「防御一般部分のまとめ」
第3章 攻撃と防御とは戦略においてどのように関係するか。
哨戒線防衛方式
第3章 攻撃と防御とは戦略においてどのように関係するか。
3.The Relationship between Attack and Defense in Strategy
考察される要素
1、奇襲、
2、土地地形の有利
3、多方面からの攻撃(敵の「正面+側面」とか挟み撃ち、包囲攻撃のこと)
1、奇襲、戦略的奇襲は防御側が稀にみる決定的な大過失を犯さないかぎり成功しない。
(こちらの「敵の予想を越える一地点への兵数の優勢」は戦術と同様)
2、土地地形の有利
前進を阻む障害物、渓谷、高山、泥濘、川(渡河の難しい)、生垣、
部隊を隠蔽できる地形、窪地や小さな岡の裏側、森など
(防御拠点となる、家屋や構築した陣地など)
これは、戦術と同様
3、多方面からの攻撃
戦術は、火力の効果が倍加される、退路遮断を恐れさせて戦意を削げる。
戦術は、(兵の限界密度が定まっているので2正面からの攻撃は、単純に火力を倍にできる。)
戦略においては火力の倍化効果も敵の退路を絶つ効果も発生しない。
空間が広大で大きな敵軍に対しての攻撃は正面と側面で別の戦闘になってしまい...
相乗効果による攻撃力の倍化は発生しない。
同様に迂回しても戦略空間は広大で退路の遮断が難しい...
戦略では(移動距離の短い方が有利になる)内線作戦の有利が発生する。(4章参照)
攻撃側の連絡線は脆弱なので連絡線を中断するだけで著しい効果を生じる。
(連絡線戦役が経過するにつれて敵地に進出した攻撃者が、次第に(戦力を消耗して)防御者に転じる時に重大な意味を持つ)岩波(中)P282
4.戦場に与える支援
敵地に侵攻する攻撃軍は、自軍の要塞や資材置き場から遠く離れるため弱化する。
行軍による兵力損耗で弱化する。
占領地に守備隊を残す必要から弱化する。
防御側にはこのような事態は発生しない。(要塞に支援され、常に資源地の近くにいる。)
5.国民の支援
攻撃軍は住民や土地から資材や兵糧を得るためには常に軍隊の力が必要になるが、防御軍は、こういった支援が摩擦なく提供される(国民に軍が好かれている必要がある)一番大きな支援は侵略軍の情報が得られる点。
6.精神的影響
岩波(中)P284
すぐれた精神的諸力は、・・・戦争における一切の行動にあまねく浸透するので、将師は・・・これを用いて彼の軍を強化できる。ところでかかる精神的諸力は、攻撃者の側にも防御者の側にも同様に存在すると考えて良い。・・・従ってこれら精神的諸力が彼我のいずれかに有利ならしめるに役に立つようなことは滅多にない。
兵隊教育なんてものはどこでもたいして変わらない。(マニアル化してて...)
これの差で優位にたてる可能性はほとんどない。
現代よりも兵が集団(動物の群れの様に)で使われて精神作用が重視されているクラウゼヴィッツの世界でもこうでした...
精神的優位
頑張ってもこれで敵に勝つことはできない。
何故なら敵もこの点は変わらないため
昔の群の軍隊は精神要素が重視される。
(群れの軍隊=ギリシア、ローマ、ナポレオン時代までの集団で隊列を組んで戦うこと)
現代の軍は分散使用、機械の部品、精神要素は相対的に小さい。
機械化による機動は、戦線の突破と高速機動による戦線の撹乱、包囲で敵の精神崩壊を招き降伏させる
初期電撃戦の成功、歩兵に戦車に対抗する手段が無く突破包囲されるとパニックして崩壊した。
大戦末期になるとあらゆる対戦車火器が揃い歩兵はそう簡単に崩壊せず、機甲部隊による突破は同じく機甲部隊による機動防御で対応することになった。
戦場は激しい砲撃戦から小競り合いまでカーテンのように連なり
戦車は殴り合いに参加する羽目になった...
