
フェルもいたんだ。
「ホントに気持ちいいね!」
『混浴じゃなくて残念だね〜!』
「そうなのかなぁ!」
『フェルのナイスバディを見られなくって残念でしょう?』
「そんな事言われてもわからないよ!」
『じゃあまた後でねぇ〜!』
フェルはいつも元気だな。羨ましいかも知れない。
「センセ、わしそろそろのぼせてきたわ」
そう言えば俺ものぼせてきたかも。
「そろそろ上がろうか?」
「だね」
・
・
・
「さあ次は卓球やで」
「はあ?何で卓球なの?」
良くからないよ。せっかく温泉に入ったのに・・・。
「センセ・・・温泉に入った後に卓球するんは温泉旅行の常道やないか」
「そうなの?」
俺は温泉旅行なんて初めてだからわからないよ。
「そうだよ、碇」
ケンスケまで・・・じゃあそうなんだ。
「あら、あんた達。卓球するの?」
アスカ達も来た。
「おう。惣流らも参加するかいな?」
「いいわよ。みんなもやるでしょう?」
レイ、フェル、イスラ、洞木さんもいる。
「悪いけど僕は疲れたから遠慮して先に休ませてもらうよ」
カヲル君、大丈夫かな?
「じゃあ男子3人、女子5人だな。リーグを組もうか。まずはじゃんけんしよう」
ケンスケが仕切っている。
「せえの!最初はグー、じゃんけんポン!」
あいこだ。
「じゃんけんポン!ポン!ポン!」
アスカとトウジが勝った。
「じゃんけんポン!ポン!」
イスラとケンスケが勝った。
「じゃんけんポン!ポン!」
俺と洞木さんが勝った。
残りは綾波とフェルだ。
「じゃあ各組代表でまたじゃんけんしよう。各組の女子でじゃんけんして組み合わせを決めよう」
アスカ、綾波、イスラ、洞木さんでじゃんけんだ。
「じゃんけんポン!ポン!」
・・・
アスカとイスラが勝った。
「それでは第一回戦、惣流対トウジ!よろしく。15ポイント先取にするからな」
アスカとトウジの二人が卓球台に付く。
「行くわよ、鈴原っ!で、優勝商品はあるの?」
「最下位の人からジュース進呈」
「ちょっと商品がシャビーだけどまあいいわ。じゃあ行くわよ」
試合が始まった。
アスカの方が断然巧い。
・・・
結局15-6でアスカの圧勝だった。
次はイスラ対ケンスケだ。
「行くよ。イスラ!」
ケンスケ、気合いが入ってる。
(カコーン・・・カコーン)
結構ラリーが続く。
・・・
15-13でイスラが辛勝した。
接戦だったな。
次は俺と洞木さんか。
「碇君、手加減してね」
「そうもいかないよ」
「冷たいのね。まあいいわよ」
洞木さんのサーブからだ。
(カンッ!)
結構鋭いっ。
(カコン)
・・・
結局11-15で負けた。
強いんだ、洞木さん。
「碇君、上手なのね。わたしは卓球クラブにいたのよ」
「そうなんだ。完敗だよ」
最後は綾波とフェルだ。
・・・
二人とも一歩も引かない。互角だな。
ラリーが延々と続く。
・・・
15-14で綾波の勝ちだ。
「じゃあ準決勝だ。惣流対イスラと委員長対綾波!まずは惣流対イスラからっ!」
アスカとイスラか。
いい勝負になりそうだな。
「あたしのサーブからね」
「いつでもどうぞ」
「じゃあ行くわよっ!」
(カシッ!)
始まった。
(カコーン・・・カコーン)
(カコーン・・・カコーン)
(カコーン・・・カコーン)
(カコーン)
アスカのポイントだ。
・・・
レベルが全然違うな。
イスラもそうだけどフェルもフォームが綾波にそっくりだ・・・。
球が速くて目で追い切れないよ・・・。
・・・
15-14でアスカの勝ちか。
接戦だったな。
「次は委員長対綾波っ!」
「行くわよ」
「どうぞ。」
(カコーン・・・カコーン)
(カコーン・・・カコーン)
(カコーン・・・カコーン)
(カコーン)
委員長のポイント。
・・・
これも接戦だった。
15-12で綾波の勝ちだ。
・・・
「ではいよいよ最終、決勝戦!惣流対綾波!」
アスカからのサーブだ。
「よーし!行くわよ、レイ!」
「いつでもどうぞ」
「そりゃっ!」
(カシッ!)
(カコーン・・・カコーン・・・カコーン・・・カコーン・・・カコーン・・・カコーン・・・カッコーン!)
綾波のポイントだ。
サーブチェンジ。
(カシッ!)
(カコーン・・・カコーン・・・カコーン・・・カコーン・・・カコーン・・・カコーン・・・カッコーン!)
今度はアスカのポイントだ。
なかなかポイントが決まらないな。
・・・
(カシッ!)
(カコーン・・・カコーン)
(カコーン・・・カコーン)
(カコーン・・・カコーン)
「センセ、わし眠とうなってきたわ」
「確かに」
この音は眠気を誘うよな。
あ!イスラとフェルと洞木さんは舟を漕いでるよ・・・。
俺も何だか眠い。
・・・
壮絶なラリーの末、綾波が15-14で勝った。
「おめでとう、綾波。優勝だよ!」
ケンスケの勝者宣言。
俺は何とか起きてる事が出来たけど、他のみんなは眠ってしまっている。
「何よ。みんな寝てるじゃないの!」
アスカが文句を言う。
「仕方ないよ。眠気を誘う音なんだから」
俺が弁護する。
「優勝商品は?」
綾波がケンスケに聞いた。
「アスカに何か奢ってもらうと言う事で優勝商品にするよ」
「なんですってー!なんであたしがこいつに奢んなきゃいけないのよ!」
「俺がそう決めたからだよ」
「もう・・・仕方ないわね。レイ、何がいいの?」
「わたしは缶紅茶がいいわ」
「そんなんでいいの?」
「いい」
「わかったわよ」
(チャリン・・・カチャ・・・ガコン・・・ガチャ)
「はい。お望みの紅茶よ。」
「ありがと。・・・タダ紅茶は美味しいの」
「なんかムカツクわねぇ。もう一回温泉に入り直そうかな、汗もかいたしね」
「俺達も入ろうぜ」
「せやな。」
「うん」
「フェルも入る〜」
「わたくしも入りますわ」
「じゃあみんな入りましょう」
・・・
温泉に入り直してこれから寝るところだ。
俺は何故かケンスケとトウジと同じ部屋になった。
いわゆる腐れ縁なのかも知れない。
「さあ、寝るかな」
ケンスケがそう言いながら早々と布団に入る。
「もう遅いさかい、枕投げは中止やな」
トウジはそんなのやりたかったのか?
「ほな、寝よか」
「うん。じゃあ電気消すよ」
俺は電気を消した。
・・・
でも修学旅行に来れて良かったな。
明日は使徒が見つかるかも知れない。
でも今日が楽しかったから、来れなかったよりはまだマシだよね。
* 感想をお願いします。