『俺と僕で何?』


第六拾話 候補地選び


「おはよう、碇君」

「あ、おはよう、綾波」

今日は綾波の当番か。

「今フェルがシャワー浴びているけど、碇君も次どうぞ。わたしはもう済ませたから」

うーん。

「今日はいいや」

「そう。もう少しで食事の用意が出来るから座って待ってて」

「うん」

そう言えばリツコさんはどうしたんだろう?

「綾波?」

「何?」

「リツコさんは?」

「昨日は本部に泊まりだって、メールが入っていたわ」

「そうなんだ。で、今日の予定は何かあるのかな?」

俺にはメールが来ていなかったけど、綾波が今日の当番だから綾波にだけメールが入っていたのかな?

まあいいけど、大変だな、リツコさんも。

「今日は何もないそうよ。だから本部には行かなくていいの」

「わかった」

「はい。お待たせ。出来たわ」

「配膳手伝うよ」

「ありがとう」

・・・

「「いただきま(〜)す」」

「どうぞ、召し上がれ」

「そうだ〜、シンジぃ〜」

「何?」

「今度の週末に何処に行くか決めた〜?」

あ!すっかり忘れてた・・・。

「いや、忘れてたよ」

「しょうがないなあ。レイは〜?」

「わたしはまた遊園地がいいわ」

「え〜?また〜?アスカ怒るよ〜」

「わたしの希望だもの。怒られる筋合いはないわ」

確かに・・・俺も遊園地でいいな。

「フェルは何処に行きたいんだ?」

「フェルは遊園地〜!」

なんなんだよ。

「じゃあフェルもアスカに怒られるんだ」

「そんなのいいもんね〜。レイも遊園地!フェルも遊園地!シンジも遊園地にしよ〜。そうすればきっと多数決で遊園地になるよ〜」

「俺はいいけどね」

「わ〜い!」

「遊園地!遊園地〜!」

フェルは通学途上なのに大声を出してはしゃいでいる。

結構恥ずかしい。

「フェル、そんなに嬉しいの?」

と、綾波。

「うん!」

「でもまだ遊園地に決まった訳じゃないわ」

「三人遊園地なんだから大丈夫だよ〜」

そうかな?

アスカは強引だから多数決でも却下するかも知れないけどな。

「おはようございます」

ん?

イスラか。

あ、アスカもいる。

「おっはよ〜」

「おはよう」

「おはよう」

「おはよう」

珍しいな、アスカ達と一緒になるなんて。

「イスラ〜?」

「なあに、フェル?」

「週末何処に行きたいか決めたの〜?」

「ええ、決めたわよ」

「何処にしたの〜?」

「それはまだ秘密だわ」

「ええ〜!何で秘密なの〜?」

「先に言っちゃうと詰まらないでしょ?」

「ううん、そんな事ないよ〜!教えてよ〜」

「だーめ」

「・・・ケチ」

「フェルは決めたの?」

「うん!フェルは遊園地なの〜」

「あらあら、また遊園地なの?」

「だって面白かったんだも〜ん」

「それは良かったわね」

「イスラも遊園地にしようよ〜」

「さあ?どうしようかな?」

「いいじゃな〜い」

フェル、粘るな。

「あんた、他人に自分の希望を押し付けてんじゃないわよ!」

アスカがイスラとフェルの会話に割り込んだ。

「押し付けてなんかいないも〜ん。ただ聞いただけだも〜ん」

「あんた、そんなに遊園地に行きたいの?」

「うん」

「そんなら一人でも行けるんじゃない」

「え〜!みんなで行くから楽しいんじゃな〜い」

「みんながみんな遊園地に行きたい訳じゃないわよ」

「ブー」

なんだかんだ言ってるうちに教室に着いた。

「おはよう!」

「・・・大質量の隕石の落下。これが世に言うセカンド・インパクトでして、その頃私は根府川に住んでいましてねぇ・・・」

また始まったか・・・何回聞いただろ、これ?

(ピピピ・・・ピピピ・・・)

あ、メールだ。何だろ?

件名は、っと。

『今度の週末にあなたは何処に行くべきか?』

はあ?

