楽天が南関東と提携 混迷深めるネット販売
地方競馬のネット販売にまつわる動きが目まぐるしい。ソフトバンクがD-netを買収、オッズパークを立ち上げたばかりだが、今度は楽天が南関東とネット販売業務の委託契約を結ぶことが発表された。従来、地方競馬のネット販売網は二本立てになっており、ひとつは南関東のSPAT4、もうひとつは南関東以外の競馬場が参加するD-net。全ての地方競馬場の馬券を購入するには、これら2つのシステムに加入する必要がある。ファンにとっては、地方競馬販売の一本化は最も望まれるところになっている。
ソフトバンクが今月からオープンさせたオッズパークで購入できる競馬場は、岩手、笠松、佐賀、荒尾の4場のみ。同じD-netグループに属している北海道、岩手、名古屋、金沢、兵庫、高知、福山に関しては、これまで通り旧方式のD-netサイトでしか馬券は買えない。つまり、D-netのなかで販売システムが分かれてしまったのだ。オッズパークではIDやパスワードも違うものを登録しなければならず、かえって煩雑さを増幅させてしまったのが現状だ。立ち上げを急いだにせよ、なぜ一斉に移行しないのか疑問が残る。
そこに来て、混乱に輪をかけたのが楽天だった。楽天は南関東の馬券販売を行うことを発表したが、併せて「今回の販売業務検討の端緒となる提案をいただいた」のはホッカイドウ競馬だったと明かし、「地方競馬全場の勝馬投票券を購入できるサービス」を目指すと明言したのだ。 D-netグループの一員である北海道が楽天を引き込んだというのは驚きだ。しかも、こうした事実をわざわざ明らかにしたのは、楽天によるソフトバンクへの牽制に他ならない。北海道などがオッズパークに速やかに移行しなかったのも、楽天との親密な関係があったとすれば合点がいく。
ソフトバンクも楽天も、目指すところは全国の馬券販売を独占する仕組みをつくることだ。その先には巨大な中央競馬市場も見える。硬直した地方競馬に競争原理が持ち込まれるのは歓迎すべきことだ。但し、忘れてほしくないのは、ファンを無視したビジネス競争は悲惨な結果を招くということだ。同じようなシステムを立ち上げたのに、参加する競馬場が切り売りされては購入意欲は減退する。今の地方競馬には一時にせよファン離れを受忍する体力はない。ファンにとって何がベストなのか、主催者は肝に銘じた上で企業側におもねることなく、将来のヴィジョンを持って連携してほしい。