ハルウララ強奪騒動から一年 未だ結末は見えず
今月15日、ハルウララ強奪騒動から一年を迎える。この間、ウララを連れ去ったオーナーの安西美穂子氏は、新高崎競馬応援団の仲介で宗石師と会談を持ったり、元議員の森田健作氏をハルウララ応援団長に就任させたりしながら、メディアに向けてウララを高知に返すと繰り返し発表してきた。しかし、愛を持って世話してくれた調教師や厩務員がいる、 ウララの厩舎(おうち)へ戻る見通しは立っていない。否、レースから遠ざかり、すっかり筋肉は落ちて繁殖馬のような体型になってしまった9歳馬を復帰させる行為は、動物虐待に近いと考えるべきだろう。
だが、こんな状況になっても、安西氏サイドはウララを使った資金集めを諦めていないようだ。先月、中日新聞には「ハルウララ基金設立」の記事が掲載された。ウララを連れて地方競馬場を巡業しながら、企業やファンから募金を求める計画だという。基金の運用方法などは協議中ということで、とりあえずお金を集めることだけは先に決めたようだ。
(安西氏は)「基金はウララに、よりいっそうの活躍の場を与えることになる。ウララの披露巡業で観客が大勢集まり、財政難にある地方競馬が少しでも活気を取り戻し、ほかの馬たちを救うことにつながればいい」と力を込める。 …「ウララ自身も早く走りたがっている。10月末には引退レースを行いたい」と安西さん。中央競馬の武豊騎手にも引退レースの騎乗を依頼し、内諾を得ているという。基金の具体的な運営については、引退レース前のスタートを目指して協議を重ねている。基金設立の趣旨に賛同して、協力に名乗りを上げている企業もあると言い、森田は「こうした企業の協力を仰ぎながら、一般のファンの方にも参加していただけるような運営方法をとりたい」と説明。(中日新聞)
虫の息の地方競馬場がやっと育てたアイドルホースを連れ去っておきながら、どこから「地方競馬のために」などという発想が生まれてくるのだろうか。ウララを無償で譲り受けて、一千万円を超えるグッズ収入を手にしただけでなく、パチンコメーカーとキャラクター契約を結び、 ヌイグルミを大量発注して、 芸能事務所にプロモーションを委託までした安西氏。だが、ウララ基金にこれまで儲けたお金が寄せられるとの話は、終ぞ聞かない。そうした中、先月の高知新聞で、ひさしぶりに強奪騒動のキャストのひとりの名前を目にした。
待ち合わせの喫茶店にやってきた競馬評論家の白井透さん は、ラフな服に、温厚そうな眼鏡。ハルウララの話題を振ると、急に言葉を選び、何度も詰まり、時々黙った。 「だからー、純粋に、休養さして、勝たしてやりたいと。あのままじゃ、日本中の人に一回も勝てなかった高知の駄馬と呼ばれ続ける、わけで」 … 馬主の意向で栃木に移送されたのが昨年九月。この時、馬主とともに東京から連れ出しに来たのが、この白井さんだった。 …本来は競走馬の血統評論の第一人者。十年ほど前には自身が設立した情報会社「サラブレッド血統センター」の経営が立ち行かず、別の企業に売却した。どんな理由があったのか、意気投合した馬主ともすでに関係が切れ、白井さんの夢物語も、とうに雲散霧消した。(高知新聞8/8『夢物語?』)
強奪騒動からしばらくの間は、自身のホームページやギャロップの連載で血気盛んにウララドリームを喧伝していた白井翁も、いつの間にかサイトごと姿を消してしまっていた。最近は馬事通信などで執筆活動を再開したようだが、その前に強奪騒動の内幕を明らかにし、素直に過去の清算を行っていただきたいものだ。当時、絶好調だったウララを「純粋に、休養さして、勝たしてやりたい」と連れ去ったと強弁するのなら、JRA賞馬事文化賞の名が泣く。
あれから一年。世間はウララを忘れ去り、全国で封切られるはずだった映画は未だに公開されずにいる。振り返れば、拙ブログで「ハルウララ強奪騒動 泥にまみれた美談」と題したエントリーを掲載したのは、強奪騒動の翌日のことだった。しかし、本当に美談が泥にまみれるのは、その後からだったとは…。この一年、飽きもせず、次から次へと奇々怪々な出来事が起こされた。一見、強奪騒動は複雑に思えるが、問題の本質はシンプルなものだ。過去の高知新聞の言葉を借りるなら、 "花咲か爺さん"が満開に育てた後でタダでもらい、多額のグッズ収入を手にし、連れ去った上に爺さんの悪口を流布した、ということをどう判断するかだろう。このバカバカしくも悲しいストーリーの結末は、まだ見えていない。