開封、っと。

『今度の週末にあなたは何処に行くべきかを占います!以下の選択肢に従って該当するものをクリックしてね!』

なんなんだよ、これ?

なになに・・・。

『彼氏彼女のいる幸せなあなた』

これをクリックすると・・・

『遊園地が良いでしょう!二人で熱々!これで二人の仲は万全!グループで行っても大丈夫。みんなが応援してくれるでしょう』

なんじゃこりゃ?

で・・・次は?

『彼氏彼女のいない希望に満ちたあなた』

クリック、っと。

『遊園地が良いでしょう!きっと素敵な出会いが待ってます!グループで行っても安心。みんながあなたの出会いをサポートしてくれるでしょう』

で、終わりかよ。

フェルだな、これは。

ヒマなヤツだな。

さあ、昼休みだ。

今日は綾波の作ってくれた弁当。

「みんな揃ったわね!」

誰に言ってるんだ、アスカ?

「・・・」

皆無言で肯定している。

「じゃあ今度の週末に行きたい所の希望を発表してもらうわ。・・・あたしの左から時計回りでね!」

なら最初は洞木さんか。

「わたしは昨日も言った通りハイキングがいいと思うの」

「ハイキングね。わかったわ。次!」

トウジだ。

「わしは・・・わしもハイキングでええわい!」

あれ?トウジはハイキングじゃなかったんじゃないか?確かフィットネスとかなんとかじゃあ・・・。

「あんた!ひよったわね。まあいいわ。次!」

ケンスケだ。

「俺は新横須・」

「次!」

ケンスケ、哀れ。

次は綾波だ。

「わたしは遊園地がいい」

「あっそう。次!」

イスラだ。

「わたしも遊園地がいいですわ」

「わ〜い!ありがとうね、イスラ〜!」

「別に自分の希望を言ったまでよ」

イスラは優しいんだな。フェルのお姉さんみたいだ。

「むむ。・・・次!」

フェルだ。

「絶対、絶対、遊園地〜!」

「はいはい。じゃあ次・・・」

カヲル君だ。

「僕も遊園地だね」

「むむー。次はシンジね」

ああ、俺かぁ・・・。

「俺は昨日も言った通りに遊園地だよ。変更なしだ!」

「むむむー!」

「で、アスカはやっぱりショッピングがいいの?」

洞木さんがフォローする。

「・・・いいわよ」

は?

「何がいいの、アスカ?」

と、洞木さん。

「遊園地で決まりよっ!」

「わ〜い!やった〜!遊園地ったら遊園地っ!」

フェル、万歳だ。

「あーあ、ったく・・・何が哀しくって二週続けて遊園地に行かなきゃいけないのよぉ」

アスカがぼやくぼやく。

「まあいいじゃない。わたしは遊園地でもいいわよ。楽しかったもの」

洞木さんがフォローする。

結局フェルの怪しげなメールがなくても遊園地になったんだろうな。

「遊園地!遊園地ったら遊園地!」

学校からの帰りもフェルはご機嫌だ。

「全くあんたはお気楽ねえ」

今日はアスカとイスラも一緒だ。

「ねえ、アス。」

「何よ?」

「遊園地の開園時間って何時〜?」

「そんな事知らないわよ!だいたいなんであたしに聞くのよ?」

「だってアスカはそういうの詳しそうなんだもん」

アスカ、本当に知らないのかな?