哨戒線防衛方式
地域全体に哨戒部隊を配備して直接広大な国境線などを守る方式。
遊牧民の進入を防いだ「万里の長城」などが有名、
(「万里の長城」では、巨大な軍隊(チンギスハーン出現時のようにバラバラだった
遊牧民が一つの国に統合されてできた)は元々防げなかった。)
敵の目的が主力による決戦ではなく、軍税の徴収や糧食の徴発などの(蛮族の場合は略奪自体が目的)
敵に損害を与えるのが目的の低レベルの紛争を防ぐために使う方式。
弱勢な敵兵力による攻撃に対抗するために配備されている。P12
軍税=兵士が直接食糧を住民から略奪すると軍隊そのものが荒廃してしまうのでそれを
防ぐために作られた。軍税は高額で徴収された地域は疲弊(崩壊)した...
逆にこの方式は、本式の戦争には使えない。
つまり、兵力が分散してしまい敵の主力に対抗できなくなる。
岩波(下)P10
広大な地域を直接擁護するとなると、その防衛線は長大にならざる得ないが、
しかしそうなると「防御線の抵抗力が減退する」ことは明らかである。
たとえ防御者の軍が極めて強大であるにせよ、しかし攻撃者の軍も
また同様に強大であれば、結果はやはり同じことになる。
P11
戦争中の行なわれる敵の進入に対して国土を防衛するのは副目的であり、
従ってあまりさほど重要でないにも拘らず、この種の防御線を維持するためには
ややもすれば多量の兵力を費やさねばならぬという不利がある。
(戦争論では優先度が、国土の防衛は二番目...侵攻してきた敵戦力の撃滅が一番)
P12
敵主力に対しては、けっきょく相対的抵抗(時間を稼ぐための抵抗)にすぎず
こうして得られた時間の余裕もあまり大したものにならない。
こうした状況が誤解されて兵力分散が進み、ナポレオン戦争の初期の敗北の原因となった。
ナポレオン以外の時代は...
WW1のざん壕戦(大西洋〜スイス国境まで)、WW2マジノ線(ドイツの進入を防いだ連続線部分)。
総力戦は、膨大な兵力を近代国家に与えた...
テクノロジーによる火力の増大は極めて少数の守備兵力に強力な力を与えた...
(脆弱な攻撃時の防御力(攻撃に含まれる防御部分)を突いた・・・攻撃に対する防御の絶対的な優勢?)
大戦力の集中による戦線の突破は、察知対応されほとんど失敗し、
追撃や戦線の拡大も騎兵が簡単に阻止されて役たたずになった。
(戦車などの装甲兵器の開発で攻撃の優位が多少回復してシュミレーションゲームで見られるように、防御側が二倍有利程度に落ち着いた。今でも防御は穴掘って地面に潜るのと隠蔽が基本...)
対戦車砲と戦車の関係(単純に値段と数を比べられない例...)
対戦車砲は戦車より安く、簡単に数を揃えられ、適切に隠蔽配備されたなら配備数以上の
戦車を破壊することは簡単にできる(砲兵が生きて帰れる可能性は低いが)...
しかし、戦車の基本は、機動力を使って対戦車砲の配備していない(もしくは少ない)
防御の薄い陣地を攻撃して敵戦線を破るという方法なので(その後…敵の包囲へ)、
重点防御拠点に多量に配備された対戦車砲はたいてい無駄に終わる(クルスクの戦いの
ように強力な対戦車陣地へ機甲師団を突っ込むのは二流の作戦)...
「戦車には戦車で」とか自走対戦車砲(突撃砲、駆逐戦車)が重視されるのは、
こうした敵戦車の機動に素早く対応して展開できるため。
こういった火消しに使ったほうが敵の戦車などの機動戦力を直接撃滅できるため、
攻勢にでた場合より有効な戦法で、撃破スコアーも増える傾向がある。
長い海岸線を守るのには兵力が不足とか、ゲリラや密輸と上陸作戦を混同しないためにも使える?
経歴
クラウゼヴィッツの誤用
フランスの将軍の悪例
二種類の戦争(Die deppelte Art des Krieges)
初版本(first edition)
第1篇 戦争の本質について
「戦争とは政治の継続」
用語=>「絶対戦争」
第6篇 防御「防御は攻撃より強力な戦闘方式」
第7篇 攻撃「(積極的だが)防御より弱い戦闘方式」
戦争論とシュミレーションゲーム内の乱数
文章集積
戦史研究&戦車戦へ戻る