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  • 部位別後遺障害等級の解説

    神経系統の機能と精神の障害
    高次脳機能障害
    高次脳機能障害とは、認知、行為、記憶、思考、判断、言語、注意の持続などが障害された状態であるとされています。交通事故による脳外傷によって、認知障害や人格変化等が起こり、その後社会適応が難しくなる方がおられますが、そのような場合は、この病気を疑わなければなりません。というのは、この症状の特徴は、周囲から見過されやすいことにあるからです。脳の損傷であるため、外見的に普通であれば、家族も、一時的なもので時間とともに改善すると考えたり、医師も急性期の合併外傷のため見落としたりすることがあるのです。
    高次脳機能障害等級表
    等級 障害の程度 補足
    1級 高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの 身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるため、生活維持に必要な身の回り動作に全面的に介護を要するもの
    2級 高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの 著しい判断力の低下や、情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声かけや看視を欠かすことができないもの
    3級 生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声かけや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
    5級 高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの 単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため、一般人に比較して、作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助が欠かすことができないもの
    7級 高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもの 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
    9級 通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの
    麻痺(身体性機能障害として)
    脳の損傷による身体性機能障害としての麻痺です。麻痺の範囲及びその程度、並びに介護の有無及び程度により障害等級を認定します。麻痺には、その生じた部位によって、「四肢麻痺」、「片麻痺」、「対麻痺」、および「単麻痺」に分類されます。
    (注)四肢麻痺とは、両側の四肢の麻痺をいいます。
    片麻痺とは、1側上下肢の麻痺をいいます。
    対麻痺とは、両下肢又は両上肢の麻痺をいいます(脳損傷では、通常生じません)。
    単麻痺とは、上肢又は下肢の1肢のみの麻痺をいいます。
    麻痺の程度による後遺障害等級表
    等級 脳損傷
    1級 ①高度の四肢麻痺、②中等度の四肢麻痺で、常時介護が必要な状態、②高度の片麻痺で、常時介護が必要な状態
    2級 ①高度の片麻痺、②中等度の四肢麻痺で随時介護が必要な状態
    3級 中等度の四肢麻痺
    5級 ①軽度の四肢麻痺、②中等度の片麻痺、③高度の単麻痺
    7級 軽度の片麻痺、中等の単麻痺
    9級 軽度の単麻痺
    12級 運動性、支持性、巧緻性、速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺
    てんかん
    脳挫傷等の頭部外傷によって、外傷性てんかんが発症することがあります。てんかんとは、反復するてんかん発作を主症状とする慢性の脳障害です。そのてんかん発作とは、大脳のある部分の神経細胞が発作性に異常に過剰な活動を起こし、これがある程度広範な領域の神経細胞をまきこんで、一斉に興奮状態に入った場合に生ずる運動感覚、自律神経又は精神などの機能の1過性の異常状態のことです。等級認定は、発作の型、発作回数等が着目され、診断には、脳波検査や、MRI・CT等の画像が有用です。
    てんかんの後遺障害等級表
    等級 障害の程度
    5級 1ヶ月に1回以上の転倒発作等
    7級 数ヶ月に1度以上の発作
    その他の発作が1ヶ月に1回以上
    9級 その他の発作が、数ヶ月に1回以上か、服薬でほぼ完全に発作が抑制
    12級 脳波上に、てんかん性棘波を認める
    精神障害
    精神障害は、脳に器質的な損傷は認められないが、異常な精神状態が発生している状態です。主要な症状としては、①抑うつ状態、②不安状態、③意欲低下の状態、④幻覚・妄想、⑤記憶または知的能力の障害等があります。この障害は、事故との因果関係や労働能力喪失率等で争いになることが多く、認定の基準や認定方法に確立はこれからの課題です。原則、9級、12級、14級が認定されますが、例外的に7級以上の認定がなされることもあります。
    精神障害の後遺障害等級表
    等級 障害の程度
    9級 非器質性精神障害のため、日常生活において著しい支障が生じる場合
    12級 非器質性精神障害のため、日常生活において頻繁に支障が生じる場合
    14級 概ね日常生活は可能であるが、非器質性精神障害のため、日常生活において時々支障が生じる場合
    脊髄障害