仕方ないな。

「9時半だよ、フェル」

「そっか〜。ありがと、シンジ。じゃあ集合時間は9時20分にしようね〜、チケットを買った後でね」

「あんた、随分と気合いが入ってるわねぇ」

「うん。この前は平日だったけどさ、今度は休日じゃない。だから朝一番で行かなきゃダメだよ〜」

「はいはい。じゃあ今回はあんたが仕切ってちょうだいね、みんなへの連絡も含めてね」

「オッケー、了解〜!」

フェルは本当に遊園地が気に入ったんだな。

「土曜日と日曜日とどっちがいいのかなあ?」

確かに。

「あんた、またあたしに聞いてるの?」

「うん」

「土曜日がいいと思うわ」

綾波が言った。

「あたしが聞かれてるのになんであんたが答えるのよ?」

「日曜日はみんなお休みだけど土曜日はそうじゃないわ。学校や会社のあるところもある。だから土曜日の方が空いている可能性が高いわ」

「レイ、頭いいね〜」

「そんな事はないわ。少し考えれば分かる事だもの」

「うん。じゃあ土曜日にしよお!決定〜!」

「ちゃんとみんなに連絡するのよ」

アスカがフォローを入れる。なんだかんだ言うけど、こんなところはアスカの優しさなんだろうな。

「あ〜い!今度の土曜日9時20分に遊園地入口集合だよ〜!」

「はいはい」

「わかりましたわ」

「了解」

「わかったよ」

家に帰ったのはいいけど・・・今日は何も予定がないんだよな。

まだ5時か・・・何しようかな?

「碇君。わたし、ちょっと出掛けて来るわ」

「何、どうしたの?」

「買い物」

あ、今日は綾波が晩飯の当番なんだっけ。

「夕飯の材料?」

「ええ」

「じゃあ俺も行くよ」

「どうして?」

え?

「一緒に行っちゃいけないかな?」

「ううん、そんな事ない」

「じゃあ一緒に行こうよ」

「わかったわ、一緒に行きましょう」

フェルはどうするかな?

フェルはテレビが観たいからって留守番になった。

「今日は何を作るの?」

「まだ決めてないわ。特売を見て決めるの」

「そうだね」

「これが安いわ」

え?どれどれ?

あ、海老か。

ブラックタイガーだね。

「それにするの?」

「ええ。海老だから海老フライか海老の天ぷらにするわ」

「天ぷらだと他にも揚げ物がいるから海老フライの方がいいかも知れないね」

「じゃあフライにする。パン粉ももう残り少なかったから買わないといけないわ」

綾波もすっかり主婦してるな。

「海老フライのソースは何にするの?」

「考えてないわ・・・何がいいの?」

「タルタルソースなんていいんじゃないかな?」

「そう。じゃあそれにするわ」

「ならピクルスを買わなきゃね」

綾波もまだまだだな。

「碇君、重くない?」

「大丈夫だよ、これ位」

「ありがと」

「いいって」

(ガチャ・・・バタン)

「ただいま」

「ただいま」

「お帰りなさい!」

あ、リツコさん帰ってたんだ。

「ただいま、リツコさん。今日は早いですね」

「昨日が泊まりだったからね」

「お風呂、まだ入れてませんでした」

「あ、私が入れてるわよ、レイ」

「ありがとうございます。じゃあわたしは夕飯の用意をします」

「お願いするわ。悪いわね」

「いえ。今日はわたしの当番だから」

「そう言えばシンジ君」

「何ですか?」

「この前の催眠術はごめんなさいね」

「いいえ。別に何もなかったんですから、いいですよ」

またやる積もりのかな?

「仕方ないからぶっつけ本番でやる事にしたわ」

え?何を?

「何をするんですか?」

「あら嫌だ、忘れたの?」

何だろう?

「すみませんが分からないんですけど」

「サルベージの事よ」

ああ。

「あれマジにやるんですか?」

「真面目も真面目、大真面目よ」

「でも素体は綾波の予備しかないんでしょう」

綾波に気遣って小声になる。

「別にそんな事は問題にはならないわ」

そうかなぁ?

「で、何時やるんですか?」

「明日やるわよ」

「そんなに早くですか?」

「渚君の都合もいいし、特段準備する事もないから早い方がいいわ」

「俺は特に何も準備する事はないんですよね?」

「ないわよ」

はあ・・・。

「わかりました。明日ですね。で、何時に本部に行けばいいんですか?」

「朝から私と一緒に行くわよ」

朝からかぁ・・・サルベージって時間が掛るのかな?

