『俺と僕で何?』
第六拾壱話 転生
夢だったのか?
でもあの夢で会ったシンジは俺の想像なんかじゃないよな?
「本当に今日逢えるのかな?」
・
・
・
リツコさんがフェルと朝食を作っている。
そう言えば、フェルはまだまだ自分一人じゃ作れないからリツコさんが指導しているんだったな。
「おはよう、シンジ君」
「おはよう、シンジ〜!」
「おはようございます、リツコさん、フェル。夕べシンジの夢を見ましたよ、リツコさん」
「本当に?」
「ええ」
「で、どうだったの?」
「協力してくれるって言ってくれました」
「良かったわ」
「でも単なる俺の希望が夢になっただけかも知れませんよ」
「大丈夫よ」
本当に大丈夫なのかな?
「本当に大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫よ」
そう言いながらも手は休んでいない。
「何か手伝いましょうか?」
「こっちはいいわ。それよりもそろそろレイを起こしてくれるかしら?」
「はい、わかりました」
・・・
(コンコン)
「綾波?」
(・・・)
起きないな。
(コンコンコン)
「綾波、起きて!」
(・・・)
仕方ないな。
(コンコンコンコン)
「綾波、入るよ!」
(ガチャ・・・バタン)
綾波、爆睡だな。
パジャマが捲れてお腹が出てるんだけど・・・。
「綾波」
肩を揺する。
・・・。
「綾波、起きて」
もう一度揺する。
「う、ううん」
瞼が開いて紅い眼が見えた。
「綾波、起きた?」
「あ・・・碇君?」
「朝だよ」
眼が完全に開いた。
「おはよう、碇君」
「おはよう、綾波。朝食の用意が出来たから起きて来てね」
「うん、わかった・・・ありがと」
「じゃ、二度寝しないでね」
「うん」
(ガチャ・・・バタン)
綾波って寝起きの時と普段とのギャップが大きいよな。
「レイは起きた?」
「はい」
「じゃあ食事にしましょうか」
・・・
「俺は今日はリツコさんと一緒に本部に行けばいいんですか?」
「そうよ」
「あたしは〜?」
「フェルはいつも通りに学校に行っていいわよ」
「わたしはどうすればいいですか?」
「レイは私達と一緒に本部に来てもらうわ」
綾波が何で一緒に来なくちゃいけないんだろう?
「綾波もですか?」
思わず聞いてしまった。
「多分必要ないと思うけど、レイの素体を使うから一応念の為にね」
「わかりました」
・・・
フェルは学校に行った。
「じゃあ私達もそろそろ行きましょう」
「「はい」」
・
・
・
ブリーフィングルームに行くとカヲル君が先に来ていた。
「おはよう、シンジ君」
「おはよう、カヲル君。早いんだね」
「今日は大事な実験だからね、僕だって心の準備が必要なのさ」
「では、実験の手順を説明するわ」
「お願いします」
俺にも分かるようにお願いしますよ。
「まずシンジ君にはエヴァ初号機のエントリープラグに入ってもらいます」
「はい」
エヴァが必要なんだ・・・。
「そしてエヴァにシンクロをしてちょうだい、いつもの手順でね」
「・・・。」
「シンクロは限界まで頑張ってね」
「限界ってどこまでです?」
「400パーセントよ。」
「ええっ!そんな数字出した事ないですよ」
「大丈夫よ、貴方には出来る筈なの。それにMAGIのサポートもあるから」
でもシンクロ率400パーセントって・・・。
「でも・・・それじゃあまたエヴァに取り込まれるんじゃないですか?」
「ええそうなるわ」
ええっ!
「それでいいんですか?」
「いいのよ。ただし取り込まれるのは前回のシンジ君よ」
「どうしてそうなるって分かるんですか?」
「その為に彼に呼び掛けるんじゃないの」
「はあ」
なんか不安だ。
「逆に、シンジ君、貴方は取り込まれないように自分自身の自我をしっかりと持つのよ」
そんなぁ・・・ホントに大丈夫なのかな?
