馬の話は馬に訊け 【04.9.22記】

「日経記者 安西オーナー痛烈批判」を読み解く

辛口の硬派競馬記者として知られる日経新聞運動部の 野元賢一記者がコラムでハルウララのオーナー、 安西美穂子氏を痛烈に批判しました。 コラムは日経の運営するサラブnetに 不定期連載されている 野元氏のコーナー「専門記者の競馬コラム」です。 「祭りは終わった ハルウララの移送を巡って」と題された今回の記事は、大マスコミの記者としては 最も辛辣に安西氏を突き上げるものです(安西氏寄りのフジサンケイグループは騒動すら黙殺)。 強奪騒動の様子も、これまで触れられなかったディティールが記されています。

安西氏が競馬評論家の白井透氏や、 移送先の牧場関係者を伴って高知に現れたのは、 15日午前10時。予告もなく、 いきなり馬運車できゅう舎に乗り付けたという。 放牧を主張する安西氏と、宗石調教師や高知競馬関係者のやり取りは3時間に及んだが、 安西氏の秘書と見られる人物が、警察の介入をにおわせたため、宗石調教師も抵抗をあきらめた。

白井氏が現場にいたことはあちこちで言われていたけれど、 はっきりと実名で報じたのは初めて見ました。東スポもS氏だったしね。 3時間も押し問答したというのも驚き。その上、警察沙汰にするって脅しても、 合意と呼べるんでしょうかねぇ。 「秘書と見られる人物」ということは警察云々を発言したのは白井氏ではなく、 安西氏の日記に出てくる女秘書でしょうか?

安西氏と宗石調教師、 高知競馬の主催者側の溝は、8月から深まっていた。 最も象徴的なのは、8月29日の出走予定が、安西氏の意向でキャンセルされたことだ。 関係者によると、この時期のハルウララはいつになく好調で、29日は対戦相手も楽だった。 地元専門紙関係者の中には「今回は勝つのでは」と予測する人もいたという。 出走回避の真相について、高知陣営の間には 「イベント性の薄いタイミングで勝たれて、同馬の商品価値が落ちる ことを安西氏は嫌ったのでは」 と推測する声さえあった。

「サラブレッドとして勝たせてあげたい」と放牧に連れ出した安西氏が、 商品価値が下がることを恐れて出走を回避させたって? そんなバナナ。信じられないですよ。って、実は先日、 日本のへそ特別の管理人さんからメールがあり、 白井氏が日記で「ハルウララ早く勝たせる必要はない」と書いていたとの 情報をいただいていました。そんなアホなって思いましたが、探したら 確かにありました(o。o;)。

8月3日のパドックを見ると、春より馬体に張りがあり、馬から発する精気も感じられた。… 武騎手の乗った3月のレースよりははるかにレースに見所あった。これなら、勝つ可能性はある。… 来年の1月から、JRAが公営の馬券を売ることが出来るようになった。 これはハルウララにとってはまたとない追い風である。 …3月21日のレースの売り上げは高知競馬場5606万8000円、 場外4億5555万7900円を売り上げた。…JRAで売れれば、この数倍は売れるだろう。 …ハルウララは一つでも勝てば引退である。 高知競馬にしても、時間的に早く勝つ必要性はない何で無理をして、この秋、走らせる必要があるだろう(白井透氏のハルウララ日記より)

高知競馬のためか、商品価値を重んじたのか、 理由は分かりませんが、白井氏は調子の良いハルウララをすぐに勝たせる必要はないと 考えていたことは確かなようです。勝てば即引退なのだから、 「高知競馬に酷使されるハルウララを休養させてあげたいの」なんつー、 お花畑にチョウが舞う主張の欺瞞は露呈したと見るべきかな。 野元氏の記事に戻りませう。

安西氏はオグリキャップブームの波に乗って、競馬業界に参入した。 「馬の考えていることがわかる気になれる」という、 特異な能力(?)を武器にした執筆活動で、少数の読者を組織化。 数年前、ある有力競馬雑誌の連載が打ち切られた際には、 この組織から“助命嘆願”が編集部に殺到したエピソードもある。 …メディアへの露出が多い有名馬の気持ちには、 殊に敏感なようで、ハルウララについても、昨年6月に同馬が中央のメディアで報じられると、 早々と宗石調教師に「馬主になりたい」と自ら名乗り出た

「馬の考えていることがわかる気になれるという特異な能力」 って、私ですら、もうちょっと名誉毀損で訴えられる可能性とか考えて 言葉を選んで書いてたのに、野元さんはストレート158キロだな。 しかも、少数の(笑)読者を組織化、 編集部に助命嘆願殺到って、 まるで週刊誌に信者で抗議電話かけまくった某宗教団体みたい じゃないですか。 で、有名馬に敏感な安西さんは「馬主になりたいと自ら名乗り出た」と。 これまで宗石師サイドからのオファーと聞いていたので、 安西氏が売り込んだ となると、これはキナ臭くなってきますよ。 安西氏は自らハルウララを獲得しようと狙っていたわけだ。 馬主になる前、現地集合で一人17000円のツアー組んだときからね。 事は計画通りに進んでるってこと?