「はい、了解です。サルベージって一日掛りなんですか?」

「サルベージ自体はそんなに掛らないわ。でも、念のために事前に記憶のバックアップを取るのとサルベージ後の検査には時間が掛るわね。だから全部合わせると一日掛りに

なるのよ」

「わかりました」

「碇君は明日学校お休みなのね」

「うん、そうみたいだね。よろしくね、綾波」

「わかったわ。夕飯出来たわ」

「じゃあいただきましょう」

「はい」

・・・

「この海老フライ美味し〜い!」

「ありがと」

「レイ、料理上手だねぇ〜」

「ありがと」

綾波、少し顔が赤くなってる。

「本当に美味しいわ、レイ」

「ありがとうございます」

俺も何か言わなくちゃいけないのかな?

「美味しいよ、綾波」

「ありがと、碇君」

(チャブン・・・)

サルベージか・・・上手くいくのかな?

しかしあのシンジが女の子になっちゃうんのか・・・。

もし俺だったらビックリするだろうな。当たり前だけど。

でも、俺達がこんな事考えてるのもシンジには判っているんだろうか?

今日辺りまたシンジが夢に出てくるかも知れないな・・・。

「シンジ〜、お風呂まだなの〜?」

あ、フェルか。

「ああ、ごめん。もう直ぐ出るよ」

今日は一番風呂もらっちゃったからな。

(ザパーッ!)

・・・

「お待たせ、フェル」

「あ〜い。今日は長かったね〜」

「うん。ちょっと考え事をさちゃってね。悪かったよ」

「ううん。シンジが上せてるんじゃないかなって心配になっただけだから」

「ごめん」

「じゃあお風呂入るよ〜」

「うん」

・・・

リビングにはリツコさんしかいない・・・綾波は部屋なのかな?

「あ、シンジ君。丁度良かったわ」

「なんですか?」

「明日の実験の事なんだけど・・・」

「はい」

なんだろう?

「渚君には連絡が取れてオッケーをもらっているわ」

「・・・」

「実験の手順とかは明日また詳しく説明するけど、貴方の心の準備として聞いておいて欲しい事があるの」

「なんでしょうか?」

「渚君が言ってたんだけど、一つの身体に二つの魂があるケースのサルベージは彼にとっても初めてなんですって」

「はい」

「彼は貴方の身体に宿っている前回のシンジ君に呼び掛けるんだそうだけど、シンジ君にもその前回のシンジ君に呼び掛けて貰う必要があるらしいわ」

そう言われても・・・。

「具体的には俺はどうすればいいんですか?」

「もし彼が今晩貴方の夢に出てくればその時に今回の実験の事を説明して協力してくれるように説得して欲しいの」

「成程、わかりました。・・・でも夢に出て来なかった時はどうするんですか?」

「今日寝る前から明日の実験の前まで、彼に呼び掛ける感じでこの実験の事を考えてちょうだい」

「はあ、いいですけど」

「ここで重要な事は彼に実体としてこの世界に現れて貰う事なのよ、シンジ君の身体に隠れていないでね」

「はい」

「レイの素体に移ってくれるようにお願いしてね」

「はい、やってみます」

「お願いするわ」

でも・・・。

「彼が拒否したらどうするんですか?」

「その時は実験は中止ね」

「彼からの反応がない時はどうするんですか?」

「その時は一応実験は実施するわ」

「実験が失敗した時はどうなるんですか?」

「何も変わらないわよ、今のまま一つの身体に二つの魂が共存するだけだわ」

「・・・わかりました。やってみます」

実験の手順は明日説明してくれるのか・・・。

夢に彼は出て来てくれるだろうか?

実験の事を考えて彼に説明して彼に協力して貰う、か。

協力してくれるかな?

彼はこの世界に自らを現したいのかな?

もしそうなら俺の魂を押し退けてしまえばいいんだし・・・。

それが出来ない訳があるのか、そもそもそんな事が不可能なのか・・・。

シンジ、明日がチャンスなんだよ、君が自分の存在をこの世界に現す為のね。

だから出ておいでよ。

俺も君と直接話しがしたいんだ。

そして、俺は俺がこの世界に存在する意味とか価値とかが知りたい。

君が君としてこの世界に存在したなら俺の存在は必要ないんじゃないかも知れないとも思えるんだ。

おかしいかな?

