天使-Angel

アークエンジェル】 Archangel 大天使

  九階級では第八位にあたる下級の天使であるが、様々な階級の支配者である天使、たとえばミカエルラファエルガブリエル、そしてメタトロンのような有力な天使もしばしば大天使と呼ばれるため、実態がつかみにくい。
  「神慮を運ぶ使者」であり、神と人間の間を仲介する者でもある。

ヴァーチャー】 力天使

  マラキム、タルシシムなどと呼ばれる。奇跡の形で天界からの恵みを授けるもの。また、最も必要とされる時に勇気を吹き込むものであり、しばしば英雄や、英雄的な善人に力添えをする。光り輝く者、あるいは輝かしき者として知られる。九階級中第五位。

ウリエル】 Uriel

  名前の意味は「神の炎」。後代になると、「神の顔」たるファヌエルと同一視された。熾天使であると同時に智天使でもあり、地獄(タルタロス)を支配する。義の天使であり、『ペテロの黙示録』では、罪深き者の魂を永遠にわたって峻烈に罰する存在として描かれている。また、息子の割礼を怠ったモーゼの前に、燃えあがる蛇として出現する。また、エデンの園の門に立つ炎の剣を持つ天使とも同一視される。地球圏の大天使。地獄の長官。
  人間の肉体をまとった数少ない天使の一人であり、しかもその最初のものと黙される。ウリエルは地上に降りてヤコブとなったか、あるいはヤコブが闇の中で神の御使いと戦ってイスラエルの名を与えられた時に、ヤコブと融合したと考えられている。

エンジェル】 Angel

  エンジェルは、ヘブライ語のマラークのギリシャ語訳である angeloiから派生した。これは本来のヘブライ語では「神の影の面」をも意味したが、後にはもっぱら「使者」、神の使いを意味するようになった。九階級の天使のうち、最下位。個々の名前もない、雑兵クラス、使者というより使いっ走りという事になる。命じられた事を諾々と果たすだけで、特に任せられている権能がない。本来天使は無性であるはずだが、人名として用いられる場合は何故か女性の名前になるようだ。

オファニム】 座天使

  ガルガリンとも。座天使というからには、神の玉座そのものである。玉座あるいは戦車であり、実際に車輪を持っているとされる。これは『エゼキエル書』によれば真っ赤に燃える車輪であり、しかもその中から時々稲妻が発される。また、熾天使智天使がそうであるように、四つの顔をもつ。また、ヘブライ語のガルガルが「車輪」の他に「瞳」を意味する事から、多くの眼を持つものであるとも言われる。九階級中第三位。熾天使が聖愛を、智天使が智慧を伝える者であるとするなら、当然、座天使は聖なる力の波動を伝える存在であろう。

ガブリエル】 Gabriel

  受胎告知の天使。月の日に東を支配する第五天の大天使。『アルマデル』によれば第一の高みに在る霊的存在であり、品物や富を支配する。この名には「神聖なる夫」という意味がある。この事は、ガブリエルが受胎告知をした事とあわせるとあまりにも露骨である。すなわち、マリアは聖娼であり、ガブリエルは彼女を妊娠させた神殿の聖職者であったのかもしれない。実際、ガブリエルという名は「聖なる夫」という意味を持つともいわれる。
  また、この名を派生させたシュメール語の語幹 gbr は「総督」「統治者」「力」「英雄」といったものを意味する。その通り、ガブリエルはエデンの園と智天使の統括者とされている。しかしながら、ガブリエルは神の左に座するとされ、これは慣習的には妻の座に相当する。また、受胎告知以外にも、先だって洗礼者ヨハネに救世主の到来を告げている他、後の民間伝承にはガブリエルが妊娠と誕生に深く関わる物語が多く伝えられている。
  なお、ガブリエルの持つ百合は三相一体の女神の処女の面を象徴するもので、ゼウスの妃であるユノも、魔力ある百合によって夫を持つ事なく身ごもったという伝説を持つ。
  エッセネ派では月曜日に割り当てられる生命の天使である。
  その一方で、死との結びつきも深い。例えばガブリエルはモーセを埋葬した天使の一人であり、最後の審判の時には、災厄をもたらすトランペットを吹く大天使の一人でもある。また、おそらくは太女神と関係があると思われるケルトの赤い耳をした白い霊犬は、ガブリエルの猟犬と呼ばれていた。この犬は死の前兆でもあった。

カマエル

  能天使の長。その名は「神を見る者」を意味し、神の御前に立つ権利を有する七人の天使の一人であるとも言われるが、その一方では火星の支配者であり、それゆえに戦の天使であり、破壊の天使、懲罰の天使、復讐の天使、死の天使の長でもある。しかも、その暗黒面では豹の体を持つ地獄の公爵の一人でもある。
  エッセネ派では火曜日に割り当てられる喜びの天使である。