「シンジ君」
「カヲル君?」
「僕もサポートするから心配する事はないよ、シンジ君」
「わかったよ」
「で、前回のシンジ君の魂がエヴァに取り込まれたら、シンジ君にはエントリープラグを出てもらって、替わりにレイの素体を一体入れるわ」
「・・・」
「そしてそのレイの素体に取り込まれたシンジ君の魂を定着させるの」
「なるほど・・・」
理屈としては分かるな。
「大体解ってくれたかしら、シンジ君」
え?説明はもう終わりなのか?
「・・・分かりました。俺はシンジの魂をエヴァに取り込ませるところまでやればいいんですよね?」
「そうよ。とにかくシンジ君は前回のシンジ君の魂がエヴァに取り込まれるように彼を誘導してくれればいいのよ。後は私と渚君との仕事だわ」
「わかりました」
・
・
・
実験での俺のやるべき事は簡単なものなんだけど・・・何か引っ掛かるな。
・・・何が引っ掛かるんだろう?
まあ、とりあえず俺はこうしてエヴァのエントリープラグに座ってエヴァにシンクロしているだけでいいんだけど・・・。
ただ、あのシンジにこの世界に実体化するよう、その為にエヴァに取り込まれるよう、そう呼び掛ける事が大切なんだ。
でもシンクロ率400パーセントかぁ・・・不安はあるよな。
カヲル君・・・よろしく頼むね。
・・・
(ゴボゴボゴボ)
エントリープラグにLCLが注入された。
やっぱり緊張するよ。
・・・実験、早く始まらないかな。
『シンジ君』
「は、はい」
『準備はいいかしら?』
「はい、いつでもどうぞ」
まだ少し緊張してるかも知れないな。
『じゃあ始めるわよ』
「了解」
さあ、いよいよ始まるんだ!
『LCL電化!』
・・・
『A10神経接続!』
今回の実験はマヤさんとか他の誰にも話せないからリツコさんが一人でやっている。
いつもと違って復唱がないから変な感じだな。
・・・
『エヴァ起動したわ』
「了解」
『シンジ君はシンクロを上げる事に集中して!』
「はい」
集中するんだ。
そして、シンジ、エヴァに取り込まれろよー!
・・・
『シンクロ率80パーセント、120パーセント、170パーセント210パーセント、くっ・・・速い・・・シンジ君いくわよっ!』
(ドクン!)
ん?
・・・何だか心地良い浮遊感。
・・・気持ちいいな。
溶けて行くみたいだ。
!
いけない?!
『シンジ君!』
ん?シンジ?
シンジ!
感じるか?
エヴァに同化するんだ!
そしてこの世界に現れろ!
みんなが待っているんだぞ!
ああ・・・。
・・・
・・
・
・
・
・
・・
・・・
あれ・・・ここは?
『貴方は誰?』
「誰だ?!」
『貴方は誰?』
「俺は・・・碇シンジだ」
ここはどこだ?
俺は何をしていたんだっけ?
『私は貴方なんか知らない』
「あんたこそ誰なんだ?」
俺は夢を見ているのかな?
『私は貴方を知らない・・・貴方は私を知らない。貴方はどうしてここにいるの?』
「ここはどこなんだ?」
あれ?そう言えば実験をしていたんじゃなかったっけ?実験はどうなったんだ?
・・・夢だったのか?
『そう・・・貴方もシンジなのね』
「俺は碇シンジだ、そう言っただろう」
『・・・違う』
「何がだ?」
『貴方はシンジじゃないわ』
「どういう意味だ?」
『シンジは私の子だから』
「もしかして・・・母さんなの?」
『そう・・・そうだったわね。貴方も私の子供?』
「?」
『あそこにシンジがもう一人いるわ。シンジは二人になったのかしら?』
あそこに、って?
「あんたは・・・碇ユイなのか?」
『そう、私はかつて碇ユイと呼ばれていた貴方の母親』
「シンジの母親なら碇ユイだよ、母さん」
『貴方がシンジならば私は碇ユイという事なのね』
母さん、混乱しているのかな?
「ここはどこなの?」
『ここがどこでももういいのよ、お休みなさい、シンジ』
「俺の質問に答えてくれよ!」
『お休みなさい。』
いけない・・・眠くなってきた。
「ここはどこ?」
何か今不味い事になっているんじゃないのか?
『お休み、シンジ』
「ちょっと待って!」
『貴方には帰るべきところがあるでしょう?』
いけない・・・意識が・・・。
・・・
・・
・
『・・・ん』
ん?
