南関東が外厩導入 境町トレセンは再生できるか?
先月28日、関東地方公営競馬協議会はホッカイドウ競馬に続いて、南関東4場でも外厩制度を導入することを発表した。外厩制度は調教師が賃貸契約を結んだ民間施設で調教を行い、そこから馬を直接競馬場へ輸送し、管理馬としてレースに出走させることが可能となる制度だ。施設への審査の関係上、外厩調教馬がレースに出走可能になるのは6月以降となる見込み。 南関東の外厩制度導入は、主催者の目の届く一箇所に厩舎と調教施設を集中させてきた従来の護送船団方式の管理競馬に、蟻の一穴をあけるものになるかもしれない。
外厩は認定厩舎と呼ばれ、調教師は借り受けた施設について、主催者に認定の申請を行う。南関東では1厩舎につき6馬房、競馬場まで当日輸送できる距離にあることが条件となっている。有力な調教師にとっては馬房を増やすチャンスになるし、坂路やウッドチップなど充実した設備を持つ外厩であれば、ダートコースオンリーの従来のやり方も変えられるメリットがある。将来的には社台、ダーレー、ラフィアンあたりは自前のスタッフと施設で仕上げた2歳馬を南関東でデビューさせて、中央クラシックを狙う戦略もあり得るのではないか。
この南関東の外厩制度を心待ちにしていた人々がいる。旧・高崎競馬の調教施設だった境町トレーニングセンターのホースマンたちだ。高崎廃止後、新高崎競馬応援団を中心とする関係者らは境町トレセンで競馬開催や育成施設をつくろうと行政と交渉を行った。しかし、競馬開催を望むグループと、育成施設に特化したいグループの間に溝が広がり、行政の切り崩し工作もあって新高崎競馬応援団は分裂した。現在は後者の調教師らが境共同育成センターを設立して、年初から育成事業に乗り出している。
netkeibaの田中哲実氏の記事に拠れば、預託頭数は160〜170頭程度。預託料は月18万9千円とあるから、決して安い額ではない。境町トレセンの土地は群馬県と民間の地主が、厩舎などの施設は県が所有しており、 1馬房につき4万円が両者への地代、施設代に消えてしまうようだ。経営を軌道に乗せるためには今の倍以上の預託馬が必要だろう。坂路など特別な施設のない境町トレセンに育成馬を集めるのは容易ではないが、南関東の外厩として使えるのであれば展望も大きく開けてこよう。もとより、出走させるために馬を仕上げるのはプロの元調教師、騎手がスタッフなのだ。
私が最後に境町トレセンを訪れたのは去年6月。ゴーストタウンのように厩舎は朽ち果て、壊れた水道ポンプは修理もされずに、人が住めるような状態ではなかった。競馬組合廃止後、警備員の姿もなく、外から粗大ゴミを拾いに来る侵入者もいたと聞いた。境町トレセンを去った人間も、残った人間も楽な道ではなかったはずだ。一時は競馬開催を諦めないと、血判状までしたためた調教師グループ。彼らが仲違いしてしまったのは残念だったが、新たなチャンスを活かして高崎競馬の誇りを守ってくれるよう期待したい。
追記:
新高崎競馬応援団については、メディアで報じられることも少なく、ネットでも正確な情報がファンに伝えられなかった。当時、活動を近くで見た一ブロガーとして反省も込め、ウィキペディアに記事を書かせて頂いた。厩舎関係者、行政のどちらにも寄らず、客観的な事実を記載したつもりだ。後世への資料となれば幸いである。関係者がおられたら、より深みのある情報を追加して編集していただきたい。
>>新高崎競馬応援団(ウィキペディア)