8月に入ると、高知県競馬組合の関係団体で、 グッズを扱っている「サポートKRA」に、 安西氏の代理人(弁護士)から経理や契約内容の開示を求める配達証明郵便が届いている。 一方、安西氏は同時期に、宗石調教師にも書簡を送付した。 ここではハルウララの「放牧」を要求する傍ら、 「放牧中に」自らの主導でグッズ販売の枠組みを変えさせる意思を示していた。 安西氏は放牧を、「連戦の疲れを取るため」と説明しているが、 8月中に水面下で進行していた事態は、休養の是非とは全く別な次元のものだった。

放牧を要求して圧力を高知競馬にかけると同時に、 「サポートKRA」が管理権を持つグッズ販売の利益分配法を変えろと言ったわけですか。 要は馬主の取り分を増やせと。 安西氏は会社を経営しているからなのか、 弁護士さんやら弁理士さんに何やかんや依頼することが多いのかな。 安西氏がハルウララの無償譲渡を受けて1週間後、こんなものも依頼してますね。 特許庁への商標出願登録「商標・ハルウララ 出願人・株式会社エムエイオフィス」あれ、この会社って安西氏の会社ですよね。 じゃあ、ハルウララの名前を使うときは、安西氏の許可がいるんだね。気をつけなくちゃ。

「弱い馬を走らせて誰が得をするのか」という疑問を持つ人もいるだろう。 実は、多くの地方馬の所有関係に、きゅう舎関係者が絡んでいると考えられている。 持ち主がきゅう舎関係者であれば、出走手当が入り、生活の足しにはなる。 無論、こうした状況は「名義貸し」で、競馬法に触れるが、 地方競馬にとっては「パンドラの匣(はこ)」であり、誰もが見て見ぬふりをしている。 こうしたデリケートな問題があることを、高知の関係者は百も承知だったはず。 扱いは慎重の上にも慎重を期するべきだった。 局外者の介入を招いたことは、危機管理能力の低さを指弾されても致し方あるまい。

野元記者ここは あくまで一般論として書いています。 安西氏が「自ら馬主になりたい」と申し出たことと、関係があるかどうかは分かりません。 最後に野元記者は6年間、手塩にかけて世話した ハルウララを捨てるよう宗石師に辛い選択を迫ります。

8歳の高齢で気難しい馬を、6年住み慣れたきゅう舎と、 扱い慣れたきゅう務員の手から強引に引き離し、 半日もかけて知らない土地に運ぶような人物の“愛馬心”の真贋は、 賢明な読者各位には、説明の必要もあるまい。… すでにブームが去ったことは、4月以降の一連の出走レースの売り上げや、 関連商品の売れ行きからも明らかである。もはや売り時は引退興行しかなく、 今回のトラブルで武豊騎手の参戦も微妙になったのではないか。 ここは意を決して、ハルウララと絶縁すべき であると思う。 宗石調教師が同馬の預託契約を解除し、 安西氏の(カネを生まない)単なるペットとすることで、すべては決着する。

宗石師が非情になれる男だったら、 100連敗もする馬を大切に世話したりしないよ。 廃止寸前の高知競馬に国民的アイドルホースを捨てろと言うんだ。そりゃ、正論かもしれないけどさ。 酷じゃないですか? でも、野元記者は

競馬の危うい日常を売り物にするのは、我が身を切り売りするようなもの。 ここまで話が大きくなれば、ネガティヴな問題が出た途端、競馬全体に悪影響が及ぶことになる。 「あれは悪い冗談でした」というメッセージを、今こそ発する時である

と言うのです。つまり、不利な事実が明らかになる前にハルウララを捨てろと。 そして、安西氏と差し違えろとそれが地方競馬全体のためだと。 野元記者のコラムを読んで、背筋の凍ったのは安西氏でも白井氏でもなく、 高知競馬だったかもしれません。



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