クシエル

  「神の厳格なる者」。炎の鞭で神に背いた国を罰する役目を負う。

ケルビム】 Cherub 智天使

  九階級のうち第二位。語源となったヘブライ語のケルブは、「智慧」あるいは「仲裁する者」を意味すると言われる。更に遡れば、メソポタミアの神殿や宮殿の門を守護する翼ある聖獣カリブである。
  アッシリアの生命の木を守護していた鷲頭の有翼獣と同じく、ケルブもまたエデンの園の東にあって、生命の樹に至る道を守っていた。また、幕屋に置かれた聖櫃を守護するものもケルブであった。
  四枚の翼と四つの顔を持ち、神の玉座を運んだり、その戦車を御したりする。その体からは火が発せられ、体色は青又は黄。聖なる智慧の波動を伝達する。〔参照〕 ケルプ

サマエル】 Samael

  その名の意味するところは「恐ろしき王」。また、「毒を持つ輝かしき者」。火星を支配する大天使。また、死の天使。死にゆく人間の魂に蓄積された不道徳を消し去り、完全なものとして天国へ昇る準備を整える役目を持つ。十二枚の翼を持つ大いなる蛇。
  しかしながら、ブラヴァツキーはサマエルを赤い竜であり、楽園においてイヴを誘惑した蛇と同一視する。また、一説にカインの父であるとも云う。犬が夜に吠えるのは、サマエルが鳥のように飛び、街を駆け抜けるからであるという伝承もある。本来は死者の審判官たるセム族の冥府の神であった。
  また、ローマの守護天使であるとみなされていた。

サリエル

  その名は「神の命令」を意味し、使命に背いた天使の運命に責任を持つものである。モーゼに様々な知識を伝え、また、律法学者イシュマエルに詳細な衛生に関する知識を授けた。熾天使の一員であり、また、死の天使であるとも言われる。また、神とサタンの戦いの際は、光の天使の有力な一員でもあった。
  しかしながらエノクはサリエルの名を堕天使の一人に数えあげている。これは、サリエルの使命が堕天使に関わるものである事が原因なのかもしれない。〔参照〕 (堕天使としての)サリエル

サンダルフォン

  メタトロンと対の存在である天使。

セラフィム】 熾天使

  「燃える」、「炎のような」を意味する saraf を語源とし、語義的には「至高の癒し手」。天使の九階級のうち、最高位。常に神の玉座の周囲にいて頌歌を歌い、神と直接に交わるもの。純粋な光あるいは愛を体現し、聖なる愛の波動と共振してこれを伝達する存在であるが、人間の前に現れる時は、六枚の翼(頭部に二枚、背に二枚、足に二枚)と四つの頭を持った人間のような姿をとる。全身が紅い。三つの sanctus を刻んだ聖扇あるいは短剣、あるいは同じ語句を記した旗と蝋燭を手にし、時としてたくさんの目をちりばめた四つの翼のある車輪に乗る。また、獅子の如く吠える空飛ぶ蛇、あるいは赤く輝く雷光でもある。すなわち、モーゼが疫病を祓うために掲げた銅の蛇のように、治療の技と結びついた蛇という事になる。

ドミニオン】 Dominion 主天使

  熾天使智天使座天使までヘブライの伝承に従った名前で呼んでいるのなら、主天使以下もそうすれば良いのに、何故かここから英語名となっている。ヘブライの名称ではハシュマリムあるいはハムシャリムで、天使の務めを統制する役割を負う。九階級中四位。ザドキエル、ハシュマル、ヤーリエル、ムリエルという四人の天使に率いられており、このうちハシュマルは炎を発する天使として知られる。

ハニエル】 Haniel

  エゼキエルが幻視した四つの獣あるいは天使のうちの一体。獅子のごときもの。六つの翼を持ち、その表裏とも眼で覆われている。神の玉座の前にあって東に顔を向け、昼夜休むことなくその口で神を讃えている。ヘンニッヒやデ・ヴォーレはこの神獣または天使を、黄道十二宮のうちの獅子宮と結びつけた。

パワー】 Power 能天使

  ポテンティアテス。いわば天使のなかのコマンドーである。悪魔が跳梁する領域との境界を巡邏して監視するのが務めで、対立しあうものを調和させる事ができるかわり、最も暗黒に染まりやすい。全ての人、上なる権威に従う存在であるとされるが、聖パウロは能天使を善でも悪でもあり得る者と見なしている。カマエルによって支配される。
  秘教的には、二元的な人間の魂を導いて聖なる合一に立ち返らせるものであり、アストラル界で迷う死者を助ける存在である。