俺は不安なんだよ。

今は自分のアイデンティティを見失っている状態みたいなんだ。

だから君と話しがしたい。

君だってリツコさんや綾波やミサトさんやアスカ、トウジ、ケンスケ、洞木さん達と話しをしたいだろう?

それに前回の君を知っている人達だっているんだぜ。

君は独りじゃないんだ。

だからそんなところに隠れていないで出ておいでよ・・・。

・・・

ん?

ここは?

紅い海。

・・・夢?

ここはサード・インパクトの後のあの紅いLCLの海みたいだな。

どうすればいいんだろう?

・・・。

仕方がない、こっちに歩いてみるか。

海岸線に沿って歩く。

暫く行くと50メートル位先に海岸に横たわっている人影が見えた。

走ろうかと思ったけど止めて、そのまま歩く。

人影がだんだんと大きくなってくる。

顔が見えた。

シンジだ。

彼の近くまで歩いて行き、その隣りに座る。

「やあ、また逢えたね」

『・・・』

返事がない。

「と言うよりも君が俺を呼んだと言うべきかな?」

『うん。そうだね』

「君を何て呼べばいいかな?」

『シンジでいいよ』

うーん・・・。

「なんか呼びにくいな、俺もシンジだし」

『クス・・・それもそうだね』

「明日の実験の事は知ってる?」

『うん。わかってるよ。君の呼び掛けも聞いていたしね』

「そうか・・・で、シンジはどうする?」

『・・・』

返事がない。

「協力してくれるのかな?」

『・・・わからないんだ』

「何が?」

『自分がどうしたいのか』

「戻りたくないのか?」

『そういう訳でもないんだ・・・でも、みんなに会って僕は何て言えばいいのか・・・わからないんだ』

「リツコさん達、前回の記憶を持っている人達はシンジに逢いたいと思っているんだよ」

『わかってるよ』

「なら考える事なんてないじゃないか」

『・・・怖いんだ』

「何が怖いんだ?」

『僕がサード・インパクトを起こした事が』

「それは結果論だ。君のせいじゃない」

『それはそうかも知れない。だけど僕がいなかったらサード・インパクトは起きなかったかも知れないのも事実なんだ』

「例えそうだとしても、でも、今は世界は巻き戻されている」

『うん。そうだね』

「だからまたやり直すチャンスが与えられたんだ」

『それがどうしたって言うの?』

「どうしたって・・・」

『今は君がいるじゃないか。君がやり直せばいいじゃないか。僕なんか必要ないじゃないか!』

そんな事を考えていたのか。まずいな。

「そんな事はない」

『どうしてそう言えるの?』

「少なくとも綾波は君を必要としているからさ」

『綾波が?』

「そうだよ。だからこそ君の魂があるんじゃないか」

『そうかな?』

「そうだよ。むしろ・・・そう・・・俺の方こそ自分の存在意義がわからなくなっているんだ。だから君にはこの世界に実体として戻って来てもらって色々と話しがしたい」

『・・・』

「君に綾波と話しをして欲しい」

『綾波と?』

「そうだよ。綾波は今リリスの記憶を封印している」

『知ってるよ』

「俺は封印を解く鍵はシンジ、君じゃないかと思うんだ」

俺は何でこんな事を言ってるんだ?

『綾波が僕に逢いたい、と言うの?』

「そうだよ。この世界が巻き戻されたのも、俺の魂が呼ばれたのも、全ては君の望みを叶えるために綾波がやった事に違いないだろう?違うかな?」

『・・・』

「だからこそ君にはこの世界に戻って来て、君が果たすべき事を見つけて欲しいんだよ」

『僕の果たすべき事?』

「そうだよ。きっとある筈だ」

『僕は戻ってもいいの?』

「当たり前だろ!」

『僕の居場所があるの?』

「当たり前だろ!」

『僕は要らないんじゃないの?』

「必要だからこそこうして話してるんじゃないか。君には待っている人達が大勢いるじゃないか」

『・・・わかったよ』

やった?

「わかってくれたのか?」

『うん。実験に協力するよ』

「ありがとう、シンジ」

『うん。僕の方こそ・・・ありがとう』

「じゃあ明日会えるんだね」

『そうだね』

「じゃあ明日、また後で」

『うん』


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