    脊髄は神経の束であり、それを保護している骨が脊椎です。外傷によって、この脊髄を損傷しますと、出血・微小血管の血栓形成・毛細血管の透過性の亢進・浮腫・腫脹等が起こり、麻痺や膀胱直腸障害が発生します。一般的には、頸髄損傷では四肢麻痺、胸髄損傷では体幹と両下肢の対麻痺、腰髄損傷では両下肢の対麻痺が生じ、仙髄損傷や尾髄損傷では下肢麻痺は生じないとされています。後遺障害認定においては、脊髄損傷自体の存否が争われることが多いです。そのため、被害者の症状を裏付ける客観的所見等できちんと立証しなければなりません。
    脊髄障害の麻痺の程度による後遺障害等級表
    等級 麻痺の範囲および程度
    1級 ①高度の四肢麻痺 ②中等度の四肢麻痺で常時介護が必要 ③高度の対麻痺 ④中等度の対麻痺で常時介護が必要
    2級 ①中等度の四肢麻痺 ②軽度の四肢麻痺で随時介護が必要 ③中等度の対麻痺で随時介護が必要
    3級 ①軽度の四肢麻痺 ②中等度の対麻痺
    5級 ①軽度の対麻痺 ②1下肢に高度の単麻痺
    7級 1下肢に中等度の単麻痺
    9級 1下肢に軽度の単麻痺
    12級 軽微な麻痺等
    末梢神経障害(むちうち症等)
    いわゆるむち打ち症と呼ばれる神経症状がこれです。頚椎捻挫、頚部挫傷、外傷性頚部症候群、外傷性頚部捻挫、バレリュー症候群等、さまざまな傷病名が付けられ、後遺障害認定の争いの大部分を占めています。RSDやCRPSなどの診断名が付いている方は、後で述べる特殊な神経症状を参考にしてください。通常のむちうち症では、12級か14級が認定されるのが原則です。12級と14級の違いは、他覚的所見の有無が大きいと言われています。やはり、書面や検査所見での立証が重要です。
    末梢神経障害(むちうち症等)の後遺障害等級表
    局部の神経系統の障害 12級 局部に頑固な神経症状を残す者
    14級 局部に神経症状を残すもの
    特殊な神経症状
    頭痛
    頭痛については、頭痛の型の如何にかかわらず、疼痛による労働又は日常生活上の支障の程度を疼痛の部位、性状、強度、頻度、持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見により把握し、等級が認定されます。なお、9級に認定されるためには、中枢神経に異常があることが必要です。
    頭痛の後遺障害等級表
    等級 障害の程度
    9級 通常の労務に服することはできるが、激しい頭痛により、時には労働に従事することができなくなる場合があるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
    12級 通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支えるほどの強い頭痛が起こるもの
    14級 通常の労務に服することはできるが、頭痛が頻繁に発現しやすくなったもの
    失調・めまい等
    これらについては、認定基準に従って、総合的に等級が認定されます。
    失調・めまい等の障害等級表
    等級 障害の程度
    3級 生命の維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、高度の失調又は平衡機能障害のために労務に服することができないもの
    5級 著しい失調又は平衡機能障害のために、労働能力が極めて低下し一般人の4分の1程度しか残されていないもの
    7級 中程度の失調又は平衡機能障害のために、労働能力が極めて低下し、一般人の2分の1以下程度に明らかに低下しているもの
    9級 一般的な労働能力は残存しているが、めまいの自覚症状が強く、かつ、眼振その他平衡機能検査の結果に明らかな異常所見が認められるもの
    12級 通常の労務に服することができるが、めまいの自覚症状があり、かつ、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められるもの
    14級 めまいの自覚症状はあるが、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められないものの、めまいのあることが医学的にみて合理的に推測できるもの
    RSD、カウザルギーなど
    RSDとは、異常な交感神経反射を基盤とする四肢の疼痛疾患の総称のことをいいます。主要な症状は、①灼熱痛を代表とする激烈な痛み、②皮膚の膨張、③皮膚の乾燥・温度低下等、③骨萎縮があります。治療は、ブロック注射が中心となります。カウザルギーと違い、急激な神経損傷を伴ないません。このRSDは、臨床経験の無い医師が多いため、疑わしい場合は専門医を探さなければなりません。
    カウザルギーとは、外傷性の神経損傷によって発生する灼熱痛、非有害刺激で正常な皮膚に起こる疼痛であるアロデニアおよび、痛覚異常刺激のことです。難しいですが、具体的な症状は、持続的で激烈な痛みが代表的な症状です。その他、知覚障害(痛覚過敏、知覚過敏)、血管の運動障害、浮腫、発汗異常、栄養障害(筋萎縮、骨萎縮、脱毛等)の症状があります。カウザルギーの原因は、急激な神経損傷にあります。RSD、カウザルギーの臨床経験のある医師が少ないのが現状です。適切な専門医に治療してもらうようにしましょう。
    カウザルギー、RSD等の後遺障害等級表
    等級 障害の程度
    7級 軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの
    9級 通常の労働能力は残存しているが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
    12級 通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの
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