プリンシパリティ】 権天使

  プリンスダム。地上の国や大都市の守護者。信仰の擁護者。その善悪観は正統的であるが、いささか頑迷であるとも言われる。アナエル、ハミエル、ケルウィルがこの階級の支配者である。しかしながら、ニスロクがその地位を得ようとしたとも伝えられている。

ミカエル

  名前の意味は「神の如き者」。光の天使の長。サタンの敵。また一説にサタンと双子の兄弟。太陽に等しいもの。いわば天の副王であり、それはサタンが天を追われるまでに占めていた地位に相当する。黄金の剣をもって悪魔と戦い、天秤で魂の重さを量る。また、歴史の周期を支配する七人の大天使セクンダデイの長。天使の将軍。天軍の長として叛乱した悪魔を地獄へ追い落とす様は、黄金の鎧をまとい、槍を手にした姿でしばしば宗教画の画題となった。また、その孔雀の翼にある多数の眼は何者をも見逃さない。
  最後の審判の天使でもあって、魂を計量する役目をも負う。これは、中世までに異教の冥界の神を吸収したためで、事実、ミカエルの丘と呼ばれるものはおおむね古代の死者の塚であるという。また、サタンすなわち竜を殺すものとしてのミカエルは、異教の象徴たる竜すなわち異教を追放する者でもある。見方をかえれば、古き神々の力をミカエルは吸い取ってから、その残滓を地獄に追い落としたわけだ。
  神が世界を創造した時の「言葉」の秘密を知る者。また、人間を創造する時に神が用いた土を、世界の四方と中心の五つの場所から集めた者。
  エッセネ派では日曜日に割り当てられた地の天使にあたる。また、水星を支配する天使。
  イスラム教徒の間にもミーカールという名で知られているが、その場合はエメラルド色の翼とサフラン色の髪を持ち、髪の一本一本に百万の顔があって、百万の言葉を操る事ができるという。また、ミーカールの流す涙から智天使が生まれるともいう。
  ミカエルを表徴とした寺院として最も有名なものは、フランスのブルターニュにあるモン・サン・ミシェル(ミカエル山)であろう。ここへの巡礼の印は帆立貝であるため、しばしば帆立貝はミカエル自身の印ともされる。

メタトロン

  熾天使の長。また、四人いるとされる長のうち首位。すなわち最も強壮な天使であり、人類の繁栄と維持を司る。その姿も、ゴドウィンの計算によれば4メートル弱の長身で、六枚の翼のかわりに三十六枚の翼、そして無数の眼を持つといわれる。しかしながら、一部の秘密結社ではメタトロンはサタンと同一視され、「古き蛇」として知られる。
  「神の顔の君」「天使の王」「小YHWH」など様々な別名を持つ。エノクが昇天して天使となったものとも言われる。真実の記録者であり、神の書記をも務める。また、一面では背いた者に容赦なく懲罰を下す血にまみれた天使でもある。

ラグエル

  「神の友」。天使の善行を監視する役目を負い、また、大地の天使でもあり、第二天を守護する。

ラハブ】 Rahab

  「獰猛な者」。エジプトの守護天使。原初の海に猛威を揮うものと言われる。天地創造の際に、大空の上下に水を分ける事を拒否したため、神に殺された。その後、ヘブライ人が紅海を渡るのを妨げようとしたとも伝えられて再び滅ぼされたとも伝えられるので、最初の時は完全に死んだわけではなかったのか、あるいは何らかの理由で復活させられていたらしい。そう考えるならば、今もまた復活していないとは言い切れない。〔参照〕 ユダヤの伝承におけるラハブ

ラファエル】 Raphael

  「癒しを行う輝ける者」。癒しを行う天使であり、従って、蛇と結びつけられる。その頭部は時として爬虫類のものである。更に、エデンの生命の樹の守護者でもある。神の玉座の前に立つ事を許された七人の天使の一人。その癒しの力は人間の病から大地、霊的生活にまで及ぶ。人間、そして巡礼者の守護者。アスモダイの敵対者。
  太陽とも深い関わりがあり、その反面、シェオルすなわち大地の窖、冥府の導き手でもある。これらの性格はアポロンを連想させる部分もある。
  金星の日に北を支配する第三天の天使。すなわち座天使を支配するもの。また、あるいは第二天の君主であり、力天使を支配する。但し、ラファエル自身は熾天使と同じく六枚の翼を持つ。
  エッセネ派では水曜日に割り当てられている太陽の天使である。