『・・・くん』
・・・なんだろう?
『・・・ジくん』
誰かが?
『シンジ君!』
あ!
「はい?」
「シンジ君!良かった」
あ、リツコさん・・・。
あ、あれ?ここは・・・ベッド・・・病院?
「リツコさん?」
「良かった、シンジ君」
「あの・・・俺はどうしてたんですか?」
あれ?
何かおかしいな。
「大丈夫よ」
俺は何をしてたんだっけ?
「俺はどうしてここにいるんですか?」
おかしい。
何か違和感がある。
「シンジ君、実験の事は覚えてる?」
実験?
あ!
そうだった!
「はい、覚えています」
あ!
声だ!
俺の声がおかしいんだ!
「シンジ君、落ち着いて聞いてね」
「はい」
身体がダルい。
「実験はある意味で成功したけど、ある意味では失敗だったわ」
「どういう事ですか?」
声が変だ。
まさか・・・。
「シンジ君・・・貴方がサルベージされたのよ」
は?
「リツコさんの言ってる意味がわからないんですけど」
「はっきり言うわね。貴方の方がエヴァに取り込まれて、貴方がレイの素体にサルベージされたの」
ええと・・・ええっ!
「えー!じゃあ俺の方がレイになっちゃったんですか?」
思わず自分の身体を触る。
痛いっ!
自分の身体じゃない!
胸がある!
なんて事だよ!
さっき感じた違和感はそれだったんだ。
「そうよ。ごめんなさい」
「そんなぁ・・・」
部屋を良く見るとリツコさんの他にレイとカヲル君、ミサトさんもいた。
「ごめんよ、シンジ君」
「カヲル君・・・」
「シンジ君が取り込まれた状態ではもうやり直す事は出来なかったんだ」
「シンジ君をサルベージするだけで精一杯だったのよ」
何が起こったんだ?
何がいけなかったんだ?
それって不味いよ、絶対に!
「リツコさん」
「何?」
「やり直しは出来ないんですか?」
「気休めを言っても仕方ないから言うけど・・・多分無理だわ」
「そんなぁ・・・」
「一応元に戻す方法を調べてみるけど、あまり期待しないで」
「・・・わかりました。仕方ないですね。今何時なんですか?」
「午後の3時過ぎよ」
実験開始から2時間位か・・・。
起き上がろうとしたが、身体が言う事を聞かない。
「鏡を取ってもらえますか?」
「はい」
リツコさんが鏡を渡してくれた。
予め用意してたんだ。
「ありがとうございます」
・・・鏡を見た。。
鏡の中に写っていたのは女の子だった。
顔立ちはレイに似ているけど、目の色も髪の色も黒い。
これが俺か・・・あーあ・・・これからどうすればいいんだよぉ。
「大丈夫、シンジ君?」
「はい、何とか」
「本当にごめんなさいね」
「仕方ないですよ、もうなっちゃったんですから」
「一応簡単な検査はシンジ君が寝てる間にさせてもらったの」
「そうですか」
「その・・・完全に女の子だわ」
はぁ。
「そうですか」
「立てる?」
「はい」
「気を付けてね。身体が慣れていないと思うから」
ベッドから身体を起こすのも辛い。
足を床に付けると激痛が走った!
「痛い!」
「最初は仕方ないのよ。その素体はLCLにいたから、床に足を付ける事なんて初めてなんだもの」
「俺はこれからどうすればいいんですか?」
「暫くはここでリハビリをしてもらいます」
「リハビリ、ですか?」
「そうよ。身体がちゃんと動くようになるまでね」
「わかりました。俺は実験から今までどれ位寝てたんですか?」
「1時間位よ」
そんなもんなのか・・・。
「でシンジは?」
「まだ目が覚めていないわ」
「大丈夫なんですよね?」
「検査の結果では異常は認められず、よ。ただ眠っているだけだわ」
「そうですか」
「とにかく今はリハビリに専念しなさい。これは命令よ」
「わかりました」
「レイを付き添いに残していくから何かあったら彼女に言うのよ」
「はい」
「じゃあ私達はこれで失礼するわ」
「はい」
「シンちゃん」
「ミサトさん」
「気を落とさないでね」
「はい。大丈夫です。ありがとうございます」
「じゃあね。また来るわ」
「はい」
「シンジ君」
「カヲル君」
「君は君なんだからしっかりするんだよ」
「うん。ありがとう」
「じゃあ」
・・・
みんなが出て行って綾波だけが残っている。
何か言わなくちゃいけないよな。
「綾波」
「何?」
「綾波はどうして付き添いしてくれるの?」
「碇君のリハビリの手伝いよ」
「そう」
「そうよ」
「今日学校はどうしたの?」
「休んだわ」
「俺はいつまでここにいなくちゃいけないんだろう?」
「いつでもいいの」
え?
「そうなの?」
どういう事?
「そうよ。ただ碇君の今後の処遇を今検討してるのよ」
「今後の処遇って?」
「今の碇君には戸籍も何もないわ。住むところだってないの」
「確かにそうだね」
「名前だって『碇シンジ』という訳にはいかないわ」
そうか・・・新しい人間がいきなり産まれたんだもんな。
「俺はどうなるんだろうね?」
「みんなで話し合ったの」
「何を?」
「碇君の今後の事」
「で?」
「まず住むところだけど、リツコさんの家にはもう部屋に余裕がないわ。だから、隣の空いている部屋を確保したの」
そうか、隣りって空き部屋だったんだ。
「そうなんだ」
「そこに碇君とわたしが住む予定よ」
ええっ?綾波と俺と二人で?
「それって不味くない?」
「どうして不味いの?」
「俺は男なのに、綾波はそれでいいの?」
「碇君は女の子、だから問題はないわ」
それはそうかも知れないけど・・・でも・・・綾波と二人切りなんて・・・気持ちの問題だよな。
「ホントにいいのかな?」
「女の子二人の同居だから特段の問題はない筈よ」
確かに表面的には・・・だけど。
「それはそうかも知れないけど・・・」
俺はやっぱり男だよね・・・こんな身体になってもさ。
「碇君はわたしと一緒に住むのは嫌?」
綾波が上目遣いで俺の事を見ている。
「そんな事はないよ!」
そんな目で見られたら嫌って言えないよ。
・・・反則だよ、綾波。
「良かった」
「うん」
本当にいいのかな?
「碇君の戸籍とか経歴とか学校への転入手続きなんかは皆が考えてくれているけど、新しい名前は碇君が考えてもいいそうよ。どうするの?」
「名前かぁ・・・」
そんな事急に言われても思い付かないよ。
「姓は『碇』のままでいいのよ。だから下の名前だけでいいの。」
「うーん・・・何がいいかなぁ?」
「・・・」
「綾波、なんかない?」
「わたし?」
「うん」
「わからないわ」
「そっか」
変な名前を付けられちゃうのも嫌だしなぁ・・・うーん。
「戸籍を作る関係があるから決めるなら早い方がいいのよ。」
そんな事言われてもなぁ。
「もう少し考えさせてくれるかな?」
「わかったわ。それとリハビリ」
「あ。何をすればいいんだろう?」
「まずは歩いて」
「うん」
ベッドから起き上がる。
身体が痛い。
「大丈夫?」
「なんとかね」
足を床に付ける。
「くっ!」
かなり痛い。
「碇君、これを使って」
綾波が松葉杖を差し出してくれた。
「ありがとう、綾波」
松葉杖を使って立ち上がる。
「少し歩いてみましょう」
「わかった」
・・・
病室を出て何回か廊下を往復した。
綾波が一緒に付いて来てくれる。
かかとの部分が相変わらず痛いけど、身体は大分慣れてきたみたいだ。
「綾波」
「何?」
「シンジの病室は?」
「今はまだICUよ」
「面会出来るかな?」
「今は無理」
「そっか」
シンジはどうなったんだろう?
俺の身体に残っているんだろうな?
「心配?」
「うん」
「身体に異常はないそうよ。ただ眠っているだけ」
「そうか。」
まさか・・・あのシンジもこの身体に来ちゃったなんて事はないだろうな。
・
・
・
夕食前に綾波は帰った。
夕食を食べた後、する事がないのでテレビを観ていて、ドラマの登場人物の名前を貰う事にした。
『碇ユリ』。
俺の新しい名前だ。
携帯でリツコさんにその事を伝えた。
シンジはまだ目が覚めないそうだ。
「これからどうなっちゃうんだろう?」
14才にして女の子初心者。
「前途多難だよ」
日常生活のちょっとした事でも勝手が違う。
トイレ、風呂、色々・・・変な感じだ。
(コンコン)
ん?
