動物-Animal

サーペント】 serpent

  字義通りには「蛇」。特に大きな種類の蛇を指し、本来は通常の蛇 snake とは区別される。但し、しばしばその二つは混同されています。
  西欧世界ではしばしば古き蛇、すなわち悪魔の異称として用いられ、聖書においては楽園でイヴを誘惑し、アダムともども堕落させた存在です。しかしながら、ヘブライ語で nachash と書き表されるこの蛇の名前は「魔法」をも表しています。また、ヨハネの黙示録においても悪魔をさす言葉として蛇が用いられています。
  とはいえ、本来、蛇とは太母神と密接な関係を持つものでした。すなわち蛇は太母神から男神を介する事なくして生まれ、天空から大地(の窖)に降りる稲妻の形で豊饒をもたらし、あるいは世界を創造し、また、大地の子宮たる窖に棲む事で智慧を蓄えたものです。また、脱皮する姿から不老不死と関連づけられます。更に、病をもたらし、それを癒すものともみなされていました。〔参照〕 ナーガピュートーン

シソチョウ】 始祖鳥

  中生代ジュラ紀に生きていた鳥の祖先です。尤も、最近の研究では、羽毛は持っていても飛翔する事はできなかったようだとされています。トカゲと鳥の中間といったところで、地面を走ったり、樹から樹へ飛び移る程度しかできなかったのでしょう。大きさは鴉くらいで、長く羽毛に覆われた(と思われる)尾を持っています。尾羽ではなく、あくまでも骨を備えた尾なんです。また、骨は鳥のように中空ですが、含気性ではありません。更に、鳥と違って円錐状の歯を持っています。
  この化石はバイエルンの石切場で発見されました。けれども、まだ出土数がそれほど多くない事もあってか、詳しい事がわかっていないのです。始祖鳥が何から進化したのか、という事についても、諸説あります。

スナッピー】 Snappy

  素早い、元気のいい、粋な、といった意味をあらわす英語ですが、〈SOUL HACKERS〉では絵の中にいて主人公の妹を誘惑した海豚の名前として登場します。
  海豚は、鳥がそうであるように、海辺の民にとっては死者の霊魂を冥界へ運んでいく役割を担っています。また、月と海の女神に関係が深く、愛あるいは官能の象徴でもあります。まさしくスナッピーも、ヴァーチャル美術館の絵の中から人々を魅惑してはその魂を冥界ならぬマニトゥのもとへ導く役割を果たしていたのでした。

スパイダー】 spider 蜘蛛

  蜘蛛の最も大きな特徴といえば、糸を紡ぎ、巣を織りなす事でしょう。この事から、蜘蛛は、運命の糸を紡ぎ、あるいはそれを織る女神、すなわち太母神に深い関わりを持つものとされ、後代、これらの女神が異教へ、そして悪魔へと堕していくと、魔女と関係の深い虫であるとされるようになりました。また、その巣はやはり太母神と関係の深い迷宮の象徴でもありました。〔参照〕 アラクネー
  また、蜘蛛は自らの糸の先にぶらさがる姿から、天と地を繋ぐものとみなされます。

マッドスラッグ】 mad slug 狂蛞蝓

  要するにナメクジでありまして、湿度の高い季節になると、人家周辺でも山でも見かけます。なんとなく虫じゃないかな〜? という気がしますが、実は巻貝の一種。貝殻が退化して中身だけになってしまっているのです。日本に帰化したヨーロッパ渡来のやつ(最近人家周辺にいるのは大抵、これ)には、貝殻が退化した痕跡である甲羅がついているやつもいます……っても、亀の甲羅みたいにきちんと判別できるほどのものではないようですが。こいつらはおおむね草食で、野菜とか木の芽草の芽、苗木なんかの大敵。そうそう、蛆とは区別してね。あちらは蠅の幼虫で全くの別物です。
  ところでこいつらが狂ってしまうとどうなるか? かなり低級な生物ですから、精神的に狂うというより、どちらかといえばその体そのものに狂いが生じる方が先のような気もしますが、ともかく mad は精神的におかしくなっちゃったとか、怒り噴騰に発した(俗に「キレた」)状態をさすわけで、マッドスラッグなるものは、凶暴化したナメクジである、と理解できそうです。いやですね〜。普通のナメクジが一匹いるだけで、生理的嫌悪感でパニックになる人もいるんじゃないかと思うんですが、そいつらが凶暴になる……って事は、襲いかかったくるのです。世の中は油断がならないもので、まさしくそういう、凶暴化したナメクジが群となって人間を襲うというスプラッタな小説もあります。
 『スラッグス』 ショーン・ハトスン作

レイブン】 raven 大鴉、渡り烏

  北欧神話のオーディン、ウェールズ神話の地下の神ブラン、ギリシア神話のアポロあるいはクロノス、ペルシアのミトラ、そして洪水伝説と関係の深い鳥。すなわち、大水が退いたかどうか調べるため、送り出された最初の鳥であり、しばしば、漂う死骸などに惹かれたために帰ることがありませんでした。その怠慢を呪われたため、羽が黒くなったという伝説もあります。また、イスラム教でも、予言者モハメッドが敵から逃れようとして砂漠に隠れた時、ガーガーと鳴いて居場所を知らせようとしたため、呪われて羽の色が黒くなったと伝えられています。かように不吉な鳥であり、呪いによって黒い色をしているのだとされている話が東西を問わず多数語られています。
  その一方で数々の光明神と結びつけられ、また、夜明けを告げる者とされる事がしばしばあります。
  死骸を食べる性質のためか、死そのものと結びつけられる事も多く、同じ特徴から、太女神あるいは三相の女神のうち死の女神の相とも関係の深いものとされます。たとえばヴァルキューレに従う鳥であり、アイルランドの戦女神であるモリガンマハネヴァンが好んで変身する姿であるともみなされました。
〔参照〕 火烏八咫烏