「はい」
誰だろ?
「シンジ君、入るわよ」
リツコさんだ。
「はい、どうぞ」
(カチャ・・・バタン)
「どう、調子は?少しは慣れたかしら?」
「はあ。まあなんとかやってますよ」
「それは良かったわ」
「はあ」
「とんでもない状態になってしまって本当にごめんなさい」
「いいんですよ。不可抗力だったんでしょうから」
「貴方から新しい名前を聞いて今新しい戸籍を用意しているわ」
「はい」
「後、これが貴方の経歴だから読んで覚えておく事。はい」
リツコさんが書類をくれた。
「・・・」
「貴方はシンジ君の従兄妹にしたわ」
「はい」
「細かい事はそこに書いてあるから何か質問があったら聞いてちょうだい」
「わかりました」
「じゃあね」
「あ!」
「何?」
「俺、綾波と二人で住むんだって綾波から聞いたんですけど」
「そうよ」
「それって不味くないんですか?」
「何も問題はないわ。貴方は女の子なんだから。ね、碇ユリちゃん」
・
・
・
・・・
『碇ユリ』
生年月日:西暦2001年6月6日
父:碇ゲンゾウ
母:碇クミ
・・・
碇クミは母さんのお姉さんか。まあ母親も父親も・・・当然架空の人達だよね。
経歴は・・・2001年第二新東京市で生誕・・・2015年両親が仕事で渡米、ユリは単身第三新東京市に転居・・・か。
他にも色々書いてあったけど、覚え切れないよ。
もう10時か。
寝ようかな。
なんだか色々あって疲れた。
(コンコン)
あれ?
「はい」
今度は誰だろ?
「シンジ君、入るわよ」
あ、ミサトさんだ。
「はい、どうぞ」
(カチャ・・・バタン)
「どう、シンジ君?あ!ユリちゃんか」
・・・ユリちゃんかぁ。
「まあ身体の痛みとかは大分マシになりました」
「そうじゃなくってさぁ」
「はい?」
「女の子の身体にもう慣れたかって事よ」
そんな事・・・。
「まだ一日も経っていないんですから、慣れるも何もありませんよ」
「そう・・・ホントに大変だったわね」
「まあ」
「でも貴重な経験が出来て少し羨ましいかも」
からかいに来たのか、この人は?
「どうしてですか?」
「怒らないでよ、ユリちゃん」
「別に怒ってなんかいませんけど」
ちょっとムカツクけどね。
「あたしは一時期男になりたくってね」
「・・・」
「まあ今はこうしてネルフの作戦部長になれたからいいんだけど、その時は女なんかじゃなれないと思ってたから」
「俺は別に女の子なんかになりたいなんて思った事はありませんよ」
「だから怒らないでよ」
「怒ってません!」
「そう?ならいいけど」
「はい。でももう男に戻れないかと思うと少し、いや、結構ショックかな」
「現状を素直に受け入れ、分析、しかるべくそれに対処する」
「戦術の基本ですね」
「そうよ。だからあんまり悲観的にならないで」
慰めに来てくれたんだ、ミサトさん。
「俺は大丈夫ですよ、ミサトさん。ありがとうございます」
「ならいいわ。それとその喋り方何とかした方がいいかもね」
「はあ?」
「いや女の子が『俺』って言うのもね。あんまりいないでしょ?」
「はあ」
急にそんな事言われてもなぁ。
「まあボーイッシュで一部萌える人もいるかも知れないけどさ」
「はあ」
「じゃあね。元気出してね」
「はい。ありがとうございました」
・・・
ミサトさんは一応あれでも俺を励ましに来てくれた積もりなんだよな?
まあなっちゃったものは仕方ないからな。
前向きに考えよう。
そうは言っても・・・言葉遣いか。
それに・・・学校にも行かなきゃいけないんだろうし・・・。
やっぱ暗いかも。
もう